参議院 消費者問題に関する特別委員会 第8号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、四人の参考人の皆様の大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
今回、この食品表示法案という形で大きく一元化の形での前進が図られたと思います。その中で、やはりこの二年間の中でまだ具体的に検討しなくてはいけない課題がたくさん残されております。その中での内容に関しまして河野参考人にお聞きをしたいと思いますけれども。
ちょうど消団連の連絡会の意見という形でこの消費者基本計画等の見直し等でも御意見を出されていらっしゃいます。その中でも、例えば、この今回の中には入っておりませんが、今後の検討課題ということで、加工食品における原材料の原産地表示の義務化に関して、しっかりこれを分かりやすいものにしていきなさいというふうな御意見がございます。こういう御意見とか、遺伝子の組換え食品に関しましても義務化の拡大とか、食品添加物の表示の在り方についても御意見を出されていらっしゃいますけれども、その部分、もう少し具体的に、今回、今後二年間掛けて検討していく中でどういう点を踏まえながら進めていただきたいという、その辺りをお話しいただければと思います。
○参考人(河野康子君) ありがとうございます。
確かに、原料原産地表示に関しまして、加工食品がどんどん増えてくるに従いまして、どこで作られたんだろうというふうに疑問が湧いてくるわけでございます。
基本的には、現在の法律にも書いてくださっていますように、徐々に拡大の方向で進めていただければというふうに思っております。原料原産地表示を徐々に進めるためには、表示のこれまでの検討会議で多くの時間を割いて検討してくださっていますし、多様な立場のメンバーの方が入られて拡大していく方向でというふうには決められたと思います。
それで、ただ、原料原産地表示に関しましていうと、食品個別に基準が決められているものも、品目もございますし、それから、一くくりで、じゃ原料原産地を全ての食品に拡大しようといっても、品目によってかなりスピード感というのは違ってくると思います。急速に進めますと偽装表示等も引き起こすことになりかねませんし、故意でなくても、容器包装に記載する場合はそういう不都合が起こる可能性もございます。特に原料に関しますと、天候ですとか自然条件にかなり左右されますので、そういったこともやはり勘案しなければいけないというふうに思っております。
それで、私のところで考えますと、原料原産地表示というか、原産地の商品名称に関しまして是非今後検討していただきたいことがございます。それは、商品の名称が買う人を誤認させるようなものがあるということでございます。例えば、何とかそばとか何とかうどんですね、卑近なところで申しますと。生産状況を調査して、是非、要件を決めて、消費者が誤認しないような表示方法をその辺りで検討していただければというふうに思っております。
よく言われる、例えば名前を出しますが、信州そばというのは、作り方なのか、それとも製造工場がある場所なのか、原料に例えば信州という地名に由来するものが使用されているかどうか。非常に消費者にとって、何というのか混乱しますし、整理が必要だと思います。
また、もう一つ例えて申し上げますけれども、抹茶何とかとか和風何とかとか、そういう名称の商品ございますよね。それは、消費者は短絡的ですから、和風とかいうと頭の中にはもう当然国産というふうに直結しますが、実際後ろを見てみると大分違っていると。ですから、抹茶ですとかユズですとか梅ですとか、そういったものが名称に入っている場合、どうしても国産ではないかと想像してしまいます。
例えば丹波の黒豆、お正月使いますけれども、それも中国産の丹波の黒豆はたくさんあります。それは表記されているんですね。なぜかというと、丹波の黒豆というのは黒大豆の品種名なんだそうですね、品種は使っていいということで。ですから、なかなか、商品名も含めまして、表示の今の現状というのは消費者が非常に混乱するというふうな状況でございます。
ですから、その辺りの整理を是非今後していただきたいというのと、そうですね、あともう一つお願いできるとすると、添加物といいましょうか、それに関してなんですけれども、ゼロとかオフとかレスとか無添加ですとか自然、天然、その辺りもやはり消費者は非常に混乱する表示になっております。それぞれに基準はあるというふうには伺っておりますけれども、やはり私たちの理解度からしますとなかなか今大変な状況ですので、その辺りも是非検討をお願いしたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
それでは、井上参考人に、今度は小売業者を含めた、チェーンストアも含めた立場として、今の原料原産地の検討に際して懸念される部分というのは当然あると思います。どういうふうに認識をされて、今後二年間の中でどういう方向でより具体的に進められるかという点と、あともう一つは、やはりこれは法律がもう制定されましたので、具体的にこれからこうした表示等に関しても自主的なガイドラインといいますか、今も進めていらっしゃると思うんですけれども、大きな大手のスーパーの場合と二、三店舗の小売業者の場合と様々な違いがあると思いますから、そういう中で、そういう対応の差をどうやりながらガイドラインを含めて進めていかれるのか、この二点、お願いをしたいと思います。
○参考人(井上淳君) 原料原産地については、素朴なやっぱり感情として、どこから出てきているのかなという、どこから来ているのかなという、そういうニーズがあるということは、それは自然な感情なんだろうなと思います。だから、そういう声におこたえして自主的に取組を進めているということは、まず御理解をいただきたいと思っています。
その上で、御質問の法律で義務化をするという場合ですけれども、実際問題、海外からの調達ということも当然あります。そうした場合に、海外のものというのは必ずしも原料原産地というのが義務付けられていないということなので、情報が取れないということもございますし、それから、特に加工食品で、そのリスクの分散あるいは安定的な供給、調達というようなことから、いろんな産地から物を集めてくるという実態でございまして、それを頻繁に変更するということもございます。
そうなってくると、実際、正確にそれを管理して、それをその正確な情報をということには限界があるということだと思います。そういう限界をある意味無視して義務化をしても、かえって正確でない情報が流れるということになってしまいますので、これは混乱を招くと思っています。
ですから、もちろんその加工度がどうかというようなこととか、あるいはいろんな、要するに、加工度が高いものというのは原料原産地と余り関係がなくなってくるわけですから、加工度が割と低いようなものを中心に、あるいはいろんなものが混ざっている場合にはその中で主なものについて原料原産地を書くとか、そういうような工夫をしながら、消費者のニーズ、関心、それから社会的コスト、それから実行可能性と、こういったものを基準にして前進をしていくということが望ましいというふうに思いますし、それからもう一つは、やはりこれは消費者の方々に、我々も含めて消費者でございますから、その原料原産地の持つ意味、これが正しく理解をされないと、かえって風評被害と。どこかの産地だともう危ないんじゃないかと。三・一一の後そういうことが起こったわけでありますけれども、その原料原産地の持つイメージがうまく伝わらずに、かえってその地域の方々に対してマイナスになってしまうと。いわゆる風評被害ですね。こういうことがないというようなことも併せて、消費者啓発と申すんでしょうか、あるいは消費者一人一人の理解の増進というんでしょうか、そこが併せて必要なことだと思っております。
それから、自主的なところについては、これはいろいろなやり方があると思います。やはりもちろんチェーンストア協会としても、例えば原料原産地についてできるだけこういうふうにしなさいと、それは商品に書く場合もありますし、あるいは、特に対面でこうやっている場合には、表示というよりは例えばPOPですね、こういったところに書いた方がむしろお客さんから見やすいとか、そういうのもございます。別に、商品の表示ということよりは、むしろお客様との対話というのがきちんとできていくと。
そういう観点からガイドラインを協会としても定めておりますけれども、もちろんやっぱり行政としてもそういうガイドラインの作成というのは大事だと思っていますし、それから、一番やっぱり大事なのは、そういう自主的な取組のときに一番考えておくというか、意外にここが我々認識が足りないところがあるんですけれども、やっぱり日本の消費者のパワーというのはすごいんですよね。ですから、消費者の方々が、さっきお客様は神様と申しましたけれども、やっぱり神様がこんな商品は買わないということになれば、そこで市場から排除されていきます。
ですから、ガイドラインというようなものというものがある程度作られてくれば、当然それにみんな一生懸命フォローをすると。そうじゃなければ、お客様から、必要な情報が書いていないと、こういうような情報というのは、買わないと、そうなってくると、当然そこは市場から抜け落ちていくと、こういうことでありますし、それから一方で、先ほど中小企業への配慮といったときに、やはり個々の事業者への支援というのもあるでしょうし、それから、データベースの整備みたいな形で、みんなで使えるような情報の供給先というんですかね、プールというんですかね、そういうようなデータベースというものの整備というのも併せて大事なことだと思っています。
○山本博司君 こうした食品表示という形が具体になる中で、やはり消費者の方々、賢い形での、そういう消費者の方々が増える中で、差別化をする中で事業者がきちっとそういう形で発信をするということが、やはりそういう意味でいったら、よりお互いがレベルアップしていきながら、安全とそうした部分の活用になると思うんですね。そういう意味では、是非とも進めていただければと思う次第でございます。
それで、じゃ、栗山参考人に、アレルギーに関しまして、今回、アレルゲンが明記されまして、我々公明党もアレルギーの疾患対策の基本法を自民党と出させていただきました。
今お話聞く中で、やはり様々こうしたアレルギー対策というのは、教育の分野から、またそうしたほかの行政も含めて大変多くにまたがっているんではないかなと思います。そういう意味で、先ほどの教育体制の部分ではまだまだ不備の部分があると思いますけれども、行政全体に対して今どういうふうに、更にどういうふうに進めていったらいいのか、またこういう全体的なアレルギーのそういう基本法的なものの必要性みたいなものに関してお聞きしたいと思います。
○参考人(栗山真理子君) 何か大きな御質問で、ちょっと答えられるかどうか。
行政全体が、縦割りという言葉は申し訳ないのですが、それぞれのところで、何か、命を守るために、我々大人がちょっと痩せたいと思って食事制限することでさえままならない中で、みんなが食べているものを食べられずにいる、そうやって頑張っている子供たちをそれぞれの立場の方がそれぞれに応援していただきたい。それを、一元化というふうにはいかないのでしょうが、それぞれの省庁もそれぞれのお立場の方も寄り集まって考えていただきたいなというふうに思います。
アレルギー基本法は大変有り難い考え方だと思っております。ただ、反面、何かアレルギーだけに基本法を作っていただいていいのかなと思う部分もなくはないのですが、やはり今回、命を落とされたお子様、そのそばにいらした多くの方々もとてもつらい思いをしていらっしゃると思います。そういうことが二度と繰り返さないように、基本法を始め法律というか、守っていただくものを是非作っていただけたらなとは思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
以上でございます。