参議院 文教科学委員会 第3号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、文教科学委員会におきまして初めて質問をさせていただきます。
大臣の所信に対する質疑ということで、震災対策、また武道の必修化、発達障害の方々の支援、時間がありましたら子ども・子育て新システムの課題等におきまして、大臣始め担当の方々の所見を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、震災対策ということでお伺いをさせていただきます。
東日本大震災から一年を超えましたけれども、今でも被災地の皆様、大変厳しい状況に置かれております。一日も早い復興を目指しまして、国の責務を果たすべきと考えます。
文部科学省におきまして把握できた今回の震災による学校等における合計死者数六百四十四人、行方不明者は八十九人に上がると言われております。この中でも、死者及び行方不明者が最も多かったのが宮城県、特に石巻市立大川小学校では、避難の遅れから全生徒の約七割に当たる七十四名の生徒と十名の教職員の方々が津波被害により死亡、行方不明となっております。
今回の震災では、学校施設の倒壊などに起因する死亡報告はなく、津波による被害が主要因であったと考えられておりまして、教訓として今後の防災対策に生かさなくてはならないと思います。
間もなく四月となり新学期が迎えますけれども、現時点でこの被災三県の生徒などの他県また県内での受入れ状況、どうなっているのか、また、先日は宮城県気仙沼市の南気仙沼小学校が津波の影響で閉校することが報道されておりましたけれども、このような学校の統廃合、どのような状況なのか、報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
岩手県、宮城県、福島県の幼児、児童生徒で、昨年九月一日現在でございますけれども、被災により他の都道府県の学校において受入れをいただいている数、岩手県から受け入れていただいた数が三百十三人、宮城県からが一千七百二人、福島県からが一万一千九百十八人の計一万三千九百三十三人となっております。
また、この三県において、同じ県内の学校での受入れの数でございますけれども、岩手県内が八百十三人、宮城県内が二千八百九十六人、福島県内で六千四百五十人、計一万百五十九人という数字となってございます。
また、岩手県、宮城県、福島県の各教育委員会による学校の統廃合でございますけれども、各県内における被災による学校の統廃合の数につきましては、岩手、福島両県においてはゼロ、なしでございます。また、宮城県におきましては、石巻市の小学校一校、気仙沼市の小学校一校の計二校が被災により廃止され、それぞれ市内の他の小学校に統合されるということがこの四月一日現在で決定しているというふうに承知しております。
○山本博司君 今報告がありましたように、三県から他県に一万三千九百三十三人という形で、県内でも一万百五十九人、多くの方々が被災をされて県外等に行っていらっしゃるわけですけれども、このデータが半年前の八月末に把握をされているということで、これは最新の情報という形では把握していなかった理由は何かありますでしょうか。
○政府参考人(布村幸彦君) この被災三県につきましては被災に関する業務が多忙という実態から、調査の実施に当たりましては、学校や教育委員会等への御負担が大きいということから、なかなか頻繁には把握ができないという状況でございます。
今後は、新たに避難の必要が生ずるなど児童生徒の就学機会の確保について改めて確認すべきという事態が生じた場合には必要な調査の実施を検討していきたいという状況でございます。
○山本博司君 今、様々な形で御苦労されていらっしゃると思うんです。それで、御報告をいただいた中には、数は分かるわけですけれども、例えば、それぞれ山形県が一番、千三百六十二人とか全国様々あるわけですね。特別支援学校の方々も福島からは九十何人とかですね。それぞれやはり課題はあるんではないかと思うんですけれども、何か共通の課題とか、そうしたこれを吸い上げる際に何かそういったことに関することは把握されたんでしょうか。
○政府参考人(布村幸彦君) 児童生徒が学校を移らざるを得ないという状況の下でございますので、被災の状況についても個々いろいろあろうかと思いますけれども、受け入れる学校に当たりましての受入れ体制の整備のために教員を増やす必要があるとか、あるいは児童生徒の心のケアという観点からカウンセラーの相談体制を整備すると、そういう現場の諸学校あるいは教育委員会の要望を踏まえて、特に被災三県については御要望に沿って対応するという努力を重ねてきているところでございます。
○山本博司君 いろいろ報告を受ける形の中で、やはりきめ細かく、それは現場の市町村、県は一生懸命ケアされていると思うんですね。やはり国である文部科学省として全体的にそうした方々が一体どうなって、どういう支援が必要なのかという視点は私は忘れてはいけないと思います。
○副大臣(森ゆうこ君) 御指摘ありがとうございます。
そういうことで、私もこの日曜日に平野復興担当大臣と一緒に、私の地元でありますけれども、新潟県も山形県に次いで受入れをしておりますので、その受入れ自治体、県知事を始め各首長からお話を伺ってまいりました。また、被災者御自身の、避難者御自身の皆さんの御意見等も伺ってまいったところでございます。
先生も多分御案内だと思うんですけれども、避難を受け入れている自治体には、内閣府の復興関連の予算で被災者の支援センターというものができておりますので、そういうところでも今それぞれの実際どういう支援を必要としているのか、私の方でも聞き取り調査をさせていただきたいなというふうに思っておりまして、きめ細かく、そして避難者に寄り添った形でまた文部科学省としても支援をしてまいりたいというふうにお約束を申し上げてきたところでございます。
○山本博司君 是非ともやはり国としてのかかわり、大事でございますので、お願いをしたいと思います。
次に、先日の平野大臣の所信の中で、この震災の教訓を踏まえつつ未来に向かうための復興教育を支援すると、このように言われておられました。この復興教育、具体的にどのようなことを行うのか、また被災した生徒たちにどういったことを教えるのか、確認をしたいと思います。いかがでしょうか。
○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。
東日本大震災の教訓を踏まえまして、被災地の復興とともに、我が国全体が希望を持って未来に向かって前進していけるようにするための教育、そのような教育を進めることが重要であると考えております。
このような教育を復興教育ととらえまして、被災地における自治体やNPOなどの多様な主体による特色ある教育支援の取組や、また今後必要となりますカリキュラムの作成などを支援する復興教育支援事業を実施しているところでございます。
その復興支援事業におきましては、例えば震災体験や科学的知見を踏まえた防災教育、そして復興に向けた町づくりを担う人材の育成、町づくりは人づくりでございますので、そういう意味で地域の振興と自らの生き方を考えるキャリア教育、また、被災地と被災地以外の学校による部活動やボランティア活動等の交流を通じた心の教育など、様々な活動が展開されているところでございます。
こうした復興教育が推進されるよう支援を行いますとともに、その成果を被災地のみならず全国的に発信していく、そして日本が元気になっていくんだというメッセージを強く伝えていくことが重要であると考えております。
○山本博司君 大事なこれもやはり事業だと思います。
やはり、五十四団体という形に今なっているわけですけれども、そういう意味でいったら、被災地を中心とした形でございますからまだまだ予算の規模が少ないですからこれからだと思いますけれども、そうした全国に散らばっていらっしゃる方々の支援という意味では大変重要な施策だと思いますので、しっかりお願いをしたいという点でございます。
続きまして、学校の耐震化ということでお聞きをしたいと思います。
公立学校の耐震化につきましては公明党も促進を強く訴えておりまして、平成二十三年度第三次補正予算で千六百二十七億円、平成二十四年度予算案では千二百四十六億円、予算措置がされました。これが完了しますと耐震化率が九〇%になって、平成二十七年までに一〇〇%を目指すという目標に大きく近づくわけでございます。特に、第三次補正には特例的な地財措置が付されておりまして、自治体負担を軽減した上で、耐震化だけでなく防災機能の向上にも活用できることから、できるだけ早く執行されることが望ましいと思います。しかし、各自治体で補正予算編成をしなければなりません。厳しい日程の中で対応できない可能性もあります。
そこで、現在までの執行状況、御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(清木孝悦君) 公立学校の耐震化についてのお尋ねでございますが、二十三年度第三次補正予算につきましては、予算額の約七割を既に執行したところでございます。
なお、残額につきましては二十四年度に繰り越しまして、二十四年度予算案と併せまして地方公共団体の耐震化、二十四年度に計画している全ての事業に対応していけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非とも、その執行を含めてお願いをしたいと思います。
この耐震化に関しまして、今回は天井材とか照明器具、外壁の落下など、非構造部材の被害及びこの落下に伴う人的な被害が数多く震災で発生をいたしました。この非構造部材の被害は人的被害を生じさせる可能性がありまして、学校施設が災害時の避難所としての機能をする際にも大きな障害になるために、この非構造部材の耐震化の必要性が指摘されております。こうした非構造部材の耐震化につきまして、地方自治体からも強い要望がございます。早急に対応をすべきと考えますけれども、この点いかがでしょうか。
○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。
御指摘のように、学校施設は子供の安全確保はもとより地域の防災拠点としての役割を果たすために、構造体だけではなく天井材や壁、照明等の非構造部材の耐震化も重要であると考えております。
このため、昨年、公立学校の施設整備に関する基本方針を改正いたしまして、非構造部材の耐震化の重要性を追記したところであります。これまでも非構造部材の耐震化に対して補助を行ってまいりましたけれども、二十四年度予算案においても地方公共団体からの要望を踏まえた所要額を計上しております。二十四年度地方要望額が百六億円、二十三年度第三次補正予算で七十億円、二十四年度当初予算で三十六億円ということで、地方からの御要望はこれでしっかりとおこたえができるというふうに思っているところでございます。今後も引き続き必要な支援を図り、非構造部材の耐震化を推進してまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
次に、防災教育についてお聞きをいたします。
釜石の奇跡というのは防災教育の重要性を示しております。この防災教育、自公政権時代に防災教育のモデル事業として、群馬大学の片田敏孝大学院教授が中心となりまして、釜石市において小中学生に直接、防災とは何か、津波が発生した際にどのように対応するのかということを教えられました。この教育を受けたことによりまして、皆さん御存じのように、釜石市の小中学生のほとんど、九九・八%が救われたということでございまして、大変貴重な体験をされたと思います。
この防災教育は釜石市だけでなくて、私のふるさとの地元の愛媛県新居浜市でも実施されておりました。この地域は平成十六年に台風被害が甚大だった地域で、愛媛大学と共同でこの小中学生の防災意識の向上に取り組んでおりました。このモデル事業の予算、平成二十二年度で打ち切られてしまいまして、十分な成果を発揮しないままに終了してしまったわけでございます。打ち切った理由は、所期の目的を達成したと、こういうものでございました。
今回の震災を踏まえまして本年度の第三次補正にも組まれ、二十四年度の予算、先ほどありましたけれども、少し取り入れられました。しかし、一度打ち切られた事業って継続されていないわけでございます。こうした意識啓発という課題というのはなかなか結果が見えにくい、そういうこともありまして、粘り強く行う必要があると思います。また、一つの世代だけに教育するのではなくて、継続的に行うべきでございます。
中央教育審議会の学校安全部会でも、この防災教育の重要性に対しまして昨日答申が出されたところでございますけれども、この防災教育予算、更なる拡充が必要である、私はそう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 議員御指摘のように、この防災教育の在り方について、過去の部分、経過を含めて我々としては打ち切ったという、結果的には事象面としてはそうなることかも分かりませんが、改めて私どもとしては、児童生徒に災害時に自らやっぱり危険をしっかり予測する、安全な行動ができる判断を身に付けてもらう、こういうことが防災教育に大変重要であるということでもございます。それが先ほど議員御指摘の観点だろうというふうに思っております。
したがいまして、地域におけるコミュニティーや災害時の拠点としての機能を有している学校が地域と連携して防災教育を行うということは、先生御指摘のように極めて重要なことだと認識をいたしております。
したがいまして、この二十四年度の予算案におきましては、新たに実践的防災教育総合支援事業として予算を計上をしてございます。全国におきまして、生徒児童自らが命を守り抜くための主体的な行動をする態度を育成をする、被災地へのボランティア活動を通じて安全な地域づくりに貢献する意識を高める教育の手法等々を開発して防災教育の充実を図るとともに、学校の防災マニュアル、特に危険等発生時の対処要領や避難訓練などに対するチェック、助言を行える外部の有識者を学校の方にも派遣をし、学校と地域の防災関連機関との連携体制を構築すると、こういうことでございます。
いずれにいたしましても、学校等におきます教職員にもしっかりと講習会を各都道府県で実施をしていただくための予算も計上をさせていただいているところであります。このほかにも、第三次の補正予算におきましては学校防災マニュアル作成の手引ということで本年度中に全学校に配布をし、防災教育のより一層の充実に努めてまいる決意でございます。
以上でございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
昨日、この中央教育審議会、答申が出ました。安全教育の時間確保を含めた様々な大事な内容だと受け止めております。このことを報告いただきたいと思います。
○政府参考人(久保公人君) 御指摘の答申は、「学校安全の推進に関する計画の策定について」でございまして、これは学校保健安全法に基づきまして国が学校安全の推進に関する計画を策定する前提といたしまして、昨年九月に文部科学大臣から中央教育審議会へ諮問いたしまして、それを踏まえまして昨日三月二十一日に答申をいただいたものでございます。
その中では、防災教育を含む安全教育、安全管理の二つの側面から課題と方策がまとめられますとともに、学校安全施策全体としてより実証的な取組を目指すとの方向性が示されてございます。
防災教育につきましては、安全に関する教育の充実方策といたしまして、東日本大震災の教訓を踏まえました、主体的に行動する態度を育成する防災教育の充実、それから教育課程の改善を含めました安全教育に関する時間の確保、緊急地震速報を活用するなどの避難訓練の在り方などについての御提言があったところでございます。
今後、文部科学省といたしましては、この答申を踏まえまして、学校安全の推進に関する計画の策定をできるだけ速やかに進めるとともに、更なる防災教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 この議論の中でも、現在の授業時間では非常に不十分であるということで、保健体育とか各教科の学習だけでなくて、学校の教育活動全般の中に総合的に実施をしていくことが重要で、ホームルームとか特別活動などのそういうことも工夫して対応すべきであると。特に、片田教授は、釜石のときにも、算数の時間に津波の速度のことをやったというようなことで大変御苦労されているわけですけれども、具体的に短期的にはそういったことをどうしていくかという問題。それから、中長期的には、安全科とか防災科といった教科の創設も含めて、これは教育課程の改善ということも視野に入れて具体的にどうするか。この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 昨日私、中教審の会長から答申をちょうだいをいたしました。特に、二つございまして、一つはスポーツについての点でございます。一つは今先生御指摘の学校の安全と、こういうことでございます。
いろいろ、全体の教科の問題でありますとかいろんなことはございますが、答申をしっかり受け止めて、具体的にどう対応していくかということはしっかり文科省としても受け止めていきたい、またそのことを進めてまいりたいと、かように考えております。
○山本博司君 それは、具体的にどういうスケジュール感でやられるんでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 新しい学習指導要領におきましては、防災教育を含む安全に関する指導については、体育、保健体育といった各教科だけでなくて、特別活動を含めた学校教育活動全体を通じて行っていこうと、こういうことでございます。そういう中で、いただきましたので、具体的に今先生、じゃどういうスケジュール感でやるのかということですが、それをしっかり踏まえて、それが実践でき得るような制度設計をどう組み込めるかということを検討してまいりたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございます。
片田教授も、この東日本大震災が起きてから日本列島の地下の状況は著しく変わっていると。今、首都圏の直下型地震にしても、また三連動、四連動の地震にしても、日本全体がそうした形での防災ということの意識があるわけでございます。
そういう中で、子供は十年で大人になり、片田教授の言葉には、更に十年で親になると。やっぱり、そういうスピードを持って地域防災力の向上のための防災教育ということを是非とも推進をしていただきたい、そういう思いで見守ってまいりたいと思います。
続きまして、武道の必修化につきましてお伺いをさせていただきます。
平成二十四年度に新しい中学校学習指導要領の全面実施に伴いまして武道の必修化が実施をされます。生徒の礼を重んじる態度を育み、体力を向上させるのが目的ということで、この四月から中学校一、二年の体育の授業での武道が必修になるわけでございます。
柔道については、過去、中高校の部活動でも死亡事故が起きて、保護者からの不安の声が上がっております。私もお会いをさせていただきました。この柔道につきましてはそうした不安があるということでございますけれども、必修化される中学校における武道の授業に当たっては、安全の管理を徹底をする、また安全に指導できる体制にする必要がございます。
三月九日に局長名で武道必修化に伴う柔道の安全管理の徹底の依頼文が出されております。この中で、柔道授業の安全な実施に向けてと題する手引が示されましたけれども、その概要を御説明いただきたいと思います。
○副大臣(奥村展三君) 山本先生、どうもありがとうございます。
御案内のとおり、平成二十年に指導要領の改訂に伴いまして三年間いろいろとこの基礎をつくり上げて、いよいよ新年度からスタートさせていただきます。
今お話しのように、非常に保護者の方々も御心配をなされまして、私どもも、文科省といたしましてもいろんな分野からお聞かせをいただいております。先日も、被害を受けられました保護者の皆さん方がお寄りになりまして、二十八年間で百十四人の方が亡くなっております、そして二十七年間で約三百名近い方々が何らかのけがをなされたり、あるいは後遺症があるというようなことで、そういうことを踏まえてしっかりとしたものを作り上げてほしいという保護者の皆さんの願いがありました。それを受けまして、今委員仰せのとおり、しっかりとしたものを作り上げ、安全を期していかなければなりませんので、局長名で出させていただいております、「柔道の授業の安全な実施に向けて」というものを出させていただきました。
その内容でございますが、武道必修化の意義あるいは目的や、中学校における柔道事故の状況等に述べたところでございます。それで、練習環境の安全確認、外部指導者の協力や指導者間の意思疎通、授業計画の組立て等々によります授業に入る前の安全管理のポイントもそこにうたっております。授業中の具体的な留意点や、万が一の場合に対処をしっかりできるように、実際の授業中の安全の管理ポイントというように分けまして、段階的に分かりやすく実はそこに組み込ませていただいたところでございます。
さらに、特に事故、頭を打つ場合がありますので、そういうことにおきまして、社団法人日本脳神経外科学会の協力を得ながら、脳しんとうや加速損傷といった、指導者の方々に知っておいていただきたい医学的知識についても盛り込んでいるところでございます。
各学校の、手引を十分に活用いただいて柔道の授業がしっかりできますように、これからも我々といたしましても、各教育委員会、特に市町村の教育委員会の皆さんの御協力がなければなかなかこれはできませんので、ということは指導者、外部の指導者におきましても、地方の市町村の教育委員会がしっかり把握をいただいて、連携を取っていただくという体制が整っていかなければならないというように思っておりますので、連携を取っていきたいと思っております。
○山本博司君 私も、中・四国の教育委員会、また柔道を教えていらっしゃる方にもお話を聞かさせていただきました。一クラス四十人ぐらいで一人で見るというようなことも含めると、見える範囲を含めてしっかりそうしたことをやっていかないと非常に厳しいという問題等もございます。ふざけて実際そこから事故が生ずるということもございます。
今回、こうした保健体育の教員が教えるということで、柔道経験のある方は少人数、受け身も練習したことのないという教員が教える場合が出るわけでございます。そういう場合で、この専門知識の不足とか経験不足を補うためのやはり指導力向上の研修とか事故が発生した場合の応急対応、今回やっぱり脳を防ぐ医療研修ということも大変必要ではないかと思う次第でございます。
愛知県の教育委員会では六日間の講習で黒帯が授与されたというふうな報道も一部出て、安全性の担保がどうなのかというふうなこともございますけれども、こうした教員への研修内容、これをやっぱりどうやっていくかと、大事な点ですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(久保公人君) 武道の必修化に当たりまして、指導に当たる教員が十分な知識を持って対応できるようにこれまで様々な通知あるいは研修を実施してまいったところでございます。
特に、教員が医学的な知識を持って指導に当たることも大変重要であると考えてございまして、教育委員会や関係団体等で行っておられます講習会などにおきましても、事故防止や応急処置への対応という観点から医学的な知識についての講習なども行っておる例は多いと認識しているところでございます。
また、文部科学省が関係団体と連携いたしまして今回の必修化に備えまして開催してきました研修会におきましても、その狙いをできるだけ取り上げてきたところでございます。
今回、さらに、柔道の授業を安全に進める上で留意していただきたい事項について、先ほど先生御指摘の、「柔道の授業の安全な実施に向けて」という手引を作成しましたが、その中でも、応急処置だけでなく、頭部損傷などに関する医学的な知識を盛り込んでおりまして、今後の教育委員会等の研修会に当たりまして、十分参考にしていただくように働きかけてまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非これは県とか市町村に任せるのではなくて、しっかり文科省としてのフォローもお願いしたいと思います。
この柔道の授業を開始する時点におきましては、一定の指導歴、また研修歴を持った教員が指導に当たるということが体制になっておりますけれども、体制が確保できない場合、適切な外部指導者の協力を得ることになっております。
しかし、私も回りましてお話を聞きますと、クラブ活動では、剣道とか柔道では外部のOBの方々を入っていただくということは非常に好ましいと考えているんですけれども、授業という、外部の人が教育現場に入るという観点から少しちょっと抵抗のあるような声もございまして、その件では全くそういったことを考えておりませんというふうなことも言われたケースがございました。
やはり、多くの方々、特にそういう柔道とか剣道等の警察関係の方とか、しっかりそうしたことでやっていらっしゃる方が入っていくということも大変大事な視点だと思いますので、こうした外部人材の活用を推進をしていくという意味で、この点いかがでしょうか。
○副大臣(奥村展三君) ありがとうございます。山本先生、御指摘いただいたとおりでございます。平野大臣も関係団体に、警察だとかあるいは柔道連盟だとか、そこにお出向きいただきまして、御協力要請をしていただいたところでございます。
特に、先日も陳情の中にあったんですが、市町村におきましては、全然柔道をした方が地域におられないとか、あるいは剣道の指導者もおられないとか、そういう中学校区があると。そういうところはどうしたらいいんだというふうなお話がございました。
やはり、先ほど私が答弁申し上げましたように、市町村の教育委員会に非常な御尽力を賜って、我々当然いろんなお願いをするわけでございますが、そこから県なら県あるいは市町村なら市町村でしっかりとした外部の指導者を把握いただいておくということが大事だというように思います。
それと、柔道をやっていたから俺が教えてやろうと言って行かれてしまって、全然部外者がある意味では授業の中に入ってこられるというおそれもあります。そういうことを、一つの節度をしっかり持たなければなりませんので、私が今担当課に申し上げておりますのは、指導員制度、やはり指導員として教育委員会が認めた、そうした指導員の方々が授業に一緒に入っていただいて、保健体育科のそういう教員が指導をして、そしてそこに補助していただくと、そういう体制をしっかり構築をしていくということが大事だと思っておりますので、今、山本委員がおっしゃったように、より以上そういう外部の指導者との連携を密にした体制を整えていきたいというように思っているところでございます。
○山本博司君 是非ともお願いしたいと思います。
また、万が一事故が発生した場合、その場で応急措置を行うこと、また応急措置を行うことでけがや病気の悪化を防ぐということは大変重要でございます。そのためには、AEDの設置とか応急措置のとれる体制の整備ということも考えなくちゃいけないと思います。その上で、骨折とか脱臼とか頭部打撲等に関しましては、医療機関とか地域の柔道整復師などの連携が大変重要になるかと思います。
こうした事故が発生する前から地域の関係者の方々と連携しながら協議会のようなネットワークを構築することも、これは万が一事故が発生した場合にも有効であると考えます。こうした地域の連絡体制、どのようになっているでしょうか。
○副大臣(奥村展三君) ありがとうございます。いい御指摘をいただきました。
特に、学校の場合は学校医の先生方、それぞれおられるわけでございますが、それと地域の医療機関との連携ですね、そういうようにしっかりとした連携が取れるようにしてまいりたいと思っております。そして、それぞれの学校、全ての学校におきましてマニフェストをしっかり作って、マニュアルだとかいろんなものを作って、そして医療機関との連携をもしも事故が起きた場合はどのようにするんだということをひとつ全員が把握ができるように作り上げていきたいというように思って、お願いをしていきたいというように思っております。
ですから、やはり医師会あるいは歯科医師会等々、そういう医療関係の皆様方にも協議会、今おっしゃったような形を是非作り上げていっていただいて、そして、あってはならない事故ですが、もしものときにはそういうような体制をしっかり整えていくというマニュアルをしっかり作り上げていきたいというように思っているところです。
○山本博司君 この手引等でもそうでございますけれども、脳しんとうとか加速損傷、頭部が激しく揺さぶられることでの静脈が切れて血液等出るという、様々、脳に対する私たちのことはよく分からない部分があると思います。
私は、実は交通事故とかスポーツ事故で軽度外傷性脳損傷、MTBIと言いますけれども、脳のこれは神経繊維が切れていくという部分ですけれども、そういう形で、実際、軽度ですけれども、後で目まいとか日常生活の中でも支障が出てくることが出ました。こういうのは画像に映らないという問題があります。ですから、こういう、ただ脳を打っても大丈夫だといってそのままになってしまうと、様々な問題があるということもございますので、しっかりこうした地域の医療体制ということをお願いをしたいと思います。
最後に、大臣にお聞きしたいと思います。
今後、万が一事故が発生した場合には、二度と同じような事故が起こらないような事故情報の収集とか原因の分析、検証などが必要ではないかと考えます。教育現場での部活動などの柔道事故の被害者団体の方からは、中立的な第三者による事故調査委員会の設置の義務付け等も要望されております。また、三月九日の通知でも、各学校での柔道の授業の指導計画や事故が発生した場合の対応策を再点検するよう都道府県の教育委員会にも要請され、準備が整わない場合は四月からの授業の開始を遅らせるよう通知もしております。
もし教師も保護者も不安の中でスタートするのであれば、事故情報の収集、検証などのこうした体制も必要ではないかと考えますけれども、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 先生が今までずっとこの安全性についての御指摘、大変ありがとうございます。
特に、武道に限らず、やっぱり生徒の安全性確保というのは極めて重要でもございます。そういう中にあって、この四月から必修と、こういうことでございますので、これまでの体得した情報の収集を更に検証を加えながら、万全の体制で今先生御指摘の情報収集、さらには検証体制を確立すべく臨んでまいりたいと、かように思っています。
そういう意味で、体育活動中の事故防止に関する調査研究協力者会議というものを二十三年の六月に設置をいたしておりまして、体育活動中でのこれまでの事故について、その分析、さらには今後の安全対策を検討をいただいているところでございます。
また、柔道につきましては、学校と教育委員会等が指導者や指導計画等の対応をいま一度再検討した結果報告をこの五月にいただきたい。要は念には念を入れたいと、こういう思いでございます。その際に事故の発生状況も報告をいただくとともに、あってはならないことでございますので、私は生半可な中途半端な状態でこの必修の柔道の指導についてはやってもらいたくない。したがって、先ほど奥村副大臣が御答弁いたしましたが、どうしても教育環境においては外部の方が入ってくることについて好ましく思わないとかいろんなことがありますが、第一義は子供の安全を重視をするということで、経験多くの方々に御協力いただきながら、本来の武道をなぜ必修にするかと、こういう大きな目的のために私はより安全サイドに立って実行してまいりたい、かように考えているところでございます。
○山本博司君 もう是非、大臣、この柔道、大変武道の必修化というのは大事でございますので、そういう安全面ということを確認をしながら推進をお願いしたいと思います。
それでは、残りの時間、発達障害の方々の特別支援教育ということでお聞きをしたいと思います。
先日の予算委員会でも、総理にこの発達障害の方々の支援ということでお聞きをさせていただきました。やはり私も全国を回っている中で、発達障害、自閉症とか学習障害とかADHD、そういう方々の御家族、また支援者、多くの方の声を行くたびに聞くわけでございます。
実際どのぐらいの人数がいるかというのは、平成十四年のこの調査、約六・三%、小中学校ですか、六十八万人というふうに言われておりますけれども、それ以来実態が分からなかったのでございました。今ちょうど文科省におきましてそうした実態調査を取り組んで、具体的にその施策を進めていこうというふうにお聞きをしております。その実態調査、いつごろ発表されるんでしょうか。
○政府参考人(布村幸彦君) ただいま山本先生から御指摘をいただきました発達障害のある児童生徒に関する実態の把握の調査につきましては、昨年の十二月に専門家の方々による協力者会議を設置をさせていただきまして、この一月に各都道府県、市町村の教育委員会に調査の協力依頼をし、調査をスタートし、今月中には調査の結果を回収をしていきたい。そして、四月以降に全国で五万四千人の児童生徒の一人一人のデータを入力、集計、分析をし、何とか秋までには結果を取りまとめて公表をし、施策に反映させるよう努めていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 この発達障害者の方々、特に発達障害のJDDネットという家族会の方、支援団体の方々、自閉症協会の方々、障害者自立支援法の改正、また基本法の改正で障害者の定義に発達障害という形が明確になりました。それが施策にどう反映していくかということで、学校教育法にも発達障害という形の明記をして支援をやっていただきたいという声がございます。
この点、ちょっと質問を飛ばしましたけれども、大臣、いかがでしょうか、この辺り。
○国務大臣(平野博文君) 今議員御指摘のように、発達障害という言葉は入っておりません。
私は、しかし、これだけのいろんな方々の事象がありますし、特に私、この問題については早期に発見をすればやっぱりより回復が早いということでございます。なかなか学校現場では気付かない、あるいは家庭の子育てしている中でもなかなか気付く母親がいない等々ございますので、やっぱりしっかり早期に発見できるように、私は、この秋ぐらいをめどに、もう一度今先生御指摘のあるようなところを一度まとめて、今後、先生御指摘のあるような方向性を見出せないかどうかを私は検討してみたいと、かように考えています。
○山本博司君 大臣、是非ともよろしくお願いしたいと思います。制度と制度のはざまで大変な御苦労をされている方々でございますので、そうした学校教育の中での支援の在り方を考えていただきたいと思います。
それで、やはりこの自閉症とかそういった方々、発達障害の方々は早期発見、早期療育というのが大変大事でございます。ところが、三歳児健診という形で、最後の健診ですから、実際はそれ以降、コミュニケーションとか、自閉症の方々はそれ以降はっきり分かってくるということもございまして、世田谷等の例では、約七千人ぐらいが毎年出生するわけですけれども、そうした方々に対しての四歳六か月の発達相談事業ということで、七千世帯に全てこうした発達障害の方の気付きのシートを出したりとか、また相談・療育センターとか相談支援室を五か所で、しっかりそうした形の支援であるとか、また地域での連携ということを取っているわけですけれども、厚労省、済みません、今日来ていただいていますので、この早期発見のための具体的な施策ということではいかがでしょうか。
○政府参考人(岡田太造君) 発達障害の方々の支援につきましては、平成十六年に成立しました発達障害者支援法に基づいて、乳幼児期から成人期までのライフステージに応じた支援の充実に取り組んでいるところでございます。
御指摘の発達障害の早期発見、早期支援の問題でございますが、御指摘のとおり、一歳六か月健診であるとか三歳児健診というような乳幼児健診が非常に重要な機会だというふうに思っていますので、そこでの早期発見を進めるためにも、マニュアルの作成とかアセスメントツールを活用するというようなことに取り組んでいるところでございます。
また、平成二十三年度から、各市町村の事業といたしまして、発達障害者などに関して知識を有する専門員が保育所であるとか幼稚園などを巡回して、施設のスタッフや御両親に対して、障害の早期発見、早期支援のための助言を行うというような巡回支援専門員整備事業というのを二十三年度から始めているところでございます。二十四年度予算案におきましても、実施自治体の数の拡大を図るなどをすることとしているところでございます。
引き続き、文部科学省など関係省庁と連携しながら、早期発見、早期支援を含めた発達障害者支援施策の充実、推進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
そして、学校教育の中でこうした発達障害の方々の支援という意味では、支援員の方々の不足ということが言われております。特に、私も鳥取を回りまして定時制の高校の校長先生にお会いしましたら、約一五%の方が発達障害の方であるというお話を聞きまして、大変そうした支援制度がない、また、香川県の校長先生とお話ししましたら、やはり高校の支援の体制がないので、一人の発達障害の方を今後どうするかということでけんけんがくがくの議論をしながら、なかなか支援体制がないのでやめざるを得ないという方もいるということもございます。
こうした支援員の方々、やはり学校教育の中での支援ということをしっかりやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(森ゆうこ君) 先生の御指摘のとおりだというふうに思います。
特別支援教育支援員の配置に係る経費につきましては、平成十九年度から小中学校で、それから平成二十一年度からは幼稚園で、これに加えまして、今お話のありましたように、平成二十三年度からは新たに高等学校で地方財政措置が開始をされまして、高等学校における特別支援教育の体制が充実強化をされているところでございます。二十三年度より地方財政措置ということで、約五百人ということで措置をしてございます。
実際の配置につきましては、やはり報告を見ますと、地方財政措置であるため、各地方公共団体の判断によることからちょっとばらつきがございます。文部科学省としては、各都道府県に配置状況を通知し、配置の充実を促しているところでございまして、障害のある児童生徒等に対して適切な支援がなされるよう今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 最後に、高校、大学の入試ということで、大学で、アメリカでは学習障害、LDの方々は十八万人と言われております。日本では六十三人ぐらいの形ですから、こういう学習障害、発達障害の方々の支援という意味では大変進んでいるわけです。
例えば高校入試等でも、読み書きをするとか様々な支援ということが言われるわけですけれども、こういった点での取組はいかがでしょうか。最後にお聞きします。
○副大臣(森ゆうこ君) ありがとうございます。
今ほどお話がございました、やはり大学生全体に占める障害のある方の割合というのは、今お話しになりました米国と比べてみますと、まだまだサポートが足りない分、学生さんの数が、割合が高くないのかなというふうな印象を持っておるところでございます。
で、高校入試でよろしいですか、大学とおっしゃった……
○山本博司君 両方、両方です。
○副大臣(森ゆうこ君) 両方ですね。
高校入試における発達障害のある生徒さんへの対応につきましては、生徒さんがその力を十分に発揮するように、公平性を基本としつつ、可能な限り配慮を行うことが重要であるというふうに考えております。文部科学省では、平成十九年に通知を出しました。「各学校は、障害のある幼児児童生徒が、円滑に学習や学校生活を行うことができるよう、必要な配慮を行うこと。 また、入学試験やその他試験などの評価を実施する際にも、別室実施、出題方法の工夫、時間の延長、人的な補助など可能な限り配慮を行うこと。」、こういう通知を出してございます。それで、それを受けて、平成二十三年度におきましても出願の際に配慮の申請のあった生徒につきましては、障害の状態に応じた配慮が都道府県の判断において行われているというふうに承知をしております。引き続き、地方公共団体に対して取組を促してまいりたいというふうに思っております。
また、大学についても先ほど御指摘があったところでございます。
独立行政法人日本学生支援機構が行った調査によれば、発達障害の学生が千百七十九名在籍しておりまして、そのうち八百八十三名が支援を受けております。今、各大学では、学生からの支援の申出を受けまして、相談の上、具体の支援内容を決めていると承知をしているところでございます。先進的な支援を行っている大学等を拠点校、これ九校ございますが、拠点校として、全国の大学等からの支援方法等の相談に応じております。引き続き充実してまいりたいと思います。
ありがとうございました。
○山本博司君 以上です。ありがとうございました。