参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第8号 令和3年5月7日

○竹谷とし子君 この件に関しましては少しずつ少しずつ進んできているものというふうに承知をしておりますので、今お願いしたことについても今後検討していっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 続きまして、離島におけるオンライン診療について伺います。
 先日、公明党離島振興対策本部では、オンラインで三重県鳥羽市からヒアリングをさせていただきました。
 鳥羽市は、答志島、菅島、神島、坂手島の小規模沿岸部離島四島を有しております。一九五四年以降、公的医療機関として離島に市立診療所を開設、離島住民の方々に対して、外来診療や往診、各種検診の実施と、医療サービスを提供してこられました。しかしながら、一九五〇年代に三万人を超えていた鳥羽市全体の人口も、二〇一六年には二万人を切り、国立社会保障・人口問題研究所によりますと、二〇四五年には八千五百七十二人まで減少すると推計をされています。離島においては更に顕著であり、この十年間で二七%に当たる約千二百人の減少があるということでございます。
 このようなことから、今後の市立診療所の運営においても、人口減少に伴う患者数の減少を踏まえて、効率的な医師配置やICTを利用した診療を活用し、安定した医療が住民に提供できるような診療所運営を考える必要があるということでございます。
 現在、鳥羽市の医療施設は二次医療機関を担う病院施設はなく、全ての離島に市立診療所を設置し、医師を常駐されているということです。しかし、離島人口の減少に伴い患者数は減少傾向であり、さらに、診療報酬請求額は大きく減少して支出超過となっているということでございます。原則として診療所ごとに管理者となる医師一名を配置し運営に当たっており、自治医科大学卒業生の派遣や全国からの公募という形で辛うじて医師を確保している現状です。
 へき地や離島の医療に携わる医師の全国的な不足は今後も続く見通しでございます。今後欠員が生じた場合に、新たな医師の採用に時間を要し、現状の診療体制を維持していくことの困難も予想をされております。
 このような課題を踏まえて、鳥羽市では、必要な保健医療サービスを維持しつつ効率的な診療所運営を行う体制について、数年にわたり検討を進めてこられました。
 近距離沿岸部の離島四島を抱える地理的条件を考慮した結果、複数の医師が複数の診療所を担当、兼務するグループ診療、面で支える医療と言われております。令和四年度から移行する予定とされています。グループ診療を実施した場合に、医師の離島滞在時間が現在よりも減少するということがやむを得ない状況になるそうです。島民の不安の増大、医療の質の低下も危惧されております。そのため、ICTの活用、特にオンライン診療によって島民の安心を確保することを目指しているということでございます。
 そこで、実証実験を行われました。例えば、成果の例としては、天候の悪化時やグループ診療の動きの中で医師がその離島に不在であっても、医師が通常に近い診療の提供が可能であるということが示されたそうでございます。定期薬を切らすこともなく、いつもと違う症状で受診をした患者様にも対応することが可能であり、島民の満足度も高かったということです。また、緊急疾患の発生時でも患者の状況を大きく間違うことなく把握でき、医師、患者とも共に不安を軽減できたということでありました。さらには、新型コロナウイルス感染によって起き得る事態に対して柔軟な対応が取れる可能性も示されたということです。
 しかしながら、実現に当たっての課題も浮き彫りになりました。保険請求の要件が当該医療機関内において行うということとなっているため、緊急時等に医師が自宅や出先でオンライン診療を行うと診療報酬の保険請求ができないということとなり、オンライン診療の普及の壁になるとの指摘でございます。例えば、実証実験のときには、夜間緊急時に患者の自宅に訪問した看護師の方から連絡をもらった後、約三十分ほど掛けて鳥羽市の休日・夜間応急診療所まで行って、そこで診察を開始したということでございます。
 そこで、厚生労働省山本副大臣にお越しいただきましたので、要望させていただきます。
 離島等でオンライン診療の活用が進むための方策について、このような現場の状況等を踏まえながら、次期診療報酬の改定に向けて御検討をお願いしたいと思います。
○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。
 私も、全国の離島、百六の離島を回らせていただいておりますので、医師の不足している離島やへき地において情報機器、ICTを活用したこのオンライン診療というのは大変有用であると実感している一人でございます。
 その意味で、厚労省におきましても保険診療において評価を行っている次第でございます。例えば、令和二年度の診療報酬改定におきまして、離島を含めた医療資源の少ない地域等におきましてオンライン診療がより柔軟に活用できるように診療報酬の要件について見直したところでございます。これは医師の所在に係る要件の緩和ということでございまして、例えば本土からやる場合の遠隔医療、遠隔診療とか、こういうことを認めたということでございます。
 診療報酬におけるこのオンライン診療の評価の在り方等につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況も踏まえながら、検討されている、オンライン診療の適切な実施に関する指針の改定状況を踏まえて検討することにしている次第でございますけれども、竹谷委員御指摘のような鳥羽市でのそういう事例も含めて、離島等で様々な活用が更に進むための方策につきまして、現場のこうした状況、自宅等では使えないというお話もございましたけれども、こうした現場の状況等を踏まえながら、次期診療報酬改定に向けまして、中央社会保険医療協議会において検討してまいります。