<これまでの活動記録>
秋の収穫期を迎え、農作業が多忙を極める中で懸念されるのが、トラクターが転倒・転落するなどの不慮の事故。農作業中の死亡事故が毎年400件前後で推移している現状を重視した公明党農林水産部会(石田祝稔部会長=衆院議員)は28日、茨城県つくば市にある農機具メーカー「株式会社クボタ」の筑波工場を視察し、農作業の安全を確保する取り組みを探った。
これには石田部会長、西博義衆院議員、渡辺孝男、山本博司の両参院議員、田村佳子県議、小野泰宏、山本美和の両市議が参加した。
農作業の死亡事故は後を絶たず、農林水産省の調査では2008年の1年間で374件発生。原因別で見ると、転倒・転落したトラクターの下敷きになるなど農業機械を使った作業に伴う事故が全体の7割に上り、このうち乗用型トラクターによる事故が半数を占めている【円グラフ参照】。就農者の著しい高齢化に伴い、65歳以上の高齢者が犠牲になる割合が8割に上るのも特徴だ。
農水省では、パンフレット配布を通じた啓発活動などを実施するものの、死亡事故は毎年400件前後と高止まりの状態。負傷事故については「把握が十分できていないのが実態」(農水省)で、労災保険の加入率も4%台と低迷しており、対策の強化が求められている。
この日の視察では、農機具メーカーとしての安全確保対策を聴取。吉岡栄司工場長らは、春と秋の農機具点検の強化や、商品納入時の確実な安全説明、展示会での研修会開催など、ユーザー向けの積極的な啓発活動とともに、安全設計を重視した製品開発に努めていることを説明した。
このうち、死亡事故が多い乗用型トラクターの安全対策として、転倒時に運転者を保護する安全フレームを18年前からすべてのトラクターに装着していることに言及。安全フレームの未装着トラクターに比べ、死亡事故の割合が約8分の1に減少しており、「シートベルトの着用と合わせると、救命効果が上がる」と指摘した。
石田部会長は、農作業の安全に関する同社のさらなる取り組みに期待を寄せる一方、「農作業で亡くなる方をゼロにするため、事故防止対策に国を挙げて取り組むべきだ」と述べ、対策強化に全力を挙げる考えを示した。
(2010年9月29日付 公明新聞より転載)