参議院 文教科学委員会 第3号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、文科大臣の所信に対する質疑ということで、インクルーシブ教育の課題ということに関しまして、また教育費の負担軽減策ということに関しまして、大臣の御認識をお聞きをしたいと思います。
   〔理事水落敏栄君退席、委員長着席〕
 まず、インクルーシブ教育の課題ということに関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 インクルーシブ教育、障害のある者とない者が共に学ぶことを通じて共生社会の実現に貢献しようという考え方でございます。国連の障害者権利条約の批准に向けまして、今国内法の整備が進んでおりますけれども、一昨年の七月に、改正障害者基本法の第十六条に、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるように配慮する、こういうインクルーシブ教育の理念が盛り込まれました。また、中央教育審議会におきまして昨年まとめた報告書の中にも、このインクルーシブ教育の推進、また障害の特性に合った合理的配慮を学校の現場に導入する、こういう形になっているわけでございます。それを受けて、文科省の来年度の本予算の中にも約十三億八千五百万円の新規予算が確保されておりまして、まさしくインクルーシブ教育元年とも言える大変意義ある一歩を踏み出したんではないかと思います。
 そうした流れがある中で、一部の障害者団体の方々の中には、これまでの特別支援教育自体が健常者から障害児を分離する教育であると、こう言って批判をする方々も根強くございます。その一方で、この特別支援教育関係者などからは、もっと早期から障害に応じた教育を行った方が一人一人の能力を発揮することができる、こういう意見もあるわけでございます。
 そこで、大臣にお聞きをいたしますけれども、今回のインクルーシブ教育というのはこれまでの特別支援教育とどこが違うのか、またインクルーシブという概念が何を示しているのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) インクルーシブ教育とは、平成十八年十二月の国連総会で採択された障害者の権利に関する条約において提唱された理念であり、人間の多様性の尊重等を強化し、障害のある者がその能力等を最大限に発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下で、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みとされているものであると承知しております。
 同条約の批准に向けては、平成二十三年八月に障害者基本法の改正が行われ、教育についても、障害のある児童生徒が十分な教育を受けられるよう、可能な限り障害のない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、必要な施策を講じること、また、本人及び保護者に対し十分な情報を提供し、可能な限りその意向を尊重すること、そして、交流及び共同学習を推進すること、環境の整備を促進すること、このようなことに関する規定が整備されたところでもございます。
 また、昨年七月の二十三日に中央教育審議会初等中等教育分科会から報告がされました。「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」、これが公表されましたが、この中において、特別支援教育は、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システム構築のために不可欠なものである、こういうようなことが確認されたところでもございます。
 文部科学省としては、これらを踏まえ、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の充実に取り組んでまいります。
○山本博司君 このインクルーシブ教育を実践していく中で一番大きく変わっていきますのは、通う学校の指定、いわゆる就学先の決定の仕組みと言われております。
 現在、市町村の教育委員会で、この就学指導委員会におきまして、専門的な見地から、こうした基準を該当する場合には特別支援学校と、こういうふうに指定するというのが基本でございます。しかし、こうした決定をめぐっては、ともすると、学校側の都合であるとか、若しくは障害児本人とか保護者の意向が十分反映されていないのではないかと、こういう批判もたくさんあるわけでございます。
 やはり、障害者の本人とか保護者の意向を十分に反映することが大変大事でございます。今回、この就学先決定の在り方、見直されますけれども、どのように見直しがされるのでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) このインクルーシブ教育システムの構築に向け、昨年七月二十三日に公表された中央教育審議会初等中等教育分科会報告において、就学先決定の仕組みについて、就学基準に該当する障害のある子供は特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状況や本人、保護者の意見等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する、そういう仕組みとすることが必要であるというふうに提言されております。
 現在、文部科学省において、これらを踏まえつつ、障害のある児童生徒の就学手続に関する学校教育法施行令の改正等の検討を行っております。
○山本博司君 是非、こうした支援というのは大事でございますので、就学時だけじゃなくて、その後のフォローもお願いをしたいわけでございます。
 この就学先が決定した後、特別支援学校に行く場合、また通常学級に行く場合、様々な課題がまだございます。こうした点、幾つかの観点でお聞きをしたいと思います。
 まず、通常学級に進んだ場合の点でございます。
 先ほども、午前中、午後とも、こうした発達障害の方々に対する指摘の点がございました。十二月に文科省が、発達障害のある児童生徒の調査結果ということで、六・五%の平均在籍ということで、四十人学級ですと一クラスに二人から三人という形でそうした発達障害のお子さんがいらっしゃるということも明らかになっております。
 実際、こうした発達障害の可能性があっても、その学校で支援が受けていない人たちも四割近くいらっしゃるということでございまして、やはり私も現場を回って、多くの方々の声というのは、保護者の方の声というのは、やはり学校の現場で教職員の方々のやっぱり認識が非常に低い、そうしたことが分かっていないという、教職員の方のそういう問題がストレスとして、発達障害の方が二次障害としてうつ病であるとかそういう対応になって、福祉のそうした現場に駆け込んでしまうということをたくさん聞きます。
 そういう意味では、こうした改善というのは、先ほどの指摘ございましたけれども、教職員の方に対するきちっとした理解をやるべきであると、私もこれは一貫して質問してきたわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のとおり、先ほどもほかの委員の方々からも同様の指摘がありました。発達障害に関する教職員の理解が、発達障害に関係する学級や学校ではあったとしても、一般のクラスを持っている担任の先生の理解がないために子供たちがつらい目に遭っているということが学校現場でもあるというふうに聞いております。
 昨年七月の中央教育審議会初等中等教育分科会報告においても、全ての教員に発達障害に関する一定の知識、技能が必須である旨の指摘がされました。また、文部科学省が昨年実施した調査において、知的発達に遅れはないものの発達障害の可能性のある学習面又は行動面において著しい困難を示すとされた児童生徒の割合が通常の学級でも六・五%推計されているということからも、発達障害に関する理解の推進が課題であるというふうに思います。
 文部科学省において、従来より、各教育委員会が進める教員の学校内外での研修の受講による専門性の向上等の体制整備の補助、独立行政法人特別支援教育総合研究所における各都道府県の指導者のための研修の実施などにより、発達障害に関する専門性の向上に関する取組を推進してきたところでございますが、まだまだ足らないと思います。
 平成二十五年度予算案においては、この中教審の報告を踏まえ、新たに発達障害に関する専門的、実践的知識を有する教職員を育成するためのプログラム開発等を内容とする発達障害に関する教職員の専門性向上事業、これを新規に計上したところでございます。
 これらを通じて、発達障害に対する教職員の理解がより推進されるように努めてまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも、今回、新規予算という形でスタートするわけでございますけれども、まだまだ予算額も少ないわけでございますので、是非ともその拡充にお願いをしたいと思います。
 続きまして、今、大臣も御指摘されましたように、六・五%いらっしゃる。特に行動障害を持っていらっしゃるお子さんがいらっしゃるクラスというのは大変であります。そういう中で、この特別支援教育支援員の制度、これがスタートをしているわけですけれども、まだまだ数が足らないということもございます。地域差もございます。こうした意味で更に拡充をすべきであると思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 障害のある児童生徒等の学校生活上の介護や学習活動上のサポートを行う上で、今御指摘のように、特別支援教育支援員の配置は大変重要であるというふうに思います。
 その配置に必要な経費については、国からの地方交付税として地方財政措置されているところでございますが、これまでも配置を促進しつつその配置実績を踏まえて年々拡充してまいりました。二十五年度においては、更に前年度から三千二百人増の合計四万四千七百人分の財政措置を予定をしております。
 今後とも、この御指摘の特別支援教育支援員の充実に努めてまいります。
○山本博司君 是非お願いをしたいんですけれども、現状、今、特に、私も各地を回りまして、特に高校に行きましたときの非常にこうした支援員の方の数が少ない。定時制高校ですと、ある校長は約一五%ぐらい発達障害の方がいらっしゃって大変であるということで、現実、支援員というのは非常に少ないわけです。今回も五百人の措置なわけですね。やはりそういう部分で、ある高校の校長先生は、発達障害の方が入ってきたときの対応ができなくなって途中で辞めていく方もたくさんいらっしゃるということもございます。
 そういう意味で、今、拡充はされているということでございますけれども、やはり更に推進をしていただきたいというのがお願いでございます。答弁は結構でございます。
 その後で、もう一つ、特別支援学校に行った場合の課題でございます。
 これも、特別支援学校、特に高等部、どんどん人が、特別支援学校に行かれている方が急増しております。都内の学校でお話聞きますと、三十七名から七十名になったということもございまして、急激に増えている中で教室が不足している。この点も何年か前、平成二十二年にも指摘をさせていただきました。
 そういう中で、実際その対応がどうなっているのかということに関して、この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 文部科学省が各都道府県に対して行った公立特別支援学校における教室不足の現状についての調査によりますと、在籍する児童生徒数の増加により、平成二十四年五月一日現在で全国で四千六百三十三教室の不足があるということでございます。対前年度に比べまして不足教室の数は七十二教室の増加となっているということでございます。
 文部科学省としては、できる限り良好な環境で特別支援教育を実施するため、特別支援学校の教室不足解消の対応策について各都道府県に対し通知を発出し、増加傾向にある児童生徒数を的確に把握し、解消計画を順次策定、更新するなど、教育上支障がないよう適切な取組を求めているところでもございます。
 一方、同じ調査によると、校舎の新築や増築及び廃校になった校舎や空き教室を活用するなどの方法によりまして、平成二十四年度中約二百四十教室、平成二十五年度中には約三百七十教室の教室不足が解消される見込みともなっております。
 このような校舎の新築や増築、改築等の施設整備に対しては、平成二十五年度予算案において、地方からの要望に対し全て対応する予定でございます。引き続き、特別支援学校の教室不足の解消に努めてまいります。
○山本博司君 二年前質問したときから現状としてやっぱり増えている、クラス数も増えている、実際にございます。
 やはり大臣、現状、この特別支援の学校においてもそうです。また、通常学級にしてもそうです。やはり現場の方々は大変苦労されているわけでございますので、是非ともこのインクルーシブ教育を推進していこうという形の中で、やはりこの点に関してお願いをしたいと思います。
 そういう中で、この特別支援学校と通常学校との交流をされている取組があります。やはり、障害のない子供たちと、それから、小さいころから同じようにそこに交流をし合うということが、共生社会を担っていくための一つの基礎という意味では大変大事な点だと思います。
 私、埼玉の独自に進めている支援制度、支援籍制度というお話を聞かさせていただきました。ふだんは特別支援学校、遠いところに通っているわけですけれども、その居住する地元の小学校、支援籍という籍がありまして、そこに一定の期間交流をしていくという形でお互いがその支援学校と地元の小学校の交流をされるという形でございまして、これは大変大きな効果は出ているということでございます。
 中教審の報告書の中でもこのインクルーシブ教育を推進する上で非常に効果的であるという指摘もされているわけですけれども、こうした特別支援学校と通常学校との交流というのをもっと拡充していくべきではないかと思いますけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 交流そして共同学習、これは、共生社会の形成に向けて、全ての児童生徒にとって経験を広め、社会性を養い、豊かな人間性を育てる上で大変大きな意義があるものであり、障害者基本法においても積極的な推進が規定されているところでございます。文部科学省では、特別支援学校及び幼、小、中、高等学校の学習指導要領に障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習について明記をし、推進をしております。
 また、昨年七月の中教審の初等中等教育分科会報告においても交流及び共同学習の推進が必要であることが提言されており、各教科等の学習における交流及び共同学習の組織的、計画的な推進、また、特別支援学校の児童生徒が居住する地域の学校との交流及び共同学習の実施等が課題とされております。
 今御指摘の埼玉県はそのような形で既に取り組んでおられるということをお聞きしました。文部科学省として、新規に来年度から、交流及び共同学習の組織的、計画的な実施等について実践研究を行うインクルーシブ教育システム構築モデル事業、これを新たに実施することにしておりまして、交流及び共同学習の更なる推進に努めてまいります。
○山本博司君 是非とも大臣、こうしたことも含めてお願いをしたいと思います。
 現在、障害者基本法などによりまして、障害を理由に差別することなく学習機会が提供されるような合理的配慮ということが義務付けられております。ただ、障害のある学生に提供すべきこの合理的配慮の範囲や課題というのが明確じゃないために、障害者の受入れがなかなか進まないというのが実情でございます。
 このため、文科省、専門家などの検討会を設置して、大学などが取るべき合理的配慮の範囲、こういったことを検討することにしているというふうに聞いておりますけれども、大臣、この合理的配慮の確保ということに関して教育分野でどのように認識をされているのか、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 合理的配慮とは、障害者の権利に関する条約において、障害者が他の者と平等に全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失った又は過度の負担を課さないものをいう、そういうふうに定義されております。
 この合理的配慮については、昨年七月の中教審初中分科会報告において、個々の障害のある幼児、児童生徒の障害の状況等に応じて提供されるものであり、多様かつ個別性が高いものであるというふうにされ、その代表的なものと考えられる例を観点ごとに示していただいております。例えば、視覚障害のある児童生徒の情報保障等の観点では、拡大文字を用いた資料の提供や、またICTの活用による画面拡大や色の調整等の配慮が例示として挙げられております。
 また、合理的配慮は新しい概念であるということでございますので、報告では、早急に合理的配慮の充実に向けた調査研究事業を行い、それに基づく国としての合理的配慮のデータベースを整備し、各教育委員会の参考に供することが必要であるとの提言もなされております。
 この報告を踏まえ、文部科学省としては、平成二十五年度政府予算において、学校での合理的配慮の実践事例を収集してデータベース化する事業を新たに実施することにしております。これらの取組を通じ、学校における合理的配慮の充実等を図ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともこの点に関しまして推進をお願いしたいと思います。
 次に、教育費の負担軽減策ということでお聞きをしたいと思います。
 教育費に対しましては、授業料の減免とか各種の奨学金制度とか就学援助費などの支援といった様々な負担軽減策がこれまでも実施されておりますけれども、子育て世代の負担を考えますと更なる拡充が必要でございまして、特に所得の低い層に対する手厚い支援策が求められております。
 現在、政府において生活保護の見直しが予定されておりまして、この予算案にも盛り込まれております。その実施の中に、貧困の連鎖を断ち切るための子供の貧困防止、こういうことが出ておりますけれども、全力で取り組んでいただきたいと思います。
 厚労省はこうした生活困窮者支援制度の法律を模索しておりまして、検討しておりまして、推進をしておりますけれども、是非、文科省においても、この貧困の連鎖のこれを断ち切るという施策を取り組んでいただきたいということが今日の要望でございます。
 特に、やはり私も横浜のはばたき教室というところを行ってまいりました。釧路にも行ってまいりましたけれども、この貧困の連鎖を防ぐために、生活保護受給者の中学校三年生の子供たちに大学生が学習支援を行って、高校進学に向けたサポートをしている。釧路では教員のOBの方がやっていらっしゃいました。そこで高校に進学した児童も来ておられまして高校の勉強を教えてもらっているわけですけれども、この場がないと進学しなかったと、本当に良かったと、このように笑顔で話していらっしゃる言葉に大変希望を感じたわけでございます。
 そういう意味で、厚労省は九十四自治体の今の実施から更に中学校全体に対して検討しておりますけれども、これは、このような学習支援というのは、福祉的な側面ではなくて、本来、どんな状況であったとしても学びたいという意欲を引き出すという、この教育の本来のそういう役割ととらえるんであれば、文科省がやはり積極的に取り組んでいかないといけないんではないかと私は思うわけでございます。
 その点、この貧困の連鎖ということに関して、是非大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 大変重要な御指摘であると思います。経済的な格差が結果的には学ぶ機会を失うような教育の格差につながる、そのことによって貧困の連鎖が起こるということであってはならないわけでございまして、文部科学省としてもこの貧困の連鎖を断ち切るためにしっかりとした教育の役割を果たしていくと、それを二十五年度の予算だけでなく、今後、重点施策の一つとして取り組むことが必要であるというふうに思います。
 具体的に、今、文部科学省としては、就学前教育段階や高等教育段階では教育費の家計負担が大きい状況となっていることから、幼稚園就園奨励費補助の充実、大学等の奨学金事業や授業料減免の充実等を通じて、子供が安心して学べるよう経済的支援の充実を図っている。また、初等中等教育段階で一人一人の子供に教員が向き合う環境の整備など、個々の子供に対するきめ細やかな教育指導を図ることも重要であると考えており、さらに文部科学省として、全体的に、これから貧困の連鎖により子供の将来における可能性を閉ざしてしまわないようなそういう対策については十二分に検討し、しっかりとした対応をしていくことが必要であるというふうに考えております。
○山本博司君 その中で、やはり公明党も主張しておりますけれども、給付型の奨学金、特に高校生に対して給付型の奨学金、また幼児教育の無償化、これも公明党としても公約の中に入れておりまして、こういう点も併せて、教育費の負担軽減ということではしっかり取り組まないといけないと思いますけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) まず幼児教育の無償化については、御指摘のように、私と、それから厚労大臣と、それから内閣府の少子化担当大臣と、それから自民党、御党公明党の実務者と一緒に、より早く幼児教育の無償化をしていくための手だてについて、近々に第一回の会議を立ち上げてスタートし、実現に向けて努力をしてまいりたいと思います。
 それから、高校における給付型奨学金については、これは高校授業料無償化の中の一つとして、その財源を確保して、給付型の奨学金についても是非検討させていただきたいと思っております。
○山本博司君 やはり、先ほどの部分でやっぱり財源の問題がございました。給付型奨学金も、また幼児教育の無償化の七千九百億円も含めて、こういうことも含めてしっかり取り組んでいくということでよろしいんでしょうか。確認の意味でお伺いしたいと思います。
○国務大臣(下村博文君) 高校における給付型奨学金については、午前中も議論がありましたが、所得制限を設ける中で、総額四千億の中で財源を確保していきたいと考えております。
 幼児教育の無償化については、これは文科省だけでできる話ではございませんので、他の省庁、政府一体となって、それから与党と一緒の中で、その財源確保についてトータル的に検討してまいります。
○山本博司君 是非とも推進の方をよろしくお願いしたいと思います。
 一点、最後に、夜間中学のことで御質問したいと思います。
 この全国夜間中学校研究会の方々が去年含めまして何度も公明党にも、お話を聞いております。現状、今、八都道府県で三十五校ということでございますけれども、現状なかなか、義務教育を受けたくても、こうしたことの対応という形で、なかなか受けられない方がたくさんいらっしゃいます。
 ほとんどこの首都圏と関西圏に集中して、他の地域では義務教育を受けたくても受けられない方が現実いらっしゃいます。約百数十万人いるんではないかという当会のことも出ているわけですけれども、こうしたやはり教育を受ける権利、夜間中学の方々、夜間中学を各県に一校設置をしてほしいという要望も出ているわけですけれども、こうした点に関していかがでしょうか。
○委員長(丸山和也君) 文科大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(下村博文君) はい。
 夜間中学校については、委員御指摘のように今三十五校、これは年々、主に占める割合が外国人の、外国籍の方が多いわけですが、数が減っているということもございまして、各都道府県ということになると、都市部においては十分可能であっても、なかなか外国人の少ない都道府県においては対応が遅れているという部分がございます。
 文部科学省としては、今後とも中学校の夜間学級への、夜間学校への着実な支援を行うことによって、その教育の充実に努めてまいります。
○委員長(丸山和也君) 時間でございますので。
○山本博司君 是非この点、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。