<これまでの活動記録>
公明党離島振興対策本部(遠山清彦本部長=衆院議員)は10、11の両日、新潟県佐渡市を視察し、トキと共生する環境づくりや離島が抱える課題を探った。遠山本部長をはじめ、山本博司事務局長、長沢広明、竹谷とし子の各参院議員、志田邦男県議(県代表)、本間千佳子・佐渡市議が参加した。
新潟港からジェットフォイル(水中翼船)で約1時間。東京23区の約1.4倍に当たる855平方キロの面積を持つ離島・佐渡島。
一行は、国の特別天然記念物であるトキを保護する「野生復帰ステーション」を訪問。トキの飼育や放鳥のための訓練状況を聞いた後、トキの幼鳥が観察できるケージに移り、生後約2カ月のトキと触れ合った。このトキは人に懐くように育てられ、手を差し出すとくちばしでつついてくるほどだった。
また、国連食糧農業機関(FAO)が創設した制度「世界農業遺産(GIAHS=ジアス)」に認定された市の取り組みを調査。同制度は、生物多様性を守る営農方法や景観を保全する目的で始まったもので、指定されているのは世界でわずか12カ所。
市が評価されたのは、多様な生き物が生息できる「郷づくり」。
トキの餌場となる水田で、農薬や化学肥料を減らす稲作を実践している。特徴的なのは、水田や水路の周りに深さ10センチ、幅50センチ程度の「江」を設置していること。そこに水を年中ためておくことで、ドジョウやカエルなど田んぼで生息する生き物の生息場所を確保する。通常の稲作では、水を抜く「中干し時期」に、田んぼで生息する多くの生き物が減少してしまうためだ。
市は2008年から「江」の設置など一定の要件を満たしたコメを「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」とブランド化。「生きものを育む農法」として普及し、現在では水稲面積の約23%に広がっている。
この営農方法に取り組む佐々木邦基さんは「生き物に優しい水田をつくる中で、トキが自分の田んぼに降り立つことは、農家にとっての誇りになり、農薬の少ないコメは消費者もうれしいはず」と語った。
一方、離島が抱える医療や介護の課題を探ろうと、特別養護老人ホーム「歌代の里」を訪れた。介護待機者493人のうち、要介護度4、5と認定されている高齢者が217人に上る現状や、離島の医師確保の困難さなどに耳を傾けた。
髙野宏一郎市長(全国離島振興協議会会長)ら市関係者とは、13年3月末に期限切れとなる離島振興法の改正など、さまざまな角度から意見を交わした。
市側は、(1)佐渡空港の滑走路の2000メートル化実現(2)離島一括交付金の創設など離島振興のための財源確保(3)研修医の離島およびへき地での研修実施の義務化―などを要望し、公明党の取り組みに期待を寄せた。
遠山本部長は「離島振興は与野党を超えて取り組まなければいけない課題だ」と力説。離島振興法の抜本改正には「現場の声を大事にしていきたい」と述べ、離島の自主性を生かしながら振興を推進するために“離島特区”の創設をめざす考えを示した。
(2011年8月13日付 公明新聞より転載)