<これまでの活動記録>
問い
家電メーカーで長年働くパート主婦(52)です。今国会で雇用保険法が改正されたと聞きましたが、内容について教えて下さい。 (東京 T・K)
非正規の加入要件を緩和 “安全網の強化”から賛成
ご質問の雇用保険法については、大きく二つの点で改正を行いました。
一つは、雇用保険に入っていなかったために失業給付を受けられず、家を失ったり生活苦に陥る人が増えないようセーフティーネット(安全網)を拡充するものです。週20時間以上働く労働者を対象に、加入に必要な雇用見込み期間を「6カ月以上」から「31日以上」に要件を緩和することで、短期派遣社員らの非正規労働者が雇用保険に入りやすくするよう改めました。これにより、新たに255万人が受給対象になることが見込まれています。
もう一つは、失業者増加で雇用保険の財政が悪化していることから、雇用保険料率が引き上げられます。料率は、賃金の0・8%(労使折半)から1・2%となり、企業や労働者にとっては一定の負担増も伴うものです。
完全失業率が5%前後で推移する厳しい雇用情勢の中で、国が企業の休業手当を補てんする「雇用調整助成金」も含んだ雇用保険2事業が、雇用維持に大きな役割を果たしています。しかし、長引く不況による雇用調整助成金の急増で財源が枯渇する恐れがあるほか、失業給付などの支出が大幅に増えていることから、雇用保険財政の悪化を少しでも抑え、安定的な財源を確保する必要があります。
公明党は、今回の法改正について、雇用のセーフティーネット機能を強化する観点から、党のめざす方向性と概ね合致するものと判断し、賛成しました。
ただ、今回の法改正には課題もあります。例えば、労働時間が20時間未満の人は適用外であることや、複数の事業所で働く人は労働時間が累計20時間を超えても加入できない場合があることも問題です。
また、「31日以上の雇用見込み」で雇用保険に加入しても、離職の日の1年前に6カ月以上の雇用保険料を納めていなければならないため、例えば3カ月で離職した人は、掛け捨てになってしまいます。
こうした問題について公明党は、国会論戦を通じて政府に対応を厳しく迫っており、今後の検討を約束させました。公明党は今後も「雇用のセーフティーネットを万全なものにする」観点から、賛成すべきものは賛成し、改善するべきものは改善させていきます。
(2010年4月3日付 公明新聞より転載)