参議院 厚生労働委員会 第18号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 今日は、国民健康保険法の改正案の質疑、それからうつ病に関しまして質問を申し上げたいと思っております。
 その法案に入る前に、私も、今日、丸川議員、また西島議員も質問をされましたB型肝炎訴訟等の問題に関しまして質問をまずしていきたいと思う次第でございます。
   〔委員長退席、理事小林正夫君着席〕
 九日に和解等の報道が先ほどあったということでございまして、今日も全国からB型肝炎訴訟の原告団の方々が来ていらっしゃいます。今日の傍聴席にも札幌原告団の方々含めて全国から来ていらっしゃるわけでございまして、この九日の報道に関しまして一筋の光が見えたという希望とともに、これからどうなっていくのだろうかということも含めて、何とか十四日までのあと残り三日間、その和解協議の前に関係閣僚六大臣への面談も含めて今日も回られているわけでございますけれども、残念ながら現段階では五月十四日の発表以降ということで、まだそういう状況でもないということで大変残念な状況でございます。
 それで、今日は午前中、午後も同じ質問があったかも分かりませんけれども、インターネット等初めて聞かれる方も多いわけでございまして、長妻大臣に誠実に答えていただきたいと思います。
 まず、九日のこの和解協議の報道ということがございましたけれども、鳩山総理にお会いをされ、話をされたということでございます。このことに関しての検討状況と、また、なぜあと三日間という五月十四日までの面談が、何とか会っていただきたいということに関して会わないのかという理由も含めて、まずお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) この前の日曜日に、総理大臣、官房長官、菅大臣、仙谷大臣、千葉大臣、私と、あとは事務方も含めて協議をさせていただいたということです。
 まず、大前提としてございますのは、このB型肝炎の問題というのは非常に重要な大きな問題であって、政府挙げて内閣挙げてきちっと取り組んでいくと、これがまず大前提にあるわけでありまして、だからこそ総理をトップとして政府を挙げた体制を取らせていただいているということであります。
 そして、期日というのが五月十四日にまず札幌地裁で参る、そしてその次の週には福岡地裁で期日が来るということでございますので、まずは五月十四日にきちっとした我々は回答を申し上げるということで、今も最終的な協議を続けていると、こういう段階でございますので、我々としては責任あるお話ができるまで、なかなかお会いしてそういうお話が、責任あるお話ができない前にお会いすることは難しいという旨お伝えをさせていただいているところであります。
○山本博司君 今日の原告団の方々も、昼間、公明党でも山口代表の下お話を聞かさせていただきました。札幌原告団の方々、提訴されてから二人お亡くなりになっていらっしゃるというお話も聞きました、和解勧告された後ですね。提訴から十人の方が亡くなっていらっしゃるということで、本当に皆様方がもう時間がないという中、何としてもその道筋を付けていただきたいということで来られているわけでございます。
 五月十四日、仮にその和解協議がスタートするということであれば、そうした原告団の方々、真っ先に会っていただけると、このことはお約束いただけるでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これについても、まず五月十四日にどういう回答をするかということが今最終的な協議の段階でございますので、まだ確定的なことを申し上げるということの段階ではございません。
○山本博司君 大変残念ですね。長妻大臣が野党時代、山井政務官もそうでございますけれども、やはりこういう場合、命を守る立場という形で全力で取り組まれた、そのやっぱり政治家としての、与党になった段階で非常に冷たいという印象を与えてしまうということがもう本当に残念でならないわけでございます。
 今回のこの和解協議等の中でも救済対象範囲をどうしていくかということが一つの大きな論点になったのではないかということで議論をされていらっしゃいますけれども、例えばこの札幌地裁の和解勧告では、予防接種を受けた事実がある方、いわゆる母子手帳がない方の原告でも被害者と認めていくということであるとか、母親が死亡している原告の方も被害者と認める。ともかく、この札幌地裁といいますのは救済範囲を広くとらえた形の和解勧告であったわけでございます。
 今回、その論点の中に、長妻大臣はこうした予防接種の事実がある方々に対して、私は当然全員救済していく方向で考えていくべきであると思うわけでございますけれども、大臣の今個人の考えとしてはいかがなんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられたことも、これは大きな論点であるということは私もそのとおりでございます。ただ、五月十四日の回答、どういう回答をするのかについて最終的な今協議の段階でございますので、そういうお話も今この場では差し控えたいと思います。
○山本博司君 やはりこのB型肝炎の方々とか、若しくはC型肝炎の訴訟もそうでした。ハンセン病の問題もそうです。やはりこうした、もう本当に難しい問題だと思いますけれども、政治家が体を張って、特に厚生労働大臣の責任を担っている長妻大臣が自らやはり先頭に立って、救済範囲をも含めた方々を広く救済するということで当たっていかないと、当然政府としては財源の問題とかいうことを考えていくわけでございますから、一体大臣はどちらの立場で動かれるんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これはもう先ほど来申し上げておりますように、この問題というのはこれは本当に重要な問題で、政府を挙げてきちっと取り組むべき問題であるということは総理大臣始め共有をしております。皆様方が御納得いただくような、そういう結果となるように私は全力で取り組んでいくということであります。
○山本博司君 長妻大臣は鳩山総理に対しまして、九日、どのような角度でお話をされたんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これについては、これまで協議をしている我々のいろいろなデータを集めた資料を説明を申し上げ、あるいは、かつて最高裁で判決が出て、それはどういう判断だったのか、そして現状と比べるとどういうことが考えられるのか、いろいろなシミュレーションといいますか、いろいろなケースを含めて我々がこれまで関係各大臣と話した内容を総理に御報告をしたと、こういう状況であります。
○山本博司君 具体的にその救済の対象の方々であるとか、また財源であるとか、そういうことも話されたんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) それについてもいろいろなケースについてお話を申し上げましたけれども、ただ、詳細な話ということにはまだ至っておりませんで、今の段階では五月十四日にどういう回答をするかというようなことについての協議をしたということであります。
○山本博司君 やはりこうした和解という形で、大変もうこれは大きな問題でありますし、難しい問題だと思います。
 ただ、一方で、こうした和解協議という形で、和解協議に入らないと今回の参議院選挙に不利であるとか、そうしたことを一方で言う方もいらっしゃるわけでございまして、やはり多くの原告団の方々、その予防接種も全く自分の責任じゃない形でもって御苦労されていらっしゃるわけでございます。家庭が壊れ、仕事を辞め、様々な思いで御苦労されている方々の思いを一番重く受け止められる方、それが今、長妻大臣だと思います。
 その意味で、この二日間、あと、十四日ということで、残された期間でございますけれども、是非ともそういう思いを受けて全力でやっていただきたい、その決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これは本当に政府挙げて取り組む重要な問題だということで、我々としてもきちっと取り組んでまいりたいと思います。
○山本博司君 山井政務官、いかがでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答え申し上げます。
 一日に百二十名もの方が肝炎などの病気でお亡くなりになっている、年間四万人の方がお亡くなりになっておられます。
 そして今、山本委員おっしゃいましたように、そもそも最高裁の訴訟が始まったのは今からもう二十年以上前でありまして、B型の集団予防接種の札幌での訴訟は十八年の訴訟の末に最高裁で三年以上前に結審も出ていると。そういうことを踏まえた今回の新たな訴訟であるわけですから、そういう長い長い経緯、その間、最高裁での判決の際にも、そのときの原告の方はお二人お亡くなりになってしまったという悲しい現実もあるわけでございます。
 そういう意味でも、政府を挙げて誠実に対応をしていかねばならないと考えております。
○山本博司君 是非とも、本当に一人の命の重みでございますので、今日多くの方々が来られているわけでございますし、見ていらっしゃいますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 それでは、法案の部分に入ってまいりたいと思うわけでございます。
 今回の法改正に関しまして、それぞれの保険者間の財政調整とこれまでに実施をしてきました国民健康保険に関する財政支援措置の延長を主な内容としております。
 しかしながら、これまでの議論で明らかになったことは、抜本的な改正を先送りする中で制度の基本的な部分を唐突に変更し、関係者の納得も得ないまま導入しようとしたことでございます。すなわち、後期高齢者医療制度への支援金の算出方法の一部に総報酬割を取り入れた問題であるわけでございまして、これは皆様言われている指摘の部分でございます。
 高齢者の医療費をどのように負担するかという制度の問題であるならば、現在行われております高齢者医療制度の見直しの中で議論すべきでございまして、一定の方向性が見えた段階で負担をお願いする、そういうプロセスを経るべきと考えるわけでございます。そういうプロセスを経ていない現段階では総報酬割を導入すべきではないと、このように考えまして、その部分につきましては公明党として修正案を用意してございます。
 また、今回の改正案では、予算編成段階での検討を受けて、平成二十二年度から二十四年度までの特例措置として、支援の三分の一に相当する部分に関してのみ総報酬割が導入をされております。
 そこで、大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、この支援金につきまして、今後全額を総報酬割に変更をしていくお考えがあるのかどうか、新しい制度に変更するまでには、この三分の一という割合は一切変更しないというお考えなのか、この点に関しまして確認をしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 今回お願いしている措置というのは、三年間ということで、平成二十四年度末まで協会けんぽの財政再建を目的として立てた計画の中身ということでもございます。
 今の御質問については、その後、今後どうするのかということでございますけれども、基本的には高齢者医療の費用負担でありますので、これについて今、後期高齢者医療制度に代わる制度の検討会を開催をしておりますので、そこでの議論にもなろうかと思っております。
○山本博司君 この健保の財政状況、これは参考人の方々の意見でも言われておりましたけれども、これは大幅に悪化をするということが出てくるわけでございまして、こうした費用負担の増加が結果として保険料の引上げを招く可能性があると思いますので、こうしたことを慎重に対応する必要があると思う次第でございます。
 それでは、ちょっと質問を別に移らさせていただきたいと思います。
 時間の関係で、うつ病対策に関しまして、この後質問をしたいと思います。
 警察庁の統計によりますと、この自殺者、今三万二千二百四十九人のうち六千四百九十人、これがうつ病が原因の自殺と、このように言われておりまして、うつ病の患者数は百万人を超えておるということでも大変多い数でございます。また、うつ病を含む軽い気分障害ということになりますと一千万人を超えて、一生のうちに十人に一人がこうした症状に陥るということも言われておりまして、大変私たちの身近な大きな心の病ということがこのうつ病という問題でございます。
 私たち公明党は、こうしたうつ病対策、国民の命を守るためにも、平成二十年四月にうつ病の対策のワーキングチームを立ち上げました。そして、関係団体とか専門家との意見を重ねまして、同年の七月に政府に対しまして、うつ対策としての具体的な提言をさせていただいた次第でございます。今日はその中から質問をしてまいりたいと思います。
 まず、うつ病の現状ということに関しまして御報告いただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) まず最初に、公明党がこの間、うつ病対策に対しまして非常にリーダーシップを取って取り組んでこられましたことに敬意を表したいと思っております。
 今、山本委員御指摘のように、自殺の中でも最も多い要因の一つがうつ病となっておりまして、また、平成八年の四十三万人であったのに対しまして、最新の状況では百四万人を超えまして、二・四倍と大幅に増加をしております。さらに、男性に比べて女性の方が二・五倍も割合が高いということも言われております。三万二千二百四十九人の平成二十年度の自殺者の中でも、その中でも、うつ病が原因、動機として推定できる者は六千四百九十人と最も多い状況になっておりまして、その意味でも、うつ病対策というのは待ったなしであると、緊急事態であるというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 私たち公明党の提言では、このうつ病の早期発見、早期治療、こういったことでございますとか、治療の中でも精神療法の拡充、また労災の休業補償とか、安心をして治療に専念できる社会づくり、また、患者の方々の社会復帰のプログラムの整備、こういったことを含めました十七項目の提言をさせていただいた次第でございます。
 そこで、早期発見、早期治療ということに関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 その中でも、特に今この精神疾患休職者の三分の二が休職直前まで、休む前まで精神科を受診をしていないということが東京都の教員の方々の調査で判明をしているわけでございます。ですので、この定期健診を受けるということ、早期発見をするということが大変大事であるというふうに思っております。東京都も定期健診の中にメンタルヘルスチェックを追加するということを発表しておりますけれども、厚生労働省の中で自殺・うつ対策プロジェクトチームを立ち上げられて、労働者の健康診断の項目にうつ病を加える法改正、労働安全衛生法を視野に入れて検討をしているという報道もございました。大変重要でございまして、こうしたことを推進をすべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) うつ病については早期に発見をして適切な治療をするということが肝要でございます。その中で、これだけ今増加をしているわけでありますので、労働者の健診項目にうつ病を加えるということについて検討しようということで、労使併せた検討の場でそれを議論をしていただくということにしているところであります。
 そのときに、いろいろな論点があると思いますけれども、例えばうつ病であろうというふうに企業の健診でなった方について、例えば企業が、いろいろな不利益な、その方について、逆にそういうことがないように細心の注意を払っていく。むしろ、そういう方に対して手厚い治療が受けられるようなそういう環境を整備していただくというようなことなど、いろいろな論点がございますので、これについても注意深く議論をして、今の方向で私は実現をしていきたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 やはりこうした健診で早期発見をしていくということが大事なことであると思いますので、是非とも推進をしていただきたいと思います。
 続きまして、公明党が、治療方法ということで精神療法、認知行動療法の拡充ということを提言をしてまいった次第でございます。これには、今のうつ病治療、大変薬物に頼っているということが多く言われております。読売新聞等のアンケート調査等でもそうしたことが記載をされておりましたけれども、やはり多くの方々が副作用の問題とか、また軽い場合での問題等、様々この薬に頼った今の在り方そのものがどうなのかということがあるということでございまして、私たちは、精神療法、特に認知行動療法、この報酬改定を付けるべきだというようなこととか研修の実施、医師のそうした方々を増やしていくということを提言をしてまいりました。
   〔理事小林正夫君退席、委員長着席〕
 今回の、政府として、報酬改定が保険適用ということで四月からなったということを聞いております。また、夏からもこうした医師の方々の研修も増えていくということでございましたので、この認知行動療法の取組に関してまずお聞きをしたいと思います。
 そして、当然こうした部分は、医師を増やしていくということと併せまして、長期的には臨床心理士とか医師に代わって精神療法をやる方々を増やすことも大変大事であると思います。こういう点も含めまして、大臣の見解をお聞きをしたいと思います。
○大臣政務官(足立信也君) 今議員がおっしゃいました点、三点あったと思います。それを端的に申し上げます。
 認知行動療法の重要性、特に薬物に頼らないということについては非常に重要なものがあると思います。今御指摘ありましたように、診療報酬改定、二十二年度で新たに認知行動療法というものの評価を創設しました。四百二十点です。これが一点目。
 それから二点目は、先ほどもありましたが、今年の夏から国立精神・神経医療研究センターにおいて、認知行動療法を積極的に行える医師の養成のための研修を実施する予定です。
 それから三点目、今、チーム医療のことがございました。これは臨床心理士等の職種の方でございますけれども、本年度から心理職等精神保健医療研修というものを実施しようという予定にしております。
 以上、三点です。
○山本博司君 実際、この研修に関しましてですけれども、今年からスタートということで、予算が一千万ということでございます。実際、イギリスでは、この認知行動療法、医師を含めた研修に掛かるお金が約百三十億ということでけたが違うわけでございまして、今大臣の下でプロジェクト等でも、うつ病の方や自殺者の方が社会的な経済損失ということを出されていると思いますけれども、約二兆円近い経済的な損失があるということを考えたときに、まだまだこうした予算というのは非常に少ないのではないかと思います。そういう面での予算を含めた形での拡充を要望していきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいたように、イギリスでは、うつなど精神疾患によって経済的損失が幾らかと、こういう数字を出したところ、日本円で数兆円になったということで、それに一定の税金を掛けて取り組むということで国民の理解が進んだというふうに聞いておりまして、日本でもそれの損失額を今算定をしつつあるところでございます。そして、このうつ病については、本当に国民病になりつつあるんではないかというような問題意識の下、やはり国挙げて取り組む必要性がうつ病等の精神疾患についても出てきていると、こういう認識を持っております。
 今の足立政務官の答弁は、認知行動療法のお医者さん向けの研修でしたけれども、これは一般の、例えば近所のお医者さんに自分がうつ病だと気付かずに別の体調不良ということで行かれて、お医者さんも御自身も気付かないということもございますので、開業医の皆様方にもうつの研修というのが今進んでいるところでございます。
 いずれにしても、今の予算規模も含め、取組というのはかなり拡充しなければいけないという問題意識は持っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともその部分の予算を拡充しながらの普及をお願いを申し上げたいと思います。
 また、公明党が提言をした内容の中で、うつ病患者の方々が安心して治療に専念できる社会づくりという観点から提言をさせていただいた次第でございます。そういうことを含めまして、相談体制の整備とか、うつ病対策の啓発等の部分でのメンタルヘルス対策支援センター、これが設置をされて体制整備が進んだと言われておりますけれども、この概要に関しまして御説明いただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答え申し上げます。
 メンタルヘルス対策支援センターは、地域における職場のメンタルヘルス対策の中核的機関として全国四十七か所、各都道府県に一か所設置をしております。ここにおきましてはメンタルヘルス不調の予防から復職支援まで、職場のメンタルヘルス対策を支援しております。
 具体的には、労働者や事業者からの職場のメンタルヘルス対策に関する相談への対応、メンタルヘルスの専門家による職場の体制づくりに関する訪問指導、さらに職場の管理者に対する教育に関する支援などを実施しております。
○山本博司君 このメンタルヘルス対策センターが設置をされたわけでございますけれども、現実的には事業主に対しまして、例えば相談対応とか復職支援を含む心の健康対策、心の健康づくり計画ということを策定するようになっているわけですけれども、二〇〇七年時点では事業所の割合の三三・六%しかできておりません。また、計画策定に至っては一三・八%ということで、規模の小さい事業所ではなおさらそういうことの対策が遅れているという現状がございます。
 また、こうした対策支援センターでの研修とか、相談窓口しかないというところも現実的でございまして、やはりこうした環境整備を進めていくためには、更に予算の拡充、また人員の確保ということが言われているのではないかということでございまして、その点に関しましてどのようにお考えでございましょうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これ、事業所規模が小さいほど取組が遅れているということでございます。労働者健康状況調査報告によると、従業員五千人以上だとほぼすべてがメンタルヘルス対策に取り組んでいるという企業の割合でございますけれども、十人から二十九人でありますと三割ぐらいということにもなっているところでありまして、今おっしゃられたように、そのメンタルヘルスケアに関する問題を解決するための計画策定は一三・八%ということであります。
 お話をお伺いしますと、対策に取り組んでいない理由としては、専門スタッフがいない、あるいは取り組み方が分からないということが多いわけでございますので、今後、メンタルヘルスの専門家による企業への訪問支援の件数を増強させていこうと。平成二十二年度は目標支援件数を約一万件に置いておりまして、前年度が八千四百件でありますので増強をする、あるいは管理職に対する教育も拡充をしていくというようなことで取り組ませていただこうと考えております。
○山本博司君 この環境整備という意味では予算が四・九億円ということでございます。先ほどの予算ということもございましたけれども、やはりこれからこうした整備の部分にはお金が掛かるわけでございますので、是非とも拡充をお願いをしたいと思います。
 続きまして、厚生労働省の取組ということでお聞きをしたいわけですけれども、やはり隗より始めよということで率先垂範ということが大事でございます。
 文科省では、学校の先生方、今精神疾患で休職した人の数というのは五千四百人いらっしゃるそうでございまして、大変多いということで、東京都ではそのための具体的な職場復帰の支援プログラムということで体制を整えているそうでございますけれども、厚労省として、今こうした病気休職中の、精神疾患で休職されている方々の数はどのぐらいいらっしゃって、舛添大臣の時代ではアクションプログラムということで、例えば七時に帰ろうマイホームキャンペーンだとか、メンタルヘルスの専門相談とか、厚労省を挙げて取り組んでいたということを聞いております。大臣としてどう取り組まれるか、そのことをお聞きをしたいと思います。
 また、総合的なうつ対策を今後どうするかということも最後にお聞きして終わりたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) まず、厚生労働省を調査いたしますと、昨年の七月一日現在で精神障害等による休職者数は百八十八人というのが最新の数字であります。分母といたしましては三万八千六百八人中の数字であります。
 そして、まず隗より始めよということで、省内におきましても、前の政権から引き継いでおりますけれども、十九時に帰ろうマイホームキャンペーンということで、毎週二回、水曜日、金曜日、これは全職員に対する電子メールを送信をして、育児中の方は早期に帰っていただこうということと、毎月十九日を一九ということで育児の日と決めて省内で情報共有をすると。そしてもう一つ、数値目標というのもこれ掲げさせていただきまして、かなり高い目標でありますけれども、厚生労働省内で男性職員の育児休業取得率の数値目標は、年度中に子供が生まれた人の一〇%に取っていただけるような数値目標と取組を今後していきたいと思っております。
 そして、全体的な厚生労働省のみならないメンタルヘルスの取組でありますけれども、まずは、一番の数字としては自殺者の方々を減少をするということで、昨日、警察庁による発表によりますと、今年四月の自殺された方が二千四百九十三人ということで、前年同月比一八・七%ということで大幅に減少をしているということでございます。我々、政権交代後、特に福島大臣を始め政権挙げて自殺について対策のキャンペーンを繰り広げてまいりまして、ハローワークでもそういう相談に乗る体制をつくる等々取り組んでまいりました。
 そして、うつ病対策については、薬漬けではなくて、先ほど言われた認知行動療法等々の拡充をしていく、そして御自宅に訪問するアウトリーチも取り入れていくと。そして、企業にとっては早期で発見する体制、健診の体制、企業のみならず取っていく。そして、うつ病を始め精神疾患が今や国民病になりつつあるという大きな認識を持って、それによる経済損失額も算出して国民の皆さんの理解を求めていくと、こういうことが肝要ではないかと考えております。