参議院 文教科学委員会 第8号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、子供の命を守るという視点から、今、義家議員からもありましたいじめの問題、また通学路の安全対策という視点、そして明日から始まります障害者スポーツという観点から質問をさせていただきたいと思います。
 今、義家議員の方からも質問ありましたこのいじめの問題ということで、これは大変大事な問題ということで、先ほど大臣からも、八月一日に子ども安全対策支援室、これを立ち上げたということを伺っております。
 そこで、この支援室の業務内容、構成、また他の省庁との連携、こういう点でのことを御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 今、義家先生からございましたが、その対策室が絵にかいたもちにならないように中身を今検討をいたしておるところであります。
 そういう中で、山本先生からの御質問でございますが、八月一日に私の直轄組織、いわゆる大臣命令により、大臣官房に子ども安全対策室を設置をさせていただきました。
 今、具体的行動指針、方針を詰めているところでございますが、基本的には、学校でのいじめを背景とする自殺、さらには、学校の管理下で起こる事故、災害等について学校や教育委員会はその予防や原因究明、再発防止を行う必要があるが、時として教育委員会における能力を超え、迅速適切な対応ができない場合があると。こういうことで、できない場合の事案を先ほどからるる御指摘をされているわけでありますが、あるということであります。
 そのような場合に、文科省としては、子供の命を守る、安全を守る、こういうことで、ややもすると文科省としてはやっぱり受け身であったと。これは、先ほど言った地方分権、こういうことで、それぞれ設置者の問題である、地方の教育委員会の問題であるという、こういう考え方でややもすると私は対応してきたというふうに反省をしています。したがいまして、そういうことじゃなくて、的確な指導、助言を行い、強力な支援をしていくための支援室にしたいと、こういうことでございます。
 特に、危険性のある問題として具体的にどうするかということでございますが、今回の大津の事件が私にとってはショックでございました。特に教育現場に警察が入ったというのが私にとっては最大のショックでございまして、警察に頼らなければこの問題が解決できないのか、これが一番私にとっての大きなショックなことでございました。
 これは、まさに義家先生から指摘ございました、今の地教行法における対応では何もできない、靴の上からかいているような話じゃないかと。もっと的確な現場に指示ができるような仕組みを何としても、今、まず現行法でどうできるかということでつくったわけでございます。
 一つには、いじめ問題が背景にある児童生徒の自殺については絶対命を落とさせない、こんな思いで対応したい。部活動の教育指導中の事故についてもそうでございます。また、不審者による凶悪事件に巻き込まれないようにどうすべきか、あるいは甚大な被害をもたらす自然災害についてどう防災教育として徹底していくのか等々含めて、学校や教育委員会を直接的に支援をする仕組み設計を作りたいと、こういう思いで今検討している、こういうことでございます。
○山本博司君 大変大事なこの部分でございますけれども、同じ八月一日に小中高校に対しまして前倒しで緊急アンケート依頼を行ったと、こういう形での施策がございますけれども、この内容に関して御報告いただきたいと思います。
○大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。
 今ほど御指摘いただきました緊急調査についてでありますけれども、今年の七月以降に二十四時間のいじめ相談ダイヤルの相談件数が急激に増加したということもございまして、今回の事案によりまして児童生徒、保護者の間で不安が広がっているのではないかという懸念もございましたので、今、日にちも御指摘ありましたけれども、八月の一日、国公私立の小中高等学校及び特別支援学校を対象に、また、その後、当事者からお話がございましたこともあって、国公私立の高等専門学校及び高等専修学校も対象に加えるという形で、いじめに関する緊急調査をお願いをしたところであります。
 具体的には、各学校に対して、特に小中学校では、登校日、家庭訪問の機会等を活用するなどいたしまして、まずは状況の把握、そしていじめの認知件数等の提出をいただくということ、また教育委員会、学校に対しましては、取組状況についてのいま一度の総点検を実施し、その結果を報告することを求めております。
 この結果に基づきまして、先ほど大臣からもございましたけれども、国民全体で子供を守るという観点、これに基づいての取組、特に各学校そして教育委員会におきましては、いじめ事案を把握された場合の迅速かつ適切な対応、また日ごろの取組の見直しに活用いただくということ、また踏み込んだ対応、先ほども文部科学省としてどうするかということについては先ほど大臣から言及がありましたけれども、一つ一つ取組をさせていただきまして、未然防止に向けた今後の改善、全力で挙げていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 アンケート、そういう意味で現状の把握をしていきながら顕在化していくということで大変大事な点だと思いますけれども、これは今までやってきた延長線上のものということで、これも教職員が対象ということでございまして、実態的にはアンケートのためのアンケートのような形になってしまってはいけないということもございます。もっと、今回のことを含めて、やっぱり画期的な形のそういう新しい発想ということも大事だと思いますけれども、保護者の方々に対する御意見、またそういうアンケート、こういうふうな形の観点での件、この点はいかがなんでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 御指摘ありがとうございます。
 今回、夏休みであるにもかかわらず、大変な作業になるというお声もありましたが、夏休みだからやってくれと、このアンケートについては。それはなぜならば、家庭訪問を含めて保護者との接点があるじゃないかと、こういうことをあえてこの夏休みにしたのもそういう理由でございます。
 今先生御指摘の、要は保護者からの声も聞くと、こういう側面は、今後実態を正確に知る、こういう観点から必要なことあると思っていますので、全域でやれるかどうかは別にして、そういうお声の抽出ということは大事なことだと思っておりますので、参考にしたいと思います。
○山本博司君 今日、内閣府に来ていただいておりますけれども、今日の閣議決定ということで、自殺対策ということに対しての総合的な大綱というのが発表されたと聞いております。いじめの問題ということも含めて、こうした自殺ということの大きな大綱の中で、子供のこういういじめ等の問題に対する自殺の予防ということも含めて、青少年の対策ということに関してどう連動しているのか、この点に関して御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(杵淵智行君) 本日閣議決定されました自殺総合対策大綱におきましては、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すことを副題及び冒頭で明示し、地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策への転換を図る必要性を指摘しているほか、若年層向けの対策や自殺未遂者向けの対策の充実、国、地方公共団体、関係団体、民間団体等の連携、協働の推進を掲げております。
 児童生徒のいじめによる自殺につきましては、各学校におけるいじめ等の問題行動への一層の取組の充実を促すとともに、問題行動の未然防止や早期発見、早期解消に向けて、国としても継続的、中長期的な取組を行っていくこと、全ての教育関係者がいじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応すること、その際、いじめの問題を隠さず、学校、教育委員会と家庭、地域が連携して対処していくべきことを指導すること、また、児童生徒の自殺について詳しい調査を行うに当たり、事実の分析、評価等に高度な専門性を要する場合や、遺族が学校又は教育委員会が主体となる調査を望まない場合等、必要に応じて第三者による実態把握を進めること等を明記しているところでございます。
○山本博司君 大変大事な部分でございます。公明党もこのいじめ対策に関しましてはPTを立ち上げまして、これからもしっかりした形で提言等を行っていきたいと思います。
 次に、通学路の安全対策ということでお伺いをしたいと思います。
 本年の四月の亀岡市での集団登校時の死亡事故ということに関しまして、以降、多くのそうした各地での登下校の児童の死傷が続いております。このことに関しまして、通学路の交通事故の大きな原因ということで、居眠りとか不注意とか無免許など、明らかなルール違反、モラルの劣化ということが指摘をされておりまして、そういう意味でいったら、道路交通法上の横断歩道における歩行者の優先とか過労運転の禁止、こういった規定の形骸化、それを守る精神の風化の問題ということも指摘されております。
 そこで、警察庁にお聞きをしたいと思いますけれども、最近の通学時の事故の状況ということを御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(石井隆之君) 昨年の通学時における歩行中児童の交通事故による死傷者数は二千四百八十五人となっております。前年と比較いたしますと、二百七十三人、九・九%の減少となっております。その特徴を見てみますと、事故類型別では、横断中が全体の七割を占めております。また、横断中の約四分の一は飛び出しでございます。衝突地点別で見ますと、交差点が約五割を占めております。道路幅員別では、五・五メーター未満の道路が四割弱を占めているなどが挙げられております。
○山本博司君 公明党は二十年前から、この通学路の総点検ということで、子供たちの命を守るということに関して全力で取り組んできたわけでございます。この四月二十六日、亀岡市の事故直後、PTを立ち上げまして、今まで十回以上、こうした方々からのヒアリングとか現場視察を行ってまいりまして、二度こういう提言をしてまいりました。そのことを受けまして、様々な形で文科省の方でも緊急総点検であるとか有識者の懇談会を立ち上げていただいて、その意見の取りまとめ等もされたということで、大変このことに関しては感謝を申し上げる次第でございます。
 その上で、確認をしたい点、総点検の費用の負担ということでございます。これは、費用負担、各自治体で当初予算の範囲内で行うということでございますので、おのずと限界がございます。ですので、調査が終わった自治体からも、外部の委託をしながら本当はやりたかったけれども、なかなかそうしたことに対しても十分でなかったと、こういう声も聞いているわけでございます。
 この点も含めて、年度途中ということでございますから、予備費の活用も含めて、これは所要の予算措置ということが必要じゃないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。
 今年度の緊急合同点検の費用負担ということでございます。
 今回のものにつきましては、教育委員会と学校が道路管理者そして警察など関係機関と連携をいたしまして、今御指摘ありましたように、通常業務の範囲内で行っていただくことを想定をいたしております。また、点検を受けての必要となる対策の実施については、道路交通環境の整備、交通規制の実施など、必要となった対策ごとに、関係省庁の支援措置も活用しながら、まずは各地域で対応ということであります。
 ただ、この部分で急ぐべき部分は相当分あるというふうに私どもも認識しております。その点では、その後の対応というところ、今、来年度の概算要求の議論もございましたけれども、様々な観点でこの点は検討を進めてまいりたいというふうに考えています。
○山本博司君 是非とも、この総点検の費用、予備費を含めた活用ということは是非ともお願いをしたいと思います。
 大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、こうした対策というのは一過性で終わらせてはいけないと思います。この安全対策予算の拡充ということに関しては大変大事でございまして、そのためには安全点検のための人材育成という形でのことも必要でございます。有識者会議等でもこうしたことに対しての指摘もされておりますし、私どもの提言の中でもこのこと、スクールガード・リーダーであるとか、有識者の提言の中にはイギリスの例等も出ておりますけれども、こういう点、それから、保護者、地域の方々の連携ということで、高松の木太小学校の視察等でもやはりそうした協力の中でやっているということが大きな成果が上がっている状況でございますので、こうした来年度の概算要求ということを考えたときに、しっかりこの安全対策の予算拡充、この点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 公明党さんからも通学路安全対策の総合的な取組についてという御提言をいただいておりますし、その中に今の先生御指摘の項目についても入ってございます。
 特に、私は地域の方々も一緒になってやっていただくための人材育成等々がやっぱり要るんだろうというふうに思っております。例えば、先ほど言われたようにスクールガード、いわゆる学校安全ボランティアの皆様方にも参画をいただくと、こういうことと、具体的なガードレールでありますとか、そういう道路管理上に必要な部分もあるわけでございますので、私は今後の概算要求の中に特に子供の安全、命を守るという視点でどういう予算措置をしていかなきゃならないかということの検討と同時に、関係省庁と十分にその予算の枠組みについて協議をして対策を打っていきたいと、かように思っています。
 先ほど警察庁の話がありましたように、直接起こっている部分は交差点なんだと、多いのは。いろんな要因があると思いますので、我々としては通学路のいかに安全対策をしていくかという視点でどうなのかと、こういうことを含めて概算要求の中に必要な措置は求めていきたいと、こういうふうに思っております。
○山本博司君 是非とも、大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、総点検をした後、これ具体的にその結果でもって様々な形で、信号機を付けるとか、またガードレールの設置をするとか、また道路の凸凹を描いたドライバーに注意を促すようなイメージハンプであるとか、目に見える対策ということが、これが大変大事な部分でございます。
 しかし、都道府県の公安委員会の交通安全施設整備予算とか警察庁の補助予算というのは半減をしておりますし、六割になっているということの現状もございまして、やはり来年の概算要求ではこの交通安全の対策の予算というのを抜本的に増やしていくということが必要であると思います。
 警察庁、国土交通省、それぞれお話をいただきたいと思います。
○政府参考人(石井隆之君) 先生御指摘のとおり、本年は通学路における重大な交通事故が相次いで発生したことに鑑みまして、各都道府県警察におきましては、関係者と連携して通学路の緊急合同点検を実施しております。緊急合同点検の結果を踏まえ、各都道府県警察におきましては、来年度以降における通学路の交通安全施設等整備のための必要な予算の確保についても一層積極的に取り組んでいくものと承知をいたしております。
 警察庁といたしましても、通学路の交通安全の確保は喫緊の課題であると認識しており、各都道府県警察が行う必要な対策が迅速かつ着実に実施できるよう努めてまいります。
○大臣政務官(津川祥吾君) 国土交通省でございます。
 国交省としても子供の命を守るというのは大変大きな責務だと考えているところでありますが、通学路における緊急合同点検の結果を受けまして、道路管理者としては、今委員からも御指摘をいただきましたような歩道ですとか路側帯、あるいはカラー舗装、そういった具体的な施策、できることを全力で進める必要があると思っております。
 予算の関係でありますが、国の直轄事業の部分につきましては国が直接やらせていただきますが、地方公共団体が管理をしていただいている通学路も多数ございますので、社会資本整備総合交付金等によりまして、来年度、重点的にしっかりと支援をさせていただきたいと考えているところでございます。
○山本博司君 是非ともこの総点検をやって、やはり各地域でその予算、具体的に使って子供の命を守るという、そういう点での推進をお願いをしたいと思います。
 続きまして、交通安全教育ということで、これは大変大事でございます。しかし、この交通安全教育予算という意味では、今、文科省ではそういったものも含めて四千万というふうに聞いております。そこの中には、防犯教育とかAEDのそうした実技指導の研修とか、様々な形含めての予算ということで、大変少ないわけでございまして、やはりこうした安全教育ということをしっかり徹底をするためにはここに対する予算が必要であると思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。
 交通安全教育、特に危険の予測でありますとか回避する能力の育成という観点から大変重要だということについては、私どもも同様の認識であります。
 この充実のために、政府といたしましても、交通安全基本計画に基づいて毎年度策定している文部科学省の交通安全業務計画、あるいは本年四月に閣議決定をいたしました学校安全の推進に関する計画等を踏まえながら、体育、保健体育、そして特別活動を中心に教育活動全体を通じて指導しているというところであります。
 具体的には、先ほど御指摘もありましたけれども、例えば学校安全教室の推進、あるいは安全な通学のための教育教材作成等の実施をいたしながら地域の取組を支援しているところでありますけれども、特に、例えば学校安全教室の推進でありますけれども、例えば都道府県の要望にしっかりこたえる形になっているかというところはこれまでも確認をしてきておりますけれども、改めてその点は丁寧にやってまいりたいと思いますし、また、この中で例えば指導者講習会ということになっていると。その指導者の指導者として各地域に散っていって、それが各地域できちんと浸透しているかということについてもこの機会に改めてやっぱり細やかに見ていかねばならぬと、そういう認識でおります。
 こうした取組を着実に進めながら、また交通安全教育が一層充実するように今後も取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 公明党の提言の中に、ルールを守っている歩行者が守られるということを最優先課題に掲げて、歩行者優先、人間優先の交通体系の理念の徹底を求めているわけでございます。そうした中で、やはり大きな問題になりましたのは、通学路が学校保健安全法とか道路交通法で明確な位置付けがされていないということでございました。そうした意味で、通学中の児童生徒への安全配慮の義務が明確になっていないという実情でございます。
 生徒児童の命を守るということを最優先に考えるのであれば、この通学路の定義ということを明確に定める必要があると思います。この定義が明らかになりますと、例えばゾーン30などのあんしん歩行エリアの積極的な導入も可能になりますし、さらに、例えば民間の道路地図出版事業者の通学路配慮の協力要請とか、またカーナビでの通学路の表示や音声による喚起、これもヒアリングさせていただきましたけれども、通学路のそこの部分が明確になればそうしたことが利用できると、こういうことも言われておりますけれども、大臣、この法的な位置付けの明確化ということも含めて、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(平野博文君) 先生よくおっしゃっていただいていますし、先ほど言いましたように、カーナビに、ここは通学路だとか、こういうふうな要請をしていくということは非常に大事な指摘だと私は思っています。
 ただ、通学路を法的にという、これを一義的に決めるというのはなかなか、いろんな地域の学校の周辺の状況でありますとか等々多面的な観点からやっぱりこれ見届けないと、一義的にこれ決めていくということは非常に難しゅうございます。しかしながら、生徒が登下校時に必ず通うところでございます。ある生徒はこっちの方向へ帰る、ある生徒はこっちの方向へ帰る、帰る方向は、もう登下校は全部通学路だと、こういうふうになりますとなかなか難しい側面がございます。しかしながら、可能な限りやっぱり明確にしていくことが大事なんだろうと思っておりますので、関係役所と十分相談して、できるだけ明確にしていきたいと思います。一義的には大変、おっしゃっている意味はよく理解はいたしますが、法定化していくというのはなかなか難しいなというふうに私は今現時点で考えております。
○山本博司君 是非とも、この法的な形での制度化がなかなか難しい状況の中で何ができるのか、そうした民間業者の方々が様々な形で協力ができるような、そういうことも検討していただきたいと思います。どちらにしても、子供の命を守るという点では大変大事な施策だと思いますので、是非とも力を入れていただきたいと思います。
 最後に、障害者スポーツということで、いよいよあしたからロンドン・パラリンピックが開幕をするわけでございます。日本からも多くの選手が参加をされます。その意味で、この障害者スポーツ、大変大事な点でございまして、その中で、大臣にまとめてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、この中で、競技がハイレベルになっていく中で、なかなか選手の支援というのが健常者スポーツと比べて非常に厳しいのが実態でございます。
 例えば、日本パラリンピアンズ協会が、自己負担ということでいいますと、百四十四万円というふうに言われております。北京大会と比べると、前回百十万円でしたから、大変負担が増加をしている。そして、なおかつ練習場所の不足とか仕事の両立の困難ということでは課題を抱えているわけでございます。
 そういう意味で、今までオリンピックは文科省でパラリンピックが厚生労働省ということで、なかなか一体的な支援がありませんでした。そういう意味で、こういった競技的な遠征のための支援等も文科省も検討すべきではないかということが一つでございます。
 さらに、こうしたナショナルトレーニングセンター等も一部しか使用できないとか、また、マルチサポートハウスも今回パラリンピックでは使用できないということが明らかになっております。障害者スポーツということでは、スポーツ基本法でも障害者スポーツの振興ということが明確になっておりますし、また二〇二〇年の東京オリンピック、パラリンピックの招致ということを考えますと、障害者スポーツという点では大変大事な視点でございます。そういう意味で、大臣のこうした見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(平野博文君) 私、元々、スポーツということよりも、障害者と健常者に壁はないんだという思いでおります。今日までもそういう考え方で私は接してまいりました。しかしながら、過去の歴史等々を含めて、パラリンピックとオリンピックは担当所管が違うと、こういうことも事実でございます。オリンピックに対する支援、ただ、橋本先生はオリンピックに対する支援は非常に予算が少ないと言われていますが、パラリンピックにおいての部分でいうと更に少ないというのが現実の姿でございます。
 したがいまして、スポーツを所管する文科省としても、どういう施策をもって支援をしていけるか、こういうことをやっぱり真剣に考えていかなきゃなりませんし、例えばトレーニングセンターにおいても、センターの役割というのはユニバーサルな仕組みにやっぱり変えていって、障害者についても使えるようにというのは、私、河野理事長にも要請し、理事長も同じ思いで、今その対応で利用できるところについては使ってもらっていると、こういうふうにやっと動き始めたところでございます。
 したがいまして、私は、今後の問題として、いろんな理屈はありますけれども、やっぱりこれから一生懸命ロンドンで頑張ろうとしておられるパラリンピックの選手の諸君にもしっかり頑張ってもらいたいと思いますし、今後ともスポーツを所管する立場でどう支援ができるかということは考えていきたい、また考えなきゃならないと思っております。
○山本博司君 是非とも、この障害者スポーツということでは文科省、厚労省関係なく、一体化する中での支援ということを全力でお願いをしたいと思います。
 以上でございます。