安倍晋三首相は7日、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会議で、まん延阻止のため私権制限を含む措置を可能にする緊急事態宣言を発令しました。
期間は5月6日までの1カ月間で、東京など7都府県が対象。首相はこの後、記者会見に臨み、感染爆発を防ぐため不要不急の外出自粛などへの協力を国民に呼び掛けました。
2012年成立の新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言は初めて。東京に加え埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の6府県が対象。
首相は対策本部で「国家的な危機に当たり、国民の命と健康を守ることを第一に、感染拡大防止に向けた取り組みを進めていく」と表明。「人と人の接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後には感染者減少に転じさせることができる」と指摘し、国民に対して7~8割の外出削減に協力を求めました。
記者会見では、国民に対して多人数での会合の自粛を要請。テレワークなどの活用により、オフィスへの出勤者を7割減らすよう求めるとともに、大都市圏の住民に対して「地方に移動するなどの動きは厳に控えていただきたい」と訴えました。
対策本部に先立ち、感染症専門家や弁護士でつくる基本的対処方針等諮問委員会が都内で会合を開き、宣言を発令する政府方針を了承。これを受け、首相は衆参両院の議院運営委員会にそれぞれ出席し、「全国的かつ急速なまん延により国民生活・経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある事態が発生した」と宣言発令を事前報告。
宣言を受け、7都府県の知事は住民に外出自粛を要請したり、施設使用停止やイベント中止を要請・指示したりできるようになる。協力が得られない場合、(1)医療施設開設のための土地や家屋の強制使用(2)医薬品など特定物資の収用――などの措置も可能で、物資を隠すなどすれば6カ月以下の懲役などの罰則が科されます。