参議院 厚生労働委員会 第20号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、児童扶養手当の法案の内容と、先日、参議院におきまして決議が行われましたハンセン病問題の解決につきましてお伺いを申し上げたいと思います。
初めに、ハンセン病問題に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
一九〇七年に最初の癩予防ニ関スル件という法律が成立してから百年以上が経過をしまして、官民一体となった無らい県運動で、ふるさとから一方的に拉致をされて不条理な人生を送った方たちが受けた被害は現在までも様々な形で続いているわけでございます。現在では十三の療養所で約二千四百二十七人の入所者が生活をしておりまして、年々入所者の数は減っております。また、平均年齢も八十歳を超えており、高齢化に伴いましての身体機能の低下や視覚機能の低下によりまして、日常生活の不自由さや多様な医療の必要性、これはますます増してきているわけでございます。
これまでも私は、岡山県の長島愛生園、また邑久の光明園、香川県の大島青松園、東京都の多磨全生園などを訪問をしまして、園長、施設職員の方々、また入所自治会の方たちの声を伺ってまいりました。大変様々な御苦労をされながらも、今、課題、要望ということをお聞きをしたわけですけれども、その大きな要望の一つは、安心して医療、介護が受けられる、このことの要望でございました。
平成二十年の通常国会で成立しましたハンセン病問題の解決の促進に関する法律、昨年の四月一日から施行されましたけれども、その中でも、入所者の方々の医療及び介護の体制整備について必要な措置を講ずること、このような規定がございます。今回の参議院の決議におきましても、政府においては、国の事務及び事業の合理化及び効率化の必要性は理解しつつ、入所者の実情に応じた定員及び療養体制の充実に万全を期すべきである、こううたわれ、大臣もその所信を話されたわけでございます。入所者が減少する中で、行革を推進するための定員削減計画、これは進められる中でございますけれども、このハンセン病療養所における必要なサービスを確保するための職員体制、これは確保すべきと考えるわけでございます。
そこで、この法律の趣旨も踏まえて、また決議も踏まえまして、この入所者の医療、介護の体制につきましてどのように取り組んでいかれるのか、まずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これについては、今おっしゃっていただいたような高齢化などなど、いろいろな今問題があるところであります。その一方で、入所者の方々について減少をしておりますけれども、職員の定数については微減にとどめるというようなことで、職員の数と入所者の数がちょうど平成十八年ぐらいから逆転を、職員の数の方が多くなっている、だからこれは削っていいという単純な話ではございません。
まず、平成二十一年度は八十七人の削減があったところ、平成二十二年度においては五十五人と削減数は低く抑えました。その一方で、めり張りを付けるということで、今年度において、言語聴覚士については逆に十一人増員する、あるいは看護師については二十五人増員すると。これは国会でもいろいろ御指摘をいただいておりますので、そういう措置をとらせていただいているところであります。
いずれにいたしましても、これは本当に、今まだ差別という問題も依然としてこれ残っていて、国としても更に更にこれ広報活動などに取り組む必要がございますので、この療養所については我々もきちんと中身を見て、適切な対応というのを今後とも取っていきたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
やはり、私も回らさせていただきまして、それぞれの療養所によりましての違いがあると思います。長島愛生園とか、大島もそうでしたし、多磨もそうでしたけれども、やはりどんどん、様々な形で日常生活ができなくなってくる。不自由者棟ということに、そこに集まってこられるわけですけれども、そこに介助される方のなかなか人手がいないということが、現実的には、入所者の方々は毎日おふろに入りたいんだけれども、大体週三回とか週二回になってしまっているというふうなことも現状はございました。
また、食事の介護に関しましても、やっぱり人が少なくなるということで、ハンセンの方々は指がありませんから、その指に輪ゴムでスプーンを付けながら介助員の方が介護するわけですけれども、そういうこともなかなかできないということで、配膳の中で犬食いのような状態のケースもあると、そういうことも実際行われているんですよと。そういうやはり、様々な地域によっての事情があるということもお訴えをされておりまして、こういう点も含めまして、やはりずっと差別を受けてこられる方々に対してのそういう医療・介護体制の充実を是非ともお願いをしたいと思うわけでございます。これは後でまたお話をしたいと思います。
続きまして、もう一点。やはり、国が最後の一人まで責任を持つ、この態度はきちんと堅持していくことが大事でございます。その上で、長きにわたって国の隔離政策、ハンセン病問題に対する真実の歴史や正しい認識、このことに関しましても国民に知っていただいて、風化をさせてはいけないと思います。十三の療養所にも歴史的な経緯ございまして、建物とか資料の保存にこれは取り組むべきだと考えるわけでございます。
先日も東村山の国立ハンセン病資料館を見学をさせていただきました。その資料の展示の中を見させていただきましても、そのハンセン病の歴史、また、らい療養所での生活、そして、生きるその希望のためにそれぞれ文学であるとか、また陶芸をしながらそのあかしをされているという、様々なこの資料館がございまして、年間三万人が見学をされているということでございます。また、長島愛生園にもこうした歴史記念館というのがございますけれども、なかなかそうした意味での予算が付いていないということも現状ございます。
その意味で、このハンセン病に対する正しい理解をするためにもこうした取組というのは大変大事であると思うわけですけれども、この点に関しましてお伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(足立信也君) 今委員からは、正しい認識と、そして今までの歴史的にどう取り組んできたかということをしっかり伝える必要があるという御指摘があったんだと思います。
認識につきましては、もうほぼ国民の皆さんは御理解されていると思いますけれども、もう年間数例ではありますが、日本では感染されるけれども、もう治療法が確立されているというような疾患でありまして、歴史的な事実関係の展示についてですが、厚生労働省は、厚生労働省主催によるハンセン病問題に関するシンポジウムの開催、全国の中学校等へのパンフレットの配布、国立ハンセン病資料館の運営というようなことをやっております。また、平成二十一年から、六月二十二日をらい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日とし、厚生労働省主催による追悼、慰霊と名誉回復の行事を実施しております。そしてまた、入所者が地域交流を行うための施設を利用して、歴史的資料の展示等を行い、ハンセン病の歴史を伝えているハンセン病療養所もあるというふうに承知しております。
そしてまた、昨年、先ほど来言及のあります二十一年四月から施行されたハンセン病問題の解決の促進に関する法律、これにおいて歴史については普及啓発その他必要な措置を講ずることとされておりますので、今後とも、ハンセン病に関する偏見、差別の解消、そして名誉回復のため、ハンセン病であった方々などの関係者との協議を踏まえつつ、一層普及啓発に努めてまいりたいと、そのように思っております。
○山本博司君 実際、この長島愛生園でもこの歴史記念館、約一万人の方が見学されるそうですけれども、これはこの施設の中で学芸員の方一人いらっしゃいますけれども、施設の中の予算でございますから大変厳しいのが現状でございまして、大変古い建物でございます。こういうことも含めて、今国立資料館というのは国で二億円の予算が計上されておりますけれども、こうした各療養所での歴史を残していこうという、今将来構想ということがございましたけれども、そういったことも含めて、是非とも検討をして拡充をしていただきたいと思います。
続きまして、この地域開放に関してお聞きをしたいと思います。
このハンセン病問題の解決の促進に関する法律の第十二条には、国は、入所者の生活環境が地域社会から孤立することがないようにするなど入所者の良好な生活環境の確保を図るために、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民などの利用に供するなど必要な措置を講ずることができると、こう記されております。
この基本法の理念を生かすために、今、十三の療養所では地域への開放とか地域との共生について検討を進めておりますけれども、例えば大島青松園は、離島でございますのでなかなか地域のニーズと合う形ができないということで難しい面もございます。また、多磨の全生園では保育園の設置要望が出されておりますけれども、国有地でございますから賃借料が高いとか固定資産税等の問題で高いハードルが存在をしているわけでございます。
こうした地域開放に関しての政府の取組をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(足立信也君) まず、総合的な話でございますが、御指摘のハンセン病問題解決促進法、この精神にのっとって、まずは入所されている方々や地域の住民の方々との、御意見ですね、この意見をよく聞いて、そして国立ハンセン病療養所が地域社会から孤立することのないように、地域開放に向けた取組を進める必要があるというふうに考えております。
先ほど委員も訪れられたというふうにおっしゃっておりました多磨全生園、具体論でございますけれども、地域開放のための施策として、敷地内で保育所の運営を行うこととしております。そして、その運営者を募集することと、もうそういう段階までなっております。これは、高齢の入所者にとってお子さんとの触れ合いが生きがいになる、待機児童の解消にもつながるというようなことで、有意義な地域開放に係る取組と、そのように思っております。
賃貸料等の交渉については大分改善されたというようなことを聞いております。ですから、まずは、各施設において入所されている方々とそれから施設管理者を中心によく話し合っていただく必要があると。その上で、入所されている方々やその地域の方々の意見をしっかり酌み取りながら、その地域開放に向けての支援を取り組んでいきたいと、そのように思っております。
○山本博司君 今これ本当に、大島青松園でも、現状なかなかこうしたプランが出てこないということも含めていろいろ悩んでいらっしゃるわけでございます。また、多磨全生園に関しましても、保育園の賃借料が、前一千平米で一千万ではないかと言われていましたけれども、それが百三十万ぐらいになったということはお聞きをしております。まだまだ現状高いわけでございまして、そういうことも含めてしっかり対応していただきたいと思います。
最後の質問でございます。大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、このハンセン病施策に係る予算が平成二十二年は四百七億八百万円でございまして、平成二十一年度の四百二十二億一千七百万と比較して減少しております。こうした入所者の減少に伴いましての運営経費が少なくなるということは理解できるわけですけれども、今先ほどの医療等の問題とか、また歴史保存というような問題とか、こうした施策の拡充には十分に予算も含めて取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
大臣、このハンセン病療養所に大臣になってから訪問したことはあるのかどうか、そういうことも含めてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 療養所については、私は大臣になって訪問したことはございません。ただ、ハンセン病の皆さんの会に出席をさせていただきまして、皆さんのお話を聞いてごあいさつもさせていただいたということはございます。
そして、予算の件でありますけれども、平成二十二年度予算においては四百七億円、前年度に比べて確かに約十五億円が減っておりますけれども、これ、一つは和解金というのが減っている、和解の方の数が減少しているということが要因としてもございますし、あるいは入所者の減少、あるいは人事院勧告による経費の減、これは職員の給料も減らしておりますので、その部分もございます。あるいは、整備期間を複数年度化したことによる施設費の減などもございますが、いずれにしても、これは入所者の療養のための必要な経費を含めて、怠りないように我々取り組んでまいっております。
先ほど委員からも御指摘がございましたけれども、入浴の件とか食事の件とか、そういう問題もあるというふうに御指摘いただきましたので、それについてももう一度、改善をどういうふうにすればできるのか否か、それを各部局、担当部局に検討させていきたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございます。
昨日は、天皇皇后両陛下が駿河の、静岡の療養所に、十番目ですか、の療養所を訪問されたということでございました。もう是非とも、大臣、政務官、副大臣を含めて、このハンセン病療養所の実態を含めて是非とも見ていただきながら、施策の充実をお願いをしたいと思います。
それでは、法案の中身、児童扶養手当法案についてお聞きをしたいと思います。
今回の法案、これまでの母子家庭に対する経済的な支援である児童扶養手当の支給対象を父子家庭にも広げるということで、これは大変重要な改正であると考えるわけでございます。父子家庭の置かれている厳しい状況を考えますと、もっと早く対応すべき課題ではなかったかと思います。
そこでまず、この冒頭に、このような改正案を提案をした趣旨につきまして確認をしたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
一人親家庭は、母子家庭であるか父子家庭であるかを問わず、育児と生計を一人で担わなければならない等、様々な困難を抱えておられます。特に、近年の経済情勢等により、母子家庭のみならず、それまでには雇用が安定し収入が比較的多いと言われていた父子家庭においても経済的に非常に厳しい状況に置かれている御家庭が増えているところでありまして、児童を監護し、かつ生計を同じくする父子家庭の父を児童扶養手当の支給対象とすることにしました。
○山本博司君 ありがとうございます。
この一人親家庭の生活の安定と自立、この促進に寄与するという制度の目的をかなえるためには大変重要な改正であると思いますけれども、なぜこれまで母子家庭のみに限っていたのかということをお聞きしたいと思います。
私は、一昨年の十二月のこの厚生労働委員会におきましても、父子家庭が児童扶養手当の支給対象になっていないということを指摘した上で、父子家庭に対しても国として何らかの支援、このことを行うべきではないか、質問を行いました。この質問に対しまして、当時の厚労省の答弁は、平均で見ると、父子家庭の経済的基盤は母子家庭よりもかなり良い状況にあるため、財政が厳しい中では慎重に検討すべきであるということ、また父子家庭に対しては、子育てや家事の面でのニーズに対応した支援を重点化する必要があると、こういう理由から支給対象にはならないと、こういう答弁でございました。
そこで、これまでの児童扶養手当の対象をなぜ母子家庭にのみ限っていたのか、またこれまでの考え方を改めて、父子家庭にも支給対象を広げるのはなぜなのか、この点に関しましてもお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
まさに、山本委員も今までこういう委員会で御主張してくださったことが積み重なってきて今回の改正につながってきたんではないかと思っておりますけれど、なぜ母子家庭のみに限ってきたのかということでありますけれど、これは一般的に父子家庭に比べて母子家庭の方が収入が低いというようなことがありまして、そしてまた、今までの実態調査によりますと、母子家庭の困っていることのトップは家計であったと、経済的な問題であったと。ところが、父子家庭に関しては、平成十五年までは家事がトップであったわけで、家計は二の次で、第二の困っている内容になっていたわけですね。ところが、平成十八年以降、四〇%ということで、一番の父子家庭の困っていることのトップも家計、つまり経済的な貧困ということになってきたわけであります。
そして、平成二十一年には、全国市長会や全国町村会からも経済的な支援を父子家庭に対して求める要望が出てまいりましたし、今日も傍聴にお越しをくださっておりますけれど、父子家庭の方々がNPOの活動として全国でネットワークをつくられて、やはり今非正規雇用が増えたり、あるいはお子さんを子育てすることによって転勤ができなくて、転勤を断ったら首になったとか、それで正社員としては残業があるから働けずに、お子さんと暮らしているから非正規雇用にならざるを得なかったとか、そういうふうな声をやっぱり全国の父子家庭のお父さん方も上げ出されました。
やはりそういうことを通じて、父子家庭の中にも、もちろんこの児童扶養手当というのは所得制限があるわけですから、母子家庭並みに経済状況が厳しい方々に関しては経済的支援をするべきではないかという、そういう結論に至ったわけでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
平成十八年の国民生活基礎調査、このことが何度も出ておりますけれども、全世帯の一世帯当たりの平均所得金額五百六十四万円になっている一方で、平成十八年度の全国母子世帯等調査におきましては、母子家庭の一世帯当たりの平均所得額二百十三万円に対しまして、父子家庭は四百二十一万円ということで、確かに大きな差はあるわけでございますけれども、近年のこうした経済状況、大変父子家庭の方々、生活に困窮している場合も少なくないと思います。
今、政府として、最近の父子家庭の経済的な状況、まずどのような認識であるのか、お伺いをいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
全国で約二十万世帯というふうに推計しておりまして、年間の平均収入は四百二十一万円であり、全世帯の平均である五百六十四万円よりは低いわけでありますが、母子世帯の平均である二百十三万円に比べると比較的高い水準にあります。一方で、三百万円未満の父子世帯が全体の三七%であります。つまりこれは、高所得層の父子家庭の世帯が多数存在するために平均が押し上げられている一方、個々の世帯を見れば、家計収入が低い世帯も一定数存在しているという実態があるものと分析をしております。
非正規雇用の増大など近年の雇用環境の悪化というものがありまして、父子世帯の中にも母子世帯同様に経済的にも非常に厳しい状況に置かれている方々も一定数いるものと考えており、その方々に児童扶養手当が必要であると、そのことを通じて生活の安定と自立を促進したいと考えております。
○山本博司君 この景気状況の中、急速に、今お話ありましたけれども、非正規労働者の比率が高まっているということでございます。雇用の安定を望むのであれば、正規労働者として雇用されること、これは大変重要でございます。父子家庭の方々、今日も全国父子連の方々が、衆議院からもうずうっと傍聴されていらっしゃいますけれども、本当に大変な思いでこの就労ということに関しては御苦労されているわけでございます。
それで、この父子家庭の正規労働者化に向けた取組状況、これはどのようになっているのか、また具体的な就業支援策に関しまして大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 父子家庭の非正規雇用の方々についての正社員化への支援あるいは就労支援ということでありますけれども、当然、一般施策についてもそれを御利用いただけるわけでありまして、それはもちろんでありますが、特に父子家庭ということに絞りますと、マザーズハローワークという事業がございます。これは平成二十二年度で百六十三か所のハローワークでやっておりますけれども、働くお母様のみならず働くお父様について支援をさせていただくということでございます。これについて、特に一人親の方々への支援を強化するように、これは指示をさせていただいているところでございます。
そして、公共職業訓練の離職者訓練、これを充実をさせるとともに、託児サービスを提供するということで、平成二十二年度は三千人の方が職業訓練を受けながらお子さんを預けるサービスを利用して職業訓練を受けていただいていると、こういうようなものについても、我々、これからも推進をしていきたいというふうに考えております。
そして、正社員への取組を推進するための、父子、母子のみならず一般の雇用者に対する政策についても、これからも推進をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 今日の午前中からのやはり論議等でも、この父子家庭に対する就業支援に関しては余り具体策がないということで、例えばこのマザーズハローワークに父子家庭のお父さん、行ってくださいということが果たして現実的なのかどうかということも含めて、まだまだこうした父子家庭の方々に対して就業支援策という、この対策がまだまだではないかと感ずるわけでございます。
やはり、父子家庭の方々の実態調査も含めてしっかりその実態を把握しながら、そのニーズに合った政策、これを是非とも検討していただきたいと思う次第でございます。
今日午前中でもございましたけれども、特定求職者雇用開発助成金、これは母子家庭には出ているけれども、中小企業の方、九十万円助成されるわけですけれども、こういう制度等も是非とも検討していただきたいと思います。
そしてまた、この父子家庭の方々、今経済的な支援以外にやはり大事な点ということで、これも父子連の方々ともお話をする中で、やはり保育の問題とか子育ての問題とか、実際両立をしながらどうやってやっていくのかという点で様々な支援策が必要でございます。例えば、保育所の優先入所であるとか病児保育、延長保育、休日保育、多様な保育サービスの拡充等にどう対応していただけるのか、また貸付制度の充実等も母子にはあって父子にはないという点、これも必要ではないかという点でございます。
その意味で、この父子家庭に対する今後の支援策の拡充に関しまして、再度御質問したいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) まず、これ、いろんな国あるいは地方にもお願いしている施策について一人親世帯への公的支援というのがございますけれども、それについて父子家庭、母子家庭共に提供している行政サービスもございますが、一定以上のものは母子家庭のみの提供サービスということになっていますので、今の融資の問題も含めて、これについては我々一つ一つ検証をしていくということでございますが、融資については、やはり別に代わる、父子家庭も受けられる社会福祉法人の融資制度もございますので、その状況も見ながら判断をしていくということであります。
そして、例えばこの子育て生活支援については、これは保育所の優先入所あるいは家事ヘルパーを派遣する事業などについては、これは以前より父子家庭も対象に追加をしたということでありますし、養育費の確保政策についても、これも平成十四年ですけれども、十四年の時点で、父子家庭についても、相手の、別れた、経済的な余裕もあり一定の要件がある方については養育費の支払義務を明確化するなどいたしました。
いずれにしましても、今回はこの法案をお願いをして、父子と母子の格差をなくすということが議論をいただいておりますけれども、今後とも、父子家庭の実態をよく把握しながら、支援策を母子と並べていく項目があるとすれば、それについても検討していくということであります。
○山本博司君 是非とも父子家庭、今回、制度を大幅に拡充をしたわけでございますので、経済的な支援以外の様々な施策に関しましてもお願いをしたいと思います。パパと子供の笑顔を広げようという、もうそういう形で運動をされている方がたくさんいらっしゃいますので、是非ともよろしくお願いをしたいと思います。
それでは、母子家庭の支援ということでお聞きをしたいと思います。
その中で、マザーズハローワーク、先ほども出ました。就業支援を行う窓口の一つ、マザーズハローワークがございます。これは子供を連れて来所しやすい環境を整備するということで、子育ての女性などに対する就職支援サービスを提供する場として公明党としても積極的に推進をした経緯がございます。
このマザーズハローワークの設置状況に関しまして、お答えをいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えをいたします。
マザーズハローワークは子育て女性等の再就職を支援するための業務を行うハローワークの出先窓口であり、平成十八年度以来、大都市十二か所に設置しております。
そして、平成十九年度からは、その他の都市においても一般ハローワーク内などにおいて同様の業務を行うマザーズサロンを三十六か所に設置しているとともに、さらに、平成二十年度からは、更にそれよりも小規模な窓口であるマザーズコーナーを百十五か所に設置し、これらを合わせると平成二十二年度には計百六十三か所の拠点を整備しております。
これらの拠点においては、子供連れで来所しやすい相談環境の中で、担当者制によるきめ細かな職業相談や子育てと両立しやすい求人の確保、また地方公共団体等との連携による保育所等の子育て支援情報の提供など、再就職に向けた総合的かつ一貫した支援を積極的に行っております。
○山本博司君 是非とも拡充を含めてお願いをしたいと思います。
次に、この母子家庭等の自立支援の四本柱の一つでございます養育費確保策についてお聞きをしたいと思います。
平成十八年度の全国母子世帯等調査によりますと、平成十八年十一月時点での養育費の取決めをしていない母子家庭、五八・三%に上っております。一方、養育費の取決めをしている母子家庭、三八・八%にとどまっていることに加えまして、養育費を受けたことがない母子家庭も五九・一%となっております。こうした養育費の取決めをしていない理由として、相手に支払う意思や能力がないと思ったとか、相手とかかわりたくない、取決めとの交渉をしたがまとまらなかったなどと挙げられておりまして、養育費の確保は必ずしも十分とは言えない状況にあると思います。
これまでの取組として、養育費相談支援センターを平成十九年度に創設をしまして、養育費に関する情報提供とか支援、相談に応ずる人材に対する研修を実施しておりますけれども、この養育費の確保策、大変重要な課題でございまして、積極的に推進をすべきでございます。今後の取組に関しまして、お聞きをしたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
今御指摘いただきましたように、離婚母子世帯における養育費の状況は、取決めをしているのが三八・八%、そしてそのうち現在も養育費を受けているのが一九・〇%と非常に低い数値で、なっております。
そのために、一つは養育費の相場等を示した養育費の手引を地方自治体に配布するとともに、さらに、平成十九年からは、委員も今御指摘くださいましたように、養育費相談支援センターを設置しまして、例えば地方自治体の相談機関で受け付けられた困難事例等への対応、相談、また母子家庭等就業・自立支援センターの養育費専門相談員など、地域で養育費相談に従事している方を対象とする研修、またホームページ等による情報提供なども行っております。
民事執行法の改正により、養育費について将来分の差押えも可能になるなど強制執行手続も改善されておりますので、様々な取組を通じて養育費の履行確保を促進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともその件の対応をお願いしたいと思います。
続きまして、子育て家庭の経済的負担の軽減ということで何点かお伺いをしたいと思います。子ども手当との関係についての点でございます。
今国会で成立をしました子ども手当制度によりまして、次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するための、この子育て世帯に対しまして、今年度は子供一人当たり一万三千円、来年度以降は今のところ二万六千円が支給されることになっております。
この子ども手当の給付水準につきましては、子供の育ちに必要な基礎的な費用の相当分をカバーするとの大臣の答弁もあり、今後、満額の子ども手当が支給され、子供に係る費用の相当分が支弁するとするならば、子ども手当以外の子育て家庭に対する各種の手当を支給する意義が低下するのではないか、相対的に比率が低くなるのではないか、こうした意見もあるわけでございます。
この子ども手当、児童扶養手当、両方とも子育て家庭の経済的負担を軽減とするという趣旨で考えますと互いに同じ方向性を持っていると思いますけれども、これらの手当の根本的な違いをどのようにとらえているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
今、児童扶養手当と子ども手当の趣旨の違いということでありますが、児童扶養手当に関しましては、一人親世帯、一人親の家庭が、二人親ではなくて一人親家庭であるがゆえに育児と生計を一人で担わなければならず、また不安定な就労条件に置かれているといった特定の状況に着目して支給をしております。一方、子ども手当は、子育てを未来への投資として次代の社会を担う子供の健やかな育ちを社会全体で応援するという観点で、すべての子供、すべての親に子育て支援、子供の育ちを応援するという趣旨から所得制限がなく支給しているものであります。
このように、両手当は趣旨と目的が異なっておりまして、特に児童扶養手当は、一般の家庭よりも一人親世帯の方が何かと非常に経済的に不利な状況に置かれがちであるという趣旨において支給をしておりますので、子ども手当の創設によって児童扶養手当の意義が低くなることはないというふうに考えております。
○山本博司君 今お話がありましたように、児童扶養手当制度というのは低所得者層に重点を絞った制度であると、重点的にこの点に関しましては拡充すべきじゃないかという一方、意見もございます。現行のこの児童扶養手当制度では、子供一人の場合ですと全部の支給額は四万一千七百二十円、一部支給になりますと九千八百五十円から四万一千七百十円までの支給額でございますけれども、先ほど申し上げましたように、子ども手当の創設で児童扶養手当の比率が相対的に低くなるということであれば、この給付額を引き上げて児童扶養手当の役割を高めるということも必要ではないかと思うわけでございます。今後のこの給付額の引上げということに関してどのような認識でございましょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 先ほども山井政務官からも答弁申し上げましたけれども、子ども手当についてこの児童扶養手当の所得制限の所得としてカウントされないということでございますので、これについての併給ということもできるわけであります。その意味で、子供に掛ける予算というのは一定の拡充をさせていただき、子ども手当は、これは一人親であってもそうでなくても、どのお子さんにも支給されるものでございます。
そういう意味では、決して比率的に児童扶養手当が低くなったから役割が増やすために増やせばいいというような話でもないと思います。全体の金額としてはそれは手厚くなっているところでございますので、我々としてはそれ以外の一人親の皆さんのニーズに基づいた支援というのを、例えば家事支援、就労支援ということについて今後ともその対応を強くしていきたいと思います。
○山本博司君 もう一つこの費用の点に関しましてお聞きしたいと思いますけれども、この子供の数に応じて支給される加算額として、二人目の子供に五千円、三人目以降に一人につき三千円と、こうなっているわけでございますけれども、子供が一人の場合の支給額との間に大きな違いがございます。
一方、子ども手当は単純に月額一万三千円を乗じた額が支給されると、この考え方の違いはどこから来ているのかということと、また、この子育てに掛かる費用というのは、必ずしも子供が増えるということで比例して増大するわけじゃないわけでございますけれども、一人親の負担ということを考えますと、二人、三人、多子世帯ということで考えると、こうした加算額も引き上げていくということも含めて検討すべきではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 児童扶養手当につきましては、一人目というのが全部支給では四万一千七百二十円ということで、非常に一人目について手厚く、二人目以下の加算額というのが五千円、三人目が三千円というような仕組みになっておりますのは、これは世帯を単位として親御さんの負担を軽減をするというようなことを着目をしてこういうお金の設定になっているところであります。
その意味で、二人目、三人目を更に加算を増やしたらどうかというお尋ねでありますけれども、これも先ほどの答弁と同じでございますが、子ども手当によって二人目、三人目、これは四人目でも同じ金額をお支払いするという仕組みになっておりますので、これは児童扶養手当とは目的、趣旨も違いますけれども、この児童扶養手当を受給されている御家庭についても結果として経済的な支えになるのではないかというふうに考えておりますので、今直ちにこの加算額ということを増額ということは考えていないところであります。
○山本博司君 今回、父子家庭の方々、改正で約十万世帯の方が支給対象になるということで、この方々に対しまして確実に支給されることが大事でございます。まず、このことを周知をするということも含めまして、大事な点ですけれども、今各市町村にはそのデータがないということでございますから、仕事に追われて大変物理的にも余裕のない生活を送るこういう方々に対して、制度の存在も知らないで終わってしまう、後で気が付くというケースもあるわけでございまして、こういう制度の周知徹底、これをどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
確かに、これは本当に今まで母子家庭にしか出ていなかったものでありますから、父子家庭の方に出るということをお気付きにならない方も非常に多いかと思います。今回の父子家庭への拡大により約十万世帯が新たに支給対象になると推計しておりまして、このため、御指摘のとおり、まずは手当の支給主体である地方自治体の協力も得ながら、対象父子世帯に対する改正内容等の周知を図ってまいりたいと考えております。
また、その対象となる父子世帯が制度改正内容や請求手続を認知するための時間的余裕を設け、自治体の現場で新たに発生する認定請求の受付、審査等の事務を平準化するため、請求手続について経過措置を設けることとしました。
具体的には、この法律の成立後は今年の八月の法施行前であっても請求手続を開始できるようにし、受給資格者からの認定請求が八月に集中しないようにしております。また第二に、児童扶養手当法の本則の規定そのものによれば請求日の翌月からしか手当は支給されませんが、改正法の施行時点で支給要件に該当している方は、今年の十一月末までに請求をしていただければ、さかのぼって八月分から支給できるようにしてまいります。
このようなことにより、制度の円滑な施行ですべての対象父子家庭に支給が行き渡るように努力してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。父子家庭の方の初回支給が十二月ということでございますので、そういう面で、この八月から施行されますけれども、その周知徹底によってはそういったことを知らないケースもありますから、是非ともお願いを申し上げたいと思います。
それでは、今回の法案の修正に関しまして、公明党が提出をする内容に関しまして何点か質問をしてまいりたいと思います。
この児童扶養手当法の第十三条の二の中に、児童扶養手当の受給に当たりまして、支給開始月から五年経過又は支給要件該当から七年経過等の一定期間が経過した場合に最大支給額の二分の一の額に係る一部支給停止についての規定がございます。
この点に関しましては今日も何度も指摘されておりますけれども、民主党のマニフェストの中には、母子家庭と同様に、父子家庭にも児童扶養手当の減額制度を廃止すると明確に明記をされているわけでございます。しかし、今回は、この法案におきましては盛り込まれませんでした。なぜこの減額措置の廃止に関しまして盛り込まれなかったのか、国民とのマニフェストの約束であるということであれば、法案の提出時においてこのことを明記すべきではなかったかと思うわけでございます。
〔委員長退席、理事津田弥太郎君着席〕
先ほどの答弁によりますと、一期四年のうちに考えればいいということでございますけれども、この減額措置の廃止が盛り込めなかった理由と、昨年の十二月、様々な政府内の調整ができなかった、この背景も含めてお話をしていただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) この件については、かつての、昨年の民主党マニフェストにおきましては、工程表にあるものはその期限というのがございますけれども、この案件につきましては政権一期四年の中で実行していくということでマニフェストでお示しをさせていただいております。
その中で我々としてはそれを実現すべく取り組んでいくということでありますが、今回の法案に盛り込まれなかった理由ということでございますけれども、これについては、政府部内において議論が尽くせず、結果的に見送らざるを得なかったということでございます。いろいろな要因がありますけれども、一つはその優先順位というところも議論があったわけでございまして、これについて我々は今後とも実現に向けて努力をしてまいります。
○山本博司君 是非とも実現に向けて努力をお願いをしていただきたいと思います。
次に、これまでも多くの要望をいただいている課題の一つに、公的年金との併給の問題がございます。
児童扶養手当法の第四条の二項の二におきまして、父親又は母親の死亡で支給される公的年金を受けられる場合には児童扶養手当は支給停止されることとなっております。また、例えば祖父母などの養育者が老齢年金を受給している場合や、母親や母親以外の養育者が障害年金とか遺族年金などの公的年金を受給していると児童扶養手当を受け取ることができなくなっております。ですから、八千円等で現状的に四万二千円が受け取れないという、そういうことが出ているわけでございます。さらに、この支給停止は、年金の額の多寡が問題とされていなくて、たとえ合算して所得制限以下であっても併給は認められておりません。
現在の年金制度は父親の収入で一家を支える世帯を前提とした制度設計によるものでありまして、家族の形や働き方、これが多様化する中では、こうした公的年金制度の抜本的な改革を進めるのであれば、こうした一人親家庭に対する児童扶養手当と公的年金による所得の保障につきまして、これは検討すべきであると考えます。
そこで、大臣に公的年金との併給調整の制限の見直しに関しましてお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これについては、今おっしゃっていただいたように、例えば児童扶養手当と年金が両方が支給される場合は、保険料の拠出に基づく給付であり、権利性が強いと考えられる年金が優先支給となって児童扶養手当は支給しない、こういうケースがあるわけであります。こういう仕組みになっているところであります。
これについては、今おっしゃっていただいたように、少ない金額の絶対額でいうとお金を受け取っているために、本来であればそれよりも多い児童扶養手当を受け取るのにそれが受け取れなくなる、趣旨からしていかがなものかという御指摘はかねてよりいただいているところであります。いろいろなこれ論点がございますので、今後とも引き続きその問題については検討を進めてまいりたいと思います。
○山本博司君 是非ともお願いを申し上げたいと思います。
以上でございます。