参議院の「少子高齢化・共生社会に関する調査会」の実態調査の為の視察が本日と明日の2日間で行なわれる。派遣委員メンバーとして14日は静岡県浜松市を訪問。
最初に静岡県(石川知事)浜松市(鈴木市長)から両行政の「多文化共生施策の取り組み」について説明を受ける。中でも浜松市は先進的な取組みをされていた。人口82万4千人。うち外国人登録者は33,272人。ブラジル人は19,473人。日本で一番ブラジル人が多いまちとの事。外国人市民をめぐる課題は
①労働環境(ほとんどが請負・派遣の間接雇用)
②社会保障(社会保険未加入)
③教育(日本語学習と学力向上困難・不就学児童多い・外国人学校は私塾の為公的助成困難)など多くの課題を抱える。
行政の方との意見交換を終え、現場視察から実態を把握する為に浜松市内の学校法人「ムンド・デ・アレグリア学校」を視察する。ペルー人を主体とした日系人学校で2003年2月に開校。「ムンド・デ・アレグリア」とは「喜びの世界」という意味で、日本の学校に行っても理解できず、外国人学校は高すぎて経済的に行けず、結果として家庭に閉じこもっていた子ども達に「学ぶ喜び」を知ってもらうという願いから名ずけたそうだ。
ムンド校は112名の生徒で教師数14名。現教室は建坪200坪で100名を越える生徒が学ぶ。事務所を改造した教室や倉庫を改装した天井の低い教室など劣悪な環境。天井にも雨漏りの後が見える。体育館や運動場もない。しかしそうした中でもペルーやブラジルの子ども達がイキイキと勉強に取組んでいた。各教室の子ども達の授業を見学したが、皆元気良く迎えてくれた。「何が好き?」と生徒に聞くと「体育と歴史」と笑顔で答える子供の目が印象的だった。
その後松本雅美校長や山内理事等の現状と要望を聞き、意見交換をする。現状の問題と要望は
①空き教室を利用させて欲しい(県・市の要望)
②行政の補助金の要望(日本の公立には1生徒80万から90万の教育費がかかっているが、ムンド校のような各種学校は桁違いに補助が少ない。:国・県・市への要望)
③特定公益増進法人の認定を受けれるようにして欲しい:国への要望等等。
無給で働く松本校長達の必死な要望と共に最後に生徒が日本語で国会議員の皆様へのお願いの作文を聞き、胸が熱くなる。子ども達が希望をもてる社会を築かねばならない。
続いてヤマハ発動機IMカンパニーの外国人雇用等について説明を受け、視察する。ヤマハIMカンパニーはヤマハ発動機(株)の社内カンパニーで産業用ロボット・電子用のプリント基板の実装用機器などを製造・販売している。従業員1000名の社員のうち120名から200名が外国人(ブラジル人が大半)という。
中国・韓国・ブラジルの従業員の方と懇談し、今困っている事などを聞く。年金などの社会保障や間接雇用者は将来の雇用の不安等の声が。その後、工場を視察し雇用の実情を把握する。駆け足での視察見学であったが、大変考えさせられ、共生社会構築への示唆になった。