国の事業採択を受け、愛媛大学農学部が中心となって取組んでいる植物工場プロジェクトの植物工場を笹岡県議・木村県議と見学する。
プロジェクトリーダーの仁科教授(農学部長)・植物工場研究センター副センター長の有馬准教授から説明を伺い、植物工場を見学。
【愛媛大学 植物工場プロジェクトの背景と経緯】
・世界人口の急増に伴い、食料の安定的確保が世界的な緊急の課題になっているだけでなく、わが国において高品質で安全な食料が求められている。
これから問題を解決する有効な方法として先端的な情報技術や自動化技術を駆使して、計画的に生産する植物工場システムが注目されている
・愛媛大学は、経済産業省の「植物工場基盤技術研究拠点整備事業」に採択され、農学部構内に「知的植物工場基盤技術研究センター」を設置。
また農林水産省の「モデルハウス型植物工場実証・展示・研究事業」に採択され、宇和島市の県有地に「愛媛大学植物工場実証・展示・研修センター(南レクアグリパーク」を設置。
・植物工場の中核は、SPA(スピーキング・プラント・アプローチ)と呼ばれる植物生育診断に基づく環境制御技術。植物の生体情報を各種センサーで計測し、生育状況やストレス状態などを診断する。
・愛媛大では20年以前からこの研究に取組み、2007年度から国の支援を受けながらこの分野で全国をリードしている。
「従来は環境を測定することで、植物の状態を推測していた。植物から直接、正確な情報を得ることで、生産性向上のための効率的な環境制御が行える」(仁科教授の声)
【植物工場の意義】
・農家の高齢化が進み、将来の食料安定供給に不安がある中、露地栽培中心の農業を補完する存在として植物工場は意義がある。
【愛媛大学農学部付属知的植物工場 施設の紹介】
1.太陽光利用知的植物工場B(1300m2)
・最新鋭の環境制御機能をもつ先端的なグリーンハウス
・トマト栽培の様子
天井から吊り下げられたガタ―上で栽培(ハンギングガタ―)、軒高5m。
長期多段栽培の様子がよくわかる。
・省エネ型冷暖房装置(ヒートポンプチラー)は余剰電力を利用した省コスト型の冷暖房。
・SPA対応型環境制御システム(気温、湿度、光強度、CO2濃度などを植物体の状況に合わせて制御している)
・ゼロレミッション循環型養液制御システム(廃液ゼロで環境にやさしい)
・収穫物情報収集選果システムなどを装備し、様々な環境下での実験を実施している。
2.研究・研修棟
・生体情報収集・分析システム、光合成機能測定装置などを装備し、SPAを基盤とした植物工場の知能化のための基盤情報を研究。
【行政などの要望】
1.植物工場が産業として育つための国の支援の継続性(財政基盤)
2.経済産業省と農水省の更なる連携と地方自治体の協力体制教化等
本日の見学は、今後の農業にとって大事なテーマでさらに研鑽を深めてまいりたい。