大雪


雪で真っ白(富山市内)


富山市内の風景


文教科学委員会視察2日目。本日は大雪。富山市内は一面真っ白。
富山市から岐阜県飛騨市へ移動。

東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子施設を視察。


意見交換


梶田宇宙線研究所長・鈴木神岡宇宙素粒子研究施設長など東大の教授の方々から説明を受け、見学。
その後、意見交換。

【素粒子や宇宙の研究の可能性】

宇宙線研究所では、ニュートリノなどの素粒子の観測を通じて、素粒子物理学及び宇宙物理学の研究を行っている。
宇宙や素粒子など基本原理を知ろうとする基礎科学は、すぐには役立たないが、究極のイノベーションとなる可能性がある。

1915年のアインシュタインの一般相対性理論はカーナビのGPSに使われ、1925年の量子力学は、半導体産業の基盤となっている。
1998年に神岡で発見されたニュートリノ振動も100年後、1000年後にイノベーションするかもしれない。


神岡の地上風景


【歴史と特徴】
・1983年、本施設の前身の神岡地下観測所が設立。実験装置はカミオカンデ。
・1995年東京大学宇宙研究所の付属施設として、神岡宇宙素粒子研究所が新設。スーパーカミオカンデが1995年完成翌年から観測がスタートした。神岡鉱山地下1000m。5万トンの水チェレンコフ検出器。


鈴木施設長(東大)


光電子増倍管


見学では鈴木施設長の安案内で地下1千メートルの場所へバスで移動。坑内へ。
タンク内面には、直径50センチ㍍の光電子増倍管(光センサーの一種)が約11,000本取り付けられている。


超純粋製造装置


検出器較正用ライナック・超純粋製造装置など大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置内の一部を見学。


スーパーカミオカンデ実験場所視察


平成21年度には茨城県東海村にあるJーPARC加速器からニュートリノを観測するT2K実験が開始、平成22年2月にスーパーカミオカンデでJ-PARCからのニュートリノの初検出に成功した。


コントロールルームでのデータ分析


その現場に赴き、大変感動する。
コントロールルームでは、研究者がデータの分析も行っていた。

・宇宙で見えないもの(光では見えないもの)の研究
超新星爆発前の星の中心核の崩壊(ニュートリノ、重力波)
・素粒子と宇宙の両方にまたがる研究
(ニュートリノ、ダークマター、重力波)


大塚重力波分室長の説明


トンネル内


見学では、重力波を検出する機器「大型低温重力波望遠鏡」(かぐら)の場所へ。
大塚分室長の案内で見学。総予算155億円。アメリカ・欧州との国際競争の最中。アインシュタインの予想から90年以上たっても、いまだ間接的にしかわかっていない重力波を直接観測を目指している。
現在100mの規模を4年かけて3キロ×3キロの装置を現在建設中。

【ニュートリノとは何か?】
物質を構成している最小の粒子を素粒子。
現在では、原子核の陽子や中性子を構成する粒子の仲間(クオーク)と電子の仲間(レプトン)が素粒子と考えられている。レプトンのうち、電気を持たない粒子をニュートリノと呼び、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類がある。

ニュートリノは他の物質とほとんど相互作用することがないため観測するのが難しく、質量の有無といった基本的な性質ですら長い間わかっていなかった。現在の素粒子を記述している標準理論においては、ニュートリノの質量はゼロとして扱っており、もしニュートリノに質量が存在するならば、この標準理論を越える理論が必要となってくる。
スーパーカミオカンデではこのニュートリノの質量をニュートリノ振動と呼ばれる現象を用いて測定する。
【何故地下にあるのか?】
スーパーカミオカンデを用いた研究の目的の一つは、宇宙から飛来するニュートリノという素粒子を観測すること。

ニュートリノは透過力が強いので地下千メートルにあっても観測できるが、他の粒子は土中で止まってしまう。
観測の邪魔になる他の宇宙線を避けるため地下深くに設置されている。

【今後10年間程度で期待される効果】
・今後10~20年程度の未来
①重力波の発見と重力波天文学の創出
KAGURA:低温重力検出器
②ニュートリノによる宇宙の物質生成の謎の解明
ハイパーカミオカンデ+加速器ニュートリノの強度の増強
③ダークマターの発見とその正体の解明
XMASS、NEwAGE


猪谷駅


大変示唆に富む内容で感激する。大雪のため、次の飛騨市の視察を取りやめ、飛行機が飛んでいないので、猪谷駅からJR飛騨特急で名古屋駅に向かう。
無人駅の猪谷駅は一面真っ白な雪で風情を感じる。

明日、愛媛県まわりの為、新幹線・四国のJRなどで故郷八幡浜着は深夜。