午後から、釧路市内へ。
釧路方式と呼ばれる「釧路市の生活保護自立支援プログラムの取組事例について」釧路市福祉部の方から説明を伺う。
渡辺参議院議員や地元戸田道議・5名の釧路市議が同行。
訪問の趣旨など渡辺議員とともに挨拶の後、釧路市の松浦副市長・藤原副議長より歓迎の挨拶。
櫛部生活支援主幹から釧路市の取組みについて説明をいただき、意見交換を進める。
1.釧路市の動向
*人口185,487人 世帯92,848世帯
*釧路の3大産業(水産・石炭・紙パルプ)の低迷
求人倍率 0.26(H21年)
2.釧路市の生活保護の動向
①保護世帯 5940世帯 保護率 49.5 保護人員9250人
市民20人に1人が生活保護。母子家庭16.3%と全国の倍
②保護開始世帯 886世帯 ・廃止世帯 521世帯
③保護開始理由 1位就労収入減 2位傷病(初めて収入減1位)
3.釧路市の自立支援事業の取組み
(1)母子世帯の自立支援モデル事業(平成16、17年)
・釧路公立大学との共同研究(客観的に把握し、ニーズをつかむ)
・ワーキンググループの委員会の立上げ
(2)自立支援プログラム事業(平成20、21年)
①中間的就労の場の確立。
・日常生活自立として「重度障がい者介助ボランティア・えぷろんおばさんの店」手伝い
・社会生活自立として11のプログラム(介護、公園清掃、障がい者作業所、動物園ボランティアなど)
・就労自立として5事業(インターンシップ事業・職業訓練機関など活用プログラムなど)
②貧困の連鎖を断ち切るための教育支援
高校生進学希望者学習支援(冬月荘)
(3)協同の相手(受け入れ事業個所 13か所)
・NPO法人地域生活支援ネットワークサロン、NPOおおぞらネットワーク、社会医療法人、財団法人 釧路公園緑化協会、NPO釧路市動物協会など。
(4)対象者
*対象者は生活保護受給者の原則18歳から64歳の未就労の参加希望者と中学生、高校生のうち参加希望者
(5)目的
・地域と一緒にありのままの自分を受け入れてもらえる場を生活保護受給の大人においては、中間的就労の中に、中学生・高校生においては、勉強会などの中に作る。
・参加する受給当事者自身がその中で自尊感情の回復を図り、其々にあった自立の一歩を踏みだす。
(6)利用者
平成18年度133名 平成19年度140名 平成20年度221名
平成21年度170名 平成22年度7月現在199名
(7)費用
セーフティネット支援対策等事業費補助金(年間約600万円)
(国の10分の10)
(8)課題・要望
①セーフティネット支援対策事業補助金がいつ終わるか不安のため、取り組まない自治体も多い。制度化が必要。
②ケースワーカー(CW)が13名不足しており、全国共通の課題。CWの増員を。
③地方負担が4分の一負担。財政的に厳しい現状。地方負担の見直しを。
その後、NPO法人地域生活ネットワークサロンが運営する地域企業創造センター「まじくる」とコミュニティハウス「冬月荘」を視察。
「まじくる」は仕事探しの相談やインターンシップ研修や仕事づくり起業など年間80人を研修。企業やNPOとのマッチングに尽力している。
コミュニティハウス「冬月荘」は、子どもの健全育成事業として、希望する生活保護受給中の中学生及びNPOが相談を受けた要保護世帯の中学生が対象で費用は無料。
チューターとして生活保護受給中の高校生、受給中の大人。大学生、NPO職員・ケースワーカーなど多彩なメンバー20名以上が対応。
勉強以外にもスイーツづくりなど自主活動などこども達の居場所としても活用されている。
子どもたち(参加者)の声として
「明るくなった」「ふれあう人が多くなった。」「大人と話せるようになった」「親に楽しさを話すようになった。(親とのコミュニケーションがとれるようになった)」
生活保護受給者のチューターの声
「外へ目がいくようになった」「目的がある」「うまく教えられるように絶えず頭の中で考えている」「いごごちがいい」
今まで社会との疎外感や否定されてきた自分から、役にたっているとの存在価値・生きる意欲が湧いてきた。など等
今回の視察は、大変貴重な釧路市の取組みで、参考になり感銘を受ける内容であった。今後の施策反映に努めたい。