<これまでの活動記録>
公明党うつ対策ワーキングチーム(WT、古屋範子座長=衆院議員)が2008年7月に政府に提出した「総合うつ対策」に関する提言が着実に前進している。政府は自殺者が増加する傾向にある3月を「自殺対策強化月間」に指定。うつ病が自殺原因の上位に位置付けられていることもあり、党WTは3日、衆院第2議員会館で厚生労働省から提言の進捗状況について報告を受けた。
近年、うつ症状を訴える人は増え続けており、厚労省は、うつ病の患者数を250万人と推計。また、警察庁の調べによると08年の自殺者数3万2249人のうち6490人がうつ病を原因・動機とする自殺とみられ、うつ対策は喫緊の課題となっている。
党WTは08年7月、すべてのうつ病患者が安心して治療を受け、社会復帰できる体制整備をめざし、(1)うつ病の早期発見・治療の促進へ医師の診断能力の向上(2)患者の専門医受診率を5割以上に引き上げ(3)薬物療法と精神療法の併用を普及(4)労災の休業補償など、安心して治療に専念できる社会づくり(5)患者の社会復帰のプログラムを整備し再発率を抑制――を柱とする17項目の対策と、子どものうつ対策を政府に提言している。
3日の会合で厚労省の担当者は、党WTの提言を受けて08年度から「かかりつけ医うつ病対応力向上研修」を実施していることを報告。08年度は研修が全国44の都道府県・指定都市で106回実施されたとした上で、10年度予算案でも、新政権で若干削減されたが、9100万円が計上されていると説明した。また子どものうつ対策についても、厚労省側は「来年度から研修の対象に小児科医なども加える」と述べた。
さらに、提言で求めていた、事業者や労働者、家族らからの相談などに応じる「メンタルヘルス(心の健康)対策」についても、08年度に全国47都道府県に設置した支援センターで予防から復職支援までの総合的な支援が行われ、効果を挙げている。来年度からは新たに、職場での対策として重要な役割を担う管理職に対し、職場環境の改善に向けた教育を実施することも報告された。
WT事務局長の浜田まさよし参院議員(参院選予定候補=比例区)は、かかりつけ医の研修について、養護教諭なども加えるべきだと主張。さらに「自治体によって熱心さが違う。これまで一度も研修を行っていない所もある」として、厚労省から各自治体に対する働き掛けを強めるよう求めた。
(2010年3月4日付 公明新聞より転載)