参議院 災害対策特別委員会 第4号
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、大臣所信に対する質疑ということでございまして、国連の防災世界会議、そして土砂災害対策、このことに関しましてお伺いをしたいと思います。
まず、国連防災世界会議に関しましてお伺いをしたいと思います。
三月十四日から十八日まで、仙台におきまして第三回国連防災世界会議が開催をされました。会議には過去最多の百八十七か国が参加をされまして、東日本大震災の被災地に各国の代表の方々が訪れて、今も残る津波の爪痕とか、また復興現場の視察なども行われたわけでございます。こうした大規模災害の様々な教訓を世界の方々と共有した意義というのはとても大きいのではないかなと思います。
また、仙台宣言と、行動指針を定めました仙台防災枠組、これが採択をされまして、今後の十五年間にわたる取組の課題が示されたことは大きな成果ではないかなと思います。
議長を務められました山谷大臣におかれましては、この第三回の国連防災世界会議、どのように評価をされているのか、御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 第三回国連防災世界会議、我が国で開催された国連関係の国際会議としては過去最大級となりました。
会議においては、各国のあらゆる分野の開発政策や国際協力に防災の視点が反映され実施される防災の主流化を目指して、国際社会での新しい防災の枠組み、仙台防災枠組と、高いレベルでのコミットメントを示した仙台宣言を採択し、私も議長としてこれらの取りまとめに尽力いたしました。
三月十四日から十八日までということだったんですけれども、実際には十九日の午前零時半まで、いろいろ文言等々議論を熱心にいたしまして、議長として私が記者会見が終わったのが十九日の午前一時半でありました。満場一致ということで、本当に大きな問題意識を世界で皆で共有できたと思っております。大きなこれが一里塚になっていくというふうに考えております。
さらに、我が国にとっては、会議の各セッションや展示、関連事業、防災産業展にもたくさんの人においでいただきました。被災地でのスタディーツアー等を通じて、幾多の災害から得た知見や技術などを世界と共有するとともに、東日本大震災の被災地の復興の現状や取組を発信する重要な機会となりました。
本世界会議は様々な成果を上げ、国際社会における防災の主流化を進めていく上で新たなステージに入ったものと思っております。行動に移しながら、世界の皆を幸せにしていくように頑張っていきたいと思います。
○山本博司君 大変議長として御苦労さまでございました。大変大事な会議だと思います。
この会議の開催に合わせまして、併せて、四百に及ぶシンポジウムとかセミナーとか、また展示会、ワークショップ、こうした企画が行われました。各自治体とか省庁とか大学とか、こうした主催したものもございましたけれども、特筆すべきことは、NGOとかNPOとか、また企業とか地域団体、こうした民間セクターが企画したものが数多くあったということでございまして、こうした民間セクターの活躍ということで、海外からの参加者も身近にこうした被災地の経験、より感じることができたのではないかなと思います。
そこで、赤澤副大臣にお聞きしたいと思いますけれども、こうした民間セクターの活躍に関しましてどう認識されているか、御報告をいただきたいと思います。
○副大臣(赤澤亮正君) 私も副議長として二回ほど議長役も務めましたし、会議の場におったわけですけれども、全く委員と認識を共有をいたします。民間セクターの主体が参画して会議の成功に大きく貢献したということだと思います。
防災の取組を進めるに当たっては、御指摘のようにNGO、NPO、あるいは民間企業、ボランティア団体、あるいは地域団体という御指摘も今ありました、民間セクターの力が本当に不可欠だと思います。今回の会議においては、こうした様々な主体の方々には本体会議に専門家として御参加していただくとともに、今御指摘ありました多くの関連事業、四百という委員の御指摘でありましたけど、パブリックフォーラムなどを主催していただいて、国内外から延べ十五万人以上の方々が参加をされたということであります。そして、会議の運営に当たっても、私も現地で本当に多く目に付きましたが、多くのボランティアの方々がもういろんな場所で、案内から始まって大変な活躍をしておられまして、多くの協力を得て執り行うことができました。
これらの関連事業では、様々な主体の方々から防災に関する取組や意見が発表され、出席された多くの方々に防災の取組に参加することの重要性を認識していただけたと思っております。また、我が国としては、多様な主体による防災の取組への参加の重要性を訴えてまいりましたけど、こうした方々の熱心な御努力も相まって、世界会議の成果文書、ドキュメントの中に、女性や障害者など市民社会、学術界、民間企業などが防災活動に果たすべき役割が明記をされたところであります。
今回の会議の成功は、NGOや民間企業などの民間セクターのこれまでの活躍や会議での様々な取組によるところでもあると評価するとともに、新たな防災の枠組みにおいても引き続き活躍を大いに期待したいと思っております。
○山本博司君 このシンポジウムに関しましては、公明党も、政党で唯一パブリックフォーラムを主催をいたしまして、大震災の被災者を対象にして実施をしました党独自の意識調査結果を踏まえまして、今後の震災復興の在り方ということに関しまして議論をした次第でございます。また、会場内におきましても、人間の復興へというテーマでの写真展も行いまして、積極的に参加をさせていただきました。
本年二月に被災三県で実施をしましたこの意識調査、岩手、宮城、福島、三県の公明党議員やOB議員、また党員の協力をいただきまして、個別面談方式という形で千三百九十六人の方々から回答をいただいた次第でございます。こうした今回の意識調査のように被災者の方々の心情を丁寧に酌み取った事例というのは少ない形でございますので、貴重な調査結果を得ることができたと思っております。
この調査の中で、孤立を感じるかという、こういう問いに関しまして、仮設入居者の約七割がほとんどないと前向きな回答を寄せる一方で、依然、三割の人たち、これは孤立感がある、また心の奥に課題を抱えているという可能性が明らかになっているわけでございます。また、住まいの項目に関しましても、仮設住宅の周辺には医療機関とかスーパーがありませんので、移動手段の確保、こういうことでの不安の声も上がっております。
現在もこうした仮設住宅にいらっしゃる方々に対する支援の必要性、こういうこともこの調査からは明らかになりました。こうした一人一人のこの貴重な声を、今後の被災者に寄り添う政策に丁寧につなげていくことが必要だということを痛感をしたわけでございます。
ちょうど震災から四年が経過をいたしました。しかし、心の復興という点ではまだ道半ばでございます。集中復興期間の期限が近づく中ではございますけれども、これは是非、継続的な支援、これが必要だと思っております。山谷大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、この東日本大震災の被災者の心の復興ということに対する大臣の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 東日本大震災から四年たちましたが、依然として被災者の方々が厳しい生活環境の下で暮らし、今も癒えることのない心の傷を負っていらっしゃることを重々承知をいたしております。
このような災害後の心のケアが重要であることから、広島での土砂災害、御嶽山噴火の際には、精神科の医師等から成るDPAT、災害派遣精神医療チームを派遣したほか、本年一月に復興庁にて取りまとめられた被災者支援総合対策に基づき、政府として心の復興事業を進めているところであります。
また、今回の国連防災世界会議においては、東日本大震災の被災者が自らの体験や抱えている課題を語る人間の復興シンポジウムを始めとする多くのパブリックフォーラムが開催され、東日本大震災の経験から得られた貴重な知見を海外からの参加者に対して直接訴えかける多くの機会が実現をいたしました。
これら東日本大震災の経験の発信は、海外からの参加者からも関心を持って受け止められるとともに、復興期間を通じて被災者の心に寄り添って支える心の復興の重要性についても国際理解が得られたものと考えております。
さらに、会議の成果文書である仙台防災枠組にも、被災者への精神的サポートを充実すべきことがしっかりと明記されておりまして、東日本大震災の経験を世界と共有するとの所期の目的は十分に果たすことができたと考えております。
政府としましては、今後とも、被災者を始め様々な方々の声に耳を傾けながら、被災者の心に寄り添いながら、暮らしにしっかりと目を向けながら防災に取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
私も、公明党といたしまして、三・一一以降、被災地に国会議員の担当という形で、私も仙台や多賀城とか東松島とか、そういう地域を担当させていただいておりまして、定期的に訪問させていただきながら、先日も全国会議員が集まっての復興加速化会議という形で岩沼市の災害住宅等も視察をしたわけでございますけれども、是非とも、こうした心の復興という点に関しまして支援をお願いをしたいと思います。
続いて、障害者と防災ということに関しましてお聞きをしたいと思います。
今回の会議、これは障害者の参加に最大限配慮をされておりました。送迎用に車椅子仕様のバスが用意されたりとか、また会議の音声の字幕に関しましても、リアルタイムで表示する端末が貸出しをされるということもありまして、国連の会議としては最もバリアフリーが進んだ会議、こういうふうに評価をされております。また、本会議の作業部会におきましても、障害者と防災に関するテーマ、これが初めて採用されまして、採択されました仙台防災枠組の中にも、障害者が地域防災に主体的に参加する、こういう重要性が盛り込まれております。
内閣府の資料によりますと、全人口の四・五%が死亡しました宮城県の南三陸町では、障害者の方々の死亡率は三倍の一三%にも達しております。私も三・一一以降、様々な委員会で障害者の方々の支援ということを訴えておりますけれども、東日本大震災での障害者の死亡率というのは大変高いということが指摘をされているわけでございます。
こうした今回を契機に、障害者を防災の主要な担い手にするという考え方が世界の主流に広がるように期待をするわけでございますけれども、赤澤副大臣に、この障害者と防災に関してどのように取り上げていたのか、報告をいただきたいと思います。
○副大臣(赤澤亮正君) 今、山本委員がもう全て言いたいことはほぼおっしゃったんですが、若干補足できるところはあると思うので、お話をさせていただきたいと思います。
南三陸町の例で、障害者の方の死亡率が東日本大震災で三倍というのはまさにそのとおりで、それ以外のところでも、少ないところでも大体二倍の死亡率があったということで、障害者の皆様のために災害の対応をしていくということは本当に大事だというのも御指摘のとおりで、会議でも共通認識となっておりました。
東日本大震災においては、障害者など災害弱者への対応が大きな課題となって、防災政策に障害者の視点を入れ込む重要性が本当に強く認識をされたところです。今回の第三回国連防災世界会議、まさにアクセシブルカンファレンスということで、御指摘のような障害の方たちのための様々な工夫がされており、手話通訳、字幕表示あるいは仙台市から提供された福祉車両、そして会場に着くと専用レーンがあって車椅子の方たちは本当に多数快適に会議に参加をされていた、全く委員の御指摘のとおりであります。
また、これも特筆すべき点で、委員からもお触れいただきましたけど、障害者に関する会議以外の一般的な国連の会議では、実は、障害者代表という肩書ではこれまでなかなか発言の機会がなかったわけですけれども、今回、初めて発言機会が確保されて、タイの全盲の国会議員で国連の障害者権利条約障害者権利委員会の委員でもあるブンタンさんという方が大変格調の高い講演をされました。ほかの代表の方と比べても全く遜色ないというか、むしろ本当に感銘を与えるすばらしい発言をされました。国連を始めとする関係者の方々からも画期的なことであると高い評価をいただいております。
私自身も、日本財団主催の障害者に関するパブリックフォーラムに参加をさせていただき、また障害者をテーマにしたワーキングセッションでは、モデレーターから要請を受けて発言もさせていただきました。
御紹介させていただきたいのは、そのとき登壇者から言われた三点って本当に大事だと思うので。各国が取り組む防災の行動枠組みが障害者を含めたインクルーシブなものでなければならない、まず一点目です。それから二点目に、障害者の方たちの施設、サービス、情報への平等なアクセスが保障されなければならない。そして三番目に、障害者の皆さんが防災政策に積極的に関与できるんだと、障害者を参加させ、そして企画立案からあるいは実施のところまで全て障害者の方を参加させて初めて各国は強靱になる。この三点を障害者の代表の方たちが繰り返し繰り返し強調されました。障害者の活躍が社会全体のリスクの低減に貢献するという発言をされて、大変共感を覚えたところでございます。
今回の成果文書に、仙台防災枠組にも障害者の重要性について明記されたのは御指摘のとおりでありまして、私も、これからも障害者の参加を含めた強靱な社会づくりに全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。災害弱者への支援という意味では、今回の会議は女性と防災という点も含めまして大変意義がある内容ではないかなと思いますので、是非またよろしくお願いをしたいと思います。
また、あと、今回の会議に関しましては、国連加盟国百九十三か国のうち百八十七か国の代表が参加をしました。また、世界二十五か国の大統領、首相、首相級、また百名を超える閣僚の参加、また国際機関の代表、認証NGO等を含めますと六千五百名、また関連事業も含めると延べ十五万人の人々が参加をした一大イベントであったわけでございます。
テロの危険性など、こうした数多くの困難がある中で無事故で成功したことで、これは本当に関係者の尽力に心より敬意を表する次第でございます。また、世界中の方を迎えるこの中で、警備とか輸送とか、また検疫とか通関、こういう運営上の体制に関しましてもこうした日本の実力というのが示されたのではないかなというふうに感じております。
今後、我が国としまして、来年の夏にはサミットが予定されております。また、二〇一九年にはラグビーのワールドカップがありますし、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催をされておりますけれども、今回のこうした会議運営、大変大きな財産でございまして、今後の国際会議等にも生かしていくべきだと思いますけれども、この点、外務省の認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(水越英明君) 御指摘のとおり、第三回国連防災世界会議は日本で開催された国連関係では最大級の国際会議でございまして、多数の首脳、閣僚に参加いただきました。そうしたことから、準備作業は大変膨大なものでありましたけれども、外務省の中でもこうした国際会議に経験のある者を省内から結集して準備事務局に集め、また関係省庁、仙台市あるいは宮城県警と緊密に連携して会議の運営、接遇に当たりました。おかげさまで、御指摘のとおり、大変滞りなく、会議は成功裏に終了したと考えております。また、参加者の中からは、日本の大変きめ細かい接遇に対して評価の声も聞かれたところでございます。
委員御指摘のとおり、今後とも我が国では大規模な国際会議が開催される予定がございます。外務省としては、今回の経験も十分に踏まえ、生かして、関係省庁、地方公共団体あるいはボランティアの市民の皆様などの協力を得ながら、会議運営、接遇に遺漏なきよう行ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○山本博司君 是非ともこの経験を生かしていただきたいと思いますし、また別の角度では、観光とか、この国際会議それ自体、大きなやはりイベントという意味での推進ということもまた、別の省庁の関係になりますけれども、お願いをしたいと思います。
この仙台防災枠組の中には、病院とか教育機関など、住民にとっての重要な施設の被害を減らすということも盛り込まれました。こうした施設の被害軽減というには、避難ルートの確保だとか整備とか、避難訓練を実施するといったソフトの対策も大事でございますけれども、そもそも災害に強い施設整備、これも重要でございます。
学校の耐震化に関しましては、長年の取組の結果、二〇一五年度中には公立小中学校で一〇〇%の耐震化が達成される見通しでございます。これに対しまして、先ほどから議論になっておりますけれども、災害拠点病院、この耐震化状況、これはどのようになっているのか、報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(福島靖正君) お答えいたします。
災害拠点病院、それから救命救急センターの耐震化率でございますけれども、平成二十一年当時が六二・四%でございましたけれども、先ほど申し上げたように、二十六年九月一日現在では八二・二%となっております。
この間、各種の補助等を行ってきたわけでございますけれども、来年度でございますが、来年度の見通しでいいますと、平成二十七年度末にはこの補助等を利用して八五・二%になるという見込みでございまして、この補助等の今対象になっている施設が全部完成いたしますと九〇%を超える見込みにはなっております。
しかしながら、まだ引き続き耐震化を進めていく必要があると私ども考えておりまして、今後とも耐震整備を促進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 私も、厚生労働委員会等でこの災害拠点病院等の耐震化ということはずっと訴え続けてまいりまして、やっと八二%、九〇%近いところまで来ているということでございますけれども、大変大事な拠点病院でございますので、推進をよろしくお願いしたいと思います。
今回採択をされました仙台防災枠組の特徴といたしまして、具体的な項目とか期限、これを示した減災目標を新たに盛り込んだということが大変注目をされております。二〇一五年から三〇年までのこうした国際社会における人的、経済的損失などの七つの減災目標を盛り込んだ新しい防災対策の行動指針につきましては、我が国の主張が取り入れられたものと認識をしております。
世界中の災害による犠牲者、この十年間で七十万に上っております。経済損失は一・三兆ドルでございます。こうした数々の自然災害を乗り越えてきた我が国にとりまして、建物の耐震技術であるとか気象予測とか、こうしたハード、ソフト両面のこのノウハウ、これが蓄積をしておりますので、世界の中で減災の取組を強化をして中心的な役割を担う私は必要があると思います。
そこで、こうした減災の概念、これは今回の仙台防災枠組の中でどのように盛り込んでいるのか、御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
今回の仙台防災枠組の中におきまして、基本的に、災害は発生そのものは防げませんので、それによる被害をどうやって減らしていくかということが大きな課題であるということで、そのような考え方が盛り込まれたところでございます。
まず第一には、今委員からも御指摘がありましたように、七項目の減災目標を立てておりまして、それを二〇三〇年までに世界全体の被害を大幅に削減するということで取り組むということになってございます。その目標の実現のために、災害予防、応急対策の準備、復旧復興のあらゆる段階におきまして災害リスクを軽減するための優先行動を定めているところでございます。
具体的な優先行動としては、例えば、災害からの迅速かつ効果的な避難ということを目指しまして、早期警戒システムの整備あるいは訓練の実施等がございます。また、事前防災の取組といたしましては、ハード対策とソフト対策を併せました官民の防災投資を積極的に進めていく。それから三つ目に、復興段階の取組といたしまして、被災地を以前の状態に戻すのではなく、将来の災害被害を軽減するための抜本的な災害予防策を導入した、いわゆるビルド・バック・ベターというような考え方が位置付けられたところでございます。
○山本博司君 また、我が国が主張してきたものに防災の主流化というのがございます。あらゆる開発政策や計画に防災の観点を導入するこの防災の主流化という考え方に関しましては、国際社会全体で災害に負けない強靱な社会をつくる上では大変大事な点でございまして、今後の気候変動に関する交渉の際にも大きな意味を持つものと考えます。
これに関連しまして、新しい指針をめぐっては、激甚化する自然災害と工業化を原因とする気候変動との因果関係などの表現につきまして先進国と途上国の間で意見の相違があったとのことでございますけれども、最終的には採択に至ったということは良かったのではないかなと思います。
今回の会議に関しまして、防災と地球温暖化対策の密接な関わり、これ改めて浮き彫りになりました。本年十二月にはフランス・パリで気候変動枠組条約の第二十一回の条約国会議、COP21の開催が予定をされております。この温暖化と自然災害、これは人類共通の脅威でございまして、今後の対策を進める上で最も重要なのはこうした国際協調でございまして、今後の議論の中に防災の主流化の理念、これが定着するように日本としてもリードすべきだと思います。
この点に関しまして、今後、防災の主流化に関して我が国がどのように主張をして参加国の理解を得たのか、赤澤副大臣から報告いただきたいと思います。
○副大臣(赤澤亮正君) 防災主流化は、より良い復興、ビルド・バック・ベターや女性など多様な主体の参画などと併せて、我が国が過去に得た知見を十分に反映させた政策、それを提唱して盛り込まれたもので、仙台防災枠組の非常に重要な概念になっております。このような具体的な目標を世界が共有することは初めてであり、大変大きな成果だと思っています。委員御指摘のとおり、今年九月に国連で採択予定の国際開発目標、ポスト二〇一五年開発アジェンダ、あるいはCOP21などで災害リスクの削減などを明確に位置付けるための有効な後押しになるというふうに考えております。
我が国においては、過去のあまたの災害から得られた知見や教訓、防災技術、防災体制の仕組みなど世界と共有するために、安倍総理からも、防災分野における国際社会への貢献策として仙台防災協力イニシアチブを発表し、今後四年間で計四十億ドルそして四万人の人材育成ということを表明をいたしました。日本の知見と技術を世界と共有する方針を打ち出したところでございます。
これらに基づいて、各国の開発政策において防災の主流化が推進されるよう働きかけてまいります。さらには、秋からの国連総会、COP21などを始めとして、国際社会における発信にも全力を挙げていきたいと思います。
○山本博司君 是非ともリーダーシップを発揮してお願いをしたいと思います。
途上国の中には、財政的な理由から十分な対策が講じられずに災害に対して脆弱なケース、これも多いのではないかなと思います。そうした国々に日本のノウハウ、これを伝えることの意義、これは大変に大きいと思います。
今回、安倍総理から表明されました仙台防災協力イニシアティブの中でハード、ソフト両面からの支援について盛り込まれておりますけれども、具体的にどのように行っていくのか、報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 第三回国連防災世界会議の成果である仙台防災枠組で定められた死亡者数や経済的損失の削減など七項目の目標を達成するためには、開発途上国の防災能力を高めることによって全世界の防災力を向上させていくことが重要であります。
会議の初日の安倍総理の仙台防災協力イニシアティブの表明、また、アジア防災センターや国際復興支援プラットフォーム、IRPなど、我が国が主導する防災協力の枠組みを活用した支援を進め、防災情報の収集、発信や人材の育成、より良い復興の国際社会への発信等に取り組んでまいります。
我が国は、防災先進国としてこれまで培った防災に関する知見や技術を生かしながら開発途上国の防災力の向上に資する協力を行い、国際社会における防災の主流化に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともお願いしたいと思います。
今回、この会議に関する資料を集める中で気になった点がございました。それは情報提供の在り方ということでございました。
現在は、内閣府の防災のホームページのトップに国連防災世界会議の見出しがございますので容易に情報にアクセスすることができますけれども、前回の兵庫で行われました第二回の国連防災世界会議の情報、これを確認しようとしますと、外務省のホームページに飛んで、最終的に国連のホームページに、英語の表記にたどり着くという、大変、なかなか一般の方々が情報を得るというのは難しい部分がございました。
この仙台防災枠組は今後十五年後までを見通した行動指針でございますので、継続的に情報発信をするということを是非とも進めていただきたい、このことを最後に質問して、終わりたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) 委員御指摘のとおり、第三回の国連防災世界会議の成果を広く一般の方々に御理解いただくということは大変重要なことだと思っています。
まずは今回のいろんな成果物あるいは資料等を公開したいと思っておりますけれども、それにとどまらず、今後我が国で行われます防災に関する取組あるいは世界に対する発信等も併せて掲載し、引き続き皆様のお役に立てるように頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○東徹君 維新の党の東徹でございます。
まず、南海トラフ巨大地震について三点ほど質問させていただきたいと思います。
東北地方太平洋沖地震では長周期地震動によって首都圏や大阪府等でも高層ビル等において大きな揺れが生じたわけでありますけれども、高層ビルとか石油タンク、長大橋梁等の長大構造物は、周期数秒から十数秒の固有周期を有するため、大地震に伴って発生する長周期地震動と共振することによって大きな揺れが生ずるというようなことがあるわけですけれども、このように、高層ビルにおいて長周期地震動の影響というのは非常に大きいというふうに思います。
内閣府でもこの点について議論されているというふうに思いますが、現在の状況についてお伺いいたします。