参議院 予算委員会 第19号

○山本博司君 私は、公明党を代表して、平成二十四年度予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 東日本大震災より一年以上が経過しました。改めまして、震災により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 震災からの本格復興への取組はいまだ道半ばです。特に、原発事故に苦しむ福島県に対しては福島復興再生特別措置法が成立しましたが、更なる努力をしなくてはなりません。我々は、これからも被災者の視点に立って支援体制を整備していく必要があります。
 以下、予算案に対する反対理由を申し述べます。
 反対の第一は、歳出削減の努力が不足しているということであります。民主党政権になってからの本予算の編成では、三年続けて新規の国債発行額が税収を上回る異常事態であります。赤字体質は断固糾弾されなくてはなりません。特に、予算案では、基礎年金の国庫負担割合を二分の一とするための二・六兆円の財源を一般会計に計上せずに年金交付国債で対応し、歳出と国債発行額を本来より少なく見せかけております。こんな粉飾的な手法、ごまかしを見過ごすわけにはいきません。政府は、やみくもに国家財政を肥大化させた責任を重く受け止めるべきであります。
 この赤字体質の根本原因は、民主党が二十一年の衆議院選で掲げたマニフェストにあります。民主党はマニフェストで、予算の全面組替えや無駄遣いの根絶などにより、二十五年度には十六・八兆円もの新しい財源を生み出すと豪語していました。しかし、実際には十分な財源が確保できず、マニフェストに掲げた政策を次々と断念。二十四年度予算案には、目玉政策だった子ども手当は廃止され、高速道路の無料化は予算計上されない、八ツ場ダム建設中止も撤回するなど、マニフェストが完全に崩壊したことを印象付けています。民主党は、財源の裏付けがないのに自らのマニフェストに固執し、借金漬けの予算編成を繰り返してきました。将来にツケを回してきた罪は極めて重いと言わざるを得ません。
 反対の第二は、成長戦略が欠如していることです。
 欧州の債務不安がくすぶり、円高と東日本大震災の影響で国内産業の空洞化も進行しております。今こそ力強い成長戦略が求められているにもかかわらず、無為無策の民主党政権の下でデフレ克服が期待できず、日本経済の閉塞感は強まる一方であります。
 政府は、三月三十日、消費税を一〇%まで引き上げる消費税法等の改正案を閣議決定しましたが、増税ありきの負担論が先行し、その使途となる社会保障の全体像は示されないままであります。これほど財政規律が緩み切った状態で消費税を引き上げられたのでは、国民の先行き不安は高まるばかりであります。
 最後に、特に指摘しておきたいことは、民主党の稚拙、こそくな国会運営の姿勢であります。通常国会が開会されたのは、例年より更に遅い一月二十四日でありました。本予算案は提出が大幅に遅れ、審議でも場当たり的な対応を繰り返した結果、年度内成立ができず、十四年ぶりに暫定予算を編成することになりました。民主党政権の国会運営の不手際に猛省を促すものであります。
 更に問題なのは、予算の裏付けとなる特例公債法案を同時に参議院に送付してこなかったことであります。本来、予算審議は歳入歳出一体で審議すべきものであります。参議院での否決を見込んで分離して処理しようとするのは余りにもこそくで、参議院の審議を軽視するものであります。
 以上、平成二十四年度予算三案に反対する主な理由など申し述べました。
 我々公明党は、これからも国民生活を守るため、日本再建に向け全力を尽くす決意であると表明し、反対討論を終わります。(拍手)