参議院 厚生労働委員会 第18号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。本日は、年金確保支援法案に関する年金の課題とともに、牛肉の放射性セシウム問題についてお聞きを申し上げたいと思います。
 最初に、牛肉の放射性セシウム問題、汚染牛の問題につきまして質問をさせていただきます。
 今、福島委員からもお話ありましたように、今、こうした汚染牛の問題ということで全国様々な影響がございます。先ほども給食で、実際、東京二十三区では牛肉を使わないという形の区がたくさん出ていると、六つあるということも報道されておりました。また価格も暴落をしております。その意味で、消費者の方々、不安解消のためにも、各県、JAも含めまして、全頭検査をそれぞれ自主的に行っているというのが今の実態でございます。
 こういう不安を解消するための、その意味で本当の各県のそうした判断でございますけれども、この今の実態に関しまして御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(梅田勝君) 全頭検査における各県の対応でございますが、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県及び新潟県におきまして、独自に全頭検査又は全戸検査を行う方針を示したことは県を通じて承知しております。
 厚生労働省といたしましても、自主的に全頭検査を実施する自治体については、具体的な自治体側の要望を踏まえながら、必要な検査が行えるよう、関係省庁と協力し、対応してまいりたいと考えております。
○山本博司君 今日の報道でも、全国の十一県で全頭検査を実施をしていると、こういうふうな調査も出ておりました。ただ、今、本来であれば、これは国の、政府の行政のミス、失政です。怠慢からこの今の様々な形で影響が出ているわけでございまして、国がしっかりそれをやらないといけない。現状では、全頭検査に関しましても、なかなか機械がない、ゲルマニウム半導体検出器、二千万円ぐらい掛かる機械がないために、例えば宮城県なんかのケースですと、八月一日から県内三か所で一日約九十頭ぐらい実施をするという形で、一頭当たり二万円の費用が掛かるということも言われております。
 様々な形で各県で自主的な形でやっておりますけれども、じゃ、具体的な検査の機器の水準であるとか、また検査方法のこうした検査基準、これが妥当性があるかどうか、こういうことも含めて国がしっかりとした統一基準を出して、全頭検査を国がやるべきであると、こう思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) まず、結論的には先生御指摘のとおりでございます。国が統一基準を示して対応をしなくてはならないと思っております。その大前提は、例えば牛を全部東京なりある一か所に集めて検査をできるわけではございませんので、各自治体の御協力をいただかなくてはできませんので、だからこそ統一的な基準を設ける必要があるというふうに思っております。
 ゲルマニウム半導体検出器については、かなり精緻な対応ができますが、これについても一定の補正等をどういうふうにするかということも自治体にお示しをしなくてはなりません。それから、ゲルマニウム半導体検出器が、これが製造にも時間が掛かります。またコストも高いために、簡易検査機器を導入してはどうかというお声が大変たくさんございますので、この簡易検査機器の技術的な要件の検討を含め、必要な検査を行えるよう、現在、基準づくりと関係省庁との調整をしている最中でございますので、先生の御趣旨に沿うようにしっかり対応させていただきたいと思います。
○山本博司君 やはりこれはしっかり国が、各省庁またがっておるわけですので、連携をしてお願いをしたいと思います。
 昨日、公明党は、鹿野農水大臣にこの問題に関しまして、今の全頭検査のこと、また全頭買上げのケースも含めまして緊急的な提言をしたわけでございます。
 今日は、田名部政務官、来ていただいております。ちょうど大臣は、厚労省と連携を取りながら全頭検査に関しましてもやっていくと、こういう発言もされました。この対応をどうしていくのかということと併せて、じゃ、稲わら以外の様々な面は大丈夫なのか、例えば土壌の面に関しましてもどうなのかとか、例えば野菜とか果樹はどうなのか、こういう不安もございます。こういう点も含めて見解をお示しいただきたいと思います。
○大臣政務官(田名部匡代君) 消費者の皆さんの信頼を回復するためには、市場に出ているものは安全なんだということを、その体制をしっかりつくっていくことが何よりも重要だと考えております。
 補正予算にも盛り込みましたけれども、機器の導入も含めてその体制の構築を図っていきたいと考えておりますし、今答弁ありましたように、都道府県においては全頭検査をしたいと強い要望を持っておられる自治体もありますので、でき得るだけその自治体の要望を聞きながらそれに支援ができるように、厚生労働省ともしっかり連携を取って進めてまいりたいと考えております。
 また、もう一点の御質問でございますけれども、当然、原発事故後、放射性物質が土壌にも降り積もっているわけですので、そういう意味では作物が土壌中から放射性物質を吸収するということが考えられるわけでございます。
 このため、お米についてでありますが、福島県を始めとする十一県で実施をいたしました水田土壌の調査の結果から見まして、土壌中の放射性セシウムの濃度が五千ベクレルを超える地域については、生産したお米が食品衛生法上の暫定規制値を超える可能性が高いということからお米の作付け制限を実施したところでございます。
 この土壌調査に当たっては、土の上に置かれた稲わらごと取って、それらにも含まれる放射性セシウムを検査をしているわけなんですけれども、この土壌調査の結果、高濃度の放射性セシウムが含まれる稲わらが出たところでも五千ベクレル以下となっています、調査の結果ですね。さらに、作付け制限の対象となっていない地域についても、その生産されたお米については、土壌中の放射性物質の量などから見て必要な場合にきっちりと検査をしていくという体制を整えているところでございます。
 さらに、先生が御指摘になられました果物であるとか野菜、これについても収穫後に検査をしているということでありまして、現在、実は福島県の中でも原発の事故後には非常にホウレンソウなど暫定規制値を超える数値が出た野菜が多かったわけですが、現在は暫定規制値を超えるその値、また量というものが非常に少なくなってきています。
 とはいえ、きっちりとした検査をする、その体制を整えるということが、生産者にとっても、また消費者にとっても信頼回復、また安心、安全につながってくると思いますので、その体制をこれからも強化をしていきたいと考えているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 もう是非とも、農水省、厚労省を含めまして国としてこの問題を、対応を早急にお願いをしたいと思う次第でございます。
 田名部政務官、この後、質問ございませんので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○委員長(津田弥太郎君) 田名部政務官、退席して結構です。
○山本博司君 義援金に関しまして、一点御質問をさせていただきたいと思います。
 今週の月曜日の災害対策特別委員会でも岡本政務官に質問をさせていただきました。義援金の支給ということで、二十二日現在、三千五十三億円ということで、まだ三二%しか被災者に行っていないという問題もございまして、かなり改善はされておりますけれども、都道府県によって様々な違いがあるということもございます。
 一点、今回のケース、支給基準の不公平感ということで御質問をしたい部分でございます。
 これは岩手県のケースでございますけれども、震災前は一戸建ての二階に住んで、一階に両親、二世帯住宅でございました。自宅は津波で全壊をして、家計は大変苦しい中、こうした形での義援金、また生活支援金ということであるわけですけれども、一階も二階も住民票は別々でございます。また、光熱水費も公共料金も半額ずつ負担をしていると、こういう状況で、被災者生活支援金に関しましては二世帯分受けられたわけでございますけれども、義援金は一世帯のみ、母親の世帯のみでございました。ところが、宮城県では住民票が別々であれば各世帯支給をされております。ですので、県によってこの支給基準が違いがあるということでございまして、被災地に大変不公平感が広がっているわけでございます。
 生活実態が二世帯、こう証明されれば本来であれば配分されるべきと、こう考えるわけですけれども、統一見解も含めた厚労省の見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(清水美智夫君) 日赤等の義援金につきましては、今回初めて厚生労働省、協力したものでございます。
 その理由でございますが、今回の震災被害が広域にわたっておりまして複数県の間での調整が必要であったと、こういう今回特有の事情がございまして、日赤等から要請を受けまして、都道府県間の配分に関して私どもお手伝いしたというものでございます。
 元来、義援金は、日赤経由のものに限られずに、他の団体経由のものでございますとか県への直接のものなどがございまして、各県におかれましては、それらをまとめて、各々の義援金配分委員会を設置して、その責任と考え方の下に被災者に配付されているところと承知してございます。各県におかれましては、その地域の実情に応じ、また、各県の過去の災害の義援金の配付実績などを踏まえて対応されていると承知してございます。
 義援金の個々具体的な配付につきましてはこのような実態となっておりまして、厚生労働省という立場は都道府県に指示をするような立場に置かれてございません。私どもとして、統一基準といったものを作ることはなかなか難しいのではないかと思っております。
 ただ、仮にでございますけれども、岩手県の方から日赤に対しまして、宮城県あるいは福島県と同様の取扱いを行いたいという、仮にそういうお申出があったとするならば、その分、義援金配分の増額をというお求めがあった場合におきましては、現段階でありますれば、まだ日赤には若干の調整財源がございます。したがいまして、日赤は県からの相談に応ずるのではないかなというふうに思っておるところでございます。
 したがいまして、私といたしましては、本日、この場で先生からこういう御指摘があったということを岩手県庁それから日赤に伝えてまいりたいというふうに考えてございます。
○山本博司君 是非とも、この義援金の精神からいって、やはり不平等感のないような形で是非とも取り組んでいただきたいと思う次第でございます。
 それでは、本来の年金確保支援法案に関しまして質問を申し上げたいと思います。
 まず、無年金・低年金者対策ということでお伺いをしたいと思います。
 今回の法律改正の大きなポイントでございます国民年金保険料の納付可能期間、二年から十年への延長、これは高齢期における所得の確保を支援する観点から考えますと、大変重要な点であると考えます。法案が成立しまして事後納付が実現をした場合、最大どのぐらいの人が受給につながるのか、報告をしていただきたいと思います。
○政府参考人(榮畑潤君) 今回の措置でございますが、これが実現いたしますと、六十五歳未満の方につきましては最大約四十万人の方が将来の受給権の確保が可能となると、年金権が発生することになると。それから、六十五歳以上の方でも最大約八千人の方が受給資格期間の二十五年をクリアして年金が受給できるようになるというふうに考えてございます。
○山本博司君 これだけ多くの方たちに影響を与える改正でございまして、納付したいという人が納付できる環境をつくるということは大事な点であると思います。
 ただ、本来の原則は給付期限までに保険料を納めるということでございまして、いつでも保険料を納めていいということになりますと、この原則を軽視することになります。結果として年金制度の趣旨をゆがめてしまうことにもつながります。
 今回、衆議院の段階で事後納付できる期間を三年間の時限措置とする修正が行われました。期限を切ったことで、一人でも多くの納付したい人がしっかりと三年間の期限までに納付できるように周知を徹底すべきと考えます。特に、事後納付することですぐに年金をもらえたり、年金額がアップすることが可能となるこれまで年金を受給できなかった六十五歳以上の方には、改正の趣旨を丁寧に説明をして、この制度を活用していただく工夫というのが厚労省に求められていると思います。
 そうした制度や手続の広報についてどのように行うのか、お示しいただきたいと思います。
○政府参考人(石井信芳君) お答え申し上げます。
 お尋ねにございました制度の内容あるいは手続、こういった面の周知についてでございますけれども、まず、年金事務所などの窓口にリーフレットを用意をする、こういうことを考えております。また、政府広報、さらには厚生労働省や日本年金機構のホームページ、こういったものも活用してまいりたいと考えております。
 そして、特になんでございますけれども、十年経過が間もなくに近づいておられる方など、古い時期に未納期間がある方、こういう方々から優先しましてその対象となる方々へのお知らせをお送りをしたいということを考えておりまして、今年度には日本年金機構におきましてそのために必要なシステム開発を行うこととしているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。是非とも、この広報活動を含めた周知をお願いしたいと思います。
 納付率の向上に関してお聞きをしたいと思います。
 納付率六〇%を切る厳しい状況であるということでございまして、この改善ということが大変大事でございます。平成十六年の制度改正を機に、コンビニであるとかインターネット等でのそういう決済による納付が可能となってございますけれども、やはり更なるこうした納付環境の改善、また不断の改善というのが大変大事であると思います。
 大臣に、この納付率向上の決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この納付率につきましては、まず、年金機構に対して中期の目標ということ、これについて私どもの方から年金機構の方に指示をいたしておりますけれども、その中で、まず低下傾向に歯止めを掛け、これを回復させるように努めることというふうにまず指示をいたしております。
 そしてまた、二十二年度、これは納付率は過去最低となりました。そういうふうになりましたけれども、その中でも、やや低下傾向に歯止めが掛かりつつあるという兆しも見られるところでございます。それを年金事務所単位で見ますと、前年度では全ての年金事務所、三百十二か所で低下をいたしておりましたけれども、この二十二年度につきましては約二割、六十か所の年金事務所で前年よりは納付率が向上、上昇しているということになっております。また、低下幅でございますけれども、二十一年度の低下幅は二・一ポイントの低下でありますけれども、二十二年度の低下幅は〇・七ポイントということで、その低下幅については三分の一程度になっておりまして、この低下傾向には歯止めが掛かりつつあるというふうに認識をいたしております。
 したがって、今後はこういうこの低下傾向、これをしっかり確実なものというふうにしていかなければなりません。そのためには、まず保険料を納めやすい環境整備ということで、例えば口座振替とか、あるいはコンビニでの納付、あるいはクレジットカードでの納付の推進とかいうようなことの環境整備を整えていきたいと。そしてまた、納付が困難な方への免除の勧奨など、きめ細かい対策を一層力を入れて年金機構を指導してまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 私、四国・中国地域を回っておりまして、特に離島とかへき地に参りますと、島民の方、住民の方との懇談会をやりますと、必ず年金の相談というのが大変多いわけでございます。特にこうした離島とかへき地の方々の年金相談の充実というのは、大変私も回っておりまして実感をしております。日本年金機構では出張相談ということをしておるわけですけれども、現実的にはこういう離島等はほとんどなくて、本土に行ってその本庁で受けてくださいというケースがございます。やはり、そうした地域におきましてもこの年金相談を行っていく。
 ちょうど瀬戸内海には済生丸という医療の船がございまして、四県、島々を回っております。今、社労士会の方々がこの済生会の方と一緒になって年金相談をしていこうというふうな相談も進められているところでございます。ただ、コスト的にはなかなかその負担が掛かってくるということで、こうしたコスト面に関しましてやはり支援をしていただきたいということも様々要望を受けております。
 こうした離島、へき地での年金相談の充実ということに関しまして、御見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(石井信芳君) 離島あるいはへき地、こういった地域、お住まいのお近くに年金事務所がないということで、住民の方々への年金相談の実施、大切な課題であると考えております。
 取組といたしましては、まず、年金事務所の職員あるいは年金機構から社会保険労務士会に委託をさせていただきまして、その委託を受けていただいた社労士さん、こういった年金事務所職員や社労士さんによる市町村の出張所や公民館を活用した出張相談、これを現在実施をしております。あるいは、日本年金機構では年金相談のコールセンターも設けておりますので、もちろんお電話でお問い合わせいただくということにも応じておるところでございます。
 この社労士会への委託ということを先ほど触れましたけれども、当然、業務をお願いする以上、その経費についてはお支払いをするということでやっておりますが、具体的には厚生労働省で予算措置をしましたものを日本年金機構に交付金という形で交付しておりますが、その中でこういった社労士会への委託による年金相談事業に要する費用、これも手当てをしておるところでございます。
○山本博司君 是非とも、日本全国、こういう平等な形での年金相談の充実をお願いをしたいと思います。
 この無年金・低年金者対策といいますのは、平成二十年の十一月二十七日に、自公政権時代でございますけれども、取りまとめられました社会保障審議会年金部会における中間的な整理の中で方向性が示されておりました。その中の一つとして今回の改正になっている保険料の二年から十年への追納期間の延長も示されたわけでございます。
 これ以外にも、国民年金の適用年齢の見直しや国民年金の育児期間中の保険料免除など様々な提案があり、納付率の向上に重要な提案があったと考えているわけですけれども、今回の改正には含まれておりません。これはなぜ含まれていなかったのかという点が一点。
 また、基礎年金の受給資格期間の見直しに関しまして、我が国の現行制度は二十歳から六十歳までの四十年間の保険料の納付義務が課されております。そのうち二十五年の保険料納付で基礎年金の受給資格期間を満たすことになりますので、この受給資格期間が一定の年金額を保障するという最低保障的な機能があるものの、受給資格期間、これを満たさない場合は一切受給できないという、こういう問題もございました。そこで、この受給資格期間、十年程度に短縮をして、納付した保険料はできる限り年金給付に結び付けられるようにすべきであるという意見も先ほどのこの中間的整理の中に指摘をされております。
 公明党も、昨年の参議院選のマニフェストの中でこの基礎年金の受給資格期間の見直しについて提唱してまいりました。この基礎年金の受給資格期間の見直しに関しましてどのように政府は考えているのか、また今回の改正に盛り込まなかった理由も含めましてお示しをいただきたいと思います。
○副大臣(大塚耕平君) 二点御質問をいただきました。
 まず一点目は、平成二十年の十一月の社会保障審議会年金部会における様々な指摘がありましたものをその一部しか今回盛り込まなかったのはなぜかということでございます。
 無年金・低年金問題への対応は私どもも大変重要だと思っておりますので、その当時御提示いただいた懸案については順次対応をさせていただきたいと思っておりますが、今回は昨年三月に提出したこの法案、昨年三月時点に提出をしておりますので、まずは納付可能期間を十年に延長するということを盛り込まさせていただいたということでございます。
 それから、二番目に御質問をいただいた受給資格期間二十五年の短縮でございますが、これにつきましては、六月三十日に決定をいたしました社会保障・税一体改革の案の中でもやはりこの問題を指摘をさせていただきましたので、今後、社会保障審議会年金部会を八月にも立ち上げまして、制度化に向けた具体的な議論を進めさせていただきます。
 六月三十日の案に至る過程でも何度かお示しをした文書の中には、社会保障制度は継続性が必要であるために、政権交代前に自公政権下でお示しをいただいた報告書等を継承しつつ、しかし今度は私どもの新しい考え方もそこに加味しながら一体となってしっかりと改革を進めさせていただきたい旨申し上げておりますので、この受給資格期間の短縮については、とりわけ見解の一致しているところでございますので、しっかりと対応させていただきたいというふうに思います。
○山本博司君 是非その点は推進をしていただきたいんですけれども、一体民主党はこの二年間何をやってきたんでしょうか。年金に関しまして一番力を入れたはずじゃないんでしょうか。それがこの改正の中にも、また今後出す中にも含まれていない。
 このマニフェストに関しましても、先ほど石井委員からも指摘ございました。民主党は、このマニフェストの政策、主要政策、ことごとく破綻をしている、国民の約束をほごにしているということが明らかでございます。この税と社会保障の一体改革でも明確な年金改革の姿を示しておりません。年金改革における年金の一元化、最低保障年金の全額税方式、一体民主党の主張はどこに出ているんでしょうか。
 この年金の改革案、このことに関しまして、大臣、お示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 新しい年金制度につきましては、私どもは、所得比例年金と最低保障年金、これを組み合わせまして一つの公的年金制度にいたしまして、全ての国民の皆さんが加入する、そういう方向性を目指しております。これは、今の年金制度を抜本的に改革をする、こういうことでありますから、これには国民の皆さん方の合意が不可欠でございます。
 また、自営業者も含めます一元的な制度を実現をする、そのためには、一つには、社会保障と税にかかわる番号制度、これをまず導入、定着をさせなければいけないということ、また、そして歳入庁の創設など、税と社会保障の保険料、これを一体的に徴収する体制の構築など、そういう環境整備が必要でございます。
 こうしたことから、今般の改革案の成案では、新しい年金制度につきましては、方向性と骨格を示しまして、国民的な合意に向けまして議論と環境整備を進めて実現に取り組むことといたしているところでございまして、与党の民主党におきます検討状況なども見ながら、政府として引き続き必要な検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 具体的な年金制度の工程が全く見えていないわけですね。スケジュールも明確でないわけです。ですから、先ほど大塚副大臣、この年金に関しましては政争の具にしたくないということを言っていらっしゃいましたけれども、今まで政争の具にしてきたのは民主党じゃなかったんでしょうか。ですから、その反省に立って、この年金制度に関しましては推進をしていこうという、そういう表れだと私は受け止めたわけでございますけれども、最後に大臣、この基礎年金の国庫負担割合維持のための財源確保策、最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この基礎年金の国庫負担二分の一につきましては、これは、二十三年度の当初予算につきましては、臨時財源をしてこれを維持する、こういうことにしておったところでございます。しかし、三月十一日、震災が起こりました。したがって、第一次の補正予算にその財源を充てる、こういう応急的な措置をいたしまして、この二分の一の財源が確保できなくなったところでございます。
 私どもとしては、これについては本当に残念でありましたけれども、この年金財政への穴埋めは早急にしなければいけないというふうに思っておりまして、現在はこの二分の一を確保するための法案を提出させていただいておりますけれども、今度の三次の補正予算、これが組まれる、そのときに、震災の復旧のために使った二分の一の財源についてはこれを返してもらう、年金の特会の方に返してもらうという、そういう要請を強く今いたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、委員が御心配のように、年金財政が不安定にならないような、これは私としても最大の力を入れましてこれを戻してもらう、そのために最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 以上です。ありがとうございました。