参議院 災害対策特別委員会 第6号 平成27年6月19日
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、活動火山対策特別措置法改正案の質疑ということで、法案の内容と、これに関連して口永良部島の噴火状況に関してお伺いをしたいと思います。
五月二十九日に噴火が起きた直後、我が党では直ちに対策本部を設置をし、秋野参議院議員を始め国会議員が屋久島に訪問して避難住民の要望などを受け止め、六月二日には、首相官邸で菅官房長官に対し緊急要望を行った次第でございます。
そこで、本日は、お聞きしてきた避難住民の方々の要望に関しましてお伺いをしたいと思います。
まず、気象庁から現在の噴火の状況についてお聞きをしたいと思います。
噴火から既に三週間が経過をし、今月に入ってからも火山性地震が観測されておりましたけれども、昨日再び噴火をいたしました。正午過ぎと午後四時半頃、二回の噴火ということでございますけれども、広い範囲での噴石もあったようでございます。最新の火山活動の状況を報告いただきたいと思います。
○政府参考人(西出則武君) 口永良部島では、五月二十九日九時五十九分に爆発的噴火が発生しました。この噴火に際して、気象庁は、同日十時七分に噴火警戒レベル五、避難の噴火警報を発表いたしました。この噴火は、昨年八月三日の噴火を超える規模と考えられます。また、今回の噴火は、火山灰に新しいマグマと考えられる溶岩片が含まれることから、マグマ水蒸気噴火であったと考えられております。
六月十五日に開催された火山噴火予知連絡会では、「口永良部島の火山活動は活発な状態が継続しています。今後も五月二十九日と同程度の噴火が発生する可能性があります。」との評価を行っております。引き続き厳重な警戒が必要です。
そのような中で、今御紹介ありましたように、昨日十八日の十二時十七分頃、そして十六時三十一分頃、最新の情報でいいますと、本日九時四十三分頃にも噴火が発生しており、引き続き火山活動が高まった状態が継続しております。
なお、このような状況については、気象庁の火山活動及び気象の資料といたしまして、屋久島に駐在している職員が毎日住民向けに屋久島町経由で避難所に提供しているところでございます。
気象庁では、今後の火山活動の推移を把握するとともに、引き続き注意深く監視を行い、地元自治体と連携して、適時に住民に対ししっかりと説明を行ってまいります。
○山本博司君 今ありましたように、やはり活発な形での火山活動が続いております。一時帰島にも影響しますので、しっかり観測を続けていただきたいと思います。
次に、島民への情報提供体制ということでお聞きをしたいと思います。
今ありましたとおり、火山の活動状況からは長期化の可能性があるということで、親戚や縁故を頼って既に屋久島を離れて、中には大阪まで避難されている人もいるということでございますけれども、こうした中で、島民の皆様への情報提供、これは大変重要になるかと思います。一人一人の島民の方々がどこに住まわれているのか、このことを把握されているのか、また相談窓口に関して設置をされているということですけれども、その上で、生活情報とか一時帰島情報とか、そういう避難している島民に十分に提供されているのかどうか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
口永良部島の島民八十六世帯は、現在、屋久島に開設された三つの避難所、それから島内外の知人、親戚宅のほか、町営住宅で避難生活を送っておられます。
屋久島町では、各避難所に二人から四名の町の職員を常駐させ、要望や相談への対応、情報提供に努めております。また、避難所以外に身を寄せられている住民の方々につきましても連絡先を把握しておりまして、電話、文書等で情報提供を行っているところでございます。情報提供の内容といたしましては、例えば、当面の住まいの選択の一助となるよう、町が確保した公的住宅、民間賃貸住宅の場所、間取りなどの情報提供をきめ細かく行っております。
また、一時帰島につきましても、六月十二日に行われた町職員、消防団員等による一時帰島により、フェリーが着岸できること、島内道路に損傷がないことを確認したということをお知らせしております。ただ、これ、昨日また噴火しましたので、もう一度確認しなきゃいけないという状況にございます。
それから、噴火の状況につきましても、先ほど気象庁長官からお話がございましたように、説明会を行っているという状況でございます。
内閣府といたしましても、引き続き、このような町の取組を支援してまいりたいと考えております。
○山本博司君 丁寧に一人一人に対して情報を提供していただきたいと思います。
次に、住まいの確保ということでお伺いをします。
安倍総理は、六月十三日に住民が避難している屋久島を訪問されまして、町のきずなを大切にしたい方々の要望に応えるためにも仮設住宅の整備を急ぐと、こういう考えを表明したわけでございます。屋久島の中で確保した町内住宅三十戸と合わせまして、長期化が懸念される避難生活の中で、一刻も早くプライベートを守れる安定した住まい、この確保が求められているわけでございます。
この仮設住宅の設置状況、今どのようになっているのか、また、いつから入居ができるのか、今後の見通しに関して報告いただきたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
口永良部島からの避難されている方、全体で八十六世帯百三十七名でございます。そのうち、親類宅等に身を寄せられておられて公的な住宅支援が必要でないという方が二十八世帯三十二名おられます。残り五十八世帯百五名の方が住宅を提供する必要がございますけれども、公的住宅に二十一世帯三十二人の入居が予定されておりまして、既に七世帯十一人は入居済みとなってございます。また、民間の借り上げ住宅に十世帯二十六人の方が入居を予定しておられます。
したがいまして、残り二十七世帯につきまして建設型の仮設住宅を建設するということでございますけれども、設置場所は既に確定をしておりまして、世帯数に応じた間取りもおおむね決まっているということでございます。現在、現地の気候状況は、特に台風が襲来するとか大変多くの雨が降るというようなことがございまして、基礎部分あるいは屋根の強化等につきます屋久島特有の仕様につきまして町と県で調整を行っているというふうに伺っております。
その調整が済み次第、速やかに着工する予定でございますが、天候次第という面もございますけれども、現状としては七月末までの竣工、八月上旬の入居を目指しているというふうに聞いております。
○山本博司君 これから台風シーズンも来るわけでございますので、しっかりこの七月末というスケジュールの中で推進をお願いをしたいと思います。また、丁寧に、こうした入居に関しましては島民の皆様の希望に沿う形で進めていただきたいと思います。
次の質問でございますけれども、生活物資、これも全くない状態から、今これから用意をされるということで、きめ細やかな対応が必要でございます。東日本大震災のときには、海外からの義援金を活用しまして、日赤からテレビとか冷蔵庫とか生活家電六点セット、これが寄贈されました。財源等の問題があるかも分かりませんけれども、こうした過去の事例を参考にしながら対応をして、家電等の生活物資の提供に関して進めていただきたいと思います。その点に関して確認をしたいと思います。
そして、義援金の配分等に関しましても速やかな対応が必要でありますので、現時点の対応状況、これがどうなっているか、二点確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
家電製品につきましては、現在建設予定の応急仮設住宅各戸には附帯設備としてエアコンを設置する予定となってございます。そのほか、企業、団体等から寄附といたしまして、炊飯器五十台、洗濯機十八台、冷蔵庫三十台等の寄附を頂戴するというふうに伺ってございます。ただ、まだ数が足りませんので、引き続き家電製品等の寄附のお願いをするとともに、それでも不足する部分につきましては、町の方で確保することにしているというふうに伺っておるところでございます。
なお、義援金につきましては、内閣府といたしましても、過去の災害の配分方法等のノウハウの情報提供に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○山本博司君 やはり生活の支援ということでは大変大事でございますので、きめ細やかな対応ということも是非考えていただきたいと思います。
さらに、避難指示に基づいた避難である以上、被災者生活再建支援法の適用について柔軟に対応すること、これが必要ではないかなと思います。この支援法に関しましては、一定の住宅、全壊被害が適用の前提となりますので、現時点では被害が少ないと見られることから、今回対象外の可能性が多いのではないかと、こういう意見もございます。
しかし、過去に発生しました火山災害に関しまして、北海道有珠山とか、また三宅島での長期避難世帯でも適用されたということでございますので、こうした事例を参考にしながら、被災者の支援という、こういう制度の趣旨に照らして対応していただきたいんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
被災者生活再建支援制度でございますけれども、今委員御指摘のとおり、まずそもそも制度の対象となる自然災害はどのようなものか、それから、その上で、制度の対象となる被災世帯はどうかという二段の段階になってございます。
制度の対象となる自然災害につきましては、十世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村というふうになっておりまして、まだ現在は現地に入って調査できない状況でございますし、今後長引く可能性もございますので、そういったものを踏まえまして対象ということを検討してまいりたいというふうに思っております。
なお、その上で、被災世帯の対象といたしましては、災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯というものが対象となるというものでございます。適切に運用してまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非、この点に関しては検討していただきたいと思います。
次に、一時帰島ということで伺いたいと思います。
長期化をするということで、島内の防犯・防災対策であるとか、また貴重品の持ち出しとか、また腐食を防ぐために自動車とか機械設備、これを島外に搬出するということも島民の方々の要望というふうに聞いております。しかし、噴火を警戒しながらも、定期的な一時帰島、このことに関しては必要だと思っておりますけれども、六月十二日には、定期的に実施できるような実施大綱を決めて一時帰島を開始しようとした直後に今回の噴火でございまして、荒木町長からは、当面は一時帰島を見直さざるを得ないんではないかと、こういう考え方も示しておりますけれども、大臣、国としてしっかりとした支援体制をもってこの一時帰島を進めるべきだと思いますけれども、見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 避難されている口永良部島の方々は、避難生活の長期化を覚悟しつつ、生活用品、自動車の持ち出し、事業の継続などのため、一時帰島を強く望んでおられています。そのため、屋久島町では、先ほど日原統括官の方からも説明ありましたが、一時帰島を安全に実施するための手続実施基準を定めるとともに、先週十二日には本村港、島内道路の点検を行い、町営フェリーが着岸できることを確認いたしましたが、昨日、そして本日も噴火が確認されたということで、また調査をし直すということになります。
このような調査が終わった後は、町において、一般住民の一時帰島に向けて、それぞれの島民の要望、上陸等の活動計画の取りまとめ、一時帰島の計画策定が進められることとなりますけれども、一時帰島が実施される際には、これまでと同様に、気象庁による火山監視、海上保安庁巡視船による支援など、政府総力を挙げて支援を行ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非一時帰島が実現できるように、今のこの安全ということも考えながら推進をしていただきたいと思います。
次に、法案の内容に関してお聞きしたいと思います。
今回の噴火で注目すべきなのは、この屋久島町の噴火に備えた取組でもございます。人的被害が最小限で済みましたのも、新岳が昨年の八月に三十四年ぶりに噴火してから観測が強化をされ、避難訓練を行うなど、地元の人たちにも十分に浸透していたからでございます。具体的な避難計画が既に策定されておりまして、ハザードマップなどの具体的な整備をしていれば、たとえ噴火が発生しても被害が最小限に抑えられるということができたのではないかと思います。
それぞれの警戒が必要な火山の地域で早期の避難計画、策定すべきと考えますけれども、今国会で今審議されているこの改正案の中では、この点どのように規定をしているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) 火山災害は、一たび噴火が発生すれば短時間で広範囲にわたる地域の住民や登山者が避難する必要があり、あらかじめ具体的な避難計画を策定することが大変重要でございます。このため、今回の改正案におきましては、火山の特性に応じた具体的な避難計画について、専門的な知見を有する者が一堂に会する火山防災協議会の意見聴取を経て、これを各地域防災計画に位置付けることを義務付け、この策定を強力に推進することとしております。
具体的な避難計画といたしましては、まず市町村の地域防災計画におきましては、具体的な避難場所や避難経路、噴火時等におきます情報の伝達ルート、市町村長が行う立ち退きの準備などの避難のための措置に関する通報及び警告などを定めなければならないこととしております。
また、都道府県の地域防災計画におきましては、これらの情報の伝達ルートのほかに、避難に関する広域的調整、あるいは市町村が具体的な避難場所や避難経路を定める際の基準となるべき事項を定めなければならないというふうになってございます。具体的には、噴火警戒レベルに沿った適切なものとなるようなことを定めることを想定しているところでございます。
○山本博司君 今回の改正で策定が義務化されました避難計画、これまでなかなか進まなかった理由ということを確認をしたいと思います。
これまでの監視観測体制の中で充実が必要な四十七火山における取組状況、これを見てまいりますと、現在では御嶽山噴火後の対応で火山防災協議会、これは全て設置済みになっておりますけれども、具体的な避難計画の策定は八割以上で未整備になっております。今回の報告書を踏まえまして改正案は提案されたと理解をしておりますけれども、この避難計画の策定、各地方自治体が進めていくためにも国のバックアップ、これが必要だと思いますけれども、国はどのような支援をするのか、報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
火山災害は、ほかの災害と比べまして発生頻度が低いために市町村になかなかノウハウがたまってこない、それからまた、専門的知見を取り入れながら様々な関係者が連携して検討することが必要であるということもありまして、なかなか避難計画の策定まで進んでいなかったのは委員の御指摘のとおりでございます。このため、今回の改正法案におきましては、火山の特性に応じて、想定される噴火シナリオや噴火による影響範囲を想定した上で、これに対応した具体的な避難計画を地域防災計画に位置付けることを義務付けるということでございます。
そのために、具体的な避難計画の策定が進むよう、気象台や砂防部局といった国の関係機関、あるいは火山の専門家の方に火山防災協議会に参画していただきまして、地方公共団体とともに警戒避難体制の整備について検討してまいりたいというふうに考えております。その際、不足が指摘される火山専門家につきましては、内閣府におきまして、各火山防災協議会からのニーズの把握、必要な調整などを行うなどの支援をしてまいりたいと考えております。
また、加えまして、火山防災協議会等連絡・連携会議というものを今内閣府の方で実際上動かしておりますけれども、こういったものを活用しながら、先進的な事例の紹介、あるいは共通の課題を抱える協議会の間での意見交換、小規模自治体に対する助言等につきまして行うようなことを通じまして、全体的な取組の底上げを図ってまいりたいというふうに思っております。
また、避難計画の作成に際しまして、検討、協議を行う場合の火山防災協議会への財政支援につきまして多くの自治体から御要望をいただいておりますので、今後よく検討してまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 火山研究体制ということでお聞きをしたいと思います。
今後の火山防災対策の推進に向けまして一番の課題は、火山の対策を担う現職の専門家の圧倒的な不足でございます。大学での火山の研究、観測をしている研究者は四十人程度と言われておりますけれども、火山専門家の体制の強化につきましては、今回の法案では第三十条に明記をされておりますけれども、努力規定にとどまっております。
海外の国には大規模な国立の火山研究所があり、学んだ成果を生かす場所もございます。専門家からは、地震には文部科学省に調査研究推進本部があり、研究費が付いて、研究体制が確立しておりますけれども、火山にはその推進体制がないと、こういう指摘もございまして、我が国にも国立の研究機関を求めるこういう声が大変強いことがうかがえます。この法改正を機に、火山研究体制の強化と、また育成ということに関して努力をするべきだと思いますけれども、大臣に見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 火山専門家の育成、確保につきましては、中央防災会議火山防災対策推進ワーキンググループ最終報告を受けまして、今後、具体的に火山に関するプロジェクト研究や海外研究者との交流の促進、火山活動の監視を行う職員への研修の充実などについて関係省庁と連携して取り組んでまいります。また、監視観測、調査研究を実施している複数の関係機関同士の連携を図りまして、より一体的に火山研究体制の強化を推進するための方策について、今後、内閣府において関係省庁や有識者から成る火山防災対策推進検討会議を設置しまして、具体的な方策の検討を継続していく予定であります。
委員御指摘のとおり、火山防災対策を進めるに当たりましては火山専門家の知見は不可欠でありまして、次世代を担う若手研究者の育成を含め、関係省庁と連携しまして、急務である火山専門家の育成、確保に取り組んでまいりたいと考えます。
○山本博司君 是非、この点は大事な点でございますので、国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
最後に、今回の改正案の中で、登山者への啓発ということが大事でございます。この点、ジオパークだとかビジターセンター、こういうことも含めて啓発が必要だと思いますけれども、最後にこの点に関して確認をしたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
今回の御嶽山の噴火災害におきましては、登山者も含めた警戒避難体制の整備というのは大変重要であるということが認識されました。そのために様々な法律改正を行っていますけれども、具体的な伝達の方法といたしましては、特に法改正の趣旨、あるいは活火山に登山する際に心得るべき点、あるいは登山に際し備えるべき事項などにつきまして広く周知、啓発することが重要であると考えています。
具体的に、今後、火山のリスクや噴火警戒レベルの解説、登山に必要な装備などをまとめた登山者向けのパンフレットの作成、配布でありますとか、内閣府のホームページへの掲載、政府広報の実施といった取組を行ってまいりたいと思っています。また、地方公共団体、山岳協会、旅行会社、交通事業者など様々な関係者とも連携して、多様なツールによる周知を行ってまいりたいと思っております。
また、ジオパークというものが既に各地にございます。地層や岩石、地形、火山、断層などの地球活動の遺産を主な見どころにするということでございますけれども、その中で、教育プログラムとかガイドとか、そういったことが行われております。そういった活用を行っていきたいというふうに思っております。今回の、先ほど大臣からお話ししましたワーキンググループの報告におきましても、火山について学びながら観光できるジオパークは、旅行者が火山について学ぶ良い機会を与えられるというふうにされているところでございます。そういった点におきまして活用を図ってまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 以上で終わります。ありがとうございました。