参議院 厚生労働委員会 閉会後第1号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。本日の委員会は、病院の耐震化と障害者施策に関しまして質問を申し上げたいと思います。
 最初に、病院の耐震化に関しまして大臣にお聞きを申し上げたいと思います。
 病院の耐震化は学校の耐震化とともに大変に重要な課題であり、大臣が野党時代より大変熱心に取り組んでこられたと伺っております。災害時に搬送された病院が一番危険な建物で倒壊のおそれがあるというのでは、二次災害の危険性もあるということですから、大変大事でございます。こうした公共事業に関しまして重点化をして取り組むということは大変必要でございます。
 そうした中で、本年一月五日に厚労省はこの病院の耐震改修状況調査の結果を発表いたしました。その結果につきまして御報告をいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕
○大臣政務官(足立信也君) 本年の一月五日に公表した病院の耐震改修調査のこの結果の概要ということでございますので、概要だけ申し上げます。
 病院全体の耐震化率は五六・二%、災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率は六二・四%。過去から見ますと、当然のことながら耐震化率は増えております。
 一方で、議員が御懸念だと思いますが、いまだ耐震化済みでない病院が四〇%を超えておりますので、その中身について申し上げます。
 Is値〇・三未満の建物を有する病院が百六十病院ということになっております。〇・三未満というのは、震度六程度で倒壊又は崩壊する危険性が高いという状況でございます。
 以上です。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今、調査回答八千六百十一病院で、耐震基準を満たしているのは五六・二%、災害拠点病院では六二・四%ということでございますけれども、平成二十年の四月の中央防災会議におきましての政府の計画では、平成二十二年度末までに耐震化率を七一・五%、この目標を定めておりますけれども、その目標からしましてもまだまだ耐震化は更に進めるべきと考えるわけでございますけれども、この耐震化の大きな問題というのはコストの問題でございます。
 大変地域間格差が大きくこの調査結果からも出ておりまして、例えば都道府県別での耐震化率で、滋賀県が最も高くて七五%、次いで静岡、沖縄が高くて、一方低かったのは、岡山県の三六・九%、京都、福島の順でございます。また、災害拠点病院などでは、耐震化は山形が一〇〇%ですけれども、岡山は一四・三%、私の地元の香川では二八・六%。こうした地域によるばらつき、これも是正すべき課題があるわけでございます。
 自公政権の時代に、平成二十一年度の第一次補正予算で、整備費を補助するということで総額一千二百二十二億円の医療施設耐震化臨時特例交付金、これが設置をされました。各都道府県ではこの基金を有効に活用するということで大きな成果が上がっていると思いますけれども、この基金の活用状況につきまして御報告をいただきたいと思います。
○大臣政務官(足立信也君) ストレートなお答えではないかもしれませんが、基金の活用状況というか、実際にどれだけ整備されるかというお答えにしたいと思いますが。
 二十二年の、本年の九月一日現在で、整備計画に盛り込まれた病院の数は二百二十七病院です。災害拠点病院が七十二、救命救急センターが二というふうになっています。これは、引き続き事業を行うということで今調整しておりますので、見込みではありますけれども、今年度中に更に百程度計画、指定がされるというふうな見込みになっております。ですから、三百二、三十というのが今年度の、二十一年度、二十二年度での整備計画ということになります。
○山本博司君 この基金というのは平成二十一年、二十二年の二年間ということでございまして、すべての病院に今言われているように対応するわけではない。今回、応募も約倍の件数があった中での絞り込みという形であったわけでございまして、今言われているように、このIs値という指標、このことに関しましては、二〇〇六年の国土交通省の告示で、震度六強の地震、Is値〇・六の場合、この場合ですと、倒壊し、又は崩壊する危険性があると、このように明記をされておりまして、また同じように、この安全基準の半分である、今言われましたIs値の〇・三、これ未満ですと、危険性が高い、こうなっておりまして、退去勧告を出す危険度の高い建物が含まれているということでございまして、今回の調査結果でも、こうしたIs値が〇・三未満の建物を有する病院が百六十四病院、そして災害拠点病院でも三十六病院あるということでございまして、いつ退去勧告とか使用禁止命令が出てもおかしくないという状態が続いているわけでございます。
 このIs値のデータに関しましては、大臣が野党時代から強く求めてきた結果出てきたわけでございます。それであれば、この〇・三未満の百六十四病院、また災害拠点病院三十六病院、これを緊急に優先的に耐震補強ができるように大臣が率先して対応すべきでありますけれども、いつまでにやるんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 今の御指摘のとおり、このIs値〇・三未満というのは震度六強の地震で倒壊のおそれが高いという、危険性の高いというものでございます。今回、今月の十日に内閣として発表いたしました緊急経済対策の予備費を活用する案件でも病院の耐震化というのが盛り込まれているところでございまして、この百六十ある中で、特に災害拠点病院等という中にはおっしゃっていただいたように三十六病院ございますので、これについては、基金を増額をして対応するわけでございますけれども、優先的に実施をしていきたいというふうに考えております。
 これについては、補強工事のみでありますと一年、二年で、補強工事のみであると一定の工期というのはそれなりの長さだと聞いておりますけれども、建て替えも同時にやるとある程度の時間は掛かりますが、いずれにいたしましても、これはもう速やかにやっていくということで、九月十日の経済対策にも盛り込まさせていただいているところであります。
○山本博司君 大変これは野党時代の長妻大臣の言っていることと今現状は一体どうなのかということを改めて感ずるわけですけれども、例えば二十一年の、去年の三月の厚生労働委員会では、厚労省は何も計画性がないと、今年が何棟、来年が何棟、いつごろ終了するのか、何もないじゃないか、ゼロですと、このように三月十一日に言われているわけです。翌月の四月の厚生労働委員会では、病院というのは八割が民間でございますけれども、災害が起こったときにこれは一番大事な拠点の一つになるわけでございますと、厚労省がきちっと責任を持って耐震改修計画を立案することを明言すべきだと、このようにおっしゃっているわけでございますけれども、今回、やっとその五百五十億ということがありますけれども、これは学校ということも入っております。病院はそのうちの幾らなんでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これは、今おっしゃっていただいたように、五百五十億という耐震の枠がございますけれども、病院以外のものも入っております。これについては省庁間で協議をして、私としてはこの中のできる限りの部分を病院の耐震補強に使っていきたいということで、まだ確定値は出ていないということであります。
○山本博司君 大変これは大臣が、昨年からずっと言ってきたこのことに関しまして、人任せにしていると、官僚任せではないかというふうに今のお話を聞いてすごく実感をするわけでございます。
 ちょうどこの二月四日の、昨年の予算委員会でも、政府のこうしたことに関しまして、非常に悠長で病院についてはいつ耐震補強工事が終わるか分からないことで、これは国民の命にかかわることでありますのでこういうのを前倒しにどんどんやると、二兆円のばらまきをやめて安心、安全を高めるためにどんどん使う、このように昨年の二月の予算委員会でも言われているわけです。
 今年の一月の公表をしたときにでも、大臣は、あらゆる手段を使って目標を達成していきたいと、このようにも宣言をされているわけですから、確かに今の病院に関して、どう、じゃ、新たに移動をして入院の患者の方をどうするかということは当然分かっているわけですから、大臣がやはりリーダーシップを持ってそれをやり切るという、その決意が必要じゃないかと思いますけれども、もう一回、目標達成に向けての決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) そういう決意があるからこそ、我々もこの予備費という、非常にある意味では機動性の高い予算の中で五百五十億という枠を確保して、その中ででき得る限りこの〇・三未満という病院に着目をして、しかも災害拠点病院ということで、これはもう災害が起こったときにその病院自体が倒壊をするということは絶対あってはならないわけでありますので、優先順位を決めて、そして実行を着実にしていくということで予備費の使用というのが決定をしたところであります。
○山本博司君 大臣、是非、このことに関して一貫して言われてきたわけでございますから、是非、今、大臣になって具体的にできるわけですので、そのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
 障害者の施策に関しまして、障害基礎年金の認定基準の改正状況ということでお伺いをしたいと思います。
 この障害基礎年金の障害認定に関しましては、この委員会でも取り上げさせていただきました。就労している事実のみで二級から三級になって障害者年金が支給されないというようなこと等ありました。この障害者は知的障害者だけじゃなくて、障害者全体に判断基準があいまいであるとか、なかなかその見直しの改定も、古い、昭和六十一年とか平成十四年以来大きな見直しがありません。また、平成十九年といいますか、この年金記録問題によりまして、こうした障害者のこの審査に回る方々とか、また具体的にそれを推進するということもずっと進んでいないわけです。
 医療はどんどん技術が進んでおります。現状にそぐわない面もたくさん出ておりますけれども、そういう意味で、今一部改定の方向性ということでパブリックコメントを発表して検討を進めておりますけれども、その改正状況を御説明いただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
 この認定基準については計画的に見直しすることになっておりますが、現在、てんかん、ぜんそく、心疾患の認定基準については、御指摘のようにパブリックコメントを行っているところでありまして、十一月をめどに認定基準の改正を行う予定としております。また、今年度はHIVと知的障害についても見直しを行い、年度内をめどに結論を得たいと考えております。
 また、今御指摘の障害年金の認定に時間が掛かっているということに関しましては、今年四月から担当職員を五十六人から九十七人に増員し、今年度中には今までから言っておりました三か月半以内とすることを、請求書を受理してから年金証書がお客様に届くまでの期間を三か月半以内にすることをサービススタンダードとして定めておりますが、それが達成できるように頑張ってまいりたいと思っております。
○山本博司君 この障害者、一番そういう意味でいったら生活の糧になるわけでございますけれども、実際、今こうした審査が非常に遅れて、三か月半という基準、日本年金機構で請求から決定まで三か月半の基準が、昨年度、達成率わずか一割、今年度でも、最長、倍の七か月とか平均半年と、そういう意味で苦情がたくさん出るということで、生活費に困窮される障害の方々というのは、大変悲鳴のような声があるわけでございます。是非ともそうした弱い方々の立場に立ってお願いをしたいと思います。
 そしてもう一つ、この障害者の認定基準ということで、この委員会でも取り上げましたけれども、高次脳機能障害とか、こういう障害のまだ認定基準に入っていない新たな病気とか、対応ということもやはり求められている部分がございます。こうした認定基準から外れますと年金ももらえませんし、大変、大変な状況がございます。そういうことも含めて、将来の検討に関しましてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
 今御指摘いただきました高次脳機能障害や、また化学物質過敏症のような新しい疾患についても、来年度以降の検討を予定しております。
○山本博司君 是非とも、こうしたことに関しましてはなるべく早く、様々な疾病がございますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。