参議院 厚生労働委員会 第10号 令和3年4月20日
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
まず、ヤングケアラー支援について私の方からお伺いします。
ヤングケアラー、いわゆる本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話を日常的に行っている児童や生徒でありますが、厚労省は四月の九日に、このヤングケアラーの実態に対する調査、公表をされました。公立中学校二年生の五・七%、約十七人に一人、一クラスに大体二人ぐらいですよね。あと、公立の全日制高校の二年生の四・一%ですね、二十四人に一人。これぐらい多くの人が世話をしている家族がいると回答をしていて、世話に割く時間は、中学二年生で一日平均四時間、高校二年生で一日平均三・八時間、本当に学業とか健康にも悪影響が懸念されている状態であります。
我が党の伊藤孝江参議院議員が三月八日の予算委員会でこの件、質問を取り上げました。それを受けて、厚労省と今文科省と共同で、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム、設置をされて、今後検討を進められるというふうに理解もしているところであります。
このヤングケアラーが、方々がここまで増加をした背景は何と考えて、政治はこのような方々に対して、社会としてどのような支える仕組みを考えるべきか、その議論の方向性と、大事と考えるこの視点について、共同座長である山本博司副大臣から答弁をいただきたいと思います。
○副大臣(山本博司君) ヤングケアラーの背景でございますけれども、少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、また家庭の経済状況の変化といった様々な要因があるものと考えておる次第でございます。こうした中で、親の介護、障害、貧困といった複合的な要因に適切に対応することが必要でございまして、本年三月、私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームを設置したところでございます。
この本プロジェクトチームにおきましては、関係団体、有識者等からのヒアリングを行っておりますけれども、先日のプロジェクトチームにおきまして、主な論点、課題といたしましては、一つにはヤングケアラーの早期発見、把握という点、また支援策の充実ということ、さらには社会的認知度の向上、こういった点をお示ししたところでございます。
今後、こうした点につきまして、プロジェクトチームで議論を重ね、五月中に報告書を取りまとめ、当事者に寄り添った支援につながるようしっかりと取り組んでまいります。
○矢倉克夫君 改修工事等への補助もあり、また厚労省としてもよく現場のことを理解されて、垂直避難の重要性、認識をされているということは今理解もできました。
他方で、やはりこの垂直避難の推進というところに当たっては、私はまだ政府の足並みというのは必ずしもそろっているものではないなというふうに理解もしております。
例えば、避難器具、この避難器具の設置義務を定めた消防法施行令の第四款二十五条というのがあるんですが、これを見ていると、挙げられている避難器具というのは、この高齢者施設が設置を検討すべき避難器具として挙げられているところは、例えば避難用滑り台であったり、あとは緩降機など、要は火災のときに上から下の方に降りるための防火避難具というものが挙げられているんですが、今問題とされている浸水被害のときなど、やはり一階から二階、三階の方に上がっていく垂直避難をするための避難器具というのは、その検討対象とすら規定はされていないわけなんですね。
今日は資料も用意をさせていただきましたが、こちらは公益財団法人テクノエイド協会さんというところが作成されているパンフレットの中からこれ抜き出したものでありますけど、可搬型階段昇降機というふうに書いております。こういった資料、メーカーさんによっては福祉用階段昇降機とか非常用避難車、こういった言葉も使われているようでありますが、車椅子に乗ったまま自動で階段を上ることができるものであったり、あとは歩行が困難な方が直接座った状態で下から上に、あるいはまた上から下に、こういうふうに移動できるもの、こういったものがあります。実は、国会議事堂の中にも同じようなものをこれは設置をされているわけでありますが、また欧米などではこういったものが避難具としてかなり一般的になっているところです。
そういった有益なものであっても、まだこの施設に対する設置としては検討対象としてすら規定はされていない。
それで、理由を総務省の消防庁の方に私、確認して聞いてみたら、消防庁、こういうふうに回答があって、消防庁は、火災については分かるんだけど、浸水被害時の垂直避難器具については知見がないというような回答がありました。知見がないんなら研究しろよというふうにも私、率直に思ったんですけど。他方で、あと国土交通省も、これは水害対策を規定する水防法を所管する国交省もですけど、実際の避難の在り方については、水防法というものでありますが、規定をするという意識は必ずしも高くはないかなという率直な印象でありました。
ただ、やはり先ほども厚労省からお話がありましたけど、高齢者施設とか障害者施設の現場の感覚からすると、知見がないとかそういう理由で済ませられるような問題ではもう当然ないわけでありまして、現場の肌感覚が分かる厚労省としては、是非、この高齢者施設とか障害者施設など歩行が困難な方々が入所されているところでの水害避難、水害回避、避難のためのインフラとか設備の在り方について、より真剣に消防庁や国交省など他省との協議をしていただきたいというふうに考えております。
改めてですけど、障害者支援などにもこれまで力を尽くしてくださった山本博司副大臣から御答弁を、この辺りについての決意をいただきたいというふうに思います。
○副大臣(山本博司君) 委員御指摘のとおり、障害者支援施設、さらには高齢者支援施設等の現場の実態を踏まえた水害対策を講じられることが避難の実効性を確保するために大変重要であると考えている次第でございます。
具体的には、今ありました施設内の垂直避難先の確保のほか、他の施設と連携した立ち退き避難先の確保や、地域や利用者の家族と連携した避難支援要員の確保、さらには職員への防災知識の普及と職員の防災スキルの向上などでございます。
昨年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきましても、社会福祉施設等の災害対策を加速化する取組といたしましてこの水害対策強化等が盛り込まれているところでございます。
高齢者施設等を所管する厚生労働省といたしましても、現場の実態等につきまして情報共有を行うなど関係省庁に強く働きかけながら、現場の実態に即した対策が図られるようにしっかりと取り組んでまいります。