参議院 災害対策特別委員会 第11号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日、新しく大臣になられました平野大臣、所信的な質疑も含めて御見解をお聞き申し上げたいと思います。
震災の発生から四か月以上経過をしているわけでございますけれども、今当面のそうした生活資金であるとか生活再建の資金、なかなか被災者のところに届かない、こういう例がずっと指摘をされてきたわけでございます。
そこでまず、被災者生活再建支援金、また義援金の支給状況、現状をどのように改善をされたのか、内閣府とそれから厚生労働省からお聞きをしたいと思います。
○大臣政務官(阿久津幸彦君) 被災者生活再建支援金について御質問いただきました。
当初は、市町村の現場からやっとの思いでその申請が都道府県会館に届いたにもかかわらず、処理に五十日以上を要し、完了件数も一割ちょっとということで、山本委員からもとんでもない問題だとの御指摘をいただきまして、政府としても大幅なスピードアップ、改善を求めてきたところでございます。その結果、申請処理の日数で申し上げますと、当初の五十日以上から、前回御質問いただいた六月初旬時点の二十日前後を経て、現在は二週間前後にまで短縮されております。都道府県会館が自ら処理期間の目標として掲げた十日前後にはまだ至っておりませんが、着実な進展が見られると考えております。
具体的には、六月末に新型端末を導入し、入力端末を六台から十五台に、さらに七月には二十台に増やす等の支給システムの刷新を行っておりまして、これらの改善措置の結果、七月二十五日現在、財団法人都道府県会館で受理している約十万五千六百件の申請に対し振り込み手続を終えた件数は八万一千四百件となっております。
また、支援金支給に関する都道府県会館の事務処理体制については、内閣府からの要請の結果、事務処理要員の大幅増員が図られ、四月の四人から五月の十二人、六月の五十人、七月には百人へと改善される見込みであります。また、審査事務に業務委託方式を導入して、特に夜間の事務処理体制を確立していきたいと考えております。
今後、申請件数が更に増加することが予想されるため、事務処理を一層効率化できるようにさせていただきたいと考えております。迅速な支援金支給に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○大臣政務官(岡本充功君) 義援金の配付状況について御報告をいたします。
義援金につきましては、七月二十二日現在、日赤等に寄せられた総額は三千五十三億円、被災都道県に二千五百九十五億円、これ総額の八五%でありますが、が送金されまして、うち市町村に二千二百二十八億円が送金され、さらに市町村から被災者に九百八十六億円が配付されております。
被災者への配付は進みつつありますが、四月に配分方針が決められた一次分につきましては、市町村への送金額八百五十五億円のうち六百五十九億円という金額がそれぞれ被災者のお手元に届いております。また、六月に方針が決められました第二次分につきましては、被災都道県から市町村に六月末から七月にかけて送金されまして被災者への配付が始まったところでありまして、市町村への送金額は三百二十七億円ということになっています。
第二次分の対象はおおむね第一次分の対象と同様とされているため、新たな罹災証明の発行や振り込み口座の確認などの手間が不要である方々への配付については、第一次分ほどの時間は掛からずに被災者のお手元に届けられると考えてはおります。
義援金の早期配付に向けまして、これまで対象者全ての確定を待つことなく速やかに義援金の配付を行うべき等、早期配付に向けて留意事項をお示しを五月二日と五月十八日にさせていただいたほか、五月、六月に厚生労働省職員を現地市町村に派遣し、義援金の配付の実務の課題の把握に努めるとともに、これらと並行いたしまして、総務省において全国市長会、全国町村会の協力を得て千人規模の市町村職員の派遣を決定し、順次被災自治体に派遣をする、こういった取組をしてきているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
ちょうど五月のこの委員会で御指摘をさせていただいた件でございますけれども、都道府県会館、私も行かさせていただきまして、そこから大きく改善をされているということでございます。
ただ、現状的には十日間という目標はまだ未達であるということと併せて、基礎支援金が大半ということで、加算の支援金が六%ぐらいということでございますから更に今後増えると思いますし、その被害の総額、実態の把握がまだまだつかめていないということもございますから、その意味ではしっかりと今後も進めていただきたいと思います。
また、義援金等に関しましても、これも、生活支援金もそうでございますけれども、地域によってまだまだ、地方自治体の機能の厳しいところはまだ実態が進んでいないということでございます。例えば義援金で仙台市では三六%とか、福島県でも平田村では〇%とか、それぞれ地域的に大変その差がございます。これは以前から一貫して総務省にそうした地方自治体の人手不足等の対応ということでしっかり対応していただきたいということでございましたけれども、この点いかがでしょうか。
○大臣政務官(逢坂誠二君) 被災自治体への人的支援につきましては様々なレベルで多くの取組が行われているわけですが、それでも足らざるところについて国の方ではしっかりとヒアリングをしたりお話を聞いて、必要なものに対して対応していきたいということでいろいろな仕組みを設けてございます。
また、被災自治体からの直接のニーズ把握だけではなくて、今日ここにも来ておりますけれども、阿久津政務官からなど、政務三役などからもダイレクトに私にこういう人材が欲しいというような現地の声を届けていただいて、その人的な応援体制というものをしっかりやっていこうと思っているところでございます。
幾つか具体的にお話をさせていただきますと、まず地方公務員の派遣につきましては、災害時の応援協定でありますとか、従前からの姉妹都市のお付き合いなど、そういうものを通していろんな人のやり取りが行われているというふうに承知をしております。
加えまして、総務省では、これらの人的支援をやるための仕組みを、体制ですか、これを構築したところでございまして、七月十一日現在でいわゆる受入れ側と派遣側とのマッチングというようなもの、これにつきましては千二百三十一名のマッチングが行われたところでありまして、派遣の日程でありますとか職種でありますとか、そういうものの調整というものをやったところでございます。
さらに、全国の自治体、特に、今回これ市町村が数字入っていないんですが、都道府県、政令指定都市からの人員、都道府県と政令指定都市からの派遣人員が七月一日までの間に三万一千五百名に上っているところでございます。
以上が地方公務員の状況でございまして、国家公務員の派遣につきましては、各府省において個別のそれぞれのルートを持ってございますので、そこで職員を派遣していると。あるいは、政府全体として、被災自治体からの要望に応じて各府省の人材を派遣する仕組みというものを設けてやっているということでございます。
以上です。
○山本博司君 しっかりその点を含めて、各府省を含めてお願いをしたいと思います。
それでは、大臣にお聞きをしたいと思います。
今回、第二次補正で最高百万円の基礎支援金、また二百万円の加算支援金がこうした住宅の全壊世帯に支給されるこの被災者生活再建支援制度、三千億円の積み増しがなされております。今後、こうした国の補助率を五〇パーから八〇%、引き上げる一方、こうした二十万世帯の方々、特に加算金の支援というのがこれからどんどん出てくるんではないかと思うんですけれども、十分足りるのかどうか、このことの見通しを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 今回の支給対象世帯は二十万戸というふうに見込んでおります。一方で、過去の大規模地震である新潟の中越沖地震の例を見ますと、一戸当たりの大体支給額が二百二十万ぐらい、平均でですね、になるのではないかと。これは、全壊、半壊、あるいは個人世帯ということで支給額が違っているがために平均額が二百二十万という額になるんですが、この前提で考えますと、一次補正で約一千億、今回三千億で、合計で四千四百億になるわけですが、まずは十分な額が積まれるのではないかというふうに今、現段階では考えております。
ちなみに、もし仮に被災世帯が増える、あるいは平均額の額が増えるということになってその予算が不足するということになりますれば、それは予備費あるいは追加の補正予算等々によって措置するということになると考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
次に、瓦れき処理の現状と課題ということでお聞きしたいと思います。
先ほども佐藤委員から御指摘がございました。今現在、四割ぐらいの処理の状況であるということで、大変状況としても地域的に厳しい状況がございます。昨日、公明党は井上幹事長を中心に五名の国会議員が石巻に、瓦れきの処理を含めて対応させて、回らせていただきました。現状、大変二〇%ぐらいということで、もう仮置場も目いっぱいということで、石巻市の方からもいろんな要望をいただいたわけでございますけれども、三千億円掛かって、一割といっても三百億円の負担になってしまうということでございますので、こうした一時的な費用の負担ということを何としてもやはり国が全額負担をしてもらいたいという要望でございます。
先日の予算委員会で、我が公明党の江田議員の質問に対して菅総理が、自治体に支払をさせない形も含めてしっかり相談をしていくと、こういうように述べておりますけれども、このことも含めて見解をお示しいただきたいと思います。
○大臣政務官(樋高剛君) 山本先生におかれましても、今回の震災対策、大変御熱心に視察も含めて取り組んでいただいております。本当に感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
お尋ねの件、まず財政措置、地方負担分についての問題意識も私自身は承知をしているところでありますが、いずれにしましても国によって確実に措置をさせていただくということによって実質的な地方負担が生じないようにすることが必要であると、このように考えているところであります。
政府から提出をさせていただきました東日本大震災により生じた廃棄物の処理の特例に関する法律案におきまして、国は必要な財政上の措置を講ずるよう努めることとしたところでありますけれども、その具体的な措置といたしまして、地方負担分の全額を災害対策債により対処し、その元利償還金を一〇〇%交付税措置することを関係法令において明確化をしてまいりたいと、これを検討しておりまして、先週の金曜日、七月の二十二日に閣議決定をさせていただきました、また別の法律案でありますけれども、ここにおいては明文化をするということによって、少しでもその不安を払拭をしていただくようになど手を打ってまいりたいと思っております。
今お尋ねの件でありますけれども、いわゆる執行事務について、総理発言も踏まえまして、一層加速化するための検討を行わさせていただいたところでございます。
まず、目標を設定をいたしました工程管理が重要であると思いまして、概算払の希望を有する、今六十一の自治体が希望を持っているわけでありますけれども、災害報告書を七月末までに提出予定としておりますそのうちの四十四の自治体に関しては遅くとも八月末までに、遅くともでありますけれども、八月末までに概算払の手続を終えたいという工程管理、見通しを立てているところでございます。残る十七の自治体に対しましては、八月末までに災害報告書の提出を促させていただいて、遅くとも九月末までに概算払の手続を終えたいと考えているところでございます。つまり、ほとんどの自治体で八月、希望なさる自治体につきましては八月中に、そして残りを遅くとも九月までに、これはあくまで遅くともということでありまして、とにかく一刻も早くその執行に努めてまいりたいというふうに思っております。
そのために、また、今日からでありますけれども新たな手を打たさせていただいたところでございまして、環境省の職員を補助金の申請に当たる市町村に対して助言を行うということのために人員も増やさせていただきまして、より速やかな事務処理を進めるために担当官を派遣をさせていただいた。本日から更に人数を増やして派遣をさせていただき、資料作成の協力なども行ってまいりたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、今の先生の御指摘もしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
それでは、牛肉の放射性セシウムの問題に関しまして農水省にお聞きをしたいと思います。
この問題、今様々な形で、今日の予算委員会でも質疑があったと思いますけれども、こうした牛肉が出回った、稲わらの管理をしてこなかった政府の怠慢でございます。多くのこうした畜産農家とか流通販売店、混乱を生じているわけでございまして、ともかく全量買取りをしてくれと、こういう要望がございますけれども、このことに関して見解をお聞きしたいと思います。
○副大臣(篠原孝君) 我々は、放射能の汚染の後ですけれども、こういった事態というか、ある程度予想できましたので、三月十九日に通達を出したりしたわけでございますけれども、七月八日に、三月の上旬以降野ざらしにされておりました稲わらを二か月にわたって給与していた、供与していた農家がありまして、それが市場に出回っているということが判明いたしました。
それで、今は、山本委員御指摘のとおり、今までは安全なものしか流通していないという、大体これほぼ完璧に守られてきたと思っておりますけれども、食肉についてはそういう状態が崩れてしまいました。ですから、消費者の信用を、信頼を勝ち得るためには、あるいは回復させていただくためには、全量を国が責任を持って買い取って、前の状態と同じに、野菜や何かと同じように、流通しているものは安全だという形にすべく鋭意検討中でございます。
今、一部取引が停止されたり、返品があったり、市場の価格がうんと下がったりしているということで、我々もこの事態を一刻も早く解消をすべきだと考えておりまして、今鋭意検討中でございます。今週中ぐらいにはきちんとした結論を出したいと思っております。
○山本博司君 これは、明確な対応をしなかったのは政府の責任でございますから、しっかりそういう形の対応をしていただきたいと思います。
もう一点は、この風評被害が拡大する中で、例えば消費者の牛肉離れ、二十三区の、東京都の給食の中からメニューも六つの区がなくなったというふうな話もございまして、やはり検査の結果、消費者は安全だということがないとなかなかできないということがございます。そういう意味で全頭検査をすべきであると、こういうことも福島県であるとかJAとか全国からも要望を受けていると思います。平野大臣もそういう陳情は受けられたと思いますけれども、そういうことも含めて見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 十年前にBSEが発生しましたときに全頭検査というのを行って危機を乗り切ったということがございました。今回も全頭検査ということについての強い要望があるということは私も承知しております。
しかし、まず、これは一頭当たりの検査がBSEと違いまして時間が掛かるといったこと、それから、全体的に体制整備にも若干の時間が掛かるといったこともございまして、農水省の方では、避難準備区域それから計画的避難区域についての全頭については全頭検査をやる、そのほかの農家については全戸検査をやるということで方針を打ち出しておりまして、まずはこれで安全を確保するということができるのではないかと、期待を込めて私はそう思っております。
○山本博司君 それができないから様々な形の声が出ているわけでございまして、例えば簡易の非常に安い安価なものもあるというふうに言われておりますし、そういう検査機器の問題とか、また具体的な人員の問題、これは農水省だと思いますが、いかがでしょうか。そういうことも含めて、やはりやるべきではないかという、全頭検査のことですけれども、農水省としてはいかがですか。むしろ厚労省の方ですか。
○大臣政務官(岡本充功君) 突然の御質問でありましたので、私が承知している範囲でお答えをさせていただきたいと思いますが、この件につきましては、厚生労働省としては、市場に流通している食肉の安全をどう確保するかという課題、また、もちろん消費者庁と協議の上でもありますけれども、こういったいわゆる消費者の牛肉への信頼をどう回復していくかというのは課題だと思っています。
検査体制については、文科省、農水省とも十分協議をしながら整備をしていかなければならないと思いますが、私が聞いている範囲でも、これは農水省かもしれませんけれども、例えば福島県でも一万頭を超える、年間ですね、食肉処理の頭数がある中で、これを全頭検査をするということになると一日百頭前後の牛の検査をしなければならないという物理的な課題、これをどう乗り越えるかも残っていますし、今後の検査体制の整備と併せて、委員の御指摘を踏まえて、しっかり三省で協議をしていきたいと思っています。
○山本博司君 これはもう是非とも、民主党の党内からもそういう陳情は上がっているわけでございますから、党内的にもしっかりそうしたことがあるということで、是非とも検討していただきたいと思います。
最後に、文科省にお聞きをしたいと思います。
損害賠償ということで、枝野長官も、出荷している農家にとどまらず、今回の影響というのは流通を始め広範にわたっていると、そうした損害についてはしっかり補填をされるんではないかということも言われておりますし、審査会におきましても、原発事故による風評被害の事例として福島、茨城、栃木の価格の下落が挙がっておりますけれども、三県以外にも被害が拡大していることを踏まえて、こうした対象範囲も広くすべきではないかという議論もあるということでございますけれども、この今の現状に関しましてどういう考えなのか、お示しいただきたいと思います。
○大臣政務官(林久美子君) お答えをさせていただきます。
これまで第一次、第二次の指針では、政府などによる出荷制限の指示などの対象となった肉牛などに係る損害、あるいは出荷制限の指示などの以前に出荷されたものの買い控えなどによる肉牛価格の下落があったものなど、いわゆる風評被害について賠償の対象となっているところでございます。
これまでの指針で対象とされていないものにつきましては、現在取りまとめ中の、検討中の全体像を示す中間指針の中でできるだけ早くスピード感を持って取りまとめていきたいというふうに思っておりますが、いずれにしましても、被害者の皆さんが適切に救済をされるように全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。
○山本博司君 今ございましたように各省をまたがっていると思いますので、この対応をしっかりお願いをしたいと思います。
以上でございます。