参議院 厚生労働委員会 第11号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は二法案の内容についてお聞きするとともに、介護保険制度に関する諸問題についてお聞きをしたいと思います。
介護従事者を取り巻く状況は大変厳しくなっていますので、来年の報酬改定までに一歩でも改善できるように更なる努力が求められていると思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
まず、法案の内容についてお伺いをしたいと思います。
今回の政府から提出された法案では、介護報酬を不正に受給したコムスンの不正事案の発生をもとに、有識者会議の報告を踏まえ、様々な改善策を提示していますが、このような不正は二度と許さないという強い姿勢を示すことが必要と考えております。
始めに、コムスンの不正事案の主な経緯と、この事件に対して政府はどのように対処してきたのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) コムスンにつきましては、昨年の六月に不正な手段による指定申請の事実が明らかとなりました。それも、結果として調べますと各地で行われておったということでございます。処分前に廃止届が出されまして、結果的に取消処分がなされないということでございました。
したがいまして、私どもとしては、これらの行為は不正又は著しく不当な行為に該当するだろうということで、コムスンの事業所について新規の指定、更新はしてはならないというふうなことを各都道府県に通知をいたしました結果、コムスンは最終的には介護サービス事業から撤退をするということになりました。
コムスンの撤退に当たりまして、従業員と利用者の方々の円滑な移行を図るということで株式会社コムスンは第三者委員会というものを設置をいたしまして、その第三者委員会の中で事業移行先の選定が行われました。その選定された事業移行先に昨年十一月一日までに一応事業の移行は完了したという経緯でございます。
厚生労働省としては、この一連の過程で利用者のサービス継続というのが一番大事でございますので、対策本部を設置をし、地方公共団体あるいは関係団体への協力要請を行ってきてまいりました。関係者の御協力によりましてコムスンの事業移行についてはおおむね円滑に行われたのではないかというふうに思っております。
今回、こういうコムスンの事案が出たことを反省をいたしまして、有識者会議の会議あるいは介護保険部会等の議論を踏まえまして、このような制度改正に立ち至った次第でございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
そもそも営利企業を介護保険制度に組み入れたことが問題であるという指摘もございますけれども、既に多くの営利企業が介護事業に参入しており、法令を遵守して努力している中でありますので、この一事件をもってすべてが悪いというのは一概には言えないと思います。
こうした中、コムスンは介護事業から撤退をし、事業が譲渡されましたが、介護サービスを利用する人たちに支障が生じることがあってはいけないと思います。
事業譲渡からおよそ半年程度が経過をしておりますけれども、介護サービスは事業譲渡後も譲渡先において維持をされているのでしょうか。また、事業承継の際の公募参加条件などでは、従業員の雇用と労働条件を維持し、不利益変更は行わないと定めていましたけれども、その約束は守られているのでしょうか。この点につきまして、厚生労働省としての、現状をどのように掌握されているのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 午前中にも同じような御質問ございましたけれども、コムスンの事業の移行先の件でございますが、私どもも、コムスンの従業員が、二万人を超える従業員の方がいらっしゃいましたし、それから利用者の方は七万人から八万人ということで大変大規模なことでございました。いろいろ頭を痛めたわけでございますけれども、コムスンに第三者委員会を設置していただきまして、サービスを継続して提供できる、あるいは従業員の労働条件を継続できるという前提の下に慎重に審査が行われて移行先が選ばれたということでございます。
事業の移行後でございますけれども、私どもは、都道府県にも市町村にも、十分、もし仮に事業の移行先の法人でサービスの提供にあって問題が生じた場合には速やかに連絡をいただくようにということでずっとやっておりますけれども、現在のところ、移行先の提供するサービスに問題があったというふうなことは報告は受けておりません。したがいまして、いろいろ詳細は十分分かりませんけれども、事業先の法人においては十分な対応がなされているんではないかというふうに推測をいたしております。
○山本博司君 ありがとうございます。この点につきましても、介護サービス利用者とか、また介護労働者の安心を確保すると、このためにも是非とも今後とも注視をしていただきたいと思います。
次に、今回の閣法の改正案では介護サービス事業者に対しまして業務管理体制の整備を義務付けておりますけれども、具体的な内容はどのようになっているのでしょうか。例えば、内部監査の体制を整備するようなことになれば、介護事業者の過重な負担となる場合があると思います。また、この義務を違反した場合の処分、対応はどのようになるのでしょうか、お示しをしていただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 今回の改正では、事業者の法令遵守、いわゆるコンプライアンスを確保するために業務管理体制の整備を義務付けるというふうにいたしております。
全事業者に対して義務付けをいたしておりますが、これは、前にも申し上げましたように、規模に応じて対応を変えたいと思っておりますが、基本的には、法令遵守にかかわります担当者の選任は義務付けをすると、それから事業者の規模に応じてそれはマニュアルの整備であるとか内部監査の実施ということを義務付けたいということを考えております。
それから、御指摘ございました業務管理体制の整備の義務に違反している場合には、指導監督権者、これは国あるいは都道府県になろうかと思いますが、改善勧告とか改善命令が掛けられるということでございます。もし仮に事業者が改善命令に従わないといった場合には、指定権者が事業者の取消処分ということも行うことは可能にはなっております。
○山本博司君 ありがとうございます。
さらに、今回の改正案では、不正行為の組織的な関与を確認をするために新たに立入検査権が創設をされまして、介護事業者の本部等にも立入調査が実施できるようになっております。これはこれまでの不足を補うものでありまして重要な改正点ではございますけれども、手続に多くの時間を取られ、介護事業者の過度な負担となることも考えられるのではないでしょうか。また、指導の判断も各自治体や担当者ごとにばらつきが見られる懸念もあるので、一定の基準が必要ではないでしょうか。
この点につきましても、厚生労働省としてのお考えをお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。
今回の改正で介護サービス事業者に対して業務管理体制の整備を義務付けて、それから本部に入る、監査できるということでございますが、これはコムスン事件の反省に立ちまして、コムスンの場合に六本木の本社に入れなかったという経緯がございまして、私どもとしても何らかの不正行為が組織的に行われたかどうかということを確認をするという意味で、事業者調査だけでは不十分だから本部に立ち入るということでございます。したがいまして、過度なことを考えているわけではございません。
立入検査については、個々の事案に応じて必要な調査が尽くされるべきだというふうに考えておりますけれども、事業者にとって非常に過重な負担にならないように、そこは考えたいと思っております。
それから、ばらつきの問題でございますが、これは確かにいろいろこれから考えていかなきゃならない問題でございまして、基本的な知識あるいは組織的な不正事案の確認の方法等について各県の監査の仕方についてばらつきが生じないように、マニュアルの策定とか研修とか、そういうものを考えていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。新たな規制がこういう介護事業者の創意工夫を阻むような、そういうことがあってはいけないと思いますので、しっかりとした対応をお願いを申し上げたいと思います。
次に、改正案では、事業廃止時の介護サービス確保対策を充実をさせ、事業者の義務を明確化しております。また、行政が必要に応じて事業者の実施する措置に対する支援を行うことにしております。私も今、中国、四国地域を回っておりますけれども、離島とか中山間地帯がたくさんございます。離島や山間へき地などの条件不利地域での介護サービスというのは大変厳しい状況に置かれており、日中はできても早朝や深夜のサービスは難しいという場合もあると聞いております。
こうした状況を打開をして支援措置を拡充すべきと、このように思いますけれども、舛添大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) おっしゃるように、離島、山間へき地、なかなかこのサービスの確保が難しい、そういう中で事業者が撤退すると。基本的にはその事業者がちゃんと引き継いでやれるサービス体制を整えていることになっていますが、現実にそれがすべて可能かというと、なかなかそれは難しい面があると思います。したがって、そこはきちんと行政が対応するということをやっていきたいと思います。
幸い、今回のコムスンについて調べてみましたら、幸いなことに、その後、穴が空いて大変だというような状況にはなくてほっとしておりますけれども、しかし、具体的なこれから同じようなことが起こったとき、行政がやるべき手としては、引継ぎ先事業者を募集する、ここで例えばコムスンがいなくなる、どなたか来ませんかと、こういうことに対する周知徹底への協力をやっていく。それから、新しい事業者が来たときに、この地域ではこういう運営をすればいいですよというアドバイスを与える。それから、いよいよ後来る方がいないときには、それはもう行政が個々の利用者に対して一人一人丁寧に手を打っていくと、そういう体制で利用者が御不便を来さないようにやりたいと思っております。
〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕
○山本博司君 ありがとうございます。介護保険制度を守るためにも大臣、一層の努力をお願いを申し上げたいと思います。
次に、介護従事者の処遇改善についてお聞きをしたいと思います。
現場で介護に携わる人たちの労働条件の改善、これは喫緊の課題であるという点に関しましては委員共通の認識であると思います。
まず、他の産業と比較をしてどうして介護従事者の賃金水準が低い状態が発生をしてしまったのか、厚生労働省としてはこの原因をどのように分析をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 確かに、介護労働者の賃金が他の職種に比べて低いという御指摘をいただいておりますし、データ的にもそういうことになっております。ただ、その場合に、勤続年数の違いでございますとか幾つかの要因がございますので、なかなか簡単に低い高いということを一概に申し上げることが難しいということも事実でございます。
私どもとしては、昨年社会保障審議会に設置をいたしましたワーキングチームの報告によりますと、賃金水準を含めて介護事業に影響を与えるあるいは介護労働者の処遇に影響を与える要因としてはかなり多くの要因があるだろうと。一つには介護事業所間の競争の問題、あるいは経営のマネジメントの問題、あるいは各事業所の人事管理、労務管理の問題、あるいは他の労働市場との問題、幾つかあろうかと思っております。
したがいまして、現在、今、介護労働者の実態についても調査をいたしておりますし、それから介護事業者の方の経営の実態の調査をいたしておりますので、その調査結果を詳細に把握した上で十分な対応をしていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
また、介護報酬ということに関しまして言いますと、これまで平成十五年と十八年に二度引き下げられております。これが経営者の裁量の余地をなくしてしまって現在の状況を引き起こしているという、こういう指摘もなされております。この二度の引下げが介護従事者の賃金水準にどのような影響があったと分析をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 介護労働者の処遇に影響を与える要因としては、今申し上げましたようないろんな形の要因が考えられると思います。
御指摘ございましたように、確かに平成十五年、十八年と二回の介護報酬改定がございました。特に、訪問看護について介護報酬の改定の影響が出ているんではないかという御指摘があるわけでございますが、確かにこれまでの介護報酬改定が結果として介護従事者の処遇に影響を及ぼしているということは否定できない面があろうかと思いますが、一方、最近のデータを見てまいりますと事業者数の増加もございます、ちょっと最近鈍化している面もございますけれども、事業所間の競争の問題もございますし、幾つかそれ以外の要因もあるんではないかと思っております。
したがいまして、これが、この原因がこれに、結果に至っているといったような因果関係をはっきり示すような分析は十分できておりませんけれども、今、先ほど申し上げましたように実態の調査をしておりますので、その上で今後の介護報酬改定について十分検討していきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
いずれにしましても、介護労働の専門性を正当に評価をして、介護従事者の生活設計が可能な賃金を保障できるようにする、この介護報酬を次期改定において措置をすべきと、このように考えるわけでございます。
午前中にも何度もお話がありましたけれども、舛添大臣は介護報酬を引き上げると、こう発言をされたと聞いておりますし、この度、衆議院からの委員長提案の法案もまた介護従事者の処遇を改善すべしという共通の認識の上に提案をされていると思います。介護を担う優れた人材の確保を図るために賃金水準を大幅に引き上げるべきと考えますが、舛添大臣の御決意をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来申し上げていますように、今介護労働者、そして介護経営の実態について詳細な分析を行っているところであります。そういうものを踏まえて、介護の人材を確保し、生き生きと働いていけるためにやはり処遇をきちんと適切なものにする必要があると思っておりますので、来年四月の報酬改定時においてはきちんと対応してまいりたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございます。是非、実効性のある、そういったものにしていただきたいと思います。
次に、介護従事者の負担軽減策についてお伺いをしたいと思います。
私は、昨年の十二月二十五日のこの本委員会におきまして、介護従事者を取り巻く状況とともに、書類作成などの事務負担の軽減を要望いたしました。その際、局長からは、可能なものから順次検討、実施に努めていきたいと、こういう答弁をいただいておりますけれども、その後進展はあったのでしょうか。取組状況について報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 私も、この当参議院の厚生労働委員会で、十二月だったと思いますが、山本委員から御指摘ございまして、事務負担の軽減について可能なものから順次検討、実施に努めていきたいというふうに御答弁いたしました。
今、まさに介護事業者の業務、それから自治体の監査の実態を把握しまして、簡素化が可能な事務手続、書類についてリストアップをしております。大体事業者団体からのヒアリングも終了しましたし、自治体側からの要望というものも大体あらあら聞きましたので、今やっておりますのは、非常に頻度が多い、必要以上に頻度が多いようなものとか、あるいは他の事務手続で代替可能なものというふうなものを今選ぶべく具体的な作業に入っておりますので、もう少し時間をいただければ、具体的にその部分がこういう事務負担部分が軽減できるということが公にできるのではないかというふうに思っております。
○山本博司君 遅いですよね。十二月に話して、五か月以上ですよ。五か月以上たって同じような答弁しか出ないという、現場の本当にヘルパーさんであるとかサービス提供者であるとか、大変な思いで仕事をしているわけですよね。そういう中で、事務負担の量が大変であるということは認識をされているわけですから、それをもっとやっぱりスピード感持って対応していくというのが本来の筋じゃないでしょうか。そのことを申し上げておきたいと思います。
また、介護従事者から身体的負担、特にホームヘルパーの方や施設系の介護職員の方から腰痛の訴えをよくお伺いをいたします。こうした負担を軽減するために、例えば身体への負担を軽減をし介護が容易に行えるリフトなどのサポート用具の開発は大変有効な方法だと思います。そうした技術開発とコスト削減を国としても取り組むべきと考えますけれども、どのように認識をされておるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 事務処理の問題については、できるだけスピードアップをしてやりたいと思っておりますし、私どもとしては全力を挙げて今やっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
それから、今御指摘ございました、IT技術とか新しい技術を活用して、介護する方の身体的負担を軽減するということができないかという問題意識でございますけれども、私どもとしても、日常的に介護をされている方の負担軽減、あるいは利用者の方々の立場に立った場合の日常生活上の便宜という二つの面からやっぱりそういう機能訓練に関する広い意味での福祉用具といいますか、そういうものの活用というのは重要であろうというふうに思っております。
IT等の新技術の活用につきましては、率直に言いまして調査研究段階にあるものも多うございますけれども、調査研究に対する助成もやっておりますし、それから新技術の実用化に向けての支援というのも幾つかやっておりますので、私どもとしても、今後そういう福祉用具が現場で意味のある形で活用されて、介護従事者の身体的な負担が軽減されるように今後とも努力をしてまいりたいというふうに思います。
○山本博司君 ありがとうございます。是非、介護従事者の負担軽減に向けてあらゆる知恵を出していただいて取り組んでいただきたいと思います。
〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕
次に、話は変わりますけれども、介護施設における入浴設備、近年、レジオネラ症とかノロウイルスなどの影響で、今まで以上に殺菌とか洗浄に注意を払わなくてはならなくなりました。これが施設系の介護従事者にとりましても新たな大変な負担となっております。
そこで、介護施設における入浴設備の殺菌について、どのように規定をしているのかお聞きをしたいと思います。
一般の銭湯とか宿泊施設の温泉などは公衆浴場法が適用されまして、現在では塩素の殺菌の使用を指導されております。これに対して、病院の浴場施設とか特養とかデイケアの施設などでは、こういった社会福祉施設では公衆浴場法の対象外でありますから、殺菌方法の限定はないはずであります。
ところが、地域によってはこうした公衆浴場法の規定と同じく、塩素殺菌の使用を指導されている場合があるとのことでございます。この場合、どういった規定が本来あるべき姿なのか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 介護老人福祉施設の入浴設備につきましては運営基準というのがございまして、その中で入所者の使用する設備として衛生的な管理に努め、衛生上必要な措置を講ずることというふうにされております。
それで、入浴設備につきましては特にレジオネラ症対策が大変重要でございまして、その発生あるいは蔓延を防止するための措置につきまして、平成十五年の時点でレジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針というものを告示をいたしております。
これらの運営基準に基づきまして、あるいは指針に基づきまして適切な措置が講じられるように都道府県等を通じて指導しているところでございます。
それで、浴槽水の消毒でございますが、指針におきましては、塩素系の薬剤を使用する場合の塩素濃度管理方法等について定めるということを行うとともに、塩素消毒以外の方法により消毒を行う場合等においてはそれぞれの場合に応じた適切な維持管理を行うようにというふうに定めておりまして、塩素消毒以外の消毒方法を排除するというわけではございませんので、その辺についても十分周知をしたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非、適切な指導をお願いを申し上げたいと思います。現場では混乱をしているケースも一部あると聞いておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、介護保険制度全般の将来構想についてお聞きをしたいと思います。
今後、高齢化社会が進展をしていく中で、介護保険制度の重要性はますます高くなってきますが、国民に信頼をされ継続性のある制度を維持しなくてはなりません。
そこで、まず、今後の要介護認定者及び要支援認定者の増加の見通しをどのように見ているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。
平成十八年の五月時点における厚生労働省の推計によりますと、平成二十三年度におきます要支援、要介護者でございますが、五百四十万人、それから平成二十七年度におきましては六百二十万人、平成三十七年度におきましては七百八十万人というふうに増加をしていくというふうに見込んでおります。
○山本博司君 今お話がありましたとおり、ますますどんどん増加をしていくということでございますけれども、それに伴いまして介護サービスを提供する介護従事者も増加をしていかなくてはならない、このようになると思います。そうした意味でも、将来的にも介護従事者の確保が重要になると思います。潜在的介護福祉士と呼ばれております、現時点で介護等の業務に従事していない介護福祉士資格取得者に再び介護の世界に戻ってもらうことが求められていると思います。
そこで、潜在的介護福祉士の方たちに介護の職場に復帰をしてもらうためにどのような促進策を考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(中村秀一君) お答えを申し上げます。
まず、どういう理由で潜在的な介護福祉士になっているかと、そういったことも調査する必要がございますので、これは介護福祉士に限りませんが、資格を持っている福祉関係の方、約七十七万人おられますが、そのうち二十万人を抽出して調査をしたいと思っています。
それから、資格を持っておられて就労しておられない方については、まず就職説明会の実施等による福祉・介護サービス分野への再就業の働きかけ、それから無料職業紹介等の実施、それから再教育を通じての就業支援、相談体制の整備などを行うこととしておりますが、二十年度は特に都道府県人材センターにおいて介護職場へ復帰を希望する介護福祉士等の有資格者に対します再研修、就労希望者への説明会など、再就労支援のための相談の実施を行うことといたしております。
○山本博司君 ありがとうございます。働きがいのある、モチベーションの高い職場環境ができていきますと、介護制度の社会的な使命から考えますと復帰をする人たちも数多くいると思いますので、どうか復帰促進に向けた取組をお願いを申し上げたいと思います。
次に、療養病床の見直しについてお聞きをしたいと思います。
長期にわたる療養を必要とする患者のための療養病床につきましては、医療保険適用の療養病床約二十五万床と介護保険適用約十三万床がございますけれども、これを再編成をして受皿の整備、これをすることになっておりますけれども、この療養病床の見直しについて、今後の基本的な考え方、どのようになっているのかお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。
療養病床の再編成でございますが、利用者のニーズに合ったサービスを適切に提供をしていくと、医療ニーズの高い方と必ずしもそうではない方に分けて考えていこうということでございます。平成二十年三月まで掛けて計画的に進めていくということでございまして、私どもとしては、その受皿の整備を十分にしていかなきゃならない。その受皿の整備でございますが、先般、介護老人保健施設等の介護療養型の老健施設という形で提示をいたしましたので、これからそういうものについて十分周知をして、入院されている患者さん、あるいは医療機関の関係者に不安のないようにしていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。その利用者の方々、支障が生じないような丁寧な説明をして了解を得ていただきたいと思います。
このように、医療と介護の見直しということに関しまして、舛添大臣も長期的なビジョンとして介護保険と医療保険の統合も含めた議論について言及をされたと伺っております。将来的な社会保障全般の見直しも視野に入れた議論が求められており、現在、福田総理の下でも社会保障国民会議が設置されまして議論が展開をされております。
こうした中、将来的な介護保険制度の在り方について、舛添大臣はどのように考えていらっしゃるのか、最後にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) どうすれば持続可能な介護制度になっていくのかということ、そして介護保険と医療保険、今のままではすぐ統合というわけにはいきません。
しかし、長期的に一つの可能性として、二つの保険制度の垣根を取り払っていくということも国民の観点から見ても十分考えていい選択肢であろうと思っておりますけれども、今委員おっしゃったように、総理の下にあります社会保障の国民会議において、こういうことも含めて短期、長期、中期の課題についてきちんと対応してまいりたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。