政府は、22日の臨時閣議で2024年度予算案を決定。一般会計総額は112兆717億円。
過去最大だった23年度当初予算を2兆3095億円下回る12年ぶりの減額。公明党の主張を踏まえ、児童手当の拡充や医療・福祉分野の賃上げなどが盛り込まれました。
政府は予算案を年明けの通常国会に提出し、年度内成立を目指します。
歳出のうち政策に充てる一般歳出は67兆2764億円。内訳では、社会保障費が23年度比2.3%増の37兆7193億円と過去最大を更新した。
特に診療、介護、障害福祉サービス等の報酬改定では、公定価格の在り方を見直し、現場の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築。医療・福祉現場で働く人の賃上げを促す為、24年度にベースアップ(ベア)2.5%、25年度にベア2.0%の処遇改善につながる措置を盛り込んだ。
医療従事者の処遇改善が焦点だった人件費に当たる「本体」部分はプラス0.88%。介護報酬は1.59%。障害福祉サービスは1.12%のプラス改定。
公立小中学校などの教職員給与の改善にむけては、義務教育費国庫負担金を大幅に増額し、初任給を5.9%上げる。保育士も国家公務員給与の引上げを盛り込んだ23年人事院勧告を踏まえた処遇改善(+5.2%)を盛り込んだ。
このほか公共工事の労務単価を作業員らの賃金上昇を反映して改定するほか、中小企業が賃上げできるよう、価格転嫁が適切に行われているかを監督する「下請けGメン}の人員を増強する。
子ども・子育て関連では、児童手当や児童扶養手当の拡充、保育士の処遇改善を盛り込んだ。児童手当は前年度比3047億円増え、1兆5246億円を計上。
24年10月分から、所得制限の撤廃や高校生までの支給対象拡大、第3子の加算増額を行う。
保育の質向上のため、保育士の配置基準を76年ぶりに変更。4,5歳児を見る保育士を「30人に1人」から「25人に1人」に改善するなどして、人件費を228億円増やす。
妊娠から出産、育児まで切れ目なく相談に応じる伴走型支援と妊娠・出産時に計10万円相当を支給する経済的支援をセットで行う「出産・子育て応援交付金事業」を前年度に引き続いて盛り込んだ。
子どもと接する職に就く人に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」創設に向けた調査研究費や日常的に家族の世話や介護を担う子ども「ヤングケアラー」への支援費も計上しました。
このほか,深刻なトラック運転手不足が懸念される「24年問題」に対応するため、運転手の負担軽減や物流の効率化を推進。脱炭素社会の実現に向けた官民投資も促す。
一方、歳入面は税収として当初予算ベースでは過去最大の69兆6080億円を計上。物価高と好調な企業業績を背景に消費税収と法人税収は増える見込み。