参議院 災害対策特別委員会 第6号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、法案の内容に関連をいたしまして、瓦れきの撤去の問題、それから離島の被災状況に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 初めに、瓦れきの撤去に関しましてお聞きをしたいと思います。
 この瓦れきの量でございますけれども、環境省の推計によりますと、岩手、宮城、福島三県合計で二千四百九十万トンに上ると、こう言われております。これは阪神・淡路大震災のときの瓦れきの発生量千四百七十七万トンの実に一・七倍に相当いたします。
 今回の法案では、現行の原則二分の一以内とされる国庫補助率をかさ上げをしており、瓦れき処理に対して補助率を最大十分の九まで引き上げております。さらに、残りの十分の一の地方負担額に関しましては、全額を災害対策債で対処して元利償還金の一〇〇%を交付税で措置する方針、これが出されているわけでございますけれども、これで間違いないのかどうか。この方針で、地方負担なしということで対応できると、こう考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(松本龍君) 御指摘のとおり、阪神・淡路の中身と全く違う今度の被災状況であります。そういう意味ではそれを上回るということをずっと要求をしてまいりまして、今おっしゃいましたけれども、地方の負担が実質的に生じないように、残る地方負担分についても災害廃棄物処理事業費が多額に及ぶ市町村の地方負担分の全額を災害対策債により対処し、その元利償還金を一〇〇%交付税措置をするということにしております。
 引き続き、瓦れきの処理が円滑に進みますように努力をしてまいりたいと思います。
○山本博司君 阪神・淡路大震災のときには、瓦れき処理の費用、これは平成六年度から十一年度にかけまして千七百億円予算措置をされました。実際に国が負担をした撤去費用といいますのは約三千二百億円ということを聞いております。今回、第一次補正予算におきましては三千五百十九億が計上されております。これで足りるとお考えでしょうか。ある試算では、瓦れきの撤去に関しましては一兆円近く掛かると、こういうふうにも言われております。二次補正も含めて、その後の対応ということに関して見解をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(樋高剛君) 恐縮でございますが、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 山本先生におかれましても大変熱心にお取り組みをいただいております。本当にありがとうございます。
 今のお尋ねでございますけれども、今般の補正予算における災害廃棄物、瓦れき等の処理事業におきまして、現時点におきまして入手可能な情報に基づいて必要な事業費を推計した上で、処理が複数年度にわたることを踏まえさせていただいて、初年度分の国費所要額といたしまして、今先生がおっしゃいました三千五百十九億円を計上することとしたところでございまして、なお、追加的な対応ということ、これも大切な御指摘であったかと受け止めさせていただきたいと思いますけれども、今後の事業の進捗状況等をしっかりと見つつ適切に判断をさせていただきたいと、このように考えているところでございます。
○山本博司君 この瓦れき処理、撤去ということでちょっと具体的にお話をしたいと思うんですけれども、各自治体が発注をすることになりますけれども、単価が地域によって違う場合があると思います。
 今回の瓦れき処理では、阪神・淡路大震災のときと比較をして二倍とか三倍の単価を設定している業者もあるとの話も伺います。ただ、阪神・淡路大震災と違いまして、瓦れきの多くは今回津波をかぶっておりますので、海水とかヘドロに含まれる塩分であるとか、またガソリンなどの油、また不純物が混ざっておりますから、そうした瓦れきの特殊性とか危険性によって費用単価は高くなるということは考えられるわけでございます。そうした状況は十分に考慮しなくてはいけませんけれども、不当なこういう単価の高騰、これは避けなくてはいけないと思います。
 そこで、この瓦れきの撤去費用の単価に関しまして状況に応じた一定の目安を設けるというようなことなど、全額国庫負担ということでございますから、撤去費用の不当なこうした高騰を回避するための何らかの対応、これをすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大臣政務官(樋高剛君) 今回の被災地の状況は、全く地域によって千差万別でございます。私自身も現地調査八回、沿岸域周辺も含めまして十五の市町村全部見て地域の実情を把握をしてきたところでございますけれども、それぞれの被災市町村によりましてその瓦れきの量もそれぞればらばらであろうと、また地形も違えばそれぞれのアクセスの条件もまた違うと、それぞれ全く状況が違うなということを感じたところでございます。
 そんな中にありまして、今回の災害廃棄物処理事業でございますけれども、市町村が行う瓦れきの撤去につきましては、市町村から通常は民間の事業者への委託によって行われるものと、このように考えているところでございます。その場合でありますけれども、競争性のある契約方式の採用などによりまして、公平性そして透明性が確保されるべきものであると認識をしております。
 今先生のおっしゃいました御指摘、とてもこれも大切な重要な御指摘でございまして、まさしく適正な価格により契約をするということは重要な課題でございまして、環境省といたしましても、自治体に対しまして価格算定の基準となるような資料の提供を早急に行わさせていただいて、適正な価格で契約できるようにしっかりと支援をしてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 是非ともその点よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、アスベスト対策について伺いたいと思います。
 この瓦れきには発がん性の物質のアスベストが含まれており、撤去に当たる作業員とかボランティアの方々、健康被害を受ける可能性があるとの指摘もございます。阪神・淡路大震災のときには、震災後の建物解体作業に携わりました男性が中皮腫を発症をし労災認定をされたという事例もございます。また、この粉じんには肺炎などを起こす化学物質も含まれているということも言われておりますけれども、現実的に、石巻の赤十字病院が三月下旬に行った調査でも、避難所の中でも風邪ではなくてこの粉じんを吸ったために発症したと見られます肺炎の患者が後を絶たないと、こういうことも報告をされております。
 これから本格的に瓦れき撤去ということに当たりますけれども、アスベストの飛散防止対策の徹底、作業員の安全確保、こういったことを速やかに対応していただきたいと思いますけれども、この辺りの対策を厚労省と環境省に伺いたいと思います。
○政府参考人(平野良雄君) 瓦れき処理に当たります作業者のアスベスト防止対策について御説明をさせていただきます。
 瓦れき等には、先生御指摘のようにアスベストなどが含まれる可能性がございます。そういうことから、労働者の健康障害を予防するため、瓦れきの処理作業に従事する労働者に防じんマスクを着用させるよう業界団体に要請するとともに、安全パトロールなどを通じまして事業者に直接指導しているところでございます。また、防じんマスク九万枚を労働基準監督署等で配布するとともに、補正予算でも追加で配布するための防じんマスクの予算を計上しているところでございます。
 これらを通じまして、防じんマスクの着用を徹底し、アスベストによる労働者の健康障害防止を図ってまいる所存でございます。
○政府参考人(鷺坂長美君) アスベスト等からの一般住民等に対する暴露防止ということでございます。まず何よりも建築物の解体現場とかあるいは瓦れきの集積場に近づかないようにすること、それから防じんマスクの着用を徹底すること、こういったことが極めて重要であると考えております。
 環境省におきましても、これまで自治体を通じて、あるいはホームページにも掲げておりますけれども、一般住民等へのアスベストに関する基礎知識の情報提供、それから、厚労省とも連携をしておりますが、防じんマスクの無償配布及びその着用、使用方法、特に使用方法が間違っておりますと効果がありませんのでそういった普及啓発、こういったところをしっかり実施してきたところでございます。
 また、現在、全国からボランティアが被災地に入ってボランティア活動が活発になっているということでございます。そういったことを踏まえまして、私ども、ボランティアの方々が防じんマスクを持参して着用するよう、自治体に対しましてボランティアへの周知徹底をお願いしているところでございます。
 また、先般、アスベストの大気濃度に係る予備調査を行っております。この結果では、アスベスト濃度自体といたしましては通常の一般環境大気とほぼ変わらないと、こういうことでございますが、ただ一部の現場では、アスベストではございませんけれども一般粉じん、これについて通常より多く飛散している場合もある、こういうことでございますので、引き続き防じんマスクの着用を呼びかけてまいりたいと考えております。
 そして、今後さらに、補正予算を活用いたしまして本格的に調査をしたいと考えておりまして、そういった調査結果を踏まえ適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○山本博司君 しっかりその辺の部分をやっていかないと後の対応というのは大変厳しくなりますから、しっかりやっていただきたいと思います。
 さらに、海の瓦れきにつきまして伺いたいと思います。
 海に流出しました瓦れきに関しましては、いまだ手付かずのために船の運航とか漁業にも多大な影響を与えております。この海の瓦れきごみということに関しましては、漂流漂着物の処理の際にも処理をどこがするかということの課題がございました。現状を考えれば、陸地の瓦れき処理で手いっぱいの市町村が処理をするということはかなり厳しいのではないかと考えるわけでございます。
 今回の一次補正の中には予算措置がなされているとのことでございますけれども、陸地の瓦れき処理と同様に地方自治体の負担なしに国が責任を持って対応すべきと考えますけれども、この点に関して見解を伺いたいと思います。
○大臣政務官(樋高剛君) お答えをさせていただきたいと思います。
 この海の瓦れき撤去もとても重要なことでございます。特に、漁業を始めたい、あるいは今回の瓦れき撤去におきましても、例えば広域連携で他県に持っていくということも想定をされるわけでありますけれども、その際にも、海での船の航行が行われる、そのためにはやっぱり海の瓦れきを撤去するということが重要であろうと考えているわけでありますが、この関係する者がそれぞれこれからやはり積極的に取り組んでいくことが重要であろうと思っております。
 今回の補正予算におきましては、海域の瓦れき処理に関連する予算といたしまして、港湾や漁港の災害復旧事業や漁場の瓦れき処理に係る漁場復旧対策支援事業が計上されているところでございます。さらに、市町村が自ら行う必要があると認めた場合には環境省のスキーム、環境省が計上しております市町村の災害廃棄物処理事業として実施することもできることとしているところでございまして、いずれにいたしましても、これらの措置によりましてすき間がないように、関係省庁が連携をしてすき間がない対策を講じ、そして一刻も早く海域の瓦れき処理ができるようにしっかりと取り組まさせていただきたいと、このように考えています。
○山本博司君 海の瓦れきの問題は、海底とか海中の問題とか、あと漁場の海域のへりがどうなんだとか、様々この瓦れき処理だけでも国交省、農水省、厚労省、環境省、それぞれ窓口がばらばらでございますので、この瓦れき処理に三年掛かると言われております。大変今の体制ですとすき間が出てくるのではないかという心配がありますので、しっかりお願いをしたいと思います。
 今日お聞きした瓦れきの様々な問題、これ以外にも、作業員の地域の雇用の確保の問題とか、瓦れきのリサイクル率を高める対応であるとか、さらには先ほど佐藤委員からもございました放射性廃棄物の対策、様々な課題がございます。大臣、是非きめ細やかな対応をしていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。では大臣。
○国務大臣(松本龍君) この問題、今御指摘のとおり、国交省、農林省そして環境省、もうとにかく縄張というのが全部、県とか市町村とか、そういう縦割りの行政がありますので、もう最初から指示をしまして、ぶつかったときに初めてすき間がなくなるということがあって、官公物の問題、応急復旧の問題も絡めてすき間のないように対応していきたいというふうに思っておりますので、またよろしくお願いをしたいと思います。
 ありがとうございます。
○山本博司君 次に、離島の被災状況に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。
 今皆様のお手元の資料に、宮城県の離島の被災状況ということで資料を配付させていただいております。宮城県には、気仙沼の大島から女川町の出島、また石巻市、また塩竈市の浦戸諸島という形でございまして、裏面にはそれぞれ各島でのやはり被災がございます。
 先日、全国離島振興協議会から宮城県の被災状況をお聞きをいたしました。そこでの要望としては、インフラの整備とか生活物資の供給とか仮設住宅の整備などとともに、一番すぐに対応していただく課題としてフェリー航路の運航再開、これを求めておられました。まず、この離島航路の被災状況をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(小泉俊明君) ただいま山本委員御指摘いただきましたように、この東北地方太平洋沿岸には宮城県内に九つの離島が存在し、今回大変大きな被害を受けたところであります。
 まず、人的被害につきましては、宮城県最大の離島であります気仙沼市の大島で行方不明、死者が約三十名に上るなど、宮城県の離島全体で約六十名の死者、不明者が報告をされているところであります。
 また、先生御指摘いただきましたように、離島の島民の生命線であります離島航路につきましては、港の被害、船の沈没等により震災直後は全ての航路で運航ができなくなり、離島は孤立状態に陥ったわけであります。その後の復旧によりまして、島民全体が本土に避難をしております一航路を除き、暫定的な運航を再開しているところであります。
 ただ、一方で、女川町の出島、江島ではいまだに全島民が本土に避難している状況であることや、港や水道等の復旧に遅れが生じていることなど、引き続き被災地の離島は大変厳しい状況にあるため、現地の状況や要望を十分に把握しながら、早期の復旧復興に対して必要な支援を行っていくことが重要と認識しております。
○山本博司君 今御指摘ありました女川町の出島、五百四十九人の島、今全て本土側に避難をしております。実際、このフェリーは、シーパル女川汽船の「しまなぎ」という船が一日七便動いておりまして、この船自体は被害がないために、応急的でも船着場ができればそういう対応ができるというふうなこともございます。今回の法案では港湾施設の補助率の十分の九の引上げであるとか様々な対応がされておりますけれども、こうした非常に条件不利地域の離島に対して更にしっかりした対応をお願いをしたいと思う次第でございます。
 そういう中で、この離島航路の運航費の補助に関して特段の配慮をお願いしたいという要望も承ってまいりました。公明党の東日本大震災の対策本部としても、先日の政府の実務者会議におきましても、期限を区切った形での被災者の離島航路運賃の補助について要望いたしました。離島にとっては大変このフェリー航路、最低限の生活インフラでございます。この運賃補助に関して何らかの対応が求められないかどうか、この点お願いをしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(福本啓二君) 離島航路の運賃補助についてお答え申し上げます。
 今回の震災で被災しました離島航路四航路のうち、先ほども御説明ありましたが、島民が本土側に避難している一航路を除く三航路については既に暫定復旧的な運航を再開しているとともに、再開時には二航路において一定期間、被災者のために運賃無料での運航を行ってきたところであります。
 他方、これらの離島航路の多くは運航赤字が生じておりまして、これまで国等による欠損補助を受けて航路維持がなされておりまして、航路事業者にとっては収入確保というのも航路維持のために重要という側面もございます。
 離島航路の支援につきましては、今年度予算におきまして地域公共交通確保維持改善事業という新しい支援制度をつくりまして、赤字航路への運航費支援に加えまして、島民運賃について他の地域の公共交通機関並みの水準への運賃の引下げについてもすることができるという新しい制度を盛り込んでおりますけれども、今回の被災地域に関するものにつきましては、今後、地元自治体の意向も聞きながら、当該地域の復興復旧の取組の中でどのような方策が可能か、被災されている離島の住民の方のお立場も十分踏まえまして検討していきたいと思っています。
 以上でございます。
○委員長(ツルネンマルテイ君) 山本博司君、時間が過ぎていますから質疑をおまとめください。
○山本博司君 大臣、この点に関しまして、離島の方々の条件の不利な地域に対する対応ということを是非ともお願いをしたいと思います。
 最後に大臣に、この法律を実効性たらしめるために具体的に大臣の決意を最後にお聞きしたいと思います。