参議院 予算委員会 第17号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、子育て支援策につきましてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の社会保障と税の一体改革では、消費税収の使い道をこれまでの年金、医療、介護から子育てを加えた四本柱に改めるとして、高齢者だけでなく子育て世代への支援をうたっております。政府の説明によれば、消費税率五%増税分の使途につきましては、四%、十・八兆円程度につきましては社会保障の安定化として既存の制度の維持に使われ、残りの一%、二・七兆円程度のみが新規の社会保障の充実に充てられるとのことでございます。そのうち七千億円程度が子育て支援対策ということであり、これで様々な課題が本当に解決できるのか、疑問な点が多くございます。特に、今回の目玉と言っている三月三十日に閣議決定されました子ども・子育て新システム関連三法案につきましては多くの疑問点があると、こう指摘されております。今日は、基本的な考え方をここで確認をしたいと思います。
 まず、この新システムの趣旨、目的につきまして簡潔に答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中川正春君) これからいよいよ御議論をいただくということになってまいりました。よろしくお願いをしたいと思います。
 近年の家族構成、あるいは地域のつながりの希薄化、あるいは雇用、将来、非常に不安定な形の中で子供を育てていくということでありますから、それに対して社会全体でこれを支えていくということ、これに基づいたチルドレンファーストという理念によっております。
 一つは質を向上させるということで、教育とそれから保育、これを一体化して質を上げるということ、それからもう一つは量を大きく広げていく、そしていろんな類型の選択肢を安定をさせていく、保育の選択肢を安定をさせていくということ、これを目指したものであります。
○山本博司君 これまでも様々な形で議論されておりますけれども、ここで改めて、子供の育ち、子育て家庭を社会全体で支えると、こうございますけれども、この考え方はどういう意味を持っているんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 様々な議論でありますように、まずは、子育てというものは家庭が第一義的な形で構成されるものだということ、これは基本だと思います。しかし、それが社会の非常にさっき申し上げたような不安定さ、あるいは家庭そのものがそれこそ壊れるというケースも出てきておる。そういうときであっても子供はやっぱり育つんだということ、そのためには社会全体でそれをしっかりと支えていくようなシステムを構築をしていくということ、これが大事であろうということで、両方が両立をしていくような、両立というより、こちらがベースをつくっていって、家庭を中心にした子供の安定した成長というのが見守っていけるような、そういうことを考えて社会全体でということであります。
○山本博司君 もう少し。教育基本法の第十条、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と、この教育基本法がございますけれども、今回、児童手当法の改正におきましても、基本的な認識、親の責任、これ、確認をしてございます。幼稚園は幼児教育ということで教育基本法の下で想定をされているわけですけれども、今回の法案、社会全体で支えるということと、今言いました親の責任、この整合性、どのように取られているんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 子ども・子育て支援法案によりましても、二条で「子ども・子育て支援は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力して行われなければならない。」というふうに規定をしております。そういう意味で、第一義的に責任が親にあるということ、これはこれまでの教育のサイドでの考え方と軌を一にしながら進めているということでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 この子供の育ち、子育て家庭を社会全体で支えるという考え方、進めていくんであれば、働く人の仕事と子育ての両立を支援するワーク・ライフ・バランス、この実現に向けた取組、大変推進する必要がございます。しかし、今回の新システム拝見をいたしますと、このワーク・ライフ・バランス、別途検討するというふうにしておりまして、具体的な検討は先送りされた状態になっております。
   〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
 こうした柔軟な働き方を支援するということと、多様な保育サービスの充実、この両輪がやはり大事でございますけれども、今後、こうしたワーク・ライフ・バランスの実現、どのようにまず厚労大臣は取り組まれるのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(小宮山洋子君) 子ども・子育て支援法案では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして、市町村子ども・子育て支援事業計画等で仕事と家庭の両立に係る施策との連携を規定することを市町村等の努力義務とするとともに、事業主自らのワーク・ライフ・バランスへの取組ですとか、国や地方の施策への協力を事業主の責務として規定を法律の中にしています。
 今現在でも、厚生労働省としては、短時間勤務制度の義務化ですとか、男性の育児休業取得促進のための制度、こうしたことを盛り込んだ改正育児・介護休業法の周知徹底、また、期間雇用者の育児休業の取得ですとか、育児のための短時間勤務制度等の利用促進、そして、仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備などを進める次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定、認定の一層の促進、またファミリー・フレンドリー企業の表彰など、いろいろ取り組んでますが、おっしゃいますように、今回、子供の居場所をつくること、あるいは経済的支援をすることの政策の進み方に比べますと、ワーク・ライフ・バランスのところが実質的にまだ効果的な形で働いていないという御指摘はそのとおりだと思いますので、一層力を入れていきたいと思っています。
○山本博司君 やはり、当初の子育てビジョンの中ではワーク・ライフ・バランスの内容はかなり細かく規定はされたわけですけれども、今回の内容ではかなり先送りされている状況でございますので、しっかりその点は取り組んでいただきたいと思います。
 次に、具体的な内容に関しましてお聞きをしたいと思います。
 今回の新システムでは、施設の一体化と給付システムの一体化を進めることで幼保一体化を推進し、二重行政の解消を図ると、こうしているわけでございます。
 幼保一体型の総合こども園、二〇一五年をめどに創設することになっておりまして、保育園の大半はこの三年程度で総合こども園に移行することになっております。しかし、幼稚園には移行期間を設けない、こうなっておりますので、現行の幼稚園のまま存続をする形がございます。また、こども園給付の創設で、施設への給付、これは一体化されると、こう思っておりましたけれども、幼稚園の私学助成、これは残されることになっております。
 これでは本当に一体化になっているのかどうかという多くの疑念がございます。この点、どうお考えになるんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のとおり、給付の一体化それから施設の一体化、この両方を進めていくということです。それで、この総合こども園という類型をつくることによって、そういう意味では、給付と施設、これは一体化してくるわけですが、御指摘のように、幼稚園については残るということになります。
 これ、様々な、いわゆるステークホルダーというか、関係者が一年以上ここのところを議論をしてきたんですけれども、一つは、市町村の地域によって保育の事情あるいは教育ということに対する期待、特に農村部についてはここの部分の様々な議論がございまして、でき得れば、その市町村が地域の実情に応じて幼稚園を含めた多様な施設を計画的に整備するということが仕組みとして類型化していくことも、今の時点では必要なんじゃないかという議論になりました。その上で、最終的には政策誘導をしていきたいと思うんです。幼稚園から総合こども園へ向けて政策誘導をしていくというこの前提の中で今、幼稚園のシステムがしばらくは残るという、そういう考え方でございます。
○山本博司君 これは幼保一体化でなくて幼保五体化とか幼保多元化だとか、様々な形でやっぱり複雑になってしまいました。
 やはり、一番これが、皆さん困られるのは保護者だというふうに言われております。よく言われておりますのは、この新制度で一番困るのは保護者ではないかと。複雑な仕組みを理解しなければいけない、保護者の情報力、精神力などで子供の育ちの場が決まってしまうというので大変危惧をされているということも言われております。そういう意味で、非常に、このこども園制度、当初かなり一体化という意味で期待をされたわけですけれども、複雑になってしまっているということが言われております。
 そこで、今回の新システム、私学助成が残されました。また、社会福祉法人にも支援の範囲を広げるということで、これは当初の目的、給付の一体化とは違ってきているわけですけれども、この私学助成を残した意味、文科大臣、これはどうなんでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 議員の御質問でございますが、過渡的措置、究極の方向性というのは、先ほど来、中川大臣を含めて御答弁されております。
 今、現行の部分で私学助成との関係について御質問でございます。
 まず、私立幼稚園に対する機関補助という現行の私学助成につきましては、幼稚園の運営に関する経常的経費の補助の一般補助と、こういう考え方、また各園それぞれ特徴ある、預かり保育でありますとか子育て支援でありますとか、多様なニーズに対応していただくための特別補助と、こういう制度設計で今、現行なっておるわけであります。
 今回の新しい新システムにおきましては、現行の私学助成のうちの一般補助という観点におきましては、原則こども園給付に統合をさせていただこうと考えております。また、特別補助のうち、預かり保育や子育て支援に対する補助については、私学助成という考え方ではなく、新しいシステムにおける子ども・子育て支援事業として改めてそこに再構築をすると、こういうことでございます。
 一方、特別補助のうち、特別支援教育など多様なニーズに対応する特色ある取組につきましては、幼児期の学校教育を振興すると、こういう奨励的な観点から、引き続き私学助成によって支援をさせていただくと、こういう考え方で残しているということでございます。その際には、学校法人に加え、社会福祉法人が設置されている総合子ども園についても助成の対象とさせていただいているところでございます。
 なお、例外的には子ども園の指定を受けない幼稚園が今委員御指摘のように残ると、こういうところでございますが、新システムの枠外で例外的に私学助成の対象を継続すると、こういうことで対応したいと思っております。
○山本博司君 今ありましたように、子ども園の枠外で残る幼稚園、これは別の形、私学助成が残るということで、完全的な一体給付ではないというのが現状だと思います。
 もう一つ大きな問題というのは、この新システム、当初、二重行政の解消を目指しておりました。ところが、最終案では、所轄官庁が厚労省、文科省だけでなく、内閣府も含まれることになりますから、三重行政というふうに言える状況になっていると思います。今回のシステムの目的、一体何だったのかと、この一体化の意味というのが大変問われているわけでございます。
 民主党は、かねてから、この二重行政を解消するために、子ども家庭省の設置、このことを目指しておりましたけれども、いつまでにどのように進めるか、この部分が明らかではありません。民主党マニフェストでもこれを掲げておりましたけれども、この看板に偽りがあると言われても致し方がないと、こういうふうにも言われている形でございます。
 この子ども家庭省の設置に伴う検討はどうなっているのか、また、子ども家庭省設置までの間は内閣府の中に統括的な部局を設けるよということでございますけれども、文科省、厚労省の一部の部局をいつの段階から移管させるつもりなのか、この点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川正春君) 内閣府に一本化をしていきます。それで、具体的には、先ほどお話のあったように、新システムの本格施行時に、内閣府に子ども・子育て本部、これを設置をするということにしております。それに続いて、子ども家庭省、これの創設を、それぞれ組織全体を見直していく中で議論しながら再編時に実現をするという日程で進んでいきたいというふうに思っております。
○山本博司君 この民主党のマニフェストの中でも子ども家庭省ということを大々的に掲げて子ども手当と両方やっておりましたけれども、海外で一体化が成功した中で、この省という、家庭省という形で省にやったケースはあるんでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 北欧の国など、名前はいろいろございますけれども、子供とかそれから家庭のことを一緒にやる省を持っているところはあります。
 それで、今、政府としましても、すぐにはつくれませんけれども、マニフェストに掲げた子ども家庭省をつくっていくということはちゃんと掲げたままそれはやっておりますので、今回は一括的に内閣府に統括をする部分を設けて、先ほどおっしゃった、当初は残る保育園と幼稚園のところも、そこに兼務を掛けていきますので、必ずそこは一体化をいたします。
○山本博司君 部局ということと省とは全く全然次元の違う部分でございます。海外では一体化の成功した形で新しい省庁をつくった例はありません。それほどやはり大変な部分だと思いますけれども、現実的には、今回の新システムの中には、この子ども家庭省に関しての創設が先送りされたという、そういう部分は間違いない部分でございますので、こういう点に関しましても、しっかり、マニフェストに対しての違反だと私は思う次第でございます。
 次に、待機児童への対応についてお伺いをしたいと思います。
 全国の待機児童数、二万五千人に上がっておりまして、潜在需要は八十万人いるとも言われております。今回の新システムは、待機児童解消につなげること、これを目指しておりますけれども、その効果は懐疑的な見方がございます。待機児童につきましては、都市部を中心に、現状の今の待機児童を減らしても、今言いました潜在的な需要がございますから、イタチごっこでなかなか解消しないというのが現実です。
 この待機児童の解消に向けてどのように対応を求めていくのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川正春君) 全国の状況を見ると、地域によって全く逆の傾向が出ているということもあり得るということでありますので、これは保育需要に見合った形でまず計画を策定させるということから始めていきたいと思うんです。
 一つは、市町村新システム事業計画、これを策定をして、保育の提供体制の計画的な整備をそれぞれ市町村あるいは県単位の中で考えていくということ、それからもう一つは、指定制度の導入ということでありまして、これまでは認可ということでありましたが、それを指定ということで変えるということで、それぞれ市町村の財政事情等々、これによって認可というのがいわゆる限られてきたというような事情も、この指定という形によって、もう条件を満たせればそれが実現をしていくというような、そういう圧力といいますか、そういう力に変えていくような制度を導入をしていく。それからもう一つは、多様な保育事業、これを推進していくということで、小規模保育事業、これは六人から十九人の定員や、それから家庭的保育、いわゆる保育ママを地域型保育事業として類型化をして公的な財政支援の対象に追加をしていくということ、こういう広がりを持たせて制度をつくっていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 余りぴんとこない施策に感じるんですけれども、今大きな問題、幼稚園の問題、園児が減少し廃園に追い込まれていることがございます。この幼稚園が減少している理由、文部科学大臣はどのように分析、認識していますでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 委員御指摘のように、確かに幼稚園の施設数は減少傾向にございます。ピーク時は昭和六十年に大体一万五千二百園、平成十年には一万四千六百園、平成二十二年には一万三千四百園と減少傾向にございます。
 これは、やっぱり少子化という、こういうことで総体として子供の数が減っているというふうに一つは思っております。二つ目は、やっぱり共働きの世帯の増加により保育園に通う子供さんが増えてきたと、こういうことで、結果的には幼稚園に通う子供さんが減ってきていると、こういうことでございます。
 過去のトレンドを見ますと、その分岐点になっておりますのが大体平成の十一年ぐらいがこのターニングポイントで、保育園児が増えていっていると、こういう傾向だと思っております。
○山本博司君 こうした幼稚園の大変な状況の中で、総合こども園に移行しようというこのインセンティブが本当に動くのかというのは大変大きな疑問がございます。
 といいますのは、特にこの待機児童の八割が零歳から二歳児の保育でございますけれども、それを総合こども園に義務付けをいたしませんでした。ですから、この部分の施設数が増えないのではないかという、こういう指摘が強くございます。
 当然、幼稚園でこのためには施設にお金を、改修しないといけません。保育士も確保しないといけません。調理とか様々な形も、この施設の整備をしないといけません。そういったことが本当にできるのかどうかと、こういう面では多くの幼稚園の経営者の方々は懸念されておりますけれども、この待機児童解消のための幼稚園施策の活用策、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(平野博文君) 委員御指摘のように、待機児童の解消と幼稚園の施設をもっと活用したらどうだと、こういう観点からの御質問だと思っております。
   〔理事川上義博君退席、委員長着席〕
 当然、これは既存の幼稚園を活用して保育の量的拡大を図るには有効な方法であると、こういう認識をしております。このためにも、子ども・子育て新システムにおきましては、新たに幼児期の学校教育と保育を一体的に提供する総合こども園をつくっていこうと、幼稚園が総合こども園に移行することにより、保育を必要とする子供も受け入れ、待機児童の解消に資すると、こういうことでございます。
 したがいまして、そういうインセンティブと、こういう考え方でありますが、保育単価によるインセンティブ、あるいは調理室とか施設の支援をすることによって幼稚園の総合こども園化への移行を促進をしたいと、かように思っております。
○山本博司君 幼稚園協会の役員の方々、今回のこの新システム、大変反対をされていらっしゃいます。この二年間近い形で議論をされて、様々な幼稚園に対する支援をされているにもかかわらず反対を表明されている。なお、都心部の方々、実際この幼稚園に移行する際に、じゃ、補助金がどのくらい出るのか、実際移行をするためにメリットとデメリットを考えたときには、実は三千万円ぐらい掛かるというような方々もいらっしゃいますし、そういう部分で不明確なわけですね。見えないわけです。ですから、こういった部分で、総合こども園に移行しようと、こう思いがありますけれども、現実できないというのが私は今の幼稚園協会の方々、幼稚園の経営者の方々ではないかという、この危惧をいたしております。
 もう一つ、保育園の立場から今度はお聞きをしたいと思います。
 この待機児童対策が叫ばれる中で、保育士の処遇の悪さがこれが指摘をされております。年功序列型の賃金体系の公立保育所とは違いまして、民間の保育所に勤務する保育士の給与、大変これは低いのが実態でございます。また、非正規の方々も多い。先日、高知県で保育士の方とお話をしました。十二万円というお話でございました。現実的には、そこではもう二十代、三十代の方も親から自立ができない、このようにもおっしゃっていらっしゃいます。こういう待遇改善ということが大変必要でございます。新システムで保育サービスの量、これを増やしたとしても、保育士の処遇が改善されなければ持続的な質の高い保育環境は築けません。厚労大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) それはおっしゃるとおりだと思います。保育士の給与は全産業平均の給与に比べた場合かなり低くて、学校を出ても保育士にならない方がある。そういう方たちになっていただかないと、受皿を多くしたいとしているのに、そこに質のいい労働力がないというのは御指摘のとおりで、今も保育所の運営費では保育士の平均勤続年数に応じた給与改善費の加算などを行っていますが、今法案を提出した子ども・子育て新システムでは、職員のキャリアアップとか処遇改善を含めた保育の質の更なる向上を図るために必要な事項について恒久的な財源を確保することにしておりますし、また、総合こども園の中では保育士などの配置基準を上げたいと、そのようにも考えているところです。
 一言だけ。先ほど、幼稚園協会が反対されているということでしたが、内閣府につくった、一年半私もかかわったので一言だけ申し上げますと、そこには幼稚園の代表も、幼稚園の養護教諭の代表も入っていただいた中で合意をして案を作り上げております。
○山本博司君 先ほどの件を含めて、一任等の問題ということで、幼稚園協会の役員の方は大変憤慨をされたということは事実としてお伝えを申し上げたいと思います。
 次に、認定こども園の扱いということでお伺いをしたいと思います。
 二〇〇六年から導入されましたこれまでの認定こども園、認定を得るための一定の基準をクリアして子育て支援に取り組んでこられました。特に、地方裁量型の認定こども園、これは認可外の保育施設でございますけれども、幼稚園、保育園の補助等を受けないで大変御苦労される中で、私も何度か全国の園長会の皆様と、内閣、また内閣府とか厚労省に参りました。そうしたこの認定こども園だった施設が今回総合こども園に移行する際にどのような扱いを受けるのか、そうした御苦労が報われるような制度かどうか、中川大臣、お願いします。
○国務大臣(中川正春君) 先ほど申し上げたように、認可から指定という枠組みに変わっていきますので、その指定条件をクリアをしていただくというところ、それからまた、それにまだ満たしていない課題があるとすれば、それを私たちも含めてどのように克服していくかというところ、そんなところをしっかりきめ細かに政策としてつくり上げていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 もう是非ともその流れは含めてお願いしたいと思います。
 そして、問題は財源でございます。今回、消費税分七千億円程度が充当されるということでございますけれども、給付に必要な年間予算、量的整備に係る財源四千億円、質的整備に係る経費六千億円、約一兆円でございます。これで十分足りるのか、また残りの三千億円は一体どういう財源の確保策を検討しているのか、この財源に関してはいかがでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) そこのところが一つ大事な点だというふうに思います。財務大臣もおっていただきますので、一つ確認をしていきたいと思うんですが、さっきのお話のように、〇・七兆円程度というのが消費税の財源ということで前提にしておりまして、あとはそのやりくりの中で、いわゆるこれからの全体的な予算の見直しの中でやりくりをしていくということが前提になっております。
 ただ、それぞれ関係大臣が話し合った上で、平成二十四年度以降の子どものための手当等についてということで大臣合意というのができておりまして、ここでは、子ども・子育て新システムについては、社会保障・税一体改革成案、これにおいて税制抜本改革以外の財源を含めて一兆円超程度の措置を今後検討することとされており、財源確保のために最大限努力を行うということで合意をした上でこれを進めていくということになっております。
 そうした意味で、全体のどうぞ議論、税と社会保障の一体改革を含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○山本博司君 この財源は消費税ということでございますけれども、二十七年度の十月から一〇%ということですが、それまでこの待ったなしの、こういう待機児童も含めてでございます、その間の対策はどういう形で対応するんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) その間の対策というのは、先ほど申し上げたように、それぞれ関係大臣が合意をしたいわゆる認識の中で財源を組み替えて、しっかり確保をしていくということになります。
○山本博司君 非常に消費税頼みといいますか、大変そういう問題が大きいということでございます。
 中川大臣、この新システムの法案に関しましては修正もあり得るというふうな見解を出されておりますけれども、これは原案には固執しないということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) 担当大臣、あるいはこれを法案として提出をさせていただく立場としては、できる限り野党の皆さんにもこの形を御理解をいただきたい、その努力をして説明をしていきたいと思うんですが、一般的に言いまして、この状況の中ではやっぱり与党と野党がしっかり話合いをしていく、その理解の中で議論を進めていくということが大事だということを申し上げたということでございます。
○山本博司君 じゃ、修正の可能性もあるということでよろしいですか。あるということでよろしいんですね。
○国務大臣(中川正春君) まず御理解をいただくということで、よろしくお願いします。
○山本博司君 修正があるということを受け止めさせていただきました。今、やはり大事な子供の問題でございますから、しっかり様々な声を聞いていただいて進展をしていただきたいと思う次第でございます。
 次に、この新システムとも関連をします社会的養護ということでお伺いをしたいと思います。
 いわゆるタイガーマスク現象から一年が経過をしまして、社会的養護の重要性や課題が明らかになってきております。政府では、昨年の七月に児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会におきまして、社会的養護の課題と将来像について取りまとめが行われました。
 そこで、厚労大臣に、最近の要保護児童の推移、また児童虐待の実情ということを御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(小宮山洋子君) 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、平成十一年度の児童虐待防止法施行前の五倍に増えています。そして、児童養護施設では半数以上の子供が虐待を受けた経験があり、また、およそ四分の一の子供が発達障害ですとか知的障害など何らかの障害を持っていることから、共に専門的なケアが重要となっています。このため、社会的養護の質、量ともの充実が必要だというふうに認識をしています。
○山本博司君 今大臣から報告ございましたように、半数の児童が何らかの虐待を受け保護されているということでございますし、また、四分の一の児童が発達障害を含めた何らかの障害があるということでございまして、この児童の抱える問題が複雑化、多様化して、一人一人の児童に対するきめ細やかな対応が求められているわけでございます。
 私も、全国の児童養護施設、被災地の福島とか、ふるさとの愛媛、また四国も回らせていただきました。また、ファミリーホームとか自立援助ホーム、里親の方々からも様々な相談を受けてきておりますけれども、その中で大きな課題は、この児童養護施設であれば職員の人員不足という問題でございます。現在六対一で、二十四時間の交代勤務を行う際には一人で十八人の児童を見るということで、先ほどのような虐待を受けている方、発達障害の方々、これはもう大変ケアすることは難しい実態がございます。
 こうした声に対応して、この二十四年度予算から三十六年ぶりに人員配置が見直しされました。その点、御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(小宮山洋子君) 今委員御指摘のように、大変重要な社会的養護ですけれども、いつも後回しになってきたものを、例のタイガーマスクの現象があったとき私は副大臣をしていたんですけれども、もっと行政で迅速にできることがあるはずだということで、現場の方に集まっていただいて検討会を立ち上げまして、その結果、昨年七月に課題と将来像を取りまとめました。この中で、今御指摘いただいた児童養護施設の人員配置について、現在の六対一から四対一に引き上げる、この目標を検討していくことにしています。
 平成二十四年度予算案では、本当は四対一に近づけたいんですが、厳しい財政状況の中で、人員配置について六対一から五・五対一に、これでも厚生労働省の児童養護施設の予算が三倍近くになったということで、三十六年ぶりに引き上げることができました。これによりまして、定員規模五十八名の施設では人員配置が一人増えることになりまして、ほんの僅かですけれども、子供のケアが充実する方向になったかと思っております。
○山本博司君 それは大変大事な部分だと思います。ただ、まだまだ現実四対一まで、これは是非この予算も含めて推進をお願いしたいと思います。
 検討委員会のまとめで、その中でも家庭的な養護という意味で里親の重要性ということも提言をされております。ただ、里親になるということは大変大きな決意がありますし、いろんなケアも必要でございます。
 この里親に対する支援策、厚労大臣、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 特に、虐待を受けた経験などを持って心に傷を持つ子供は育てにくいということもあり、里親支援の充実が必要だというふうに認識をしています。
 このため、現在、里親会、児童家庭支援センター、児童養護施設などを里親支援機関に指定することによりまして、里親の支援の充実を図っています。
 また、先月、里親委託ガイドラインなどを改正いたしまして、定期的な里親家庭への訪問、複数の相談窓口の設置、里親同士が交流する里親サロン、里親に対する研修、里親の休養のための一時預かりなどの里親支援の充実を図ることにしています。
 平成二十四年度予算案でも、里親支援の体制を整備するために、児童養護施設と乳児院に里親支援専門相談員を配置をいたしまして、児童相談所などと連携を図りながら支援を推進することにしています。
○山本博司君 是非とも、里親の方々に対するこの支援策ということでお願いしたいと思います。
 同じように、この里親の延長としてできたものがファミリーホームでございます。このファミリーホーム、今百二十六か所ということで、将来的に千か所を目指しているということでございますけれども、一部の自治体ではこれを施設の一部として扱うという形で大変、改修の工事であるとか莫大な書類の提出を求めるようなこともございました。こういったことは養育者にとりましては大変負担でございます。
 早急に改善をすべきと思いますし、家賃補助等を含めて、このファミリーホームの支援ということが必要だと思います。これはいかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) ファミリーホームにつきましては、平成二十一年の児童福祉法改正によりまして、里親のうち五人又は六人の子供を養育する者を小規模住宅型児童養育事業として制度化をしたものです。
 実施後三年が経過をいたしまして、御指摘のように、新たに開始をしたファミリーホームの中には、里親から移行したもののほかに、施設分園型グループホームとの違いが曖昧なものもございまして、関係者から理念を明確にしてほしいという意見が出されています。このため、先月、里親及びファミリーホーム養育指針を定めまして、児童福祉法施行規則を改正をし、ファミリーホームは児童を養育者の家庭に迎え入れて養育を行う家庭養護であるという理念を明確にいたしました。この周知を図っていきたいと思っています。
 ファミリーホームは里親が大きくなったもので施設が小さくなったものではないという、こういう位置付けですので、その理念に基づいてファミリーホームの推進を図り、いろいろな意味の支援をしていきたいというふうに考えています。
○山本博司君 是非とも、このファミリーホームの、家庭的な、こういう里親も含めまして養護が大事でございます。施設が今九で、こうした里親とか家庭的な養護が一というふうに言われておりまして、三分の一を目指すということでございますから、是非その点の支援をお願いしたいと思います。
 次に、虐待防止策ということで、実際、虐待を受けた子供たちが児童相談所の判断で乳児院とか児童養護に入所をします。そして、親とか家庭環境が改善されますと、今度は自宅に戻るということで、復帰した子供が二〇一〇年度では千八百六十三人と、二〇〇六年度と比べて三百人近く増えております。しかし、こういう中でも、再び虐待を受けるとか、大変な状況もございます。
 大阪府では二〇一二年度から、専門の相談員が定期的に復帰家庭を相談に乗るという、訪問して、支援事業を推進しておりますけれども、こうした効果的な事例はやっぱり全国で進めるべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 虐待などによって施設に入った子供が家庭に復帰をする際には、児童相談所が家庭の状況の変化に即座に対応できるよう、一定期間、少なくとも六か月間は児童福祉司などによる指導を継続をしています。あわせて、児童相談所は、家庭復帰の前に、市町村や入所していた施設に対して、保護者が適切な援助を受けられ子供が安全に暮らせるよう、家庭の状況を把握し、児童相談所に連絡してもらうように依頼をしています。
 御指摘いただいた事業につきましては、平成二十四年度から大阪府が、安心こども基金を活用して、施設退所後の子供のいる家庭を訪問支援員が訪問する事業を行い、これによって効果的な訪問の在り方について明らかにして、ガイドラインを作成する予定と聞いています。
 厚労省といたしましては、このような取組をしっかりと評価をいたしまして、有効性があると認められれば、好事例として全国にお知らせをし、紹介をしていきたいと思っています。
○山本博司君 是非とも、この辺の推進もお願いしたいと思います。
 そして、最後に、この子育て支援策、様々な支援の拡充が望まれておりますけれども、やはり一番推進で大事なのは財源でございます。社会保障と税の一体改革の大綱では、子育て支援一兆円ということで、予算の確保が必要としてございますけれども、この今言いました社会的養護に関しましては、措置の部分ということで、現行制度でやってくださいという内容でございます。ですから、現状がなかなか先に進まないというのが現状でございます。
 予算規模、今約八百億円でございますから、やはり十年後を考えますと、数百億円程度でこれは実現できる規模だと思いますけれども、この社会保障の充実を議論するんであれば、こうしたセーフティーネットの充実、大変大事でございます。
 最後に、この点に関していかがでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 私も新システムの議論にずっとかかわってまいりましたけど、この社会的養護についても盛り込んでございます。ただ、その中でどれだけの財源を確保できるかというところがまだ定かでないということかとも思いますので、先ほど申し上げたように、これは、今の虐待の状況、あるいは障害をお持ちのお子さんが多いことなどから、しっかり支援をしていかなければいけないので、配置基準も財源の関係でほんの一歩前進でございますので、更に何歩も前進できるようにしっかり財源も確保をしてやっていきたいと思っています。
○山本博司君 この社会的養護に関しては、新システムに関して僅か一行のみでございます。そういう意味では、しっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。