厚生労働部会


AEDの普及と問題点


田中教授講演


10時からの厚生労働部会では、『AEDの普及と問題点』について
国士舘大学大学院 救急システム研究科主任教授 田中秀冶先生の講演。大変貴重な講演。今後の対応を進めたい。

自動体外式除細動器(AED)の使用は平成16年10月より一般市民によるAED使用が認められ、現在設置台数30万台以上。

1.心停止の発生状況  (死因の2位は心臓疾患)
・病院外の心停止 年間11万5250件。5年前10万2738件。
生存率11.4%。
・突然の心停止の原因 心臓病53.9% 自宅で69%

2.AEDの普及と効果
・平成21年AEDを用いた市民1007名に徐細動(AED)実施。
1カ月生存率 44.3%。1カ月後社会復帰率35.8%。
・救急車到着まで平均約12~13分。

3.AEDの問題
・使用率5%と低い
①救急蘇生法のさらなる普及が必要
②より多くのAED設置が必要
③適正なAEDの管理が必要(バッテリー切れ、電極パットの不具合)
4.問題解決のために
①救急蘇生法のさらなる普及
・救急蘇生法の講習

②学童・学生への救急蘇生法の教育について
・平成20年文科省の中学校指導要領において「応急手当を適切に行うこと」が保健分野の内容として示されている。
・同要領解説の中には、心肺停止に陥った人に遭遇したときの応急手当てにAEDの記述もあるが実際に中学・高校で実施されているのは30%に過ぎず、未実施。 アンケートでも実技までやっているのは2%。
・命の教育。生命倫理教育としての心肺蘇生教育構築の必要性。
・個人の人形での実技。1対4000円(安い物だと1500円)1校20万の予算で澄む。

③計画的なAED設置と設置場所基準作成(一定の場所に常に5分以内で使用できるようにAEDを適正に配置を)
・自宅、交番パトカー、一定企業の大きなオフィス、ガソリンスタンドやコンビニ、スーパーマーケット・デパートなど、電車の駅・特急列車・タクシーなど。

④多くの国民が安心して救命に取り組める法体系【日本版サマリア人法】の制定が急務
・人を助ける場合には、その責任を免責する法体系の整備