香川県木太郡三木町にあるNPO法人香川県社会就労センター協議会を訪問。コーディネーターの太田氏と農福連携について、意見交換を進めました(1日)。
香川県社会就労センターは、昭和58年に県内の障害者・知的障害者施設を中心に、香川県授産施設協議会として発足。平成22年に法人化(NPO法人)を取り現在は約85施設が加盟しています。
NPO法人「香川県社会就労センター協議会」がJAから収穫などの農作業を一括して請け負うという全国でも初めての仕組みで、県内の24の障害者施設から参加しています。
例えばにんにくの収穫時期5月。さぬき市のにんにく畑では、2つの障害者施設から15人が生にんにくを収穫作業をします。多い時は30人近くが県内から集まり作業をするそうです。
香川県はにんにくの産地ですが、農家は高齢化と後継者不足で労働力が不足。収穫までには種割・植付・芽ざし・収穫など人手が多く必要です。農家の方も「障がい者は一生懸命にやってくれる。なくてはならない存在」「作付面積を増やそうと思う」など感謝の声も出ています。今は玉ねぎや野菜など1年中のスケジュールが入るそうです。
太田さんは「農家の人からは作業が終わったら『ありがとう』と感謝される。それも障がい者には貴重な体験になっています」と熱く語られました。太田さんは2月の農林水産省に呼ばれセミナーで香川の事例を話されました。(下記内容)
障害者施設の現状と課題
- 受託作業の減少、自主製品の販売不振で工賃の低下
- 室内の作業が多くストレスがたまる
- 農業に取り組んでいる所も専門的なノウハウはなく規模も小さい。また大きな需要があっても単独施設では受けられない。
農業者の現状と課題
- 高齢化・後継者不足による労働力不足。
- 栽培面積の減少から遊休農地が拡大
- 重量作物(玉ねぎ・キャベツ)の栽培減少。ブロッコリーなど軽量作物へ転換。
共同受注農作業による農福連携
- 農家(生産者)の労働力不足解消のための一手段として、施設等の障がい者(利用者)を農作業に派遣する仕組み。
- 共同受注農作業のシステムを構築することで、これまで単独では難しかった種類の作業や、大規模な作業の依頼を受けることができる。
- 農家(生産者)とNPO香川県社会就労センター協議会が契約し、協議会のメンバーである障害者施設に作業参加を募集・依頼して、利用者には作業工賃として還元。
工賃の実績】平成23年度から 平成25年度
- 作業工賃 247万円 → 995万円
- 利用者 1283人 → 5936人
- 延べ参加施設数 286 → 1233
- 作業量 1000a → 3378a
太田さんは平成24年度からの香川県受注窓口機能強化推進事業で4名の採用の一人です。
障害者優先調達推進法の成立(平成24年6月)により、共同発注が可能となり、NPO法人香川県社会就労センターの役割は大きくなり予算化も進む形となりました。まだまだ課題は多いですが、農福連携の先進事例として応援してまいります。