民主党の「マニフェスト実現至上主義」で混乱が広がっている。特に民主党の整合性欠く政策転換に国民は不信・不安を感じ始めてきた。
「高速道路無料化」は温暖化ガス排出を増大させ、民主党の掲げる「温暖化ガスの25%削減」に逆行する政策と言われてきたが、今回の日本郵政の社長人事はまさしく整合性を欠く政策転換である。
21日に日本郵政の西川社長の後任に斎藤次郎元大蔵事務次官を充てる人事を内定。翌22日付の各新聞では「脱官僚政治、天下り禁止、政府・与党の一元化ーーー。民主党マニフェスト(政権公約)に並ぶ理念とはかけ離れている。」(朝日新聞)など批判の記事が目立った。
民間出身の西川氏を更迭し、かつて旧大蔵省で官僚のトップの座にあった斎藤氏を次期社長に据える。毎日新聞でも「野党時代から言い続けてきた『官僚の天下り拒否』、総選挙で掲げた『脱官僚依存』の格差をどう説明するのか」と鋭く民主党の豹変ぶりを指摘している。
昨年の日銀人事で、財務省OBの政府人事案をことごとく拒否をした。私も参議院の議院運営委員会での同意人事で民主党が強行に主張した場面を思い出す。当時幹事長だった鳩山首相は拒否の理由として「『天下り禁止』という錦の御旗を掲げている。総裁、副総裁を問わず天下りはノーだ」と明言していた。
その鳩山首相が大蔵省OBの斎藤氏起用の理由として「大蔵省を辞めて14年もたっている。」「能力があれば認めるべきだ。」と弁明しているが、到底納得できるものでない。
斎藤氏は東京金融取引所から今回日本郵政社長になれば、天下りを繰り返す「わたり人事と見られるのでは」(日経新聞)との疑念がぬぐえない。
民主党内からも究極の「天下り」の声すらある。「自分に近い大蔵省OBなら、金融にからむ要職に就いてもかまわないという『ご都合主義』」(東京新聞)との批判を浴びている。
民主党が掲げた「脱官僚」「天下り禁止」の方針を転換するような今回の人事。多くの国民は民主党のやり方に不信と不安が広がっている。民主党ははっきりと国民に説明する責任がある。