参議院 厚生労働委員会 第21号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は一般質問ということで、雇用対策、引きこもり支援、また障害者施策に関しまして大臣にお聞きを申し上げたいと思います。
まず、雇用対策に関しましてお伺いをしたいと思います。
鳩山内閣が昨年の十月の二十三日に発表いたしました緊急雇用対策事業、これは平成二十一年度中に十万人の雇用を創出すると、こういうことで昨年進められたわけでございます。私は昨年十一月十九日のこの委員会におきましても、この緊急雇用対策につきまして、その十万人の根拠ということをお聞きをさせていただきました。その結果は、緊急雇用創出事業の前倒しで約三万人から四万人分、また緊急人材育成支援事業で六万人から七万人程度、これを足して十万人ということをお答えをされました。
まず、三月末でこの平成二十一年度終わっておりますので、平成二十一年度中にどれくらいの雇用が創出されたのか、雇用対策の実績に関しまして大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) まず三つ申し上げますと、緊急人材育成支援事業、これは基金訓練でございますけれども、二十一年度において十万人分の訓練定員の確保を目標に取り組み、結果としては、訓練計画を認定した訓練コースの定員数は十二万二千五十八人というふうになっております。そして、もう一つは中小企業等雇用創出支援事業でありますけれども、これについては、一定程度企業で実習をしていただいて、その後、常用雇用で雇い入れた事業主へ助成を行っていくというものでありますが、これについては開始者が二万百五十六人。そして、長期失業者等支援事業でありますが、これは、一年以上職をずっと探しておられても職がないという方についてかなり手厚いコンサルタント的なサポートをするということで、開始をされた方が五千三十三人おられるということであります。
そして、先ほど申し上げました基金訓練でありますけれども、平成二十一年の十二月末までに修了した訓練の修了三か月時点の就職率というのは五九・三%というふうになっております。
○山本博司君 大臣、受講の申込者、定員を含めて十二万人ということでございますけれども、受講が終わった方は何人でございましょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これについては、今の時点で把握している受講者数というのが四万三千八百三人であります。
○山本博司君 ちょうど昨年、菅副総理の発言は、この十万人の雇用創出でGDPを約〇・一%の押し上げ、三千億円の経済効果が上がると、このように言われたわけでございます。十万人の雇用創出で年間三百万、お一人、その算出で三千億円ということでございました。受講者が今約四万三千人、実際、そこから先ほどの五十何%ということですから、現実、雇用に結び付いたということになりますと更に少なくなっているということでございまして、現実的にどれだけ、じゃ菅副総理が言われたこの経済効果が上がったのかといいますと、大変甚だ疑問であるわけでございます。
この四月の完全失業率五・一%、三百五十六万人が今失業されているわけでございます。また、有効求人倍率も〇・四倍、依然として厳しい雇用情勢が今ずっと続いております。大学等を卒業してもなかなか就職先がないという学卒未就職者が二十一万人もいるわけでございまして、雇用調整助成金を活用している人も百四十八万人でございます。何とか雇用は維持されておりますけれども、新しい仕事がないために休業状態から抜け出せないと。そうした大変厳しい状況の中で、更なる景気回復策とともに万全の雇用対策が十分取られるわけでございます。前政権の平成二十一年度の第一次補正予算では、この緊急人材・就職支援基金、七千億円この基金をつくりまして、平成二十三年まで向こう三年間の雇用対策ということで進んできたわけでございます。しかし、その後の補正予算の執行停止によりまして、一部基金約三千五百三十三億円の返納があって今現在にあるわけでございます。
こうした中で、この緊急人材・就職支援基金の中にあります先ほど言いました中小企業等雇用創出支援事業、長期失業者等支援事業を基金から取り出して平成二十二年度からは予算措置をしているわけでございます。これは一体どういった理由からそうなったんでしょうか。また、事業量の規模というのは基金のときと比べて減ったのか、変化があるのかどうか。この点に関しましてお示しをいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
緊急人材育成・就職支援基金で実施していた今お尋ねの中小企業等雇用創出支援事業及び長期失業等支援事業については、平成二十一年度第一次補正予算の執行見直しの中で、このとき私たちも、原則というのが鳩山総理から出てまいりまして、基金事業は原則として執行停止を行うということにされておりましたことから、これに従いまして平成二十二年度以降の分の予算については国庫返納をいたしました。
一方、厳しい雇用失業情勢が続く中で求職者の就職を支援することから、これらの一定の事業は役割を十分に果たしているということから、実習型雇用支援事業及び長期失業者等支援事業について平成二十二年度予算に所要の予算を計上し実施しました。
お尋ねの規模に関しては、この事業については、実習型雇用支援事業の方は、平成二十一年度は約二万人、平成二十二年度は二万四千人、長期失業者等支援事業については、平成二十一年度は七千人、平成二十二年度は約一万一千人とそれぞれ拡大をいたしております。
○山本博司君 これも基金でやるのと予算措置でやるのとどんな違いがあるのか。前政権でやってきたこと、これをすべて一回チャラにして廃止にしてまた同じ事業を現政権でやる、これ自体もこれはパフォーマンスだと、こういうような指摘もあるような形もありますけれども、現実な部分、本当に課題があるのではないかと。今大変この雇用というのは厳しい状況であるわけでございまして、この雇用を守るという観点から、その予算を十分確保しながら着実に進めていくということが大変大事ではないかと思うわけでございます。
そこで、この中小企業等雇用創出事業についてお聞きをしたいと思います。
この中小企業等雇用創出支援事業の中にあります実習型雇用支援事業、これが要件もそれほど厳しくない形でございまして、また、実習型雇用の奨励金で月額十万円、正規雇用の奨励金で百万円と金額もある程度ボリュームがあるということで、中小企業を始めとする新規の雇用を考えている会社にとりましてこれは大変魅力的な支援事業でございました。
しかしながら、この五月十日からこの取扱いが変更になりました。変更の内容というのは、対象となる求職者の重点化と、こういうことになっておりまして、これまでは希望する職種等に関する職務経験のない者ならばだれでも応募ができたわけでございますけれども、これが先ほどの緊急人材育成支援事業による職業訓練を修了後一か月以上経過をしてかつ希望する職種に関する職務経験がない方、このように規定がされまして、一般求職者を対象から外しております。また、求人につきましても、実習型雇用専用求人としての受付となっておりまして、求人検索パソコンとかハローワークのインターネットサービスでの公開は行われておりませんので、求人情報が求職者の目に触れるチャンスもなくなってしまったわけでございます。
こうした取扱いの変更を年度の途中でいきなり行って、事前の説明も全くなかったために、こうした実習型雇用を実施しようと中小企業の方々、事業者の方々からは困惑の声というのが今たくさん上がっております。
そこでお聞きをいたしますけれども、なぜこのような見直しをこの時期に、雇用情勢が厳しい時期に行ったのか、こうした見直しでどんな効果を得ようとしているのか、分かりやすくお答えをいただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
同じ趣旨の苦情、問い合わせというのは私のところにもたくさん来ておりまして、例えば厚生労働省に対するメール、国民の皆様からのメールというところにも苦情は来ておりまして、私たちもそれに対して申し訳ないという気持ちを持っております。
これはどういうことかといいますと、この実習型雇用支援事業、これは景気回復、そして雇用支援ということの一つの柱として従来より公共職業安定所長が支援が必要であると認めた対象者の紹介を行っていたものでありまして、山本委員が御指摘のように非常に幅広く今まではやっておりました。ところが、この四月に申込者が急増いたしまして、例えば二月は三千六百四十六人、三月は五千七百六人だったものが、四月には七千四百七十一人と。昨年の概算要求の時点の例えば八月では百三十一人、九月は千六人、十月千四百一人、昨年の年末の十二月でも二千五百五十六人と、そういうようなことでしたが、どんどんどんどん増えていって、結局、二万四千人分の予算措置を今年度しておりますが、四月一か月で七千四百七十一人と、その四〇%がもう消化されてしまうという事態になりました。
この理由に関しましては、雇用失業情勢が比較的回復してきている中で、やはり中小企業の中でも是非この制度を利用したいという思いを持って来られる方が増えてきたことと、もう一つは、昨年八月からスタートした制度で、やはり八か月たって制度の周知も非常に行き渡ってきたと。
ある意味では有り難いことなんですが、やはり、今回の制度の予算消化が、四月一か月でその申請者が四〇%になってしまったという中で、私たちも非常にこれは苦しい選択ではあったんですが、よりこの制度の趣旨が必要な方に重点化せざるを得ないと。そうしないと、このまま行くと、もう四月、五月、六月ぐらいですべての事業が予算がなくなって終わってしまうということになりかねませんので、そういう中で今回はその要件を絞らせていただきまして、基金訓練の修了者の中に、訓練を修了したものの経験不足等によりなかなか就職に結び付けない方もおられるため、その方々の再就職支援として本事業を重点的に活用する必要があるというふうに考えました。
限られた予算の中でもより効果的、効率的な事業を実施するためこの対象者をこのように絞らせていただいて、対象者に対して十分なキャリアコンサルティングを実施し、特性等を見極めた上で個別に職業紹介を実施したいというふうに考えております。
ただ、山本委員もおっしゃいましたように、非常に急な変更で、現場に対して御迷惑、混乱を与えましたことに関しては本当に申し訳なく思っております。
○山本博司君 やはり大変評価のあるこの事業、やっと景気を含めて中小企業が採用をしようというふうに思ってハローワークとか様々な形で今行っていらっしゃるわけですよね。ところが、もう事前説明も一切ない。ハローワークに行ってもこれはもう廃止されたんですとか、中には、駆け込みがあるといけないからもう事前には説明しなかったんだとかという、ハローワークで言われる方もいらっしゃるということで、やはり今この入口をずっと狭めてしまっている状況なわけですよね。事業者の方も求職者を探したい、また仕事を求めていらっしゃる方々もそれを利用したい、そういうことであれば助成額そのものを、今百万円という形でございますけれども下げていくとか、いろんな工夫が考えられないのかということを思うわけでございます。
また、ハローワーク等での対応ということも、これもそれぞれの現場によって先ほど言いましたような形で違いがございます。ハローワークの方々は一生懸命もう御努力をされているわけでございますけれども、全国でやっぱり均一な情報提供ということも大事だと思いますけれども、この点、いかがでしょうか、こういった改善も含めて考えはないんでしょうか。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
確かに山本委員がおっしゃいますように、まさにこれからこういう施策のニーズが非常に高まってまいりますので、この実習型雇用支援事業のみならず、やはりこれから雇用促進のために、新卒者の支援の事業も今回一か月から三か月に延ばしましたが、あらゆる形で中小企業や現場の方々の雇用の支援ができるように改善の余地はないのか、そのことをまた検討させていただきたいと思います。
○山本博司君 是非とも、大臣、この雇用という問題、大変厳しい今の状況の中でこの改善も含めて検討していただければと思います。
それで、雇用対策に関してもう一問お聞きをしたいと思いますけれども、今雇用環境は大変厳しいということで、これは大都市圏よりも地方の方がもっと雇用環境は大変厳しい状況でございます。三百五十万人以上の完全失業者がいる中で、やはり大規模な雇用創出策といいますか、そういったことが今求められているんだと思います。昨年、補正予算十五兆四千億円ですか、これを前政権でやりまして、その基金というのが今様々な形のものがやっぱり生きているというところもあるわけでございまして、ところが、先月二十八日に予定されておりました政府と労働界、産業界が雇用政策を話し合う雇用戦略対話、これが普天間をめぐる政権内の混乱で行われていないわけでございます。
この政権内の混乱自体が国民の雇用と暮らしに大きく影響してしまう、これはとんでもないことでございまして、やはりこの雇用対策というのは成長戦略の柱でもございますし、危機感を持って、大臣、対応していただきたいと思います。
大臣の雇用対策の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) やはり成長戦略と雇用ということでいうと、本当に即戦力になる、あるいは長期的に有為な人材というのはどう育てていくかということが非常に大きな能力開発、職業開発のテーマでもあります。そういう方々がおられれば、企業が採用を控えようと思っていても、その方を雇うことで右下がりの企業が右上がりになると、これこそが成長戦略でもあるというふうに考えておりまして、まずは職業能力開発、これについて見直していくということが一点。
そして、この雇用対策ということでありますけれども、これについては、四月の完全失業率あるいは有効求人倍率、数字は若干悪化をしておりまして、持ち直しの動きというのは全体的には見られますけれども、依然として厳しいという認識をしております。
一つ大きいのがこの雇用調整助成金でありまして、四月の対象者では約百四十九万人がこの助成金によって、社内で休業の手当を補助をするというようなものの利用者が非常に多いということで会社の外に失業者が出るということを一定程度防いでいるんではないか、あるいは、今回、口蹄疫が発生をいたしましたけれども、その周辺の食肉加工等については、要件をそういう方々が受給しやすいようにもさせていただいているということもございます。
そしてもう一つは、成長が見込まれる介護、福祉、医療、通信分野、この就業を促進するために職業訓練の拡充、雇用創出に取り組んでおりまして、今年度は合計で三十万人を超す訓練の定員を確保していこうというふうに考えております。あるいは、第二のセーフティーネットということで、家がなくては職を探すということもままなりませんので、住宅手当というのも要件を緩和をしていくと。あるいは、ハローワークは職探しだけではなくて、住宅・生活支援アドバイザーを置いてそういう生活面の相談にも乗っていくと、こういうようなことも含めて総合的に対応していきたいと思います。
最後に、先々月から雇用保険の適用範囲を雇用見込み六か月以上から三十一日以上に拡大をいたしました。この措置によって、推定すると新たに二百五十五万人の方が雇用保険の対象者になるという見込みでもございまして、基本的には、対象事業所にお手紙を出してこういう制度が四月から始まりましたということを周知をしておりますけれども、更に周知徹底を図って、雇用の安定、雇用の下支えというのも図っていきたいと思います。
○山本博司君 ちょっと余りぴんとしない形でございますけれども、雇用の部分、大変大事でございますので、また改めて質問をさせていただきたいと思います。是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、引きこもり支援に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
この引きこもり関係の支援に関しましては、この委員会におきましても、平成十九年の十二月、また平成二十年にも質問をさせていただきまして、実態把握とともに総合的な政府一体となった対策の確立ということの必要性に関しまして訴えさせていただいた次第でございます。
全国に数十万から百万人とも言われておりまして、全国引きこもりKHJ親の会では、平均年齢がもう三十歳を超えているというようなことの調査もございます。東京都の平成二十年二月の実態調査では、都内の引きこもりは十五歳から三十四歳以下で約二万五千人、そのうち三十歳から三十四歳が全体の四三%を占めて、家族の方々も大変もう本当に厳しい状況もございます。
私も、四国の香川、愛媛、徳島とか、また中国の広島等にも、そうした親の会の方々ともお会いをさせていただいております。やはり、親の会の方々、両親、大変高齢化をしております。様々、引きこもった中で家庭内暴力があったりとか大変厳しい状況の中で、この親亡き後ということも心配されているわけでございます。
そうした中で、今回、厚生労働省の研究班、三年間掛けてこの引きこもりと精神疾患に関する実態把握と研究ということを進めてこられております。ひきこもりの評価・支援に関するガイドラインを作成されたとのことでございますけれども、その概要に関しましてまず教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
引きこもり、私の知り合いの方にも何人かおられまして、今御指摘のように、本当に御本人のみならず御家族の御苦労というのは大変なものがあるというふうに私も承知をしております。
こうした方々への支援の強化のため、今般、支援に当たる専門家を対象とした標準的な指針であるガイドラインを公表したわけでありますが、その研究班においては、相談に来られた方の面接調査を行ったところ、引きこもりには気分障害や発達障害など様々な背景があることが分かったことから、それに適した支援が必要であるということが示されております。
具体的には、引きこもりの長期化を防ぐための視点としましては三つありまして、一番目に、身近な地域にある引きこもりに対する支援機関をふだんから住民向けに広く周知しておくこと、二番目は、家庭への訪問を行うアウトリーチ型支援をタイミングよく開始すること、三番目には、家族が引きこもりの本人に来談、受診を説明しやすくなるようなアドバイス、ガイダンスを継続することというようなことがポイントとなっております。
このガイドラインについては、都道府県の精神保健福祉センターや、一部の都道府県に配置されているひきこもり地域支援センター等の専門機関に配付したほか、厚労省のホームページでも公開しており、また医師、看護師等を対象とした研修でも活用することとしております。
○山本博司君 このガイドラインによりまして、今までの定義から、今言われたように精神疾患とか発達障害とかという形のケースもあるということで、しっかり留意をしてということでございます。
こうした引きこもりの支援ということになりますと、子ども・若者育成支援推進法、この四月から施行されたわけでございます。それで、内閣府の泉政務官に質問させていただきたいと思いますけれども、ニート、引きこもり、不登校、発達障害などの精神疾患など、子供、若者の抱える問題、これが深刻化する中で、この子ども・若者育成支援法が整備されたと思います。この推進法の現状と取組ということで教えていただきたいと思います。
特に、子ども・若者地域協議会、また、子ども・若者総合相談センター、この役割と現状ということで、今後の引きこもり支援の施策にも影響があると思います。特にアウトリーチ、先ほどのアウトリーチということもございましたので、その支援状況も併せてお答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(泉健太君) 御質問ありがとうございます。本当に大事な御指摘をいただいていると思います。
四月一日からこの推進法ということでありますけれども、例えば十九条には子ども・若者支援地域協議会ということが書かれております。あるいは十三条には子ども・若者総合支援センターということの整備を書かれているわけですが、これ、基本的には努力義務で、自治体はそれを置くことができるというふうになっております。大変財政が厳しい中で、必ずしもそういった予算を我々満足いくほどに確保されていないという現状はやはり否めないのかなというふうに思いますが、今内閣府としましては、やはり積極的な働きかけをしていきたいというふうに考えております。
やはり、今までのお話をお伺いをしても、例えば矯正ですとか更生保護みたいな、あるいは心理相談ということでいけば法務省もかかわってくるだろうし、あるいは先ほど先生御指摘になられた精神面というアプローチであれば当然厚生労働省、そしてもちろん学校関連ということであれば文部科学省、それがうまく結び付いて地域協議会という形になっていかなくてはいけませんので、現場においての連携を呼びかけていくということが大事だと思っています。
具体的には、まず、先ほど御指摘ありましたアウトリーチにつきましては、今年度からNPOなど民間支援団体の職員を対象にして研修を創設いたしました。この研修が、今年でいいますと、まず基礎的知識習得のための講義研修が、今年の七月、まず東京で行われます。民間団体等における実地研修、これを九月以降に二週間から四週間掛けて各地で実施をすると。そしてまた、そういった様々な研修や体験を共有する研修受講者等々が更に事後研修をするという研修を来年の二月か三月ぐらい、まあ今年度中にそういった取組をしていきたいと考えています。
あともう一つ、協議会の設置状況ですが、今年度中に設置を予定しているところが、既に設置をしているところも含めてでいいますと、都道府県でいいますと六県、そして、いわゆる政令市等でいいますと四市ということになっております。二十三年度中でいきますと一県三市が追加をされるということで、正直言いますと、更に広がりを持っていかなくてはいけないかなというふうに思いながら現在見ております。
○山本博司君 今の状況でございますけれども、やはりこの地域支援協議会、また総合相談センター等、地域で、特に市町村等での役割ということでは大変大事でございます。今、引きこもりの方々にとっても大変大事でございますので、更に推進をお願いしたいと思います。
政務官、時間、結構でございますので。
それで、このガイドライン等の中でも、引きこもりの方々の早期発見、また引きこもり状態にある本人とか家族の方々の相談支援、この役割を担うのがひきこもり地域支援センターということでございます。私もこの点に関しまして質問をさせていただきまして、今やっと都道府県の中でも二十数か所設置をされたということを聞いております。
やはりこれは大変大事な部分でございまして、先日私も高井政務官の地元の徳島に行かせていただきまして、四月一日からこの徳島でもひきこもり支援センターが設置をされまして、実際そこで活動をされているわけでございます。大変これは有意義な部分でございます。
ただ、残念ながら、この一か所の予算は三百七十六万円、本来七百万ぐらいの形が使えるわけでございますけれども、地域によってはまだ現状厳しい状況もございます。四国では香川県とか愛媛県は財政的にも厳しい状況ですから、必要性が分かってもまだ設置ができていないという状況もございます。
そこで、このひきこもり地域支援センターの設置状況と拡充策ということで大臣にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) この引きこもりの方々でありますけれども、全国で今推計しますと約二十六万世帯ということで、本当に個々の状況を見ますと大変これは御家族も含めて御本人も含めて非常に深刻な状況でございまして、何とかサポートを強化する必要があるというふうに考えております。
ひきこもり地域支援センターは今全国で三十一都道府県・指定都市で整備されておりますけれども、そのうち二十四がこれは国の補助が出ているものであるというふうに考えております。これについては五月の二十七日に、このガイドライン公表後に、二十七日に自治体の引きこもりの関係を御担当している担当者にガイドラインを周知をして、今後もセンターの整備を推進して地域の対策を充実していきたいというふうに我々としては考えているところであります。
やはり一つのポイントとしては、訪問支援、アウトリーチとも言われておりますけれども、そこが重要ではありますが、ただ、人手が必要であるというようなことでなかなか整備が行き届いているというわけではありませんけれども、今後とも現状を把握をしながら必要な施策を進めていきたいと考えております。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいわけでございます。
このひきこもり地域支援センター、現実的にはやはりそこで、一つの大きな拠点ということで、相談から始まりまして、実際、アウトリーチ、現状的にはアウトリーチができていないのが状況でございます。ただ、横浜市は単独で一億円の市の予算が付くことによりましてかなりアウトリーチが進んでいるということもございますけれども、ほかの地域ではまだまだでございます。
そういう意味で、今三十か所以上あるわけでございますけれども、その連携も含めてお願いをしたいと思います。
先日お伺いしたところの要望では、このセンターの連携といいますか、センター間の情報がなかなかないということを言っていらっしゃいました。ほかのセンターではどういういい事例をされているかということも含めて、センター長会であるとか、またコーディネーターの方々の連携とか、こうしたことも含めて進めていただきたいと思います。
また、地元でもそうした財源がないということからなかなか難しい面もございますので、この地域支援センター、大変重要性があるということで推進をお願いをしたいと思います。
この点に関しましてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(長妻昭君) やはりそれぞれ、全国三十一というセンターがあるわけでありますので、それぞれ効果が上がった事例というのを厚生労働省で教えてもらってそれを全国で共有するようなそういう取組を、今御指摘もいただきましたので、更に進めていきたいというふうに考えております。
あとは、このセンター、今のお話とも関連するんですけれども、どういうところに人、物、金を集中をしたらいいのかということについても、もう少しめり張りを利かせて取り組む必要もあるんではないかと考えておりますので、それについても現状把握をして検討をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非更に強力な推進をお願いしたいと思います。
最後に、障害者施策に関しましてお聞きをしたいと思います。
今回、障害者自立支援法の改正案が衆議院から送付されて、この後審議がございますけれども、その中でも発達障害の方々の支援の対象を明記されております。また、それ以外にも障害児の支援とかグループホームの家賃助成、大変障害者団体の方々も是非やっていただきたいという強い要望もあるわけでございます。
そういう中で、この発達障害者の方々の支援ということでは、平成十四年の文科省のサンプル調査では小中学生の生徒の約六・三%、六十八万人というふうにも言われておりまして、大人など含まれておりませんから、百二十万人以上いるとも言われているわけでございます。そういう中で、この厚生労働省の平成二十二年度予算は十二億六千万円と、ほぼ同じ金額でございます。まだまだ予算が少ないのではないかと思うわけでございまして、乳幼児から成人期までこのライフステージごとの支援というのは大変大事でございます。
大臣に、この発達障害者支援に関する決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これも大変大きな問題でございまして、この発達障害については障害者の範囲に含まれるということを、これも国会議員各位の御尽力で議員立法がございまして、衆議院を通過をいたしましたけれども、その法案にも障害者に発達障害については範囲に含まれるということが明記をされていることになるというふうに聞いております。そういう意味でも、我々としては更にそのサポートをしていかなければならないというふうに考えております。
これは、今モデル事業を通じて標準的支援手法の確立を目指していくというような事業、これ成人期に重点化しておりますけれども、これにも力を入れ、あるいはこの発達障害の親御さんがほかの方の相談に乗るペアレントメンターという育成事業なども力を入れて、きめ細かく地域も含めた御家族を支えていくという体制を拡充をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いします。
それでは、高井政務官、済みません、最後になりました。
個別の問題でございますけれども、特別支援教育という面で、この支援員ということの拡充ということが地方によってばらつきがあるということもございます。また、先日、鳥取に参りまして、定時制通信教育、高等学校の、そこに行ってお話を聞きました。約一五%が学習障害の、発達障害の方が多いということで、こういう方への対応、大変厳しいということでございまして、支援員を高等部でも付けていただきたいと、こういう点の要望と、もう一つは、全体的な特別支援学校の教室が足りない。これは何度もそういう指摘をされていると思いますけれども、やはり都内でも一学年三十八名から倍の七十名というような形のところで大変厳しい状況でございます。
この二点に関しまして最後にお聞かせいただきたいと思います。
○大臣政務官(高井美穂君) 山本委員はチャレンジドの方々への深い御理解に基づく御支援を今まで続けてこられて、本当に敬意を表したいと思っております。
御指摘の件でございますけれども、現在、高等学校における発達障害のある生徒の在籍数というのは、全国データ等はございませんけれども、ニーズは大変増えてきていて、本当に支援員の拡充配置というのは大変大事なことであるというのは私どもも強く認識しているところでございます。
そして、現在は、学校における日常生活の介助や学習活動上のサポートなど、障害のある児童生徒に必要な支援を幅広く行うための特別支援教育支援員の配置に係る経費というものについては、平成十九年度から公立小中学校の地方財政措置が開始をされているところであります。高等学校につきましては、現在、各自治体の自主財源によって配置が行われているところでございますが、平成二十一年度は全国で十六都道府県、二百十九人が配置を活用されているというところでございますが、御指摘のとおり、まだまだ少ないと思います。
そして、文部科学省の中で、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校ワーキング・グループ報告というのが平成二十一年の八月二十七日に出されておりまして、この中に、高等学校における専門性ある支援員の配置に係る財政措置の必要性も提言をされていることでもございますし、委員からの御指摘もございますので、これから全国的な配置実績等を勘案しながら障害のある児童生徒に対して適切な支援がなされるように努力をしていきたいと思っています。
そして、特別支援学校の教室不足のことでございますが、現状は、平成二十一年の二月にアンケート形式で聞き取ったところではありますが、全国で約二千八百教室程度が不足しているというふうに回答をいただきました。そして、二十一年度の当初予算及び補正予算によって約千八百五十教室の教室不足が解消されたということになりましたけれども、全国的にはいまだ九百四十五教室分が不足しているというのが現状でございます。
文部科学省といたしましても、この対応について都道府県に対して適切な取組を求める通知を出すとともに、今後新たに発生する教室不足と併せて、地方公共団体、地域、現場のニーズをきちんと踏まえた上で計画的な整備が行われるように努力をしていきたいと思っております。
○山本博司君 終わります。