参議院 厚生労働委員会 第14号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は一般質問ということで、へき地やハンセン病医療の課題、また障害者虐待防止法、原発作業員の労働環境の改善という形でお伺いを申し上げたいと思います。少し質問の通告の順番を変えさせていただいております。
 最初に、大島青松園の官用船継続ということに関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 ハンセン病の方々、今、十三園で二千二百七十五名、平均年齢八十一・六歳という方でございます。ハンセン病のことに関しましては、この委員会でも一貫して質問をさせていただいておりました。昨年の十月二十一日の細川大臣の所信の質問のときにも、この大島青松園、大島と高松を結ぶ唯一のそういう官用船の船でございまして、やはりそのときに民間委託ということがございまして、官用船が打ち切られるのではないかという、そういう状況がある中で、私もこのことを質問させていただきました。
 継続をしてほしいということと併せて、この十三園、多磨全生園とか保育園の将来構想の問題、様々な形で大臣に質問をさせていただきました。そして、是非大臣、この現場の方々、是非見ていただきたいという質問をさせていただいた後、大臣はその後、多磨全生園にも行かれたということでございましたし、この二十三年度の民間委託は見送られまして、定年を延長して二人の方々の再任用ということで継続をできたわけでございます。
 ただ、今年度末にさらに一名の職員の方が定年を迎えます。また、二名の再任用された方々、再々任用もなかなか難しいんではないかという本質的な問題はやはり残ってございます。やはりこれは技能・労務職員等の採用抑制、これが昭和五十八年の閣議決定によってなかなか新規採用が難しいということが一つの大きな課題となっております。
 ただ、このハンセンの方々、私たち国会においても、ハンセン病の問題の基本法でありますとか、また衆参両議院でハンセン病の問題の決議もさせていただいた次第でございます。是非とも大臣、この大島青松園の官用船の継続ということと併せて、この船舶の職員、新たに職員を補充をするということに関して答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この大島の青松園の高松との運航、これは官営でやっているわけでありますけれども、その運航を担っている職員の問題が昨年出てまいりました。二名が定年退職をするということで、民間委託というようなことも検討もしたのでありますけれども、しかしこれは官用で続けるということで、職員も再任用いたしました。そして、今度また定年退職の方が今年度末で予想されますけれども、この方についても、私どもとしたら是非再任という形で、今後、同じような形で進めてまいりたいという気持ちでございます。
 近々、このハンセン病の入所者の皆さん方とも話合いをする予定になっておりまして、皆さん方からも十分御意見も聞きながら、これまでどおりしっかり官用で進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○山本博司君 それでは、官用船は継続をするということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 私としては、官用船で今後も続けていくというつもりでございます。
○山本博司君 それでは、この三名の方、再々任用、再任用するということですけれども、この船員の方々の意向を確認をされた上でそのことを言っていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) これにつきましては、近々、入所者団体の皆さん方とも話合いをすることになっておりまして、その話合いの中でいろいろな要望もあるかと思います。それも検討しながら、この官用船の問題での職員の再任用、昨年と同じような形でやりたいというふうに考えております。
○山本博司君 やはり再々任用とか、もう定年退職された方々に対して当然通常のお給料等は三分の二になってしまうということであるとか、様々課題があると思います。この五十八年の閣議決定の中で、公務遂行上真に必要な場合を除きという例外規定もあるわけでございますので、やはりこうしたハンセンの方々、当然この大島青松園の方々は国の隔離政策によって島に追いやられてしまった方々でございます。もう平均年齢も八十一歳を超えていらっしゃるわけですから、そういう方々のためにやはりしっかりと皆様方のお声を聞いて、来週、大臣、厚労省の方々とお話をされるということでございますけれども、そういうことも含めた、やはり一歩その部分を脱却をされて、新規の補充もするということでお願いをしたい、これは要望としてお訴えを申し上げる次第でございます。やはり入所者の最後の一人まで安心して在園できることを国が責任を持つということを国は言っているわけでございますので、是非ともそのことをお願いしたいと思う次第でございます。
 そして、この十三園の方々、やはり将来構想ということも当然今各園で検討されていらっしゃいます。また、この大島青松園も、例えば今の港の桟橋なんかも非常に、固定でございますから、私も何度もこの船に乗させていただいて大島に行きましたけれども、大変波が揺れると危ないということもございまして、そういう港の整備とか様々な形の課題がございます。また、介護の問題ということも、やはり八十歳を超えている方々に対する介護の問題、医療の問題、様々な問題がございますので、大臣、こうしたことに対しても是非ともお願いをしたいと思います。
 大臣、お願いします。
○国務大臣(細川律夫君) ハンセン病療養所に入所をされている方、だんだんお年を召して高齢になっております。そういう皆さんに対しての介護なども十分に果たしていく、そのことが、このハンセン病患者についての国として、先輩の皆さん方がハンセン病の皆さん方に対して偏見あるいは差別、そういうことを犯した、その皆さん方に対しての償いというのもありますし、ハンセン病の皆さん方に対してのしっかりした、お年を召した皆さんにはしっかりした介護などもしてさしあげるというのが国として当然のことだというふうに認識をいたしております。
 したがって、そういう考え方の下にどういうことができるのか、これも、国会決議などもございますし、それも踏まえてしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 大臣、是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、母体保護法の議論に関連をしまして、離島などの条件不利地域の医療につきましてお伺いを申し上げたいと思います。特に、離島の妊産婦の方々の支援ということでございます。
 全国に有人離島が三百十二ございます。そのうち、産婦人科のいない島が十七ございます。離島に住民票がある方から推計しますと、出生者は約五千人、産婦人科のいない島で約一千二百人が生まれているわけでございます。
 外海離島の沖縄の北大東島では、年間四人から十人の方々が那覇市で出産をしております。沖縄本島から三百六十キロ離れておりますから、片道四万五千円、往復九万円掛かって沖縄で出産をするわけでございます。島民割引でありますから六万円の負担でございますけれども、当然多くの金額が掛かってございます。
 また、先日、私も、内海、瀬戸内海の離島にも行かせていただきました。愛媛県の上島町弓削島と生名島。上島町では年間二十人の方が生まれております。やはり島には産婦人科がありませんので、今までフェリーで渡って、因島の病院で産婦人科がありましたから出産をしておりました。それがなくなりましたので、尾道まで行かないといけません。数千円の、この交通費を含めて掛かるわけでございます。
 こういうやはり離島の産婦人科のいない地域というのは大変厳しい状況がございます。健診等ではこれは様々な形で支援がございますけれども、交通費とか宿泊ということで大変いろんなハンディがあるわけでございます。そういう中で、それぞれの地方自治体、上島町では町の単独のお金で月一回当たり五千円の交通費の補助を行っておるわけですけれども、やはり全体的には大変厳しい実態がございます。
 昨年の十一月の衆議院の予算委員会で公明党の遠山議員がこのことを質問しまして、当時の少子化大臣の岡崎大臣が、この離島の妊産婦への支援ということを検討させていただきますと、こういう答弁をされました。平成二十二年の一月に閣議決定されました子ども・子育てビジョン、安心して妊娠・出産できるようにという形で妊婦健診や出産に係る経済的負担の軽減、このことも閣議決定で示されております。
 こういう点から考えますと、こうした離島の妊産婦の方々の支援ということは大変大事な点であると思いまして、大臣、この経済的支援ということに関しての見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 今委員の御指摘のありました妊婦の方の妊婦健診、これは妊婦の方が安心、安全に出産できる体制を進めるということで、私としても大変重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
 この妊婦健診につきましては助成を行っておりますけれども、健診以外の、先ほど出ました交通費とか宿泊費の支給というのは、これは対象になっていなくて支給をされていないわけでございます。そういうことで、離島に住む妊婦の方が遠方で医療機関に通う、そういうことは本当にいろいろと困難をされておるということで、そういうことに対してはいろいろと支援もということでありますけれども、基本的には自治体が必要に応じて独自に支援を行っているものだというふうに認識をしておりまして、各地でいろいろと、北海道から沖縄の一部の市町村までいろんな形で自治体でいろいろと支援もしているようでございます。
 厚生労働省としましては、離島を含みますへき地の医療の提供体制というのをしっかり確保するために、へき地の診療所の運営等に係る経費とか、あるいはへき地医療拠点の病院の巡回だとか、そういうことでいろいろと支援を行っているところでございます。
 今委員が御指摘がございました点につきましても、これは今後、離島振興対策ということで、関係官庁とも連携をして、安心、安全に出産ができる、そういう支援体制というのに努めてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 今大臣は、地方自治体含めてそうした形の支援が一部されているということでございますけれども、これは現実確認をしますと、過疎債という形でのソフトの支援事業ありますけれども、現実的にやっぱり限度額の問題とか金額の問題とかでほとんど使われておりません。やはり、私も調べましたけれども、十三の自治体でこういうことをやっていらっしゃいますけれども、ほとんど単独の、単費という形でございまして、支援の枠組みということではやはり縦割りの中で困っていらっしゃるというのが現実でございますので、これは今後、是非とも検討していただきながら進めていただきたいと思います。
 当時、岡崎大臣に質問したときに、この安心こども基金、例えば今三千七百億円の予算がありますけれども、一人五十万円ぐらい、マックスで。で、千二百人ですから約六億円の予算でこういう方々に対する支援ができるんだと、こういう提案もされておりました。
 そういう意味で、いろんなやり方ということは今後考えて、どうしたらそういうへき地とか離島の条件不利地域の方々に対する出産とか妊婦の方の支援をするかということは、是非とも大臣、検討していただきたいと思います。
 それで、安心こども基金に関しまして質問させていただきます。
 これは自公時代に、平成二十年度の第二次補正から、子供を安心して育てるということで安心こども基金、設置をされました。政権替わってからも継続をされておりますけれども、今年度末で期限が迎えます。この基金は、待機児童の解消とか子育て支援とか、児童養護施設の様々な社会援護の方々に対する支援ということでも大変大きな役割を担っているわけでございます。
 それで、今後、こうした子育て支援を今後どう考えていくかということで、安心こども基金を継続するのか、また別の形で考えるのか、この辺りが明確になっておりません。大臣、見解をお伺いします。
○国務大臣(細川律夫君) 御指摘の安心こども基金につきましては、平成二十二年度の補正予算におきまして、保育サービスなどの充実などに使うために一千億円の基金の積み増しをいたしまして、これが二十三年度末で事業実施期限が来ると、こういうことになっております。
 この安心こども基金の事業というのは、これは私どもとしても大変重要な事業でございます。したがって、今後もこれについては続けていきたいというふうに私は思っておりまして、来年度も安心こども基金そしてこの事業というのは是非続けてやってまいりたいと、このように考えているところでございます。
○山本博司君 是非とも、この継続も含めた形での、子育て全般をどうしていくかと、こういうことに関して今後しっかりとした議論をお願いをしたいと思います。
 次に、障害者の虐待防止に関しましてお聞き申し上げたいと思います。
 この障害者の虐待防止ということに関しまして、公明党は二〇〇五年に障害者虐待防止のワーキングチームを立ち上げました。そして、障害者の方々の虐待防止ということを様々な形で取り組んでまいりまして、二〇〇九年には、三月に当時の自公の、与党のプロジェクトチームが発足をしまして、私も様々な場面でここにかかわらせていただきまして、七月に法案が提出されたわけでございます。残念ながら、政権交代という形で廃案になりまして、その混乱によりまして廃案になって、同じく十一月に、みんなの党の方も含めて野党として再度提案をした経緯がございます。
 様々な形で今回、そうした与野党を超えてこの虐待防止法が制定をされるということは大変意義があるというふうに思います。今後、深刻化する事態を放置することなく、実効性のあるものとなるように取り組んでいかないといけないと思います。
 それで、平成二十二年に障害者虐待防止対策支援事業が実施をされております。このことに関しましての実施状況を報告いただきたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) 委員御指摘のとおり、平成二十二年度から今お話になりました事業が実施されております。
 具体的には、相談窓口の整備とかあるいはそうした問題についての対応強化を図るための研修の実施等々、都道府県の取組を促しているところでございますが、平成二十三年度の予算といたしましては、その事業費として四億三百二十六万が付けられているところでございます。今申し上げました予算は二十三年度の予算でございます。そして、平成二十二年度については、その対応の下で、十二府県におきまして関係機関等の協力体制の整備、研修の実施等も行われております。
○山本博司君 平成二十二年からの実施でございますけれども、なかなか法的根拠がないためにまだまだそう目立った実績もないということで、まだ十二府県しかこうした実施がされていないという大変心もとない状況でもございます。これはやっぱり本格的に取り組む必要があると思います。特に、相談窓口の強化、これが大変大前提になると思います。
 今回提案をされております障害者虐待防止法案では、対応窓口として市区町村に障害者虐待防止センター、また都道府県には障害者権利擁護センターの設置、これを義務付けております。ここを中心に、虐待の未然防止とか早期発見が進むように、二十四時間、三百六十五日の相談体制を整備する、これが大事だと思います。
 この対応窓口の実効性につきましてどのように確保していくつもりなのか、政府の見解を求めたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) 御指摘のとおり、今回の法案には第六章等にそうした市町村障害者虐待防止センターあるいは都道府県障害者権利擁護センター等の規定が盛り込まれております。こうした内容をしっかり支えていくために、厚生労働省において推進してきております障害者虐待防止対策支援事業においても、市町村や都道府県が地域の実情を踏まえつつ、相談窓口を設置し、障害者虐待の早期発見、迅速な対応を図ること等の取組を促しているところでございます。
 今般のこの法律が成立いたしました場合には、こうした事業を活用いたしまして、さらに市町村、都道府県の体制整備や相談等に対する、その対応に当たる者の専門性強化を図りまして、対応窓口が効果的に機能するようにしっかりと努力をさせていただきたいと思います。
○山本博司君 是非ともこの点、法案が成立した後の実行ができるような形でお願いをしたいと思います。
 また、この法案では、家庭内虐待の通報先を市区町村といたしまして、市区町村は、生命や身体に重大な危険が生じているというおそれがあると判断した場合には、家族の許可がなくても自宅に立入調査ができて一時保護ができる、そういう規定となっております。この点につきましても、大変実効性の確保ということが重要でございます。
 先日も、岡山県で母親による知的障害の十六歳の長女に対する逮捕監禁致死事件が発生をいたしました。このときも、児童相談所がもう少し早く立ち入ることができたら最悪の事態は免れたのではないかと、こういう指摘もございます。早期発見という観点から、こうした立入調査の権限、しっかりと行使できるような体制を整備することも大変必要であると思います。こうした課題に対しましては、今後しっかりと取り組んでいく必要がございます。
 そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、家庭や施設で障害者に対する虐待が深刻化しております。こうした虐待を早期に発見をして未然に防ぐ体制の整備が求められております。いよいよ法律の制定が目前となっておりますけれども、この障害者の虐待防止に向けました大臣の決意を最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 障害者の皆さん、ハンディを背負っている皆さんに対しての虐待というのは、これはもう人間の尊厳というのを傷つけるという、私としては、本当にこの世界であってはならないことが障害者の虐待というふうに考えております。
 そういう意味で、今回議員の皆さんによっての議員立法が成立をされましたら、これはもうその法律の趣旨にのっとって厚生労働省としてはしっかり施策を進めてまいりたい、このような決意をいたしているところでございます。しっかりやっていきたいと思います。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。