参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号

○山本博司君 是非ともこれは早い段階での決定という形でお願いしたいと思います。
 次に、被災者生活再建支援制度の対象範囲に関しましてお聞きをしたいと思います。
 この制度の対象といいますのは、十世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等と、こういう規定がございます。そうしますと、小谷村では全壊は四棟でございますので、この規定に基づきますと対象にならないのではないかと、こういう不安が上がっております。また、大町市にも同様の声が上がっておりますけれども、こうした全ての被災区域、これが対象となるように御検討をいただきたいと思いますけれども、認識を伺いたいと思います。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 被災者生活再建支援制度につきましては、委員御指摘のとおり、一定の規模以上の災害につきまして、国と全都道府県の共同の出資というんでしょうか、それに基づく支援を行っているところでございますけれども、それ以外、それに満たないような災害につきましては被災地方公共団体において対応するということが可能でありまして、それを一定の前提としているということでございます。
 したがいまして、災害が発生した場合、支援法の適用となる被害を受けた地方公共団体に対しては迅速な適用手続を、またそれに満たない自治体に対しましては支援措置を検討していただくように働きかけを行っているところでございます。
 なお、支援法の適用対象となる災害と同一の災害で同法の対象とならない被災地域、要するに同じ災害で規模の小さいという意味ですけれども、その地域につきましては、都道府県が自主的に災害支援法と同等の支援金等を支給した場合には特別交付税によりまして二分の一の助成を行うという仕組みがございますので、そういった点の周知も行いつつ、県の方の支援を要請しているという状況にございます。
○山本博司君 ともかくきめ細かなこうした全市町村の対応ということをお願いをしたいと思います。
 それから、これからの降雪に向けて、雪が大変厳しい状況の中で早急に改善をしていかないといけないというのは住まいの確保でございます。現在、今避難所で活用されている体育館とかこういう施設では、プライバシーがなかなか保たれないとか寒さに対応できないとか、こういう声が寄せられておりまして、被災者の方々の負担というのは大きいと思います。健康面を考えますと、民宿等の宿泊施設を利用するとか、またそうした点の対応ということが大事だと思っております。
 また、スキー場が数多く立地する豪雪地帯でございますので、普通のプレハブの仮設住宅、これも雪の重みに耐えられないようなそういう施設であってはいけないということもございます。
 さらに、全壊とか半壊に至っていない、そういう家屋の場合でも、余震が今現状続いておりまして、雪が降り積もる中においても普通に生活するのは困難だと、こういうふうな方々もいらっしゃると思います。
 そういう意味で、災害救助法の適用の制約ということはあるかも分かりませんけれども、今現実的に直面する被災者の方々の住まいの確保、これは柔軟に対応していただきたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(日原洋文君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、被災された方々ができる限り良好な生活環境の下で安心して生活できるようにしていくことは大変重要だというふうに考えております。日々寒さが増していく中で避難が長期化する方々に対して、二次的な避難先として周辺のホテル、旅館、民宿等の空き室を活用し、それらに移っていただくことも可能でありますし、また、住家が半壊で、自らの資力では応急修理できない方に対しましては、災害救助法に基づきます応急修理、あるいは、住家が全壊等により居住する住家がない方で、自らの資力では住宅を得ることができない方に対しましては、同法に基づく応急仮設住宅の提供ということもございます。
 現在、長野県を始め被災自治体におきまして、これらの災害救助法に基づく救助のほか、公営住宅の提供なども含めまして住まいの確保に向けた準備、検討が進められておりますので、県からの相談に応じているところでございます。
 いずれにいたしましても、被災自治体のお話をよく伺いながら、被災自治体が被災者のニーズを踏まえた避難所や仮の住まいの提供ができるように、国としてもしっかり支援してまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非ともこの点は力強くお願いをしたいと思います。
 次に、大臣にお伺いをしたいと思います。
 これから県や市町村が実施をします被災家屋の修繕であるとか、また倒壊建物の除去に対する支援、また被災者の生活再建に向けた支援、これに関しましては、国として当然、財政措置を含めた支援措置の拡充、これが求められていると思います。政府におかれましては、こうした財政措置のみならず、河川や道路、また農地の整備、こういったことに関しましても早期復旧に向けたやはり様々な支援というのが、私は対応していただきたいと思います。
 大臣から、この被災地の速やかな復興に向けた支援の決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 速やかな復興に向けた住宅・生活支援、また様々な支援、大事だというふうに考えております。
 今般の長野県の地震について、総理、現地を視察なされまして、長野県知事や地元の市町村長から、被災した社会基盤の早期復旧、二次災害防止対策の推進、被災地域の住宅・生活再建、スキー場など観光の風評被害防止対策等について御要望をいただきました。私のところにも長野県知事などから同様の御要望があったところでございまして、関係省庁と連携しながら被災地の迅速な復旧を図り、被災者の方々が一日も早く日常生活に、安心な生活に戻れるようにできる限りの対応をしてまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも大臣、お願いをしたいと思います。
 次に、観光業への影響についてお伺いをしたいと思います。
 これから被災地域、スキーシーズンを迎えるわけでございまして、地域によって道路が一部寸断されて、特急「あずさ」は南小谷まで乗り入れができない、こういう状況もあるというふうに伺っております。こうした整備を進めて動線を確保していくということとともに、観光立県のやはり長野県が風評被害をできるだけ軽減するような支援、これが必要でございます。
 また、白馬周辺のスキー場では、オーストラリアなど海外から大変評判が良く、訪れていらっしゃいます。今、円安が進み、インバウンドの増加に伴いまして、今年の冬への期待、これは一段と高まっているわけでございます。そうした際の地震でございます。スキー場等はもう施設は無事であるということでございますから、多くの方々にこうした風評被害、遭うことのないような情報発信、的確な情報発信をしていただきたいと思います。特に、世界からたくさんの観光客の方々が見えられますから、在外公館とかJNTOを通じましてそうした情報発信をしていただきたいと思います。
 今日は観光庁来ていらっしゃいますので、その対応に関してお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(久保成人君) 委員御指摘のとおり、白馬村、小谷村などのスキー場におきましては、リフトを始め特に被害はないと長野県からも私ども確認をしております。その点で、観光面での風評被害を防止するためには何よりも正確な情報の提供に万全を期すことが重要だと考えております。
 私ども観光庁におきましては、国内の旅行業者、またJNTOに対しまして、地震の被害に関する正確な情報発信を行うことについて周知徹底を行っております。国内向けには、長野県が行っております現地に関する正確な情報発信と連携しまして、私ども観光庁のホームページにおきましても現地に関する正確な情報発信を行っています。また、JNTOにおきましても、長野県と調整の上、英語版ウエブサイトによる情報発信を開始するとともに、御指摘のとおり、多くのオーストラリア人観光客が白馬、小谷を訪れている状況に鑑みまして、JNTOのシドニー事務所からオーストラリアの旅行会社に対しましても直接情報発信を行いました。
 今後とも、国内外の観光客に対して、特にスキー場の状況を正確に情報発信することにより、風評被害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非ともお願いしたいと思います。
 次に、断層との関係についてお聞きしたいと思います。
 今回の地震に関しまして、震源地近くでは活断層がずれて動いてできたと見られる段差、最大一メートル近くに達しているということが確認されております。今続いている余震の状況から、今回の地震と神城断層との関係についてどのように見ているのか、二十三日に政府の地震調査委員会が検討を行ったということでございますので、まず報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(磯谷桂介君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の、今月二十三日に臨時の地震調査研究推進本部地震調査委員会を開催いたしまして、今回の地震の評価をいたしました。その結果といたしまして、震源域付近には糸魚川—静岡構造線活断層系の一部である神城断層が存在している、今回の地震は神城断層の一部の活動による可能性が高いが、詳細は今後の調査観測結果等を踏まえ更に検討を行う必要があるとされております。
○山本博司君 断層が動いたということであれば、他の断層への影響もあるというふうに考えられるわけでございます。この神城断層に関しましては、糸魚川—静岡構造線断層の北部にある活断層ということで、地震調査委員会によりますと、この断層帯のうちの中部にある松本市の周辺の牛伏寺断層を含む地域では今後三十年以内にマグニチュード八程度の地震が起きる確率が一四%と、こういうふうな形で非常に高くなっております。こうした他の断層に対して影響があるかどうか、これを確かめるためにも、この調査観測体制の強化、これは大変必要であると思います。
 大臣に最後にお聞きしますけれども、やはり命を守るという観点、この調査観測体制の強化、このことに関して最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山谷えり子君) 調査観測体制の強化についてでありますが、阪神・淡路大震災を契機として政府に設置された地震調査研究推進本部の下、地震に関する調査観測、研究を関係機関が連携して一元的かつ効果的に推進することとしておりまして、引き続き、同本部が策定しました地震に関する総合的な調査観測計画に基づいて、調査観測体制の強化を進めることとしております。
 また、防災に関する調査研究においては、防災対策のニーズと調査研究とのマッチングがなされていない等の課題もあります。中央防災会議に防災関連調査研究の戦略的推進ワーキンググループを設置することとしており、これにより防災対策に関する調査研究を効率的、効果的かつ戦略的に推進していくこととしております。
 いずれにせよ、委員お述べになられました活断層で発生する地震、局地的に甚大な被害が生じる可能性や、いつ発生するか分からないことから、調査研究、観測体制の強化が重要でありまして、関係機関が連携した地震防災対策の推進に努めてまいります。
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。