参議院 厚生労働委員会 第12号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、議題となっております介護保険法改正案の内容と震災関連の課題につきましてお聞きを申し上げたいと思います。
 まず初めに、震災関連の課題につきましてお伺いを申し上げたいと思います。
 被災をしました三県では、介護保険適用に必要な要介護認定申請が約三千件滞っているとのことでございました。特に被害が甚大な十五市町村では、介護認定審査会も開けていないということでもございます。被災地では、避難先で衰弱をし、介護を求める高齢者が増加をしてございます。こうした状況に対応するために、厚生労働省では認定を一年間延長することを決めております。
 しかし、震災によりまして、急な環境変化によって認知症が進むなど重度化をし、介護度が変わった場合もございます。これは、つい最近、岩手県の大船渡市で五月、介護サービスに係る事業者が、約三百三十一人、自宅で介護を受けてきた高齢者の震災後の現状を調べるために聞き取り調査を行ったということでございますけれども、そのうち約三八%に当たる四十二人が認知症の症状が進行をし、要介護度が上がったりするなどして、急速に症状が悪化をしていると、こういう現状もあるわけでございます。
 実情に合った支援がなされなくてはならないと思いますけれども、どのような対策を講じているか、お願いをしたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 今御質問にありました被災地におきます要介護認定の在り方は、今お話をいただきましたように、既に、審査会が開けない自治体においては介護認定を延長すると、一年延長するという特例を認めているところでありますが、その特例期間中に要介護度を変更する必要があると御家族、御本人、またケアマネジャーさん等かかわる方が御判断をされた場合には、市町村において要介護認定を変更するということ、審査会を経ずとも変更するということが可能であるというふうなことをここでお話をさせていただきたいと思います。
○山本博司君 ともかく被災地の方々の実情に合った対応ということが求められておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 これとともに、補助対象につきましても実情に合わせてほしいという声も上がっております。それは、グループホームの被災者に対しての問題でございます。特養の被災者に関しましては食費、居住費の補助がございますけれども、グループホームの被災者には対象外となっております。これはグループホームが施設ではなく家とみなされるためでありまして、平時でも施設には低所得者の負担軽減制度がございますけれども、グループホームにはございません。グループホームは、認知症の人に適したケアということで、入居には全国平均でも約九万円強の食費、居住費、光熱費が必要となっておりまして、この介護保険部会でもこの軽減制度の見直しということに関しましても求められている部分がございます。
 このグループホームを補助対象とすることにつきまして、どのような認識がございますでしょうか。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今委員御指摘のように、グループホームの家賃、食費、光熱費、個々の契約に委ねられていることで、今、震災の影響で費用負担が困難になっている方もいるということでございます。
 そのため、今年度の第一次補正予算におきまして、地域支え合い体制づくり事業に要する予算、ここを積み増しまして、震災の影響でグループホームの費用負担が困難な利用者がいる事業者に対しては家賃等の一定額を助成するということを新たに設けたところでございます。各地方公共団体でこの事業を活用されますように周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
○山本博司君 今お話ございましたように、第一次補正でそういう手当てがされているということでございますけれども、非常に金額が少ないということと併せて、いろんなメニューがございますので市町村の判断ということもございます。やはり本質的に、こうしたグループホームを利用する方々、特に低所得者の方々に対してどうしていくかということは大変大事なテーマだと思います。
 昨日、全国の市長会でも、この介護保険制度に関する提言の中で、低所得者対策という形で、グループホームを利用する低所得者に対して国が食費と居住費の一部を補助するという、この負担軽減制度の措置、これを講ずるようにということの提言、訴えもございます。是非ともこれは大臣、今後の検討をしていただきたいテーマでございますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) この点につきましては、介護が必要となっても地域で安心して生活ができるようにするためには、先ほどお話がありましたグループホームなどの多様な住まいが確保される必要がございます。
 そこで、グループホームは、施設と異なり、食費や居住費を軽減する補足給付の対象とはなっておりませんけれども、昨年の十一月三十日の社会保障審議会の介護保険部会の意見書では、地域で暮らす認知症の方を支援する観点から何らかの利用者負担の軽減措置を検討すべきと、こういう御指摘があったところでございます。
 そこで、今後、介護保険部会のこの意見も踏まえまして、必要な財源の確保や他の介護サービスの整合性なども考慮しながら、グループホームの負担軽減についてどのような対応が可能か、平成二十四年度の予算編成過程で引き続き検討をしてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 もう是非とも大臣、検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、今回の介護保険改正案の内容に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 今回の法案は、介護サービスの基盤強化のためと銘打っているとおり、地域包括ケアシステムの実現に向けた取組を進めており、評価できる点が多くございます。現在二千九百五十万人いる高齢者が二〇二五年には約三千五百万人に達すると推計されておりますので、この基盤の強化が求められております。
 その中の一つとして、改正案の中に、小規模多機能居宅介護に訪問看護を加えた複合型サービスが創設をされております。この小規模多機能居宅介護につきましては、公明党が一昨年、十万人の方々の総点検運動、この介護の総点検運動を行いました。そして、自治体に対しましてもアンケート調査をいたしましたけれども、その中でも一番に充実させたいサービスとして挙げられておりまして、地域で二十四時間三百六十五日の在宅介護をサポートする大変大事な事業であると思うわけでございます。
 昨年二月に発表しました我が党の新介護ビジョン、また昨年十二月に発表しました公明党の新しい福祉社会ビジョンの中間取りまとめにおきましても、在宅支援体制の強化策としての拡充を提言をしてございます。
 そこで、この小規模多機能居宅介護の機能充実をどのように盛り込んでいるのか、今回の法改正でどのように地域のニーズに対応しているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 小規模多機能の居宅介護のこの施設でございますが、創設当時は若干伸び悩んでおりましたが、二十一年の介護報酬改定のときに加算制度等を設けまして、最近は充実、箇所数の増が図られてきているということでございます。
 今回の法律では、更にこの小規模多機能居宅介護に訪問看護の部分を組み合わせるということで、ある程度医療ニードが必要な方、こういった方にも対応できるような形に持っていくということで、介護と看護を合わせたサービスを提供するということで、幅広い利用者の状態に対応できるようにしてまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 この小規模の多機能型の居宅介護とともに、二十四時間の対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設、これは在宅生活を支える大きな役割を担うものであると思うわけでございます。
 このサービスは、都市部では利用者が密集していて移動にも時間が掛からないためにも効率的に巡回できると、このように思いますけれども、地方部におきましては利用者が遠くに点在をしており、通うのに非常に時間が掛かるという観点から実効性に課題があるのではないかということも思われます。
 私も地元が中国・四国地域でございますので、中山間地帯、離島が多い地域でございます。先週も離島の広島、また愛媛、大崎上島とか上島町とか、人口七千名ぐらいの島に行ってまいりました。特養が町営で一軒あるだけ、訪問介護のそうした事業者がなかなか入っていけないという、そういう問題も地域によってございます。そうした地域部の対応ということが課題があるのではないか。
 また、現時点での夜間対応型訪問介護サービスの利用率、これは低迷をしております。このサービスの検証も十分に行って今後に反映をする必要があると思うわけでございますけれども、こうした地方部における実効性を確保するためにどのような課題があるのか、またどうしていくのか、このことに関してお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 今御指摘ありましたように、二十四時間のサービスを提供していくということについての課題あると私も思っています。御指摘いただきましたように、地域で住み慣れた環境で介護を受けたいというニーズは大変高うございまして、こういったニーズにどうこたえていくかというのが課題です。
 今年度、モデル事業といたしまして、長野県の飯綱町や、また長崎県の壱岐市といった離島でもこのモデル事業を今行っておりまして、この結果等を検証しながら、今委員御指摘の課題についてもしっかりと対応できるようにしていかなければなりませんし、地域の実情に応じたサービス提供ができるようにしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 今、モデルケースの実施ということでございますけれども、しっかりこの検証を含めてやっていただければと思います。
 次に、在宅での支援策の一つとして、家族介護の支援に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 最近では、年老いた夫や妻が連れ合いを介助するいわゆる老老介護という言葉がテレビや新聞の紙面でもよく出てきております。介助者の精神、肉体的な負担が重く、共倒れになるケースも珍しくございません。また、最近では老障介護ということもございます。年老いた親が障害のある子供の介護を続ける老障介護、先日テレビでも放映されておりました。九十三歳の親が障害のある七十二歳の方の介護をされている状況という形で、大変経済的にも体力的にも精神的にもぎりぎりの状況の中で介護をされている現実がございます。こうした老老介護とか老障介護の問題点、核家族化においての家庭における介護力の低下、また介護者に掛かる負担が以前よりも重くなっている形がございます。家族の介護のために離職をする方々が十四万人近くいるということもございます。
 こうした家族の負担軽減にレスパイトの充実とか、こういうことがあるわけでございますけれども、家族介護の支援ということに関して見解をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 御指摘のように、家族介護におけるその負担の軽減を図っていくということは大変重要な課題だというふうに認識をしておりまして、その中で、地域支援事業といたしまして、家族介護教室の開催や家族介護者の交流など家族の介護支援事業を行っておりますと同時に、二十二年度の補正予算で地域支え合い体制づくり事業、こういったものを創設いたしまして、これを活用して、都道府県や市町村の創意工夫に基づいて家族介護者の支援体制づくりの取組などを行っているところでございます。
 また、今年度は、レスパイトなどの観点から、ショートステイの活用やデイサービスの利用者の緊急的、短期的な宿泊ニーズへの対応の在り方などを調査研究を行っておりまして、こういった取組を通じて家族介護の支援の在り方というのを考えていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 大臣、これ大事な点でございますので、家族の支援ということをお願いを申し上げたいと思います。
 次に、介護施設における介護職員の医行為に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 この問題に関しましてはこれまでもこの委員会で何度も指摘をさせていただいておりましたけれども、今回の改正で、介護職員がたんの吸引や胃瘻による経管栄養などについて実施をするということが盛り込まれております。看護職員と介護職員が連携をして実施することが重要ということで、モデル事業の実施状況も分析した上で検討をされ、提案をされてきたことということでございます。
 この実施には、事故がないように統一された基準の下に知識面及び技術面においてもしっかりとした研修体制を築く必要があると思いますけれども、この研修体制についての取組を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) このたんの吸引等を実施する介護職員については研修を義務付けるということでございます。そのプログラムについて必要な知識、技能が身に付けられるよう、たんの吸収等に関する講義、それから実地研修から構成されるものとしております。この研修を行う機関は、この法律上も都道府県の知事の登録制度とする、さらに医療関係者の講師の確保をしていることなど、研修を確実に実施できる体制としていることを登録の要件とすることとしております。
   〔委員長退席、理事足立信也君着席〕
 今まさに、この研修のプログラム、安全確保措置等については試行事業を実施しておりまして、この試行事業の検証そして評価、その結果を踏まえましてきちんとしたものを策定してまいりたいと考えているものでございます。
○山本博司君 このたんの吸引、経管栄養に関しましては、高い技術を介護職員が持てば新たな介護ニーズにこたえられると思うわけでございますけれども、この介護職員が医行為を行った場合の介護報酬上の対応はどのようになっているんでしょうか。
○政府参考人(宮島俊彦君) この介護報酬上の取扱いというのは、これはまさに、来年の四月からこの研修機関についての都道府県知事の登録制度ができて、またそれを実施する事業所についても登録制度が始まるということでございますので、これについては、御指摘の介護報酬どうするかというのは、まさに二十四年度介護報酬改定に向けた介護給付分科会での議論、これを踏まえて対応していく課題というふうに考えているところでございます。
○山本博司君 万が一、緊急事態が発生した場合、重篤化を防ぐために医師などの医療職からの適切な処置を聞く、これは連携が大変重要になると考えられますので、緊急時のルールをあらかじめ整備する必要があると思います。
 さらに、こうした事故の際には、医行為を行った介護職員だけに責任が及ぶのか、それとも全体の中で検証がされるのか、何らかの補償制度の創設が必要ではないのか、こういった議論があると思いますけれども、事故が起きた場合の責任体制はどうなっているのか、今後の検討について認識をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) たんの吸引につきましては、これまでは通知による運用ということで一定範囲認めてきたということで、介護職員にとっては非常に法的に不安定な状態になっていたということでございます。
 こうした問題を解決していくために、今回の法制度では、介護福祉士や研修を受けた介護職員が医師、看護師などの医療関係者との連携確保、その安全確保措置を講じた事業所の業務としてたんの吸引等を行うようにしているということで、安全確保という意味では、介護職員にとってより法的に安定した仕組みということになっているところでございます。
 事故の際の責任の所在ということでございますが、これは介護職員、雇用した介護職員ばかりではなくて、安全確保措置を講ずる義務のある事業主、あるいは連携している医師、看護師等それぞれの役割や関与の状態、こういったものが勘案されるということになってくるものでございます。
○山本博司君 この今回のたんの吸引の場合は介護報酬上にも反映されない、また責任体制もまだ未整備である、こういうことになりますと、危険性を避けるためにも介護職員の医行為についてはなかなか普及が進まないという可能性もございます。
 しかし、今後の医療と介護の役割分担、こう考えますと、一定の医療的ケアを介護職が行うということは介護サービスの充実を図る中では必然的なことであり、こうした専門性をやはり介護報酬の中にしっかり反映する必要があると思います。
 また、介護の質を確保するとともに、介護職のキャリアアップを促すためにも、厚生労働省の検討会で論点に上がっている専門介護福祉士の議論も進めるべきと考えます。今後増大をしていく介護ニーズに対応できるように、ホームヘルパーとか介護福祉士などの専門性を高める努力、これは必要であると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 御指摘のとおり、介護福祉士等介護職員の専門性を高めていくということは必要だと考えておりまして、そのキャリアパスをこれからどのようにしていくのか、段階的にステップアップしていくような形でその職能を生かしていっていただける、そういった環境を整備をしていかなければならないと思っております。
 そういった中で、御指摘の本年一月の検討会、有識者検討会での報告書、御提言の中でも、介護の世界で長く働き続けていただけるように、そういった展望が持てるような職となるようにするために、いわゆる研修の在り方、ホームヘルパーの研修の在り方についても、在宅、施設を問わない研修としていくというようなことと、介護福祉士の資格取得後のキャリアパス、キャリアアップの一つの方向性として認定介護福祉士制度の構築をするなどの取組を進めてまいる、そういった所存を持っているところでございます。
○山本博司君 是非とも、こうした介護従事者の方々、キャリアパスということでの推進をお願いをしたいと思います。
 続きまして、この委員会でも何度も質問をさせていただきました介護サービス情報の公表制度につきまして質問をしたいと思います。
 この介護サービス情報公表制度、手数料が高過ぎるとか、介護サービスを選択する際に有効に機能していない、こういう指摘がございました。これまでも何度も、アクセス件数が少ないのではないかとか、制度の周知徹底がどうなんだとか、手数料水準の見直し、こういったことを聞いてきたわけでございます。
 今回の改正では、事業者の負担を軽減をするという観点から運営方法の見直しが行われて、手数料によらずに運営できる仕組みが取られています。これまでの取組で一件当たり約五万五千円の手数料が約三万三千円まで引き下がったところでございますけれども、今回の見直しで事業者負担はどのように軽減されるのか、また、手数料によらないとすれば、どのように運用していくつもりなのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今回の見直しですが、情報公表に係る費用、今まで事業者からの手数料に任されていたということで、いろいろ事業者から課題が指摘されておりました。
   〔理事足立信也君退席、委員長着席〕
 今回、知事が認める場合に調査を実施する、それから各県に設置されているサーバーは国で一元管理するということで、運営コストの低減を図るということと併せて見直しをしております。こうした措置で可能な限り手数料によらず運営できる制度となると考えておりますが、具体的な制度運営、都道府県において判断されるということになっております。
 そういうことでございますが、国としても円滑な移行に向けまして必要な支援を講じてまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 今回、例えばアクセスがなかなか少ないということで、写真とか映像とか、こういう形で、分かりやすい形でのそういう対応になっているんでしょうか。
○政府参考人(宮島俊彦君) 情報公表のこのホームページにつきましても、情報の内容が平板であるとか、あるいは使い勝手が悪いというような御指摘をいただいておりまして、そのホームページのアクセスあるいは使い勝手の良さというところについても、この公表サーバー、一元化することに伴って見直すという取組をしているところでございます。
○山本博司君 映像とか写真の対応は今回されているんですか。
○大臣政務官(岡本充功君) 私もこれ野党時代に同じ質問をしたことがありまして、非常に利用者にとっても使い勝手が悪いという、本当に文字が羅列されているだけのところでありまして、なかなか、誰がこれ利用するんだということを質問した記憶がございます。
 そういう意味では、委員御指摘のように、より見やすいホームページの運営を目指してこれから検討を重ねていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 毎年一億円近いお金がこれに掛かっているということを聞いておりますので、やはり多くの方々が使いやすい、そういったものに是非とも進めていただきたいと思います。
 もう一つ、今回の改正で、義務付けられております公表前の調査実施が廃止をされまして、都道府県が必要と判断した場合、調査を実施する仕組みに変更をされました。
 これまでは、指定調査機関、全国で二百七十七社、約八千二百人の調査員が調査に当たっておりました。今回の改正で絶対的な調査量が減少するのでありますと、調査員も必然的に減少する可能性もございます。しかし、これまでの調査員の経験を生かしてこの介護保険制度の発展に寄与してもらいたいと思うわけですけれども、こうした調査員の方々の活用、どのように考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(岡本充功君) おっしゃるとおり、指定調査機関の調査員の専門知識やノウハウを活用することは大変有効だというふうに考えておりまして、利用者に対する公表情報の活用支援、それから事業者からの問合せ、こういった対応などの相談支援、こういったことにつきまして指定調査機関等の協力をいただくことによって情報公表制度の活用に関する支援体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、今回、この改正で創設をされます指定都道府県事務受託法人において指定調査機関の専門知識やノウハウが活用できるのではないかというふうに考えておりまして、具体的には、都道府県の指導監査に関する介護サービス事業に対する調査、質問、書類確認等、またサービスを受けた被保険者に対する質問等、こういったことに関する事務を指定法人に委託できるようになりますので、こういったところでもこういった方々の様々な知識が活用できるものというふうに考えております。
○山本博司君 次に、資格取得方法の見直しに関しましてお伺いをしたいと思います。
 介護福祉士の資質向上を図る観点から、平成十九年の法律改正で、一定の教育課程を経た後に国家試験を受験をして合格して取得をするという形に一元化されまして、平成二十四年度から施行予定でございました。今回の法案では見直しを延期することとなっております。
 受験を希望する方にとりましては、見直しが行われますと、事前の準備が必要なために、速やかな情報開示とか十分な広報体制が求められると思いますけれども、見直しを延期した理由、このことをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(清水美智夫君) 御指摘のとおり、十九年法改正により二十四年度から施行するという予定の内容のものを、現在御審議中の法案により三年間延期するという案にしてございます。
 その理由は二つございます。第一点は、今回導入します介護福祉士によるたんの吸引ということがございますので、これに向けて教育内容、カリキュラムを再編する、そのための様々な準備の時間が必要になったということが一点ございます。第二にでございますけれども、地域によってはまだなお介護人材が不足しているという、そういう現状がある中で、十九年法改で義務付けられました実務者研修、これを受けやすいものとするきめ細かい配慮が必要であるということでございます。それは時間数でありますとか、場所でありますとか、費用への支援でありますとか、ほかの研修の一部をこの研修として読み込むといったような様々きめ細かい配慮が必要と、その二点が理由でございます。
 この案がお認めいただけますとするならば、早急にそれらの変更に関する広報、周知などを取りかかってまいりたいと考えてございます。
○山本博司君 この養成、大学とか短期大学以外にも、資格を持って介護分野で働きたいという方々の福祉系高校というのがございます。これは、福祉系高校は最年少で資格を取得できる最短の道であるということで、介護人材の慢性的な不足が指摘をされている中で、若いうちから高い志を持って取り組む姿勢、大変すばらしいことでございます。介護職として定着をしてこの分野を担う人材として育っていっていただきたいと思います。
 平成十九年の改正では、このカリキュラムの見直しが行われまして、従来の三十四単位千百九十時間から五十二単位千八百二十時間の履修となったために、授業数が増大をしまして生徒の負担が急増をいたしました。しかし、実際の状況を見ると、ビデオを見せて感想を書かせるだけの授業があるといった指摘もございます。時間を掛けることが本当に質の向上につながっているのか疑問であるという声も一部ございます。
 高校という教育の機関と資格取得に向けた受験体制の両立、大変難しいと思いますけれども、文科省、この平成二十一年度から始まりました福祉系高校の新しいカリキュラムに関しまして報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(山中伸一君) 委員御指摘のとおり、福祉系高校でございますけれども、平成十九年度の法改正による介護福祉士の国家試験、この受験するために必要なカリキュラム、これが千百九十時間から千八百時間程度に引き上げられた。これに対応いたしまして、文部科学省としても、平成二十一年に改訂されました新学習指導要領、この中で、福祉に関する科目につきまして内容、時間とも国家試験に対応した形での課程を充実を図って平成二十一年度から実施しているところでございます。
 例えば、具体的には、適切な介護技術を用いて安全に援助できる知識、技術について習得する、これを目的とする生活支援技術、これを科目として新設。あるいは、介護過程の展開、介護計画の立案、介護サービスが提供できる能力を養う、こういう介護過程を新設といった科目の新設等を行いまして、こういう新カリキュラムで平成二十一年からやっているということでございます。
 また、これを担当するのは教員が必要になりまして、この教員資格につきましても併せて高度化が図られたところでございますので、これに対応しようということで、平成二十年から二十二年度、まず現職の人たちがしっかりやらなきゃならないということで、資格の代替のための講習会というものをお認めいただいておりますので、この三か年間で七百六十人が講習会を修了ということで、新カリキュラムの指導にしっかりと対応できるようということで、先生御指摘のような内容ではなく、しっかりとした内容の福祉の授業が行われ、展開できるというために各学校取り組んできているというところでございます。
○山本博司君 この福祉系高校、卒業して国家試験を受けるということで、大変そういう意味で、この三年間の中でしっかり勉強しながら取り組んでいるということでございます。
 厚労省が所管をするこの養成施設、大学とか短期大学、これもやはりしっかり同じような部分に関して見習うところは見習っていただきたいと思うわけでございます。今回の法案で三年間延期をすることになるわけでございますので、こうした点も見直していただきたいと思います。
 この厚労省の指定養成施設、大学、短期大学、定員割れが相次いでおります。二万人の定員に対しまして一万五千人の入学者数ということで、充足率も七五・七%、今後のこの介護人材の確保ということを考えますと、介護人材養成の安定的確保、資質の向上が必要でございます。
 それで、今後の介護人材養成の在り方に関しまして、見解を求めたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 委員御指摘のように、介護職員の人材確保というのは大変重要な課題で、先ほどもお話をさせていただきました今年一月の検討会での御提言の中で、先ほど御答弁させていただきましたスキルアップ、キャリアパスの話が一つあり、それを通じて長い間働き続けられるような、そういった展望の持てる職場にしていかなきゃいけないという話、こういう話をいただいたというお話をしたところです。
 そういった意味で、多様な人材の参入を促進し、就職後の段階的な技能形成と資質向上を図る、これによって職への定着を図っていくという観点、それから、資質向上に見合った処遇、こういった処遇改善の観点、そしてまた、先ほどからお話をしております自らの職の展望が見えるようにしていくと、こういったことを今働いている皆さんには、また、今委員から御指摘の介護福祉士養成施設等の入学者数の現状は御指摘のとおりでありますが、こういったことを通じて、これから介護職に入っていく方が希望の持てる職場になっていかなきゃいけないと思っています。
 なお、入学者数につきましては、この数年の厚生労働省の取組もあって、平成二十年を底に今増加をしてきているような状況にありますけれども、引き続き、委員の御指摘も踏まえつつ、こういった介護職場に多くの若い皆さんが就職ができる、就職をしようと思える、そういう環境整備に努めていかなければならないと考えております。
○山本博司君 大臣にお聞きをしたいと思います。
 やはりこの介護職員の処遇改善ということは大変大事でございます。大臣はこの介護の漫画雑誌の「ヘルプマン」というのを御存じでしょうか。──じゃ、いいです。これは毎回、津田委員長も舛添大臣にそのことを、介護のそういう、高知県出身のくさか里樹さんという方がこういう「ヘルプマン」という若い方々の介護の取組ということでずっと出されているわけですけれども。
 この介護職員の処遇改善、民主党のマニフェストでこの四万円ということの引上げということがございました。これは道半ばでございますけれども、今後これをどうしていくのか。介護職員の処遇改善交付金、今年度末で期限となっております。来年度以降どのような形でこうした処遇改善を進めていくのか、大変大きなテーマでございます。国費で交付金を維持していくのか、また介護報酬の中でこの対応をしていくのか、この財源の確保を含めて今どのように考えているのか、また、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 介護職員の処遇改善につきましては、これまで二十一年度の介護報酬の三%引上げ、それから介護職員処遇改善交付金、これによりまして合計二万四千円のアップの効果が出ております。
 この交付金につきましては今年度で終わりになりますから、じゃ、来年度からどうするのかと、こういうことでありますけれども、これを交付金でいくのか、介護報酬のアップでいくのか、いろいろ方法はあるかと思いますけれども、私としては、介護職員の報酬改善はこれはやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、今年の暮れの報酬改定、これは医療の方もそうですが、同時改定のその点、それから来年度の予算編成の過程でそれを決めていきたいと、このように考えております。
○山本博司君 この介護従事者の処遇改善、大事な部分でございます。市長会でもやはり、昨日の、この介護従事者の交付金の確保と恒久化ということも提言をされておりますけれども、しっかり議論をした形で、継続できるような形でお願いをしたいと思います。
 さらに、この処遇改善、今まではこの介護の従事者ということでございますけれども、現実的には施設サービスを支える方々、それ以外にも事務職の方とか清掃などの施設管理者とか様々、こういった方もいらっしゃいます。この幅広い職種も対象に加えるべきだと、これも市長会の提言でございますけれども、この点はいかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 私も、市長会以外でも介護施設の経営者の皆さん方からも同様のお話を聞いております。
 今委員から御指摘がありましたように、処遇改善交付金というのは介護職員にフォーカスを当てての話でありますが、それ以外の職種で一体どういうような給与実態になっているのか。例えば、今御指摘の事務職、清掃、こういった職種以外にも、栄養士の方、管理栄養士、それから調理師の方もいらっしゃいます。理学療法士さんもいらっしゃいます。そういういろんな職種の方がどういうような給与実態になっているのかということが、調べることが可能なのかどうかを含めて今事務方にも調査してもらっているところでありまして、そういった結果を含めつつ、幅広にこれから議論が始まっていくんだろうというふうに理解をしております。
○山本博司君 是非とも、この介護従事者の対象拡大ということも併せまして待遇改善をお願いをしたいと思います。
 次に、介護報酬の地域区分に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。
 現行の介護報酬の地域区分は、特別区、特甲地、甲地、乙地、その他のこの五つに区分をされております。上乗せの割合は一五%から〇%までとなっておりまして、その地域割りのうち特甲地五十一地区に関しましては、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市などの大都市部と、八尾市、交野市、川西市、横須賀市など地方の都市が混在をしております。賃金構造基本統計調査のこの賃金指数で比べますと、同じ大阪府内の大阪市と交野市では一八・五ポイントも差がございます。同じ区分でも実態は違うのではないかと、こういう指摘もございます。
 現在、社会保障審議会の介護給付費分科会で議論をされていると思いますけれども、この人件費の地域差の実態を沿って介護報酬を反映させるために地域区分を抜本的に見直すべきであるという指摘もございます。今後の見直しに関してお示しをいただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 介護報酬の地域区分、これは職員の人件費の地域差を調整するということで、地域別、サービス別に設定されています。これは現在、地域別、これ五区分でございます。元々国家公務員の地域手当の地域区分に準拠をしておりましたが、この国家公務員の地域手当の地域区分が十七年の人事院勧告において七区分に見直されたと。そのときは、全体を四・八%下げて、あとは人件費の高いところに乗せるみたいなそういうやり方を、国家公務員の地域手当の区分の見直しが行われているんですが、こういった七区分に見直す必要があるのか、そのときに、その地域区分ごとに対象となる、今おっしゃられたような自治体の実態に合わせたようなもの、あるいは上乗せ割合どうするかなどについて給付費分科会で議論を行ってもらっているところです。引き続き、年末に向けて検討を進めていくということになっているところでございます。
○山本博司君 さらに、国は、介護報酬の地域差を勘案するのは人件費のみとしております。これは、第五十六回の介護給付費分科会におきましても、土地代が反映すると考えられる居住費は平成十七年十月に原則的に給付対象外となっている、日用品等などの物件費の多寡に地域ごとの有意性はないと、こう判断されたからでございます。
 居住費が給付対象外とされているためと説明しておりますけれども、それはあくまでも利用者が負担する居住費に対するものでございまして、職員や施設が負担する賃借料につきましては、当然のことに土地価格が影響してございます。
 総務省によりますと、都道府県別の民営家賃の指数によりますと、全国平均家賃指数が一〇〇に対しまして、東京都の平均は一七八、都心部の千代田、中央、港、渋谷、新宿になりますと二〇〇を超えると予測をされます。
 こうした都市部で介護人材の不足が顕著とする中で、職員確保のためにこういう住宅手当を支給している介護施設も少なくありません。土地代が反映する居住費等も地域差を勘案すべきではないかという、こういう指摘もございますけれども、この点、いかがでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 今御指摘のように、居住費は原則として介護保険給付の対象外としております。そういった居住費を含む減価償却費等については、これは平成二十年の介護事業経営実態調査で地域差が見られなかったと、こういったことも報告をされておりまして、人件費のみを勘案することとしておるところであります。
 法人の資産である土地代については介護報酬上評価をしていないところでありますが、地域区分の見直しにおいては、現在、社会保障審議会の介護給付費分科会において議論をしているところでありますし、また現在も実施しております介護事業経営実態調査の結果等を踏まえて引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 こうした地域差の様々な状況というのは介護報酬にどう反映していくか、大事な視点でございますので、しっかりこうした点も含めて議論をお願いをしたいと思います。
 それでは、大臣にお聞きをしたいと思います。
 この介護保険料、第四期の全国平均四千百六十円でございましたけれども、第五期では、自然増と処遇改善分を含めますと、五千八十円から五千百八十円程度ということで、夫婦二人で一万円を超える水準となります。この毎月の保険料が家計を圧迫するということは、大変持続的な制度の維持ということは難しいということがあるわけでございまして、保険料は一定の水準ということをすべきと考えるわけでございます。
 こうした介護保険料の軽減を行うために国庫負担を増やすべきであると、こういう意見もございますけれども、現在、この保険料と国庫負担が五〇対五〇、この比率を将来的に見直すことはあるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この点につきましては、今の介護保険制度というのは国民がお互いに支え合うと、こういう共助の仕組み、社会保険方式を採用をいたしております。公費の負担割合が現行の五割を超えるということになりますと、これはやはり、そういうこの社会保険方式、こういうことから疑問を呈する、そういう意見、これは社会保障審議会介護部会での意見書などでもそういう意見もございます。
 また、確かに、委員が言われるようなそういう公費負担の増加を求めると、こういう意見もありましたけれども、結局、昨年の十一月三十日でのその意見書では、今回の改正では公費負担の割合を見直すことは困難だと、こういうような結論になっているところでございます。
 ただ、高齢者につきましては、この高齢者の所得というものが年金中心であると、そしてまた今後の保険料が上昇も見込まれると、こういうことも踏まえまして、低所得者の高齢者の保険料負担については、今後、社会保障改革の議論を通じまして将来的な在り方を検討をしていきたいと、このように考えておりまして、委員御指摘の考え方も検討の材料にさせていただきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ちょっとよく分からなかったんですけれども。
 最後に、先ほども中村委員からも質問ございました。来年が六年に一度のこうした介護報酬と診療報酬の同時改定の年ということでもう大変大事でございます。特に、この税と社会保障の一体改革ということに向けまして厚生労働省の社会保障案提出されておりますけれども、医療、介護、社会保障の中で大変重要な位置を占めております。一部では、こうした東日本大震災の被災地の復興を考えて同時改定見送りということが一部ございますけれども、大臣として、この同時改定に対する決意、このことを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 二十四年度にはこの診療報酬と介護報酬の同時改定が予定をされておりまして、医療と介護の役割分担と連携を強化して一体的な改革の実現を目指した議論を行う必要があると、このように考えております。
 そういうことで、医療と介護の機能分化の推進及び地域におきます連携体制の構築、地域の包括ケアの実現に向けました在宅医療、介護の充実などにつきまして議論を進めることが必要だというふうに思いますが、いずれにしましても、この同時改定につきましては、いろんなところへの影響もございますので、これは粛々と改定の方向で進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○山本博司君 是非とも、大事な社会保障の中の介護の分野でございます。全力で取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。