新たな生活困窮者対策の制度化及び生活保護の見直しに関する要望
生活保護制度は、憲法第二十五条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するためのセーフティネットとしての役割を担う重要な制度である。
生活保護制度を真に国民の信頼に足るものとしていくための制度の見直しとあわせ、新たな生活困窮者支援制度の構築が急務の課題である。
また、生活保護の見直し等について、広く国民や地方自治体に対し、十分な周知・広報を図っていくことが必要である。
政府においては、生活保護法の改正案と新たな生活困窮者支援制度を構築するための新法案について、左記の要望事項を含め、早急に検討し、今国会に提出すべきである。
特に、新法の検討にあたっては、新たな生活困窮者支援制度が全国において確実かつ継続的に実施できるよう、必要な財源措置を講じることを、強く要望するものである。
1. 新たな生活困窮者支援制度の構築
① 生活困窮者に対する包括的な相談支援事業を創設すること。
② 生活困窮者に対し、生活訓練、社会訓練、就職に向けた知識の取得支援など就労準備のための訓練を有期で実施する事業を創設すること。
③ 一般就労が困難である生活困窮者に対し、中間的な就労の場を提供する事業の育成支援を行うこと。また、中間就労の運営の適正性を確保するため、公的な認定の仕組みを設けること。
あわせて、一般就労受入れ事業者に対する支援対策を考慮すること。
④ 離職等によって住居を失った(あるいは引続き居住することが困難な)生活困窮者に対する家賃補助(有期限)を制度化すること。
⑤ 「貧困の連鎖」を断ち切るため、生活困窮家庭の子どもに対する学習支援等を実施する事業を創設すること。
⑥ 生活困窮者の家計収支等に関するきめ細かな相談支援を行う事業や住居がない生活困窮者に衣食住を提供する事業を創設すること。
2. 生活保護制度の適正な見直し
① 就労収入積立金の創設や勤労控除の見直しなどにより、生活保護受給者に対する就労・自立のインセンティブを強化すること。
② 国民の信頼を損ねる不正受給への対策に徹底して取り組むため、不正受給に係る地方自治体の調査権限強化、罰則の引き上げ等の見直しを行うこと。
③ 生活保護法の指定医療機関制度の見直し、後発医薬品の使用促進などにより、医療扶助の適正化を図ること。
平成二十五年三月一日
公明党 厚生労働部会長
生活支援プロジェクトチーム 座長 渡 辺 孝 男
厚生労働部会長代理 古 屋 範 子
生活支援プロジェクトチーム 事務局長 山 本 博 司
厚生労働大臣 田 村 憲 久 殿