参議院 厚生労働委員会 第4号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
初めに、今回の大震災に当たりまして、亡くなられた皆様にお悔やみを申し上げますとともに、大勢の被災された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
本日は、子ども手当のいわゆるつなぎ法案につきましてお聞きを申し上げたいと思います。
そもそも、なぜこのようなつなぎ法案を出さなくてはならなくなったかといいますと、民主党のこの目玉政策とも言えます子ども手当に対しまして理念のある財源の明確な法案を提示できなかったことにございます。
民主党のマニフェスト二〇〇九では、平成二十三年度から零歳から中学生までの全ての子供を対象に月額二万六千円、この子ども手当全額国費で支給、このことになっておりましたけれども、今回の法案では恒久財源も示しておりませんでした。そして単年度でございました。三歳未満に上乗せをしたということだけで、その民主党の言うマニフェストとは程遠い内容となっておるわけでございます。さらに、現金給付に関しましても、保育サービスなどの現物給付は十分とは言えないわけでございまして、その上で今回、半年間のつなぎ法案ということで、僅かこの一時間ぐらいの審議で決めるようになっているわけでございます。
本当に子育ての支援ということを真摯に議論しようというのであれば、こうした審議の在り方というのは大変問題がございます。これは政府と与党の間で余りにも連携がずさんであったのではないかと、このように指摘をせざるを得ないわけでございます。
ところが、一昨日に衆議院での審議が終わり、昨日になってこの閣法を撤回し取り下げたわけでございます。この審議中の閣法を途中で取り下げるということは、昭和三十三年以来未曽有のことでございます。
そこで、大臣、なぜこのタイミングでこの閣法を撤回したのか、理由をお聞かせください。
○国務大臣(細川律夫君) 厚生労働省といたしましては、これはさきに平成二十三年度における子ども手当法案を国会に提出をして御審議をお願いをしてきたところでございます。一方、この国会の審議におきましては、政府提出案とつなぎ法案は一部重なっているというような指摘、また内容面でも違いがあると、したがって、つなぎ法案を審議するためには政府提出法案は取り下げるべきだというような御指摘があったところでございます。
こういう御指摘も踏まえまして、今後与野党協議を行って、今年の十月以降の制度の在り方、これを検討をしていただくためには、この度、政府の提出法案を撤回をすると、こういうことにさせていただいたところでございます。
○山本博司君 それでは、今回この閣法を撤回をしたということは、今まで民主党が掲げてきたこのマニフェストを撤回すると、このように考えてもよろしいんでしょうか。変更するということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) このつなぎ法案が成立いたしましたならば、これは半年、六か月でございますから、その後のことについては子ども手当については何ら決まっていないわけでございます。したがって、これを検討を、その後の子ども手当をどうするかということについては、これは与野党でいろいろと協議をしていただくということになろうかと思います。
したがって、ただそれだけで私ども今の段階でマニフェスト自体を転換をすると、こういうものではございません。しかし、今後、この制度の在り方につきまして各党から様々な御意見、御提案も出されておりまして、そこで御議論をいただいて、この子ども手当のどういう枠組みを決めていくかということについて合意をいただくと、こういうことが是非必要でございますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。そこでいろいろと議論をしていく中で、この子ども手当についての内容も決まってくるというふうに思います。
したがって、先ほどもお話を申し上げましたけれども、この未曽有の大震災、これに対していろいろと御支援をする、あるいは復旧復興をしていかなければならない、それに最大の力を注いでいく、そういうときに、より優先的などれを財源を持っていくかというようなことについてもいろいろとこれから御議論があろうかと思います。そういう中と、それから今度の十月以降どういうふうに子ども手当を決めるかと、そういう中で議論をする中でこのマニフェストの書かれたことについて変更をせざるを得ないということになりますれば、これは私どもとしてもそのことを国民の皆さんに丁寧に説明をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○山本博司君 菅総理も、今後こうしたマニフェストの変更はあり得るということもあるわけですから、しっかりこれも含めて、撤回、変換をするということも含めてやっていただかねばいけないと思います。
このつなぎ法案は、新しい制度を十月一日からという、九月までということでございますけれども、当然、新しい制度に関しまして、この十月ということであれば、当然、準備期間、自治体の準備期間とか周知徹底、様々なことを考えたときには、この通常国会でこの六月中にやらないといけないのではないかと、こう思うわけですけれども、与野党協議に任せるということではなくて、大臣はどういう決意でリーダーシップを示すんでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 私どもといたしましては、二十三年度の子ども手当法案を最善のものとして提案をさせていただきましたけれども、先ほども申し上げましたような理由で今回撤回をさせていただいたところでございます。
私としましては、十月以降、この子ども手当については何ら決まっていないわけでございますから、したがって、この十月以降の子ども手当どうするかということについて、これは早急に各党御議論をいただきたいというふうに思いますし、私どもといたしましても、これは是非とも、子ども手当、十月以降どうするかということを早急に決めていただくためにも、厚生労働省として今後の子ども手当についていろいろな御議論の、与野党を含め、私どももそれに加わってしっかりしたものをつくっていくと。
これは、大震災があって、これに対して国を挙げて復旧復興支援をしていくということも、これもやらなければいけない大事なことでありますけれども、子ども手当そのものも、これは将来を担う子供をどう育てていくかと、こういう大事なことでございますから、今国会中にもこれはしっかり議論をさせていただきたいと、このように考えております。
○山本博司君 しっかり、大臣、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。
そこで、つなぎ法案の提案者に伺いたいと思います。
このつなぎ法案、三月二十二日に提出をされておりますけれども、法案の中の、混乱を回避すると、こういうことが書いてございますけれども、どういう意味なのか。三月十一日に震災が発生しておりますので、この混乱の中に震災関連は含まれているかどうか、確認の意味でお聞きしたいと思います。簡潔にお願いします。
○衆議院議員(渡辺周君) 結論から申しますと、混乱の回避という意味の中には被災地への当然配慮も含まれております。このまま子ども手当法案が成立せず児童手当に戻りますと、所得制限が発生する。そうしますと、これは、今もう自治体の機能が失われ、職員も著しく非常に不足している中で新たな事務という負荷を掛けるということはこれは非常に忍びないことでありまして、その点について我々も配慮をしたつもりでございます。
また、震災前ですが、三月二日には自治体から、とにかくこのままいくと様々な事務的な手続が増えてしまうということで市長会から要請もいただいておりまして、併せてこの震災への配慮も含めましてこのような法案の名称となった次第でございます。
以上です。
○山本博司君 次に、大臣にお伺いをしたいと思います。
この法案、自治体の事務作業等に影響を及ぼさないということでこの趣旨があるわけでございますけれども、先ほど、混乱を回避してということで、予定どおりこの六月支給が実施できると、こういうふうに考えてよろしいのかどうか。そして、一つ懸念されるのは、こういう震災で自治体機能を消失したような地域たくさんございますけれども、そういう地域でもどのように対応されるのか、大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) このつなぎ法案、これが成立いたしましたならば、これは二十二年度の子ども手当の支給額や支給要件が変更しないと、こういうことになりますから、基本的には六月の定期払いで実施できると、こう考えております。
ただ、委員御指摘のような、この地震による被害によりまして一部の自治体では行政事務の一部が行われない状態にあると承知をしておりますが、そうした自治体では六月支給が困難になるということもこれも懸念されるわけでありまして、万が一そうした場合でもできるだけ早くきちんと手当が支払われることが重要であると考えておりまして、国としてもできる限り市町村事務を支援できるように努力をしたいと考えております。
また、子ども手当の支給を受けるためには子ども手当の認定を受けることが必要でありますけれども、震災等のために手当の認定申請が遅れたような場合については、やむを得ない理由ということといたしまして震災時に遡って支給される旨地方自治体にも既に通知もいたしたところでございます。
今後とも、自治体の御要望も踏まえつつ、必要があれば弾力的にこの運用もしてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 やはり被災された地域の方々、やはりしっかり支給できるような体制というのは、省内でプロジェクトをつくるとか様々な形でやっぱりやることが大事でございますので、是非ともお願いをしたいと思います。
そして、この大震災、未曽有のこの大震災に関しまして、この復旧復興、被災者の支援のためには総力を挙げて取り組んでいくということでは大変大事であります。また、早急な財源確保に努めるべきでございます。
政府は二十三日に、この大震災の直接的な被害額約十六兆円から二十五兆円ということで、これは福島の原発事故を含めない形の影響でございますけれども、大変復興には莫大な財源が必要でございます。
公明党としましては、児童手当の拡充案を提示いたしまして、中学生までの一律一万円に引き下げることと、こうした考え方をまとめております。これによって、復旧復興に回せる財源ということは約一兆円捻出をすることができるわけでございます。
不要不急の予算ということで、ここは思い切って削減をしていく、子ども手当に関しましても見直して震災対策の財源に確保すると、こういうことが必要であると思いますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 公明党さんの方で子ども手当について提案をされたということは承知をいたしておりまして、今後、十月以降の子ども手当どうするかということについてしっかりお互いに議論をさせていただきたいというふうに思っております。
また、震災復興対策、これ、私も、極めて重要でございまして、そのためには国を挙げてやっていかなければというふうに思っておりますが、この一万三千円の子ども手当を停止をして子育ての家庭に重点的に負担をさせるということは、これは私は問題だというふうに思っておりますが、しかしなお、子ども手当の上積み分、この三歳未満月額七千円の予算につきましては、これは災害対策の財源に充てるべきだという御意見もいただいておるところでございまして、こうした点も含めまして今後検討していきたいと思っております。
○山本博司君 時間が参りましたので、やはり大震災で孤児になった方も数百人いらっしゃるということも報道でもございますし、しっかりこうした復興支援策に財源を使っていくということで検討お願いをしたいと思います。
以上でございます。