参議院 厚生労働委員会 第11号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、新型インフルエンザ対策についてお伺いを申し上げたいと思います。
四月二十七日にWHOがフェーズ4の宣言をしてから世界中で感染者が拡大する中で、我が国では、感染の疑いがあったにもかかわらず、幸いにもいまだ感染者が発生していない状況でございます。今後も、水際対策に万全を期すとともに、感染者がもし発生した場合でも、国民の生命と健康を守るために全力で取り組んでいただきたいと思います。
初めに、水際対策とその初動体制につきまして、現状に関してお聞きを申し上げたいと思います。
発生後、十日間近く経過をいたしました。この間、ゴールデンウイークもございまして、現場の皆様休みなく対応されている状況だったと思いますけれども、これまでの対応状況につきまして、特に機内検疫の状況、また厚生労働省でのコールセンターでの相談状況につきまして御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) 四月二十七日、WHOにおいて正式にフェーズ4宣言がなされたことを受け、厚生労働省として、感染症法に規定する新型インフルエンザ等感染症に規定したところでございます。
現在、同法や検疫法に基づき、新型インフルエンザの侵入防止及び蔓延防止のため、水際対策、国民等に対する相談体制の整備、国内の医療体制の整備等を進めております。
水際対策としましては、蔓延国でございますメキシコ、アメリカ本土及びカナダからの航空機に対して機内検疫を実施しており、四月二十八日の発生から五月七日までに三百七十八機の乗員、乗客延べ八万七千二十六名について検疫を実施し、四名の疑い患者を探知したところでございます。なお、いずれの疑い患者も季節性インフルエンザに感染したものであることが判明しております。
国民に対する相談体制としましては、厚生労働省内にコールセンターを設置し、国民からの相談に対応しており、五月七日までに合計七千三百八十八人の方から御相談がございました。発生の初期段階には渡航の是非とか豚肉の安全性等に関する質問が多く寄せられたものでございますが、渡航に関する注意喚起や豚肉の安全等が周知されて以降は、発熱した患者さんなどからの健康相談や政府の対応に対する質問が多く寄せられている傾向がございます。
それから、五月七日現在、発熱相談センターを全国に合計七百十九か所、また発熱外来は全国に合計五百九十一か所配置されているところでございます。
○山本博司君 引き続き、しっかりした対応をお願いをしたいと思います。
機内での検疫の体制、これも大事でございますけれども、その後の保健所等での国内の体制も大変大事でございます。四月二十八日以降入国した乗客を対象に保健所がその体調を確認をする健康観察の実施状況についても含めまして、どのように国内体制の強化を実施しているのかお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) これはまさに現在、都道府県、市町村と連携を密にして国内体制の強化を図っているところでございますが、まず水際対策では、メキシコ、アメリカ本土、カナダからの航空機に対して先ほど申し上げましたように機内検疫を実施するとともに、入国前十日間にメキシコ、アメリカ本土及びカナダに滞在したことのある入国者について健康状態質問票の記載及び提出を要請しているところでございます。
さらに、この記載事項について検疫所においてデータ入力をしまして、各都道府県の保健所による健康観察に資するよう情報提供しているところでございます。新型インフルエンザ発生当初は、成田空港検疫所取扱分について入力作業が間に合わず、各都道府県等への情報提供に遅延が生じましたが、現時点においては、作業従事者を増員し、早急に提供できる体制を整備したところでございます。保健所における健康観察が適切に実施されるよう最善を尽くしてまいりたいと考えております。
○山本博司君 この大変大事な部分でございます。すべてを、今現場では外国人の追跡状況も含めて大変だということもございますので、きめ細かな対応をお願いをしたいと思います。
続きまして、この新型インフルエンザ対策の行動計画に沿っての対応での医療関係の対策についてお聞かせをいただきたいと思います。中でも発熱相談センター、また発熱外来の設置状況につきましてもお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) 私どもといたしましては、都道府県等に対し、新型インフルエンザに係る相談に対応する発熱相談センター及び新型インフルエンザの可能性がある方を診療する発熱外来を整備するよう要請してきたところでございますが、四月三十日現在、すべての都道府県に発熱相談センター及び発熱外来が整備されたことを確認しております。
また、五月七日現在でございますが、全国の発熱相談センターは七百十九か所、発熱外来が五百九十一か所との報告を受けているところでございます。
○山本博司君 この発熱外来の設置状況ですけれども、地域差があるとも言われております。また、今後、新型インフルエンザが感染が広がっていく場合、この医療体制、大変大事であると思いますので、医師の体制も含めた中長期的な対応をしていただきたいと思います。
大臣にお聞きをしたいと思います。
新型インフルエンザの感染の疑いが一時ございました横浜の事例にもあったように、大臣は迅速な対応をしたいという思いと現地の状況とでぎくしゃくしたとの報道もございましたけれども、もし今後事態が深刻化した場合には、地方自治体との連携、大変大事であるわけでございます。先ほどの保健所の対応なども含めて、国と都道府県また市町村の地方自治体が一体となって危機管理上動くことが大変大事であると思いますけれども、この地方自治体との連携に関しまして大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 横浜の例については、現場の状況を知らない方がいろんなところでいろんなコメントをなさっていますけれども、先ほど申し上げたように、危機管理というのは最悪の事態を想定してやらないといけない。したがって、深夜にもかかわらずそういう対応を取ったわけですけれども、最大の問題は、組織としてきちんと対応ができないことに問題があるわけですから、それは直さないといけない。ですから、ホットラインがないという状況では話になりませんですから、すべてこれ今ホットラインをつないでおります。
ですから、一つ一つ改善すべきは改善していかないといけない。私があのとき申し上げたように、国の方も地方の方も、問題あれば直さないといけない。もう今直してあります。例えば、名古屋で市長になったばかりの河村たかしさん、私は名古屋の事案があったとき、すぐ彼を探してつかまえて、そこから完璧に名古屋市長とは、こういうときはこうしようということをトップ同士で連携をしてやっています。これが必要なんですね。
それから、各担当の部長と部長との間のホットライン、こういうことをやっていって、やはり国も全面的に支援はいたします、しかし市民や県民の健康を守るというのはそこの首長さんの最大の仕事なんですね。ですから、それは、どの町に住んでいるかによって命や健康の守られ方が異なるということであってはいけません。まさに地方自治が問われているんです。
そういう意味で私は申し上げているんで、私は能力ないかもしれないけれども、大臣の資質とか大臣が落ち着けとか、そういうレベルの話ではないんで、危機管理というのはそういう話ではありません。そこは明確に申し上げておきたい。
○山本博司君 ありがとうございます。
続きまして、今後の対策ということでお聞きをしたいと思います。特に、大変大事になってまいりますワクチン製造に関してお聞きをしたいと思います。
既に何人かの委員の方からも御指摘ございました。今回の新型インフルエンザワクチン、また季節性のインフルエンザのワクチン、また鳥由来のワクチンも含めて、三つのワクチン製造に関しまして、バランスも含めて今後どのように実施していくのか、御見解をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(高井康行君) ワクチンの製造でございますけれども、新型インフルエンザA、H1N1の重篤性あるいはWHOの提言等も勘案して、季節性インフルエンザワクチンの製造を中断して新型インフルエンザA、H1N1ワクチンの製造に切り替えることの適否の判断を行うなど、必要な対策を実施していきたいと考えております。
○山本博司君 その上で、卵の問題、大変大事でございます。この有精卵の確保策が大丈夫かどうか、また、先ほどの国内四社以外に海外という一つのルートの、道筋を付けるだけではないかと、こういう御意見もございますけれども、この辺の御見解を聞きたいと思います。
○政府参考人(高井康行君) まず、有精卵の確保でございますけれども、現在、季節性インフルエンザワクチンを製造を行っております。そのための有精卵が確保されているところでございますが、さらに、今回の新型インフルエンザA、H1N1の発生を踏まえまして、直ちにインフルエンザワクチン製造企業に対しまして可能な限りの有精卵の確保等、原材料の確保を依頼しているところでございます。
また、海外企業でございますけれども、この輸入につきましては、国際物流の確保など入手可能性に係る多くの課題があるということで、国内の生産体制の整備を優先的に行うべきと考えているところでございます。
○山本博司君 この卵以外のワクチン、細胞培養等でございますけれども、こうしたワクチン製造の体制強化に関しまして、補正予算、今出されていると思いますけれども、これに関連してお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(高井康行君) 新型インフルエンザに対するパンデミックワクチンの早期供給体制をより充実強化させるためには、細胞培養法等による新型インフルエンザワクチンの製造体制の構築が必要と考えております。このため、細胞培養法の開発、あるいは生産設備の整備等に係る経費をこの平成二十一年度補正予算案に計上することとしたものでございます。
引き続き、新型インフルエンザワクチン開発・生産体制の強化のために取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。しっかりした対応をお願いをしたいと思います。
大臣に二問お聞きしたいと思います。
新型ウイルスとの闘いといいますと、大変長期戦になるとの覚悟も必要でございます。約四千万人が死亡した二十世紀初めのスペイン風邪は終息までに足掛け三年を要しました。医療技術や医療薬品開発レベルは格段に進歩しているとはいえ、その分地球は狭くなり、国境を越えた人々の往来は当時の比ではございません。人類共通の脅威に立ち向かう中長期の対策を早急に確立しなければならないと思います。
具体的には、様々なこうした予防のための新ワクチンの開発等を急ぐ中で、大事なのは途上国の医療支援が大事であると思います。WHOが指摘するように、衛生状態の良くない途上国に感染が広がりますと、事態は一層深刻化し、ウイルス変異を起こす可能性もございます。日本が医療衛生体制の面での途上国支援、国際的な貢献をすべきと考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 昨年の秋、私も参りまして、中国、韓国、日本、これで共同訓練をやりました。こういうことも続けておりますし、今日まさに、私は国会の都合で参れませんでしたけど、WHOのアジアでのASEAN会議を今やって、渡辺副大臣に出ていってもらっております。あのSARSのときを覚えていらっしゃいますでしょうか、ベトナムなんかに我々の医師団が行って相当頑張ってあれを食い止めたということもあります。
ですから、我々の持てる能力、それはウイルスの開発含めて国際的な協力をやっていく、そしてWHOを中心とするネットワークの中で全力を挙げて発展途上国の支援もしたいと思います。メキシコに対しては既にマスクその他の機器も援助しているところでありますので、今後とも国際的貢献をやっていきたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
それで、最後の質問でございます。
世界では二十四か国・地域で発生している中で、日本はまだ幸いにも発生をしておりませんけれども、今後、国内で発生に備えた場合の体制整備についてどのように考えているのか。五月一日の政府の国内発生の方針に関して、弱毒性であるので柔軟な対応ということも言われておりますけれども、最後に大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、今、水際相当努力していますけれども、早晩このウイルスが国内に入ってくるのは時間の問題だろうというふうに思っていますので、そのときの体制、これは様々なシミュレーションをやりながら準備をしております。
基本的にはH5N1を前提とした対処方針がありますが、今のところ、弱毒性であるとか様々な情報がありますので、弾力的、機動的に運用して国民の自由や経済活動をいたずらに阻害しない形で、しかし国民の生命と健康を守る、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非とも、大臣のリーダーシップを含めて、よろしくお願いをしたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。