<これまでの活動記録>
日本列島に連なる島々の役割を尊重し、島民の生活を守るため、離島振興施策を抜本的に拡充する「改正離島振興法」が20日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。
2013年3月末で期限切れとなる法律を10年間延長する一方、新たに14条を追加するなど抜本改正となった同法は、超党派で議論を重ねてまとめた議員立法だが、公明党の提案が大幅に反映された。
改正離島振興法は、国の領域保全、多様な文化の継承、食料の安定供給など、離島が国や国民にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、有人離島の無人化や人口減少の防止、定住の促進を図る基本理念を新設。これまで都道府県任せになりがちだった離島振興のための施策を「国の責務」と規定した。
その上で、主務大臣をこれまでの3大臣(国土交通、総務、農林水産)に4大臣(文部科学、厚生労働、経済産業、環境)を追加し、実施体制を強化。医療や教育の充実とともに、介護、就業、エネルギーなどの条文を新たに加え、広範囲の分野で施策が充実することになる。
一方、道路・港湾整備などのハード事業中心だった財政支援は、新たに「離島活性化交付金」を創設し、妊婦の通院・出産支援や高校生の修学支援などきめ細かなソフト事業も対象にする。さらに、地域の創意工夫を生かした離島振興を図るため、税制優遇や規制緩和などの特例を設ける「離島特区」(離島特別区域制度)を創設。制度設計を定めた法整備の早急な検討を付帯決議に明記した。離島振興法は1953年の制定以降、10年ごとに改正・延長してきた。今回の改正法は全国255の有人離島が対象(国交省調べ)で、島民約38万7000人の生活を守ることになる。
公明党は、離島振興対策本部(遠山清彦本部長=衆院議員)が精力的に離島の現地調査を重ね、昨年12月に「離島振興ビジョン2011」を発表。遠山本部長、山本博司事務局長(参院議員)らが他党と粘り強い交渉を展開し、同ビジョンの大半を法律に盛り込むことができた。
公明は実情をよく理解
全国離島振興協議会会長(長崎県壱岐市長) 白川 博一氏
離島の地域格差を是正することを主眼とし、抜本的な法改正となった。特に、海洋資源の保全や国防などの面で離島が果たす国家的な役割をしっかり踏まえ、離島振興のために必要な施策の実施を「国の責務」とし、国の責任が明確になった点は非常にありがたい。
離島活性化交付金や離島特区の創設も画期的だ。今後、離島を持つ自治体は離島特区で知恵比べが始まる。このような環境をつくってもらえたのは本当に素晴らしい。
今回の法改正は、公明党の「離島振興ビジョン2011」がたたき台となった。公明党は数多くの離島を実際に歩き、離島の実情をよく理解し、離島の格差も本当に身をもって感じてくれている。離島のことを、ここまで考えていただき、非常に感謝している。
(2012年6月21日付 公明新聞より転載)