参議院 災害対策特別委員会 第5号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 災害対策基本法改正案に関しまして質問を申し上げたいと思います。
 初めに、改めて本年夏の土砂災害や台風、御嶽山の噴火被害などでお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 本日は、法案に関連をする部分と、また南海トラフの巨大地震への備えにつきまして、質問をしていきたいと思います。
 まず、改正案の内容に関しましてお伺いいたします。
 今回の改正でございますけれども、本年の二月に発生をしました大雪による大規模な孤立の発生というのが一つのきっかけになっていると思います。二月の十四日から十六日、大雪などの被害によりまして死者は九県で二十六名、立ち往生車両は最大で千五百台となっておりまして、甚大な被害が発生をしたわけでございます。山梨県内では、県内全域で全車両が立ち往生をして、食料とか燃料が不足したという深刻な状態であったと言われております。こうした厳しい状態を真っ先に現地を訪れて確認をされておられます西村副大臣に、この当時の状況ということについて、どのようなものであったのか、御報告をいただきたいと思います。
○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。
 今年の二月の大雪のときのお話でございますけれども、孤立集落も発生し、またそれも長期化するという事態の中で非常災害対策本部を政府において設置をいたしまして、特に大きな被害がございました山梨県に現地対策本部を設置をして、私と亀岡当時の政務官と交代で本部長を務めた次第でございます。
 現地対策本部では、連日、県と合同で会議、県の会議に参加をする形で意見調整、連絡調整を行いながらこうした対応に当たってきたわけでありますけれども、具体的には、まず孤立地域の解消ということを最優先をして対応を行いまして、その状況把握、そしてそのための対応ということで、除雪機械も足らなかったものですから、周辺の自治体を含めて、豪雪地域も含め広域的なそうした機械への支援あるいは人的な支援といったことをお願いをしたり、あるいは、特にその区域全域が孤立状態となった早川町の早期孤立解消ということで、そこに向けた救助活動あるいは物資の輸送、除雪等に対する自衛隊等の派遣と、こういったことを対応してまいりました。
 また、停電もありましたので、電力事業者と除雪業者との間の調整とか、あるいは物資の供給についての事業者との連絡調整、そして二次被害で雪崩も危険視されておりましたので、そうした専門家を派遣して、どの程度そのおそれがあるのかといったことの分析、こうしたことを行ってまいりました。
 さらに、その被災者の支援あるいは復旧の支援ということで現地で様々なニーズがございましたので、特に農業の被害が大きなものがございました、ハウスの撤去等ですね、こうしたことについて公費で支援するような仕組みを農水省、環境省とも調整の上、実施した次第でございます。
 以上でございます。
○山本博司君 副大臣、大変にありがとうございます。
 私も、記録的な大雪という意味では、二〇一一年の山陰地方、鳥取と島根県が、ちょうど正月の時期でしたけれども大雪が降りまして、そのときにお伺いをしたことがございました。その地域も、そんなに雪が降るという、記録的な雪が降るところじゃなかったわけですけれども、実際、漁船が四百五十二隻被害がありましたし、白砂青松のきれいなクロマツが五千九百本被害に遭ったりとか、観光の問題等も、様々そうした声を、雪によっての対応ということがあったということを私も実際見て痛感をしております。
 今回のケースもやはりふだん雪が少ない地域において記録的な大雪になったということが言われておりますけれども、今回のこうした改正の前にも、そもそもこうした大規模な孤立を未然に防ぐ手当て、これはもっと必要ではなかったのかということも考えるわけでございます。もし、あの大雪の想定が判明したときからこの情報提供を随時行って、いち早く、外出を避けるというふうなことであるとか、若しくはスタッドレスタイヤであるとかチェーンの装着を呼びかけるとか、車両の通行規制を随時行うとか、こうしたことを徹底していれば、そうした大規模じゃなくても、もう少し小規模で収まったのではないかと、このように思うこともございます。
 そこで、これまでのこうした事例等の検証をして、大規模な孤立を未然に防ぐためにどのような対策が必要であると、このように考えていらっしゃるか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 今年の二月の記録的な大雪に対しましては、金曜日の夜から降り始めたわけでございまして、その金曜日の昼間に警戒会議を開催いたしまして、当時の古屋防災大臣から、夏タイヤでの通行を避けてほしいとか、車の不要不急の利用は避けてほしいというような呼びかけはしておったんですけれども、やはり十分徹底できなかったということもございますし、そもそも除雪の量が不足していたというようなことがございました。その結果、大きな立ち往生車両が発生したということでございます。
 改善策といたしまして、国土交通省におきまして、まずその関係機関、事前に調整しまして除雪の優先区間を設定すると、あるいは除排雪用の資機材の適切な配置あるいは協定によります調達を進める。それから、立ち往生車両の発生を抑制するための早めの通行止めを行う。それから、先ほどもありましたが、除排雪機械につきまして広域連携を強化する。そのほか、冬タイヤ、チェーンの装着の準備の呼びかけでございますとか、ツイッターを活用した通行止め状況の提供など、情報提供の充実などを行うということを、今回の二月の大雪を、反省を踏まえまして対策を講ずることとされているというふうに承知しております。
 内閣府といたしましても、不要不急の車両の自粛、チェーン等の装着準備などなど、災害時に取るべき行動につきまして改めてきちんと呼びかけていき、対応を取ってまいりたいというふうに思っております。
 国土交通省など関係省庁と連携の上に、今年の冬につきましても適切に対応していきたいというふうに考えております。
○山本博司君 こうした大規模な孤立を防ぐという様々な対策というのは大事でございますので、推進をお願いをしたいと思います。
 次に、損失補償に関しましてお伺いをしたいと思います。
 法案では、災害発生時に直ちに道路啓開を進めて緊急車両の通行ルートを迅速に確保すると。このために、道路管理者が放置車両を移動することができるようになっているわけでございます。その際には、やむを得ない限度での破損を容認するということになっておりまして、その場合、損失に見合った補償がされるということでございます。
 例として、ホイールローダーで車両を持ち上げて移動させるということが紹介されておりましたけれども、一般の乗用車からトラックとか若しくはトレーラーとか大型に至るまでの放置車両というのがあると思いますので、移動ができるようにするには、クレーンであるとか若しくは重機など相当の規模の準備が必要ではないかと思います。
 また、こうした車両を持ち上げて指定された土地まで運ぶということでございますから、当然それは傷が付いたり破損をするということがなりますので、費用はどのぐらい掛かるのかとか、若しくはこの道路管理者は規模によって想定がなかなか難しい場合があると思います。
 そこで、この具体的な損失補償の規定というのをどのように決めていくのか、このことを確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 今回の改正法によりまして行います損失補償につきましては、基本的に車両の移動等に伴って生じた損失分ということでございます。
 具体的には、ケースにより様々でございますけれども、例えばサイドブレーキを外すために割ったガラスでありますと、ガラスの修理代。それから、重機によって車両を持ち上げたときにつきましては、そのための擦り傷とかバンパーのへこみなどの修理代と。あるいは、段積みをせざるを得ないような場合につきましては、それによって車が変形いたしますので、それを元に戻すための修理代と。基本的に修理代ということになるわけでございます。
 そのために、元々の状況がどうであったか、移動によってどういうふうに損失が生じたかということを明らかにする必要がございますので、災害時でございますからできるだけとしか申し上げられませんが、車両の移動前、移動後の状態を写真で残しておくなどによりまして事後の混乱が生じないようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○山本博司君 やはり、これは私有物ということでございますから、その所有者のものを公的な形の執行をしていくということで、やはりきめ細やかな配慮ということを見ていかないとこれはいけないと思います。
 その意味で、今回の法改正の趣旨というのを、車両の占有者、所有者であるとか、当然地方自治体、道路管理者もそうでございますし、地域住民に対してしっかり周知をしていくということが必要だと思いますけれども、どんな形で進めていくのか、この点確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 まず、道路管理者に対しましては、運用マニュアルのようなものを作成いたしまして、先ほど申しました写真を撮るようなことも含めて周知を、これは国土交通省の方で御検討いただいているところでございます。
 それから、法律につきましては、当然通達もございますし、ホームページ等の掲載等もございますが、そのほか、この放置車両対策はやはり訓練もしていかないと進みませんので、そういった訓練の場でありますとか、あるいは防災の日等を活用いたしました訓練とか、様々な防災教育、防災訓練の場を活用いたしまして今回の改正の趣旨を周知してまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 この改正は、大規模な災害の際に直ちに道路啓開を進めて緊急車両の通行ルートを迅速に確保するために大変重要なものであると思います。
 東日本大震災のときにはくしの歯作戦と、こう呼ばれる道路啓開が実施をされまして、内陸部を南北に貫く東北自動車道とか国道四号線、そこから沿岸部に向けて瓦れきの撤去とか段差の解消を進めて、緊急車両とか物資の輸送ができるように体制が確保されたというふうに聞いております。
 また、今後想定されております首都直下型地震に関しましては、八方向作戦と、こう呼ばれる道路啓開の計画があるということでございますけれども、私、四国に住んでおりますので、南海トラフの巨大地震が想定される地域、特に四国におけるこの道路啓開の計画、これはどのようになっているんでしょうか。現状を御確認したいと思います。
○政府参考人(深澤淳志君) お答え申し上げます。
 南海トラフ巨大地震の発生を想定いたしまして、国土交通省四国地方整備局では、関係機関と協力いたしまして、平成二十三年に道路啓開計画を策定いたしました。今委員御指摘の東北地方における道路啓開、くしの歯作戦、これを参考にいたしまして四国版くしの歯作戦と名付けております。
 具体的に申し上げますと、比較的被害が少ないと想定されます瀬戸内側の松山自動車道、国道十一号などの横軸のラインを確保すると併せまして、横軸から太平洋沿岸地域へ連絡する高知自動車道、国道三十三号等の縦軸のラインを確保し、さらには縦軸ラインから太平洋沿岸の国道五十五号、国道五十六号の沿岸ラインを確保することとしております。
 今後とも、実践的な訓練などを通じまして啓開計画をより実効性あるものとし、来るべき大地震に備えた対策を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○山本博司君 今、四国版くしの歯作戦という形で、瀬戸内海から太平洋側に入るという形で進めていこうということでございますけれども、現実は四国はなかなか道路が未整備状況がたくさんございます。その中でも、このくしと言える、例えば香川から徳島に入る猪ノ鼻道路ってありますけれども、三豊から三好に向かっていくという、これもしっかり整備がされました。また、愛媛県の久万高原町から高知に入っていく地芳道路、これも整備されてきて、くしの部分というのは確かにできつつはあるわけですけれども、しかしまだ全体的な形で道路が未整備な状況があります。
 特に、これは四国といいますと、やはり高速道路が大変大きな役割が果たされるわけでございますけれども、残念ながら、この整備状況というのは余り進んでいないというのが実態がございます。この高速道路の現状に関して御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(深澤淳志君) 御説明申し上げます。
 四国における高速道路の整備状況についてお尋ねがありました。四国におきましては、委員御指摘のように、切迫している南海トラフ巨大地震による津波など災害時におけるリダンダンシーを確保するためにも、高速道路の整備が重要だと考えているところであります。
 四国を一周する全体延長約八百十キロメートルの8の字ネットワークの整備状況は、平成二十六年十月現在で、開通済みが約五百五十二キロメートルで全体の六八%、現在事業中の延長が約百二十九キロメートルで全体の一六%であります。地元からも早期整備について多くの要望を受けているところであります。
 以上です。
○山本博司君 やはり、被災者の救助の生死を分ける時間というのは七十二時間の壁というのがあるかと思います。実際、人命の救助のためには、被災されたところに、一刻も早く被災者の下に到達するというのがやっぱり大きな課題であると思います。
 しかし、残念ながら、南海トラフの巨大地震の影響を受けるこの地域においては、いまだこの高速道路が未整備の状況があるわけでございます。たくさんあります。例えば、紀伊半島南部の三重県から和歌山県の地域、これもそうでございますし、四国も、愛媛県、高知県の幡多地域の地域、また徳島から高知に至る地域、これもそうでございますし、九州では宮崎県の一部でこれは未整備の部分がございます。
 こうしたミッシングリンクの解消ということに関しては、各県の知事の皆様、地域の方々が要望活動を活発に行っているわけでございますけれども、四国においてもこの高速道路、8の字ネットワーク、まだ六八%ということでございますけれども、やっぱり命の道であるということでずっと訴えてきたわけでございます。
 東日本大震災の際に、この被災地である三陸の沿岸部、これに関しては高速道路が着実に建設をされております。まさしく大規模災害の発生時に、救命、救援のルート、この部分でやはり高速道路の整備がネットワークの向上に、防災機能の強化につながっていくという意味では大変私は大事であると思います。
 山谷大臣、この認識をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 防災機能の強化のためにも早期の高速道路の整備が必要ではないかという御指摘、御質問でございますけれども、高速道路は、大規模災害発生時における迅速、円滑な救助活動、緊急物資の輸送、復旧活動の実施等を支える基幹的なルートであり、東日本大震災においても太平洋沿岸の被災地への道路啓開の起点として、また日本海側の高速道路ネットワークが物流の迂回路として機能するなど、その役割を再認識したものでございます。
 切迫性の高い首都直下地震や南海トラフ地震等への防災機能の強化に当たっては、この度の災害対策基本法の改正における道路管理者における災害対応力の強化もさることながら、その前提として、基幹的な道路ネットワークの確保ということが非常に重要であるというふうに考えております。
 今後とも、強さとしなやかさを持った安全、安心な国土、地域、経済社会の構築という国土強靱化の理念を踏まえ、国土交通省を始め関係機関と連携しながら、高速道路を含めた災害時における緊急輸送ルートの確保の推進、防災機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 もう大臣、是非これは、ミッシングリンクの解消という部分は大規模災害にとっての大事な部分でございますので、閣内においても、また政府においてもしっかりお願いを申し上げたいと思います。
 次に、南海トラフの巨大地震への備えにつきまして具体的にお聞きをしたいと思います。
 この南海トラフの巨大地震につきましては、国の被害想定では、最悪の場合、三十四メートルの津波が発生して、死者は三十二万人と言われております。経済被害は二百二十兆円と言われておりまして、人命保護を最優先とした防災・減災対策、大変急務となっております。
 昨年十二月に南海トラフの地震対策特別措置法、特措法が施行されまして、地域指定がされた上で対象地域の国庫補助がかさ上げになっております。これによりまして津波避難対策が進んでいるわけですけれども、まず、防災担当大臣としてのこの南海トラフ地震対策の決意、これをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 南海トラフ地震で想定される大規模な地震、津波に対しては、命を守るということを中心に被害の最小化を図り、ハードとソフトを組み合わせた総合的な対策を講じていくことが必要と認識しております。
 本年三月に中央防災会議において決定された南海トラフ地震防災対策推進基本計画では、地震・津波対策を講じていくことにより、今後十年間で達成すべき減災目標として、想定される死者数をおおむね八割減少させるということを掲げております。この減災目標を達成するため、関係省庁や地方公共団体等と連携して地震・津波対策の着実な推進を図っているところであります。
 中でも、津波から人命を守るためには住民の迅速な避難が重要であります。今年は、十一月五日の津波防災の日を中心に、国、地方公共団体、民間企業等が津波防災訓練等の活動を行い、津波からの避難の重要性について広く周知を図ったところでございます。先生お生まれ、お住まいの四国地方でもたくさんの訓練が行われました。
 また、人命救助のためには様々な機関の総力を挙げた対応が必要となります。このため、全国からの応援部隊の派遣や広域医療搬送、広域物資調達等、国の調整が必要となる応急対策活動について、あらかじめ具体的にその実施手順等を定める具体計画を今年度中を目標にできるだけ早期に策定してまいりたいと思っています。
 今後とも、関係機関と緊密に連携し、南海トラフ地震に対する防災・減災対策に万全を期してまいる所存でございます。
○山本博司君 先月、高知県を、南海トラフの津波対策の地域、ずっと回ってまいりました。今、やはりいち早く逃げないといけないということで、津波タワーをそれぞれ設置されております。例えば南国市では、十四メートルぐらいの津波が来て、ともかく二十分以内に逃げないといけないというところで、津波タワー約十四基、二十メートルぐらいの二階建てのものを六百メートルごとに十四基建てられております。そして、もうすぐ逃げられる、約四千名ぐらいの方がその地域では五分以内にそこに駆け付けることができるということが特措法等の様々な法整備によってできております。
 また、土佐の一本釣りというカツオで有名な中土佐町というのは、やはり三階建ての津波タワーで、高齢者とか障害者の方がしっかりできるようなスロープであるとか、手で、何といいますか、しっかり四、五人ぐらいが上れるような、そういう形の津波タワーも造っておりますし、また、三十四メートルの黒潮町、ここでもやはりすぐ逃げるための対応ということで、命の山ということで、子供たちが毎週、週一回、その山目指して避難をしているという。一刻も早く逃げるということをどうするかということがやはり今の現状でございます。
 そういう意味で、津波の情報を早く発信をするという意味で、この調査体制の整備に関してお聞きを申し上げたいと思います。
 本年三月に中央防災会議で決定されました南海トラフ地震防災対策基本計画の中では、あらゆる手段を活用して調査体制を充実させると、こう明記されております。特に、津波に備えた調査体制の整備が重要であると私は考えております。
 この調査体制に関しまして、一つの事例として今日はお聞きをしたいんですけれども、国交省で活用しているGPS波浪計と海洋レーダーというのがございます。これは津波の観測に大変大きな効果があるというふうに言われておりまして、そこで、国交省の港湾局長に、このGPS波浪計と海洋レーダーの活用状況と津波に対する研究状況について報告いただきたいと思います。
○政府参考人(大脇崇君) 国土交通省港湾局におきましては、港湾整備に必要な沖合の波浪を観測することを目的といたしまして、GPS波浪計を全国で十七基設置をしているところでございます。また、海洋短波レーダーにつきましては、閉鎖性海域におきます浮遊ごみ回収の効率化ということを目的といたしまして、全国で四海域に設置をしてございます。
 GPS波浪計につきましては、沖合での津波観測も可能でございまして、観測データを気象庁にもリアルタイムで提供しているところでございます。東日本大震災におきましては、沖合で六メートルを超える津波を観測いたしまして、気象庁の津波警報の引上げにも活用されたところでございます。さらに、地域防災にも活用いただくために、観測データを沿岸地方自治体等にメール配信をするシステム、これを順次構築をしているところでございます。
 一方、海洋短波レーダーにつきましては、東日本大震災の後、その観測データを分析いたしましたところ、津波による流れを広範囲に捉えることができることが分かりました。現時点ではまだ研究段階ではございますけれども、津波防災への実用化に向けて技術開発を行っているところでございます。
 このようにいたしまして、港湾局といたしましては、保有する観測機器、これを津波防災にも活用できるように、引き続き国土技術政策総合研究所、あるいは独立行政法人の港湾空港技術研究所とも協力しながら技術開発を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。
○山本博司君 このGPS波浪計と併せて海洋レーダーを活用しますと、より精緻で迅速な津波の到来が予測が可能となって、いち早い避難につなげていくという研究を産官学の研究所を中心に今進められているということでございます。
 こうした津波の観測の研究を進めていくことによって、この南海トラフの地震災害が想定される沿岸部にそれを設置を推進を私はしていくべきだというふうに思うわけですけれども、今、これはごみ収集を含めた当初の目的とは違う観測機器であったとしても、応用によって新たな価値が見付かるのであれば、どんどんこういったことは推進をすべきと考えております。
 また、こうした研究以外にも、御嶽山の噴火災害の際の火山の観測体制の整備、これも求められておりました。一方、ゲリラ豪雨とか竜巻とか局地的な異常気象に関する即時観測システム、これも大変重要な課題でございます。こうした地震とか津波とか観測体制の更なる充実が私は必要だと思います。そうした分野を活用すれば、海外においてもその技術を展開できて国際貢献にも私は役に立っていくと、こう思う次第でございます。
 大臣に最後に、こうした災害に備えた調査研究体制の整備を拡充をしていくと、こういうことに関してお願いをしたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 災害に備えた調査研究体制の整備拡充の必要性でございますが、効率的、効果的に進めていくことが大変に重要だというふうに考えております。
 例えば火山災害については、御嶽山の噴火を踏まえ、観測体制、研究体制等の整備拡充について気象庁、文部科学省において検討しているところであり、内閣府においても、それを踏まえて総合的な火山防災対策を検討することとしております。
 一方、防災対策に関する調査研究においては、各調査研究の連携が不十分、防災対策のニーズと調査研究のマッチングがなされていないといった研究成果の防災対策への反映の不十分さ等々の課題があるというふうにも指摘されているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、中央防災会議防災対策実行会議において、防災対策に関する知見が深い有識者等から成る防災関連調査研究の戦略的推進ワーキンググループを設置することといたしました。現在、ワーキンググループの立ち上げに向けて鋭意準備を進めているところであり、この中で、防災対策に関する調査研究に関する情報の集約、整理、共有化を行うとともに、防災対策ニーズと調査研究のマッチング等を行っていくことで調査研究の成果を防災対策に反映できるよう推進してまいります。
○山本博司君 是非とも、こうしたワーキングチーム検討会が立ち上げられるわけでございますので、推進をお願いしたいと思います。
 その意味で、やはり予算の措置という意味でも大変大事でございますので、その点もお願いをしたいと思います。最後に一言。
○国務大臣(山谷えり子君) ワーキングチーム、火山噴火、そして土砂災害、そしてこの度の防災関連調査研究の戦略的推進ワーキンググループ、様々な課題が出てまいります。必要な予算をしっかりと取ってまいりたいと思っております。
○山本博司君 以上でございます。ありがとうございました。