参議院 厚生労働委員会 第14号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、法案に入る前に、肝炎対策に関する課題につきましてお聞きを申し上げたいと思います。
 まず初めに、C型肝炎に関しましてお聞きをしたいと思います。
 薬害の肝炎問題では、被害者の早期一斉救済を図ることを目的に、平成二十年一月に薬害C型肝炎被害者を救済する特別措置法が成立をし、給付金が支給される仕組みができております。この給付金を受け取るためには、まず国などを相手取って損害賠償請求訴訟を提起することがその要件となっておりまして、製剤投与の事実でございますとか因果関係、また症状が確認された場合、給付金の請求ができることになる、こういう現状でございますけれども、残念ながら、この当時のカルテがなかなか存在しないという、保存期間五年間という形でございますし、四十年前ということもございますので、なかなか存在をしていない。この製剤の投与の事実が証明できないために給付金の対象外となる場合が多くあって、今現在救済を求めて訴訟が行われて、訴訟の中には担当医の証言で和解が成立したケースも出ていると思います。
 このC型肝炎の問題、大きな問題でございますけれども、それで、確認をしたいわけでございますけれども、このC型肝炎訴訟の提訴者数と和解の数は現状どのぐらいになっているのか。また、そのうちカルテのない方と和解をした数、これが分かるのであればお示しをいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 C型肝炎救済特別措置法に基づく救済を受けるためには、司法手続の中で製剤投与の事実、製剤投与と感染の因果関係及び感染者の症状に関する事実関係が確認される必要があります。これを受けまして、平成二十一年十二月末時点で法施行以降に提訴された方は千五百七十七人であり、このうち既に千百二十七人の方と和解が成立し、給付金が支給されています。
 また、和解については、今山本委員御指摘のように、カルテ等に限定することなく、医師等による投薬証明、記録、証言なども踏まえ、事案ごとに事実関係が確認されているところであり、カルテなどがないものの医師の証言を得ることなどにより和解に至った方は、平成二十一年十二月末時点で和解が成立した千百二十七人のうち百七十七人、約一六%となっております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 このカルテがあるかないかというこの部分で大きく差が出てくる、これはもう前、山井政務官も野党時代にこのことを熱心に取り上げられてきたと思います。
 例えば、二十年一月八日の厚生労働委員会とか、また一月二十一日提出の質問主意書におきましても、こうしたことに関しまして、カルテがあるないというのが運命の分かれ目で命のカルテなんだということをもう主張されながら、このカルテの実態調査、これしっかりやるべきだと、当時の舛添大臣に対しまして言われている部分でございます。
 さらに、こうしたカルテを具体的に探していくということは、なかなか病院の方々の、医療関係の方々、ボランティアということでは大変なので、この労力とかまた検索のための費用というのは国が負担すべきであると、そのぐらいしっかりこのことに関してはやるべきだということを発言をされている部分がございました。また、予算等に関しましても、二千億円ぐらいの予算を掛けてカルテが残っている人がいたらすべて救済をしていくんだという、かなりこういう熱心に取り組まれた部分がございました。
 政権交代になりまして、じゃ現在の政府の立場でこうした徹底した実態調査がされたのかどうか。この部分に関しまして、山井政務官の今の現状の部分を確認をしたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 これは私も何度もカルテのない患者の方々から御要望を受けておりまして、私の近所にも、確かにフィブリノゲンを使ったはずで、今肝炎で苦しんでおられる方ですが、どうしても、当時の産婦人科がもうなくなってカルテがないという中で今回の和解の対象になってないという方がおられます。そういう意味では、本当にカルテが見付かる見付からないというのは大きな本当に人生の分かれ目になると思います。そういう趣旨で、私も今までからカルテを鋭意探すべきだということを国会でもお願いをさせていただいておりました。
 この件につきまして、まず、平成十九年十一月七日にフィブリノゲン納入先医療機関に関して調査票を送付し、その結果を厚生省のホームページにも示しておりますが、その次、平成二十年には、まずは国が指示できるということで、独立行政法人国立病院機構の四十六病院に対しまして訪問調査を行いまして、また平成二十一年一月十六日にフィブリノゲン製剤納入先医療機関に対し、記録の精査及び元患者への告知の実施を依頼するとともに、記録の保管状況等についての再度調査を実施したところでありまして、また平成二十一年度においても、薬害肝炎の原告の方々からの要望によって、更に加えて厚生労働省管轄の十五病院の訪問調査を行って、年末までにその調査を取りまとめようとしておりましたところで、現在、その調査結果を改めて今精査をしているところでありまして、近々この調査結果は取りまとめたいと思っております。そして、当然、これによってカルテが見付かった方々に関しましてはできる限り住所を探し出して連絡をさせていただいております。
 そして、今回の一連のことで分かってまいりましたのは、今まで一度国立病院で調べてカルテがなかったところも、もう一度再調査をすれば手術室の倉庫の中から製剤の投与の事実が判明する書類が見付かった等の事例もあることから、また今回、近いうちに各医療機関に対しまして、このように今までないと言っていた病院にもカルテがあるというような事例がたくさん出てきたわけですから、各医療機関に対し訪問調査の結果を周知し、再度記録の確認及び保管の継続をお願いしようとしております。
 また、これまで多くの医療機関においてカルテ等の記録の確認及び元患者の方へのお知らせを行っていただいてきたところでありますが、更に多くの医療機関において記録の確認等が促進されるような方策を鋭意検討してまいりたいと思います。
 さらに、先ほどもっと多くの予算を掛けるべきだということを言っていたという趣旨の御指摘がございましたが、政権交代後、これはもう超党派でありますが、肝炎対策基本法が成立しまして、インターフェロン治療の医療費助成、今までよりも安くさせていただいたり、またB型肝炎に効果のある核酸アナログ製剤の医療費助成、今回四月から初めてスタートさせていただくと同時に、そしてこの肝炎対策基本法に基づいて肝炎対策の協議会が近々スタートすることになっておりますので、この肝炎対策協議会の中でも、患者の方や御遺族の参加の下、この患者の方々の支援をもっと予算を掛けてやることができないか、そういうことを議論してまいりたいと考えております。
○山本博司君 大変、今政務官の御発言なんですけれども、今お話しされたことというのは前政権ですべてやってきたことですよね。実際、調査も、平成十九年の十一月、平成二十年の八月、平成二十一年の一月、それ以降は、要するに山井政務官が、政権交代された後、具体的な形で、じゃ実態調査という形では熱心に取り組まれたという様子はうかがえないわけですね。現実的にこの四十六病院のうちの四十三病院が、記録がないというにもかかわらず四十三があったというのも前の政権でやった部分でございます。また、訪問調査やったのは前の大臣が原告団との話合いに乗ってやられた部分でございまして、今の山井政務官がこのカルテをともかく徹底してやらないといけないという実態の部分のこのありようからいうとまだまだ現実的には進んでないんではないかと。
 今二十八万人の製剤投与の方がいらっしゃいますけれども、それでは、このカルテが具体的に分かっている方はどのぐらいいるんでしょうか。また、山井政務官が前の大臣に対しましても、通知をすべきであるということを何度も、その数を把握しろということを言っていらっしゃいましたけれども、じゃ、今その通知を患者の方に、連絡が行っている方はどのぐらいいるんでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 確かにこれは前政権から調査がスタートしておりまして、その調査が今まだ続いておりまして、その結果の最終集計を今しているところであります。御指摘のように、これは非常に重要なことでありますので、更にその結果がしばらくしたらまとまりますので、その結果を踏まえて、更にどうすればカルテが新たに見付かるのか、そのことは取り組んでまいりたいと思っております。
 また、この支援状況におきましては、二千五十八施設におきましてカルテが保存していることが分かっているところであります。
○山本博司君 六千の施設に対してカルテが分かっているのは二千五十八施設でございますけれども、それはカルテ以外にも様々な、手術記録とか、それ全部含めての部分だと思いますけれども。
 もう一つ、患者の方々に対してどのぐらい通知をされたのか、されてないのかということに関してはいかがでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答え申し上げます。
 お知らせをできた方々が七千四百四十七人、五六%、お知らせができてない方が五千七百四十一人、四四%で、これも、せっかくカルテが見付かったのにお知らせができてない方に関して私も非常にこれは残念なことだと思っておりますが、その理由につきましては、残念ながら投与後に原疾患等により死亡された方が千九百六十二人、一五%、連絡先が不明又は連絡が付かない方は二千二百十五人、一七%、またウイルス検査の結果が陰性であった方が四百十七人、今後お知らせする予定のある方が二百六人ということになっておりまして、このことに関しましては、総務省と協力しながら、何とか住所を探し出して連絡をしていきたいと考えております。
○山本博司君 じゃ、この千九百六十二人、亡くなった方に対する遺族に対しては連絡されたんでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) それについてはまだ把握をしておりません。
○山本博司君 これは、山井政務官がやっぱり野党時代に、実態を把握しろ、患者の方々に対してしっかりやっていくんだということを言われた内容であるわけでございますので、やはりこのC型肝炎のカルテのない方々の様々な対策ということはしっかりやっていただきたいなという思いが強いわけでございます。
 それで、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、昨年十一月に成立をしまして本年一月から施行されております肝炎対策基本法、すべての肝炎患者を救済することを国の責務と定めているわけでございます。特定血液製剤を使用した可能性があるC型肝炎患者を広く救済する必要があると考えるわけでございます。
 そこで、こうしたカルテのないC型肝炎の救済をすべきと考えますけれども、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) まず、今、山井政務官からもありましたけれども、この和解された方のうち約一六%の方についてはカルテ等がなくてもお医者さんの証言等により和解に至っているということで、こういうカルテがない方のうち和解に至るだろう方々というのがおられるとまだ思いますので、そういう方々がカルテ等がなくても一定の基準で和解できるように、まずは周知、広報を更に強化をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 今こうしたカルテのない方々が全国でこういう運動を起こされていらっしゃると思いますので、カルテあるなしにかかわらず、やはり多くの方々が大変な御苦労をされていらっしゃいますので、是非とも現政権でその解決のための推進をお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、B型肝炎訴訟に関しましてお伺いをいたします。
 国が法律で義務付けました予防接種でB型肝炎ウイルスに感染をした方たちが国に損害賠償請求を行っておりまして、原告は全国十地裁で四百十九人にも上っている状況でございます。この中で、三月十二日には札幌地裁で和解勧告が出されまして、国が早く和解に応ずるように訴えているわけでございます。
 これも様々な委員会で多くの方が質問されておりますけれども、この和解に応じるべき、これはもう多くの民主党の議員の方が言われてきたことでございまして、五月十四日の期限までに、被害実態を詳細に調査した上で誠実に検討を行い、しっかりとした結論を出すべきと考えるわけでございます。
 患者の皆様、大変高齢化が進んでおりまして、肝硬変や肝がんで亡くなっている方が多くいるわけでございます。時間がない中で原告の皆様の心情を考えましてどのように対応されるのか、大臣に見解をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) もうこれは大変重要な問題であるというふうに考えておりまして、これはもう内閣全体で取り組む課題であるということで、先日も総理大臣始め官房長官や私や仙谷大臣、財務大臣、法務大臣等々と打合せをさせていただき、その後も関係閣僚と鋭意今協議をして、連日今事務方間では協議をしているということでございます。
 今おっしゃられたように、五月十四日の金曜日というのがこれがもう期限でございますので、それまでに我々しっかりと協議をして、責任ある発言ができるように準備をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 今回のこうした問題に関しまして仙谷大臣がリードを取られているとお伺いしておりますけれども、なぜ内閣の官房長官が中心にならなかったんでしょうか、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これは官邸サイドで、これは一閣僚で取り組む問題というよりも、もう総理大臣をトップとした内閣全体で取り組むべき課題であるというようなことで、官邸周辺の閣僚ということで仙谷大臣になったんではないかというふうに考えております。
○山本博司君 この間にも質問がありましたけれども、原告団の方々、お会いをすることはないんでしょうか、和解前に。
○国務大臣(長妻昭君) これも私どもも申し上げさせていただいていることでございますけれども、お会いをして、そこでもちろんお話をしなければならないのはこの和解の話であるということだと思います。
 その意味で、我々としては、五月十四日の期日までに誠心誠意協議をして責任ある発言ができるようにしていくということでございますので、それまでしばしお待ちをいただきたいというようなことでお会いを今申し上げていないということであります。
○山本博司君 やはり山井政務官は、この問題に関しましては、昨年の四月の委員会等でもこのことに関してしっかり言われているわけでございまして、この部分に関しまして、やはり一日も早く和解に結び付ける、これが薬害肝炎の教訓だったんじゃないですか、C型薬害肝炎の方々があそこまで頑張ったのは自分たちだけのためではないんです、三百五十万人の多くの肝炎患者全体の救済のために頑張られたんですよ、それを、あれとこれとは別だ、B型肝炎は一人一人訴訟してください、これはおかしいんじゃないですかと、このように言われて、和解に関しましても、是非大臣会ってくださいと、このように言っているわけでございますけれども、政務官、これはどうなんでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 その思いは私は今も当然変わっておりません。
 政権交代後、まさに超党派で皆さんのお力によりまして肝炎対策基本法を成立することができまして、その中にまさに皆さんが盛り込んでいただきましたように、最高裁でのB型肝炎の集団予防接種の問題も書いていただいて、その中で国の責任というものもB型肝炎については初めて法律の中で明記をされました。また、それを一つのステップとして、年末の予算の中で、今年の一月から、これも初めてB型肝炎に効果のある核酸アナログ製剤への医療費助成がスタートをさせていただくことができました。そして、その次が今回の訴訟の問題だと思っております。
 今、政府を挙げて取り組んでおりますが、今、山本委員から、なぜ仙谷大臣が担当なのかということでありますが、これについては、実は薬害肝炎の訴訟の際に、B型・C型肝炎の民主党の対策本部の本部長が菅直人さんでありまして、その本部長代理が仙谷さんでありまして、当時から薬害肝炎の原告と仙谷さんは会われ、また、集団予防接種のB型肝炎の原告の方々とも仙谷さんは何度も会われまして、この肝炎対策基本法のベースとなった原案を中心になって作られたのも仙谷さんでありまして、まさにそういう肝炎問題、今までから仙谷議員が大変熱心に取り組んでこられて、原告の方々とも今までから会っておられると、そういうこともありまして今回その取りまとめ役となったわけでございます。
○山本博司君 是非とも、今まで言ってきたこと、これは違うじゃないかという様々な指摘にならないように、人間山井和則、一人間として是非とも政府の中で頑張っていただきたい、このことを訴えておきたいと思うわけでございます。
 続きまして、薬害肝炎の件に関しまして最後の一問。
 平成二十年五月に初会合が開かれました厚生労働省の薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会、先月三十日に、薬害再発防止に向けての国の責任を明確にして、薬事行政を抜本的に見直すべきとする最終提言をまとめたわけでございます。提言では、薬害防止には行政だけでなく製薬企業や医療関係者、研究者らの協力が必要だと指摘し、具体的には、患者からの副作用報告制度や薬事行政を監視する第三者組織の設置、薬害教育の実施などを求めているわけでございます。この委員会は、平成二十年の一月の薬害肝炎訴訟の和解合意に基づきまして設置され、薬害被害者も加わり、約二年間に合計二十三回の会合を重ねておりまして、この提言は大変重いものがあると認識すべきと考えます。
 こうした薬害を二度と起こさないためにもこの提言を速やかに実施すべきと考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 私も前回の会合にも出席をさせていただいて、あいさつもさせていただきました。
 この検討会は、平成二十年五月から約二年間にわたって御議論をいただいて、これ今月中に最終提言を取りまとめると、正式には、そういうふうに聞いているところでございまして、この中には、安全対策の充実強化や医薬品行政を監視、評価する第三者組織の設置などが盛り込まれる予定だというふうに考えております。
 私としても、本当にこの提言の内容を真摯に受け止めて、もう二度と厚生労働省として、この薬害が起こらないように、起こさないように実現可能なものから迅速かつ着実に実行をしていきたいと。二度と薬害が起こらないようにしていくと、起こさないようにもしていくということが本当に重要だということは私も肝に銘じているところでございまして、尊重して取り組んでまいります。
○山本博司君 是非とも、この薬害肝炎、大きな問題でございますので、救済も含めた対応をお願いをしたいと思います。
 続きまして、予防接種の法案に関しまして触れたいと思います。
 今回の新型インフルエンザのワクチン接種を契機としまして、我が国の予防接種行政の抜本的な見直し、これが求められていると考えるわけでございます。WHOが接種を勧奨するワクチンが二十一種類あることに対しまして、我が国で定期接種化されているワクチン、これは九種類でございまして、こうしたワクチン接種の重要性を認識しますと、予防接種法の対象となる疾病の拡大とか、また任意接種の定期接種への引上げ等、これも必要であると考えるわけでございます。これに対しましてアメリカでは、WHOが定期接種に入るべきと勧告しているワクチンの中で日本脳炎とBCG以外のワクチンはすべて定期接種となっておりまして、その結果、ワクチンで防げる疾病の罹患が大変少なくなっている状況でございます。
 特に、これまでも、今日も様々な議論となっておりますけれども、昨年承認されましたHibワクチンとか小児用肺炎球菌ワクチンとか、さらにヒトパピローマウイルスとかによる子宮頸がんワクチンなどは、ワクチン接種による発症率の軽減に大きな効果が発揮されるために更なるワクチン接種率の向上が求められておりまして、定期接種への引上げが重要でございます。
 ワクチンで救える命がある限り、副作用への対策を十分に行った上で、こうしたワクチンの早期承認、また定期接種化について取り組むべき、こう考えるわけですけれども、大臣、まずこの見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 私がワクチンの中でも優先順位が高い三つということを申し上げるのは、Hibワクチン、そして子宮頸がんのワクチン、そして肺炎球菌ワクチンでございまして、この三つとも今おっしゃられたようにWHOが推奨するすべての地域に向けて勧告ということでありますが、日本国ではこれは法定の接種にはなっていないということになっております。
 その意味で、昨年末に設置をいたしました予防接種部会で、先生方にも専門的見地からも御議論をいただいて、特にこの三つに関しまして精力的に御議論をいただきたいというふうに考えているところでございまして、その議論が整った後、最終的に政治的判断をしていこうということで今検討をしているところであります。
○山本博司君 続きまして、同じく今後の部会の議論となると思われますけれども、費用負担の在り方についてどう考えていくかということが課題でございます。公衆衛生的に感染の蔓延を防ぐという観点では、個人の罹患を防ぐという観点との兼ね合いを考えますと、接種費用の負担の在り方について検討をする必要がございます。
 子宮頸がんワクチンに対しましては、新しい年度が始まったことから、幾つかの地方自治体で接種費用の助成を実施をしております。しかし、これは、先ほどの議論もありましたように、自治体の一般財源に頼ったままでございまして、このまま将来的には地域の財政状況によりまして接種機会の格差が生ずる可能性があるとの指摘もあるわけでございます。今後、任意接種の定期接種への引上げが困難な状況であれば、国として、低所得者世帯への費用助成措置だけではなくて、地方自治体によって自己負担にばらつきがあるという状況を解消するために、任意接種に対する助成制度の制度化など取り組む必要があると思います。
 こうした接種費用の在り方、またどのように考えていくおつもりなのか、大臣の見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 今、子宮頸がんのワクチンを例に出しておっしゃられましたけれども、地方自治体によってもこれはばらつきがあるということでございます。先ほど申し上げました子宮頸がんワクチンは、その三つの優先順位の高いワクチンの中に入っておりますので、まずこれを予防接種部会の中で検討をいただくということであります。
 そして、今おっしゃられた趣旨は、法定の接種でなくても公費助成の検討をというような御質問でもあろうかと思いますけれども、その観点に関しましても同じ予防接種部会の中で御議論をいただきたいということでお願いをしているところであります。
○山本博司君 今までの議論ですと、こうした法改正を含めて来年に提出をされる予定であるということでございますけれども、先ほどからの議論ございますけれども、もし、こうした子宮頸がんワクチンであるとか、助成をするために予算化をする、前倒しをしていくという可能性もあると、こう考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今のお話までのなかなか我々もことを申し上げるという今段階ではないわけでございますけれども、これは先ほどの繰り返しでございますが、優先順位は高いワクチンの一つでございますので、厚生労働省としてもしっかりと検討をしていくということであります。
○山本博司君 是非とも早く推進をお願いをしたいと思います。
 最後に、この予防接種の抜本改正に向けた大臣の決意をお伺いをしたいと思います。今まで議論されましたけれども、大変大事な部分でございますので、大臣、この決意を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) やはり一つは、このワクチン行政というのは、これは広く公衆衛生あるいは医療の行政の観点からなされるべき問題に加え、やはり国家の危機管理という側面もある非常に重要な政府全体で取り組む課題でもあるというふうに思います。
 その一方で、ワクチンというのは有効性がある部分もありますが、その裏腹にリスクもある、副反応もあるということも国民の皆様に正確に伝え、その情報を共有をしていく、そういう、ここでも御指摘ございましたけれども、アメリカにあるようなACIPのような仕組みというのも、だからこそ必要ではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、これは非常に重要な危機管理の側面もございますので、午前中の鳥インフルエンザのお話もございました、危機管理の観点からも、しっかりと専門家のみならず国民の皆さんの広く合意もいただくような形で抜本改正をしていきたいと思います。