発達障害の支援を考える議員連盟


夕方「発達障害の支援を考える議員連盟」 が開催された。

発達障害(アスペルガー症候群)の被害者に対する大阪地裁判決について、関係団体や各省庁からヒアリング。意見交換を進めた。


渡部会長


高木事務局長


副会長として


渡部会長、尾辻顧問、高木美智代事務局長はじめ超党派の国会議員が集まる。私も副会長として出席。

今回の大阪地裁の判決は、発達障害への無理解と無認識。発達障害支援の不十分さ等、多くの課題が露呈しており、発達障害議連として、対応が急務と判断。急遽の開催となった。

【今回の判決の内容】
平成24年7月30日 大阪地裁において、小学校5年生から不登校となり、約30年間、自宅に引きこもる生活をおくってきたアスペルガー症候群を有するとされる42歳の男性被告人が、実姉を刺殺した殺人事件で、検察官の求刑16年を超える懲役20年の判決が言い渡された。

【量刑判断の理由】
1.被告人は未だ十分な反省に至っていない。
2.被告人の母や次姉が同居を明確に断り、社会内でアスペルガー症候群という精神障害に対応できる受け皿が何ら用意されていないし、その見込みもない現状の下では、再犯の恐れが強く心配され、長期間刑務所に収容することで、内省を深めさせる必要がある。


山崎会長


【各団体意見表明】
①社団法人 日本自閉症協会 山崎会長、
1.アスペルガー症候群であるから反省が出来ていないというのは、明確な誤認。正しく認定できているか疑問である。(専門家がついて対応したのか?疑問)

2.アスペルガー症候群と犯罪の因果関係はない事は医学的に明確に証明されている。何ら根拠のない偏見と差別に基づくものである。

3.「受け皿がない」との指摘は、社会の受け皿はグループホームやケアホームなど、社会が提供すべきであり、安易な家族責任論に立脚している。また矯正施設等からの支援は、「地域生活定着センター」等受け皿は徐々にではあるが、整いつつある。

4.不登校を放置し、教育を放棄した教育行政の責任が問われるし、暴力を受けた母が施設入所した時点で、家庭内の問題が社会的に認知することができたはずである。被告人に全て転嫁して厳罰に処する理由とすることは許されるべきでない。

5.「長期間刑務所に収容させることで内省を深めさせる必要がある」とし、検察官の求刑よりも重く厳罰に処した部分は、「アスペルガー症候群を有する人々を社会から隔離することで、社会秩序の維持すべきである」と言っていることと同義であり、アスペルガー症候群を社会から排除しようとするもので、到底受け入れる事はできない。まさに障害を理由とする差別的な判決である。


市川理事長


②一般社団法人 日本発達障害ネットワーク 市川理事長
1.障害を理由に罪を重くすることは差別ではないか。
2.発達障害を正しく理解した上での判決になっているか。
3.受け皿が用意されていないこと、その見込もないというのは本当か?
③アスペルガー障害をもつ姉をもつ妹の方からの切実な声
・精神障害の方の裁判において、障害を理由に罪を軽くしてもらうことは望んでいないが、支援や治療と刑罰は別。支援は本人を助けるだけでなく、家族や周囲の人を救う。

・事件について正確に知るためには、障害を理解し、被告人の考え方やサポートできる専門家が取り調べや裁判においても同席する必要がある。

・刑罰を重くする理由として障害が用いられる事は間違っているし、同じような境遇にいるたくさんの方々にとって、とても絶望的。


各省庁から


(意見表明の後、各省庁から)
・厚労省から社会支援について、地域生活定着支援センター等の説明が。法制局からは、今回の裁判対応について質問に答えた。

『裁判員への研修・理解、裁判員制度の問題点、専門家等の配慮の有無、社会の受け皿としての支援体制、アスペルガーとの医者の判断内容、意思決定支援の在り方、刑務所内での更生教育プログラムなど等』各議員から厳しい指摘が法務省などにある。

答えられない点も多く、次回問題点を整理し、議連として真剣に取り組む事を確認する。