参議院 文教科学委員会 第5号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、通学路の安全対策ということでお聞きを申し上げたいと思います。
本年四月二十三日に京都府の亀岡市、二十七日に千葉県の館山市、愛知県の岡崎市、またその後にも登下校時の児童が犠牲となる痛ましい事故が連続して発生をしてございます。幼い子供たちが犠牲になった事故でもあり、また通学路での事故でもあり、これは決してあってはならないことでございます。
警察庁の統計によりますと、登下校時の交通事故で死傷した全国の児童数は昨年一年間で二千四百八十五人に上ります。こうした惨事を回避するためには、通学路に盲点、危険はないのかどうか、こうした点検をしてより一層安全対策、これを強化する必要がございます。
公明党は、一九九一年からこうした通学路の安全ということの全国的な調査をしてまいりました。結果として、一九九五年に国のこの通学路安全点検の調査も実施をされたわけでございます。今回、公明党としましてこの通学路の安全対策のPTを立ち上げまして、都合七回、様々な形でヒアリングを行いました。また、視察も行いました。そして、五月十六日には、平野大臣の下に通学時の通学路の安全対策に対する緊急提言という形で行った次第でございます。この提言の中には、子供の視点で全国の通学路の安全調査を実施すること、そして学校と警察などの連携の強化、そして安全対策を徹底するための地方自治体あての通知、そういったことを早急に行うように私も同席させていただいて主張させていただきました。この提言を十分に踏まえまして、大臣は五月三十日に緊急合同点検を行う通知を出していただきました。これは大変に大臣、早急な対応ありがとうございます。感謝を申し上げる次第でございます。
そこで、まず、この通学路での事故が多発していることに対する大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 今、山本議員から御指摘をいただきました通学路の安全対策と、こういうことでございますし、御党は前々からこの学校の通学路を含めた安全対策ということに御熱心に取り組んでいただいていることに敬意を表したいと思っております。
四月の二十三日の特に亀岡の事故を始めとして、多数の事案、事故が起こりました。大事な児童生徒の尊い命を亡くしているということもあって、私は大変痛ましく思っております。あってはならないと、こんな思いで先ほど議員から御説明ございましたような対応をしてきたところでございます。特に、四月の二十七日に閣議で関係閣僚に対しまして通学路の安全対策と、こういうところから、国交省、さらには警察庁、文科省と、この三省関係者が寄り合って早急にそれぞれの立場できちっとこのものを共有認識の下に対応しようと、こういうことで、副大臣をベースにしっかり具体的に取り組んでいただきたいということも開始をいたしたところでございまして、五月の二十八日にその対策を取りまとめをさせていただきました。
それを踏まえて、私、二十九日に各都道府県教育委員会の学校安全担当者を集めた健康教育行政担当者連絡会議に、私前もって言っておりませんでしたが、突然出向きまして、徹底してこの問題については対処してもらいたい、中央だけでやり取りするのではなくて、それぞれの地域の保護者あるいは自治体、警察含めて、地域でもしっかり連携してこの問題については対処してもらいたいと、このことを要請をし、同日文書でも発出した次第でございます。
私としても、何をおいても大事な子供、生徒でございますから、こういうことが起こらないように万全の体制で臨んでまいりたいと思っていますし、二十何日でございましたか、五月の十六日にも御党の代表者の方々、先生も来られたと思いますが、いただきましたので、同じ考え方の下に進めていきたいと、かように思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともその推進をお願いしたいわけですけれども。
そこで、その通知の中に、緊急合同点検、これを実施するということでございますけれども、この概要に関しましてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(久保公人君) 緊急合同点検の概要、スケジュールでございますけれども、まず、各学校が危険箇所の抽出を行いまして、その危険箇所について、教育委員会が中心となって学校、保護者、関係機関との合同点検を八月末までに実施していただいて、その結果を報告いただくこととしております。また、この合同点検結果を受けまして対策を検討していただいて、十一月末までの実施状況を報告いただくこととしているところでございます。この合同点検後の報告及び対策の状況報告につきましては、関係省庁と連携の上、取りまとめて公表することとしているところでございます。
以上でございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
この八月までに点検を実施して、その後に対策を具体的に取り組むと、こういうことでございますけれども、一つは、この点検実施に要する費用に関して国の支援があるのかどうか、地方議員から様々な問合せをいただいております。その後、この緊急点検の結果、危険な場所に関しましてカラー舗装をするとか信号機を取り付けるとか、こういった対策が必要になるわけですけれども、今回の通知の中では、想定される対策のメニューということで、道路交通環境の改善とか交通指導の取締り、通学路の変更と、こういうことでございますけれども、この緊急点検とかその後の対策を実施した場合の費用負担、国の支援措置、また地方の割合はどうなのか、この辺いかがでしょうか。
○政府参考人(久保公人君) まず、合同点検の方でございますけれども、これにつきましては、教育委員会及び学校が道路管理者、警察など関係機関等と連携しまして通常業務の一環としてその範囲内で行っていただくことを想定いたしているところでございます。
次に、点検を受けて具体的に必要となります対策の実施に係ります経費、道路環境の整備や交通規制の実施など、これにつきましては、その必要となった対策ごとに関係省庁の支援措置も活用しながら、まずは各地域の既定予算において対応いただくことになると認識しているところでございます。
○山本博司君 国交省にもお聞きします。
この費用負担に関して、社会資本整備総合交付金、また地域自主戦略交付金、こうした交付金が活用できると思いますけれども、今回、年度途中でございます。そうした中で、この実施計画を変更して地方自治体の自主的な判断でこの交付金の活用が可能なのか、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(尾藤勇君) 先生御指摘のとおり、通学路を始めといたします道路の交通安全対策に係る事業につきましては、社会資本整備総合交付金等により、これまでも地方公共団体に対して支援を行ってまいっておるところでございます。
そこで、今回の緊急合同点検を受けて早急に対策が必要であるとされたものにつきましては、地方公共団体の裁量により、今年度既に配分されている社会資本整備総合交付金等を活用することが可能であるというふうに承知をいたしております。
○山本博司君 今費用負担ということで国交省、また文科省からお話しいただきましたけれども、今回二万数千か所のやはり小学校に関して総点検をして具体的に対応すると。私も視察させていただきましたけれども、例えば、一緒に回らさせていただいても、ここに信号を付けてほしいとか、ここにカラー舗装をしてほしいとか、一つの学校でも十か所以上そういったものが一緒に回らせていただいてもございました。
そういう中で今回、通常業務の範囲というようなことでございますとか、今言った国交省の、もうほとんど財源が決まっている中で、地方自治体がそこから新たなそうしたことに関してお金を付けることができるかどうか、これも大変厳しい今の現状がございます。ですので、これは大臣、お願いなわけでございますけれども、この新たな、当然そうした箇所がどんどん出てくる、当然この十一月ぐらいにはまとめられるわけですけれども、そういう意味で新たな予算措置、これは必要であると思います。当然、今の予備費の活用とか、また今後検討されるであろう補正予算、こういったことにもしっかり盛り込んで、財源に関しては安心してくださいと、こういう形でやっぱり大臣がやるべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 今、国交省を含めて、今の現状の、今持っている枠組みでまずやってみるということでございます。その上で、やっぱり今委員御指摘のように、補正を組まなきゃいけないのか、予備費を組まなきゃいけないと、こういうことになれば、やっぱりこの事案の重要性に鑑みて、関係省庁と十分協議をして対処しなきゃいけないと、かように思っております。
○山本博司君 これは、大臣、大事な部分でございまして、いかにこれを対応していくかということは是非進めていただきたいと思う次第でございます。
警察庁にお聞きしたいと思います。
今ハードのインフラの部分の整備ということでお話を聞きました。ソフト面に関して、警察庁は昨年の九月に指定区域内の生活道路、これを時速三十キロ以下の制限にするゾーン30の取組の推進ということを都道府県警察にも通達をしてございます。また、通学路の安全を考えるのであれば、この通学時間帯に車両の通学路への進入を禁止すると、こういう規制の措置も必要ではないかと思うわけでございます。今回総点検をして、こうしたことがやはり早く実施をできるようにするということが大変大事でございます。
今までのケースでも、例えば一方通行にしてほしいと、こういう要望があっても、なかなか利害関係者の調整とか、短時間では対応できないと、こういうことがございました。公立小学校だけでも一万五千七百二か所という形でございます。そういう中で、やはり速やかにこうした形、できるところから早く進めると、こういう意味での交通規制の取締りの体制ということを警察庁、どう考えているんでしょうか。
○政府参考人(石井隆之君) 先生御指摘のとおり、今回の緊急合同点検の結果、対策を講ずべき箇所は相当数に上る可能性があると認識をいたしております。都道府県警察におきましては、学校関係者、道路管理者等と十分連携協議の上、それぞれ対策の緊急性等に応じ、実現可能な場所から速やかに取り組むよう、警察庁としても既に各都道府県警察に通達をしているところでございまして、引き続きこの点きめ細かく指導してまいりたいと思っております。
また、先生御指摘の地域の方々の合意の件でございますけれども、この緊急合同点検の結果を踏まえた対策の推進に当たりましては、学校関係者、道路管理者等との連携はもちろん、地域住民の理解と協力が得られるよう、警察からも積極的に働きかけるよう努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いします。
五月二十五日に私の高松の地元の木太小学校を視察させていただきました。この木太小学校は高松市の中部にございまして、五百五十名の児童数でございます。交通量の多い地域でございますけれども、文部科学省の地域ぐるみの学校安全体制整備実践事例集の模範事例というふうに取り上げられておりまして、昨年七月には学校安全功労で内閣総理大臣賞も受賞されております。昭和四十一年から交通安全優秀校に選ばれて以来、地域でこういった形の推進をしているすばらしい、私も視察させていただきまして感動いたしました。
この家庭、地域、関係機関、三位一体、学校が見送りをする、地域が見守りをする、そして保護者が出迎えをするということを毎日のようにやっていらっしゃる、見守りの方も高齢者の百寿会の方たちがやっていらっしゃるという大変すばらしい形でございます。
こういう地域住民との連携、特にスクールガードの存在というのは大きいと思いますし、リーダーの育成ということも必要でございます。こういう点ということと併せて、模範事例のやはり啓発ということも含めて必要じゃないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
御指摘いただきました地域住民との連携、そして協力、理解を得ることは大変重要だというふうに認識をいたしております。先ほどから答弁でございました緊急合同点検につきましても、できる限り地域住民等の参加を得ること、そして、この点検を受けた後の対策案につきましても市町村教育委員会、学校、道路管理者、そして警察と連携協力の上、地域住民とも調整を図って作成することを求めているところであります。
実際にスクールガード・リーダーの配置、あるいは学校安全ボランティア等による子供の見守り活動などが行われておりますけれども、そうしたところに地域住民の方がかかわっていただくときにやはり課題、懸念、心配する部分などもあるというふうに聞いております。そうした部分も念頭に置きながら、地域住民の協力や理解が得られるようにこれら取組を支援してまいりたいというふうに思っています。
その上ででありますけれども、先ほど御指摘いただいた優良事例を積極的に周知をしていくべしというところでありますけれども、この優良事例を全国へ広めていくことは大変有効だというふうに思っております。このため、先月行われました各都道府県教育委員会等の学校安全担当者等を集めた会議におきましても、通学路の安全確保等に関する取組を持ち寄り、情報交換、研究、協議を行ったところであります。各地域、学校においては、そうした好事例あるいは成果、課題などを具体的な取組に生かしていただくということにいたしております。
今後、さらに各分野の有識者等から意見聴取を行うなど、安全対策に関する優良事例も含め、主な意見を取りまとめた上で各地域に提供するなど、各地域の取組を更に支援をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 じゃ、最後に一問だけ大臣に。
この木太小学校でも子供たちの安全教育という意味では大変すばらしい形でされておりました。ところが、この交通安全教育の予算が僅か四千万円でございます。防犯教室とか防災教室、AEDの取扱いとか含めて、ほとんど内容を見ても教職員の講習という形でございまして、やはり命を守るという観点ではこの予算も含めての拡充が必要かと思いますけれども、最後にこの一問を聞いて、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 委員からるる御指摘をいただきました。やっぱり何をおいてもしっかりとした安全教育という実践をしていかなければならないと思います。もちろん教員のみならず児童にも、やっぱりしっかりとそのことを踏まえて対処できる、そういう教育体系をしていきたいと思っていますので、より子供たちの安全を確保すると、こういう視点から予算に対する充実も図っていきたいと、かように思っております。
○山本博司君 以上です。ありがとうございました。