11日、昭和大学客員教授で医師の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)、軽度度外傷性(MTBI)友の会 佐曽利代表委員と共に厚生労働省へ。
高木美智代副大臣と「慢性外傷性脳症(CTE)の包括的研究調査と予防法の確立について」要望説明と意見交換。
【慢性外傷性脳症とは?】
- 繰り返される軽度の外傷によって、進行性の脳変性が引起される
- 外傷後8~10年後に発症する
- ボクシングのような強い打撲だけでなく、スポーツ活動、自衛官の活動、家庭内暴力、軽度交通外傷(MTBI)、転倒など頭部打撲によっても、認知症と同様に、脳病理上、過剰リン酸化タウの蓄積が起こる
- アルツハイマー型認知症と脳病理像の区別がつかない
- 臨床症状は、攻撃性、うつ、短期間記憶低下、自殺率増加、統合失調症状、パーキンソン様症状など。
【今回の要望】
慢性外傷性脳症は、脳震盪を繰り返した兵士、アメリカンフットボール、アイスホッケー、サッカー、レスリング、野球、柔道、ボクシングなどの接触の多いスポーツでみられる他、労働災害患者や軽度交通外傷(MTBI)には、潜在的に隠れている可能性があるため、包括的研究調査準備範を設置して、全体の骨子を作成して、今後の厚生労働対策に盛り込んでいただきたい。
【慢性外傷性脳症の問題点】
- 頭部外傷は脳神経外科が主に担当しているが、慢性外傷性脳症は外科的に対応すべき問題でなく、心理面・精神面・生活行動面などむしろ、内科的に対応すべき問題にあるにも関わらず、現状その整備がなされていない。
- 上記は認知症やパーキンソン病、家庭内暴力、スポーツ活動とも関係しており、専門家の育成のみならず、医学会への啓蒙も重要になるが遅れている。
- 原因の背景が複数省庁に関係しているが、診断、治療は最終的に厚労省にもっとも関係した問題になる。
- 慢性外傷性脳症への対策は、認知症発症の予防対策に直結するため、医療費削減にもつながる。
- 社会保障の面からも法律の整備が必要不可欠な課題である。
【加藤 俊徳(かとう・としのり)プロフィール】
新潟県生まれ。医師/医学博士/脳科学者。株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授。発達脳科学・脳機能生理学・MRI脳画像診断・脳機能計測の専門家。小児科専門医。
14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意する。1991年、脳活動計測「fNIRS法」を発見。現在、世界700カ所以上で脳研究に使用され、新東名高速道路走行中の脳活動計測にも成功。
1995年から2001年まで米国ミネソタ大学放射線科MR研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで、脳の研究に従事。胎児から超高齢者まで1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析。2006年、株式会社「脳の学校」を創業。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。ビジネス脳力診断、発達障害や認知症などの予防脳医療を実践。