「はばたき教室」の概要をうかがう


公明党メンバー


公明党社会保障トータルビジョン検討会「貧困と格差」チームとして、横浜市保土ヶ谷区のNPO法人リロード「はばたき教室」を視察する。
公明党から浜田まさよし・山本かなえ参議院議員、地元の上田勇前衆議院議員、横浜市の福島直子・斎藤真二市会議員が参加。

NPO法人リロードでは、生活保護家庭の中学3年生に「はばたき教室」と名付けて、週2日、高校受験に向けての学習支援を行っている。

生活保護世帯は約138万世帯・190万人(2010年6月)と過去最多。中でも貧困の連鎖を指摘されている。
2007年の調査では、生活保護世帯の25%は、自ら育った家庭も生活保護。さらに生活保護世帯の世帯主の学歴は中卒か高校中退が73%という。

こうした「貧困の連鎖」を断ち切る支援の一環として、中学3年生の高校進学の学習支援をしている、横浜市保土ヶ谷区の取組みである。


武藤代表・関野課長


NPO法人武藤代表・保土ヶ谷区役所 関野課長から概要をうかがう。

保土ヶ谷区の生活保護世帯の高校進学率は66.7%(横浜市の進学率92.5%)と著しく悪い。
平成20年9月から「はばたき教室」して区独自予算としてスタート。


「よこはま西部ユースプラザ」


1.目的:高校進学を希望する生活保護世帯の中学3年生の学習支援
2.日時と場所:週1回(火、金)午後5時から7時の1回2時間。 「よこはま西部ユースプラザ」のフロア
3.内容と方法:主要5教科、少人数のグループ学習。(マンツーマン)横浜国大教育学部などの学生が指導
4.費用:講師費用や教材、テキスト無料。
5.募集人員:15名
6.参加者の実績・効果
平成20年10名。(全日制高校6名・定時制高校3名・専門学校1名) 全員進学
平成21年14名。(全日制高校8名・定時制高校3名・通信高校1名・専門学校2名) 全員進学
平成22年は、19名が受講中。 (参加した生徒のアンケートより)
・勉強がわかるようになって、高校進学の意識が高まった。
・家でやるよりここでやる方が集中してできる。
・高校に行ってみようと真剣に考えるようになった。など等

7.予算:平成20年、21年は保土ヶ谷区で対応。
平成22年から横浜市が評価し健康福祉局から予算化(国の自立支援プログラムを利用) 約180万円

8.取組に携わる職員数、立場(NPO職員かボランティア)
 NPOリロードのスタッフ3名、横浜国大の学生 15名~20名

9.対象者の広報は
 区生活保護課のワーカーの方々
 

10.課題
①生活保護世帯の中学3年世帯が約40世帯あるが、まだ半分。本来、来ていただきたい児童が家庭の理解などなく取り残されている。
②保護課のワーカーさんがもっと決め細かく対応できれば効果があがるが、1人のワーカーが100人以上の生活保護世帯を見ているため、次世代のこどもたちへの学習支援まで手がまわらず、人手が足りない。そのためひきこもりの若者支援に活動しているNPOに委託した経緯がある。
③行政や学校や大学、地域の人々の理解、連携の強化が必要

学習している現場を見学。
17時から中学3年生がぞくぞく教室に来て、大学生とマンツーマンの学習が始まる。高校に進学した児童も来て、高校の勉強を教えてもらっていた。
感想を聞くと、「この場がないと進学しなかった。本当によかったです」と笑顔で答える言葉に希望を感じた。

大変大きな成果をあげており、心から感銘を受けた。こういう支援こそ国が予算をかけるべきだと痛感。今後の政策に反映してまいりたい。