参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 平成30年8月2日

○山本博司君 是非とも検証していただきながら、こうした災害弱者への避難対策、十分に対応していただきたいと思います。
 次に、災害廃棄物等の処理について伺いたいと思います。
 今回の豪雨災害におきまして、土砂崩れや河川の決壊が頻発したために、民家の敷地内に土砂が大量に流入して、災害廃棄物などが膨大に発生をしております。
 この民有地内の堆積した土砂等の撤去につきましては、災害救助法や堆積土砂排除事業等で対応できる部分もございますけれども、国交省や環境省などに分かれて対象が一部に限定されていることから、地方自治体では積極的に対応できていない部分がございました。そこで、自治体からは、この対象要件を緩和をして全ての撤去費用を補助対象にしてほしいと、こういう要望も伺っております。
 また、今回、災害で民家に流入しました瓦れきを個人で撤去した場合の費用につきましては、これまで自己負担でとされておりました部分を全額事後精算に応じる方針を政府は示しておりますけれども、その実施要綱は明らかではなく、市町村の対応がまちまちの実情でもございます。
 こうした要望を踏まえて、包括的な国庫補助制度の整備や制度の周知、対応の徹底を図る必要があると思いますけれども、この点、いかがでしょうか、認識を伺います。
○大臣政務官(武部新君) 環境省では、災害廃棄物の迅速な処理に向けて、関係省庁とも連携して対応しているところでございますが、今、山本委員からお話のございましたとおり、各被災市町村で、土砂、流木は国交省の補助、それから瓦れき、それから土砂に含まれた瓦れきについては環境省の補助ということで、どちらを使ったらいいんだというふうに混乱をされているところもあるかと思いますが、まずは市町村におかれましては処理をしていただきまして、その一括撤去していただいた費用を事後的に、環境省でやるか、国交省でやるか、あるいは合わせてやるかということを仕分けしていただいて精算可能とすることで、これまで以上に迅速に処理が進むものと期待しております。
 また、今、周知徹底が必要だというお話ございましたけれども、災害廃棄物処理の補助制度につきまして、被災市町村を対象とした説明会の開催等をやっております。類似の他省の補助制度も含めて、被災市町村の疑問の解消に努めてまいりたいと思います。
 いずれにしましても、環境省としては、引き続き関係省と連携しながら、現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用して、災害廃棄物の円滑、迅速な処理に向けて努力してまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも市町村に対してきめ細やかな支援をお願いをしたいと思います。
 発災からおよそ一か月が経過をいたしまして、今後の生活再建の柱となるのが住まいの確保でございます。
 現在、避難所で活用されております体育館などの施設では、プライバシーが保たれない、また暑さに対応ができないなどといった声も寄せられておりまして、被災者の負担が大きいと思います。特に、被災者のニーズや高齢被災者が多い点を考慮した住宅の確保が必要となります。被災者の住まいの早期確保のために、応急仮設住宅の建設を始め公営住宅、UR、公務員宿舎や借り上げ民間住宅、空き家等のみなし仮設住宅の必要分を早期に確保することが重要であると思います。安倍総理からは、被災者が応急仮設住宅に入居できる要件、これを緩和をして、自宅半壊も全壊と同様に被災府県の判断で仮設に入居できる方針を明言をされました。
 直面する被災者の住まいの確保というのは、希望に応じて柔軟に対応すべきと考えます。今後どのように進めるつもりなのか、大臣の所見を伺います。
○国務大臣(小此木八郎君) 今回の豪雨災害によりまして避難された方々ができるだけ早く安心して生活できる仮の住まいを確保していくことは、極めて重要であると考えています。
 内閣府においては、発災から間もない七月十七日に、住家被害が全壊の方々に加え、半壊であっても一定条件を満たす場合においては応急仮設住宅の入居を可能とする通知を発出いたしました。現在、住宅の確保に向けてですが、被災府県及び市町村において、被災した方々に対する住宅の意向調査を進めているところであります。被災者の要望を踏まえながら、応急仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の借り上げの受付を開始しているところであります。このほか、公営住宅や国家公務員住宅等による住宅を提供して、住宅の確保に努めております。
 内閣府として、こうした災害救助法の仕組みの活用に加え、被災自治体、関係省庁及び関係団体と緊密な連携を図り、必要な支援に改めて努めてまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも住まいの確保をお願いしたいと思います。
 次に、中小企業への支援について経産省にお伺いをしたいと思います。
 肱川の氾濫などで甚大な被害が出ました愛媛県大洲市を訪問した際に、従業員が約七十名のアパレル企業にお伺いさせていただきました。工場の一階も全て水につかっておりまして、一階にある裁断機やCAD等の機材が浸水によって全く使えない、生地も九百本が全く使えないということで、大変大きな被害が出ておりました。これは、それ以外の広島県でも、例えば自動車整備業の経営者であるとか散髪屋さんとか、もう一階にある機械や機材、これが全て壊れておりますから、今後の事業運営に大変心配されている状況が、たくさんいらっしゃいました。
 企業が再開できれば、雇用が守られ、収入が入ることで、今いる場所での継続的な支援も生活も可能となります。企業が事業を再開できるように、相談窓口の設置や支援メニューの周知徹底ときめ細やかな情報提供の強化を図るとともに、災害復旧貸付けの実施やセーフティーネット保証などこの被災中小企業・小規模事業者への支援、これを強くお願いをしたいと思います。
 また、広島県などの自治体からは、事業者が早期に施設復旧、事業再開できるように、熊本地震で適用されましたグループ補助金と同様の制度適用などの必要な支援が今求められております。こうした要望に応えられるように是非とも取組を進めていただきたいと思いますけれども、経産省の見解を伺います。
○大臣政務官(平木大作君) 経済産業省といたしましては、今回の豪雨によりまして被害を受けました中小企業・小規模事業者の皆様に対しまして、様々な面から今政策を進めさせていただいているところでございます。
 幾つか御紹介させていただきますと、まず、商工会、商工会議所や政府系金融機関などに特別相談窓口を設置をいたしまして、個々の事業者の実情に応じた相談対応をさせていただいております。また、当面の運転資金や被災設備の復旧等のため、日本政府金融公庫等による災害復旧貸付けや、信用保証協会による通常とは別枠で借入額の一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号の適用などの資金繰り支援、さらには、既にある借入金の返済条件の緩和等への対応についての政府系金融機関への配慮要請等をさせていただいたところでございます。
 また、今般の豪雨災害が激甚災害に指定されたことに伴いまして、七月三十一日時点で十一府県百六市町村に所在する被災中小企業・小規模事業者に対しまして、信用保証の拡充や災害復旧貸付けの金利の引下げを追加的に実施をさせていただいているところでございます。
 先ほど委員から具体的に被災の現場に入っていただいて中小企業の様子、つぶさに御紹介をいただいたわけでございますが、中小企業庁といたしましても、長官が筆頭に立ちましてこの災害復旧体制取らせていただいております。現在、次長を含め職員が現地に常駐する形で、被災地のこれまで三百社を超える中小企業あるいは小規模事業者の皆様を訪問させていただいて状況をお伺いしているところでございます。引き続き、中小企業・小規模事業者のニーズに応じたきめ細やかな寄り添い型の支援を行ってまいる決意でございます。
 また、委員の方からグループ補助金等についても今御言及をいただきました。この件に関しましては、総理から、七月二十二日の非常災害対策本部におきまして、被災者のなりわいの復興に向けた対策パッケージを早急に取りまとめるように指示があったところでございます。現在、様々、現地の状況等も踏まえまして検討をさせていただいているわけでございますが、被害の実態しっかりと把握をした上で復旧復興に必要な予算を確保し、きめ細やかなニーズに対応する寄り添い型の支援を行っていく決意でございます。
 グループ補助金につきましては、特に設備の復旧支援への地元からの強い要望があるようなことも承っておりますので、速やかにこの設備復旧などに必要な支援措置、実現できるように関係省庁と連携して取り組んでまいります。
○山本博司君 是非とも中小企業・小規模事業者のためにスピード感を持って対応していただきたいと思います。
 次に、農林水産業の営農再開に関してお聞きをいたします。
 先日、現地を訪問しました愛媛県宇和島市の吉田地区のかんきつ農園地では、七百か所以上が崩落をいたしました。資料がございますけれども、その写真を見ていただければお分かりのとおり、物すごい破壊力で土砂が海にまで流れております。
 三枚目の資料の赤で示されておりますのは土砂災害でございまして、もう無数の数でございます。道路は各所で寸断され、いまだアクセスすらできない園地も多く、南予用水からの命の水を園地に運ぶパイプラインやスプリンクラー等も多数損壊をしております。崩落を免れた園地も、農薬散布やかん水など必要な栽培管理が行えず、病害虫の多発や、さらには今後の天候によって樹体の枯れ死が広がることが懸念をされております。
 このため、営農の継続を図るためにも、道路の応急復旧とパイプライン補修による当面の水の確保、農業機械の補修や確保等を進めて、農家が早急に防除やかん水、樹勢回復のための施肥等が再開できるように、国の強力な支援を要望されております。こうした応急的な対応ができれば、九月にはわせミカンを出荷することができるんですけれども、この収穫したミカンを集積をする選果場も大変大きく被害を受けておりまして、国からの支援が強く求められております。
 吉田地区は愛媛のかんきつ生産発祥の地でございまして、二百年以上にわたり、かんきつとともに生きた地域でございます。担い手の高齢化が進む中で、今回の災害で産地、さらには地域の衰退が進むのではないかと大変強く危惧をされております。こうした地域は広島や岡山等もたくさんございます。
 農水省におきましては、様々な被害状況を早急に調査し、早急に全容を把握するとともに、農林水産業用施設の再建、修繕のための被災事業向けの経営体育成支援事業など営農再開の支援策の徹底を図り、必要に応じた万全な支援策を柔軟に講じていただきたいと思いますけれども、農水省、いかがでしょうか。
○副大臣(谷合正明君) 山本博司委員が何度も現場に訪れていただいておりますかんきつ産地でございますけれども、この産地の多くは傾斜地の多い中山間地域また島嶼部にあります。園地の崩落、またスプリンクラー等の農業用施設の破損、モノレールの破損、集出荷施設への浸水や土砂の流入などの甚大な被害が生じております。
 被災地におきましては、極わせの温州ミカンの収穫が九月上旬に始まることから、崩落を免れた園地におきまして適切な管理、収穫作業が、出荷が行えるよう、道路やかん水や防除を行うための農業用施設、そして収穫物を運搬するためのモノレールや被災した集出荷施設の早急な復旧が求められていると認識をしております。
 また、崩落した園地につきましては、農地、農業用施設の災害復旧事業によりまして復旧を行うなど中長期的な対応が必要であります。その際には、労働力不足、また果樹農業の直面する課題も念頭に入れまして、省力的な管理ができる傾斜の緩い園地づくりも重要と考えております。私自身も、昨日、島嶼部の園地で若手農家からそうした要望もいただきました。
 農林水産省としては、こうした産地の直面する状況に対応しまして、生産者の方々が営農意欲を失うことなく希望を持って産地の再生に取り組めるよう、園地や農業用施設等の迅速な復旧、収穫までに道路が復旧しない場合ドローンによる防除、また、結実するまで長期間を要するという果樹の特性を踏まえて、植付け後、早期に収穫が可能となる苗の生産等の新技術の活用など、技術的な知見の提供を含む幅広い支援を、現場の状況をよくお聞きしながら継続的に行ってまいります。園地復活のため全力を挙げてまいります。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 さらに、ため池の対策についてお伺いします。
 豪雨で広島県福山市の農業用ため池、これが決壊したことによりまして土砂崩れが起こりまして、三歳の女の子が犠牲になりました。瀬戸内海の離島、中島訪問の際にも決壊寸前のため池を視察させていただきまして、このため池の多くは百年以上が経過するなど著しく老朽化しております。
 こうした意味では、この被害を未然に防ぐために、農業用ため池の緊急点検、これを実施をし、そして対応を取っていただきたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○副大臣(谷合正明君) 農林水産省では、今、全ての都道府県で、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のある全てのため池を対象に、八月末を目途に緊急点検を進めているところでございます。
 特に被害が甚大な広島県、岡山県、愛媛県等に対しましては、国及びほかの県の技術系職員を一日当たり約二百人派遣し、点検の加速化を行っているところでございます。問題が発見された場合には、必要に応じて水位低下等の適切な応急措置を実施するように指導しております。
 しっかり災害の未然防止の観点から都道府県等と協力して緊急点検の実施を強力に推進してまいりますし、その点検の結果により、応急措置、また恒久的な対策、これらをしっかりと講じてまいります。
○山本博司君 最後に大臣に、今お話を聞いていただいた上で、やはり地方においても財政的な支援、しっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、決意をお願いしたいと思います。
○委員長(河野義博君) 申合せの時間が参りましたので、答弁簡潔にお願いします。
○国務大臣(小此木八郎君) 今回の災害は非常に大きなものということはもう述べてまいりました。先ほども、例えば激甚災害指定を早期に指定したところであるというお話もいたしました。先ほどまた中小企業庁からも話があったと思いますけれども、中小企業の災害関係保証の特例等、合計十一の措置をその中でも適用しているということでもありますし、また七月二十二日に開催されました非常災害対策本部、この会議において、総理から、被災者の生活再建、なりわいの復興に向けた支援パッケージを取りまとめるよう指示がありまして、各省でこの取りまとめにその力を向けているところであります。
 被災者の生活の再建やなりわいの再建に向けて政府としてできることは速やかに実施していくことが重要であり、財源面の手当てが必要なものについては予備費等を活用をして速やかに対応していくこととしています。その上で、補正予算、こういったことについてでありますけれども、一連の被害の全貌や予算の使用状況等を見極めながら、必要に応じて適切に対応をしていくものと考えております。
○山本博司君 以上です。

○山本博司君 是非とも検証していただきながら、こうした災害弱者への避難対策、十分に対応していただきたいと思います。
 次に、災害廃棄物等の処理について伺いたいと思います。
 今回の豪雨災害におきまして、土砂崩れや河川の決壊が頻発したために、民家の敷地内に土砂が大量に流入して、災害廃棄物などが膨大に発生をしております。
 この民有地内の堆積した土砂等の撤去につきましては、災害救助法や堆積土砂排除事業等で対応できる部分もございますけれども、国交省や環境省などに分かれて対象が一部に限定されていることから、地方自治体では積極的に対応できていない部分がございました。そこで、自治体からは、この対象要件を緩和をして全ての撤去費用を補助対象にしてほしいと、こういう要望も伺っております。
 また、今回、災害で民家に流入しました瓦れきを個人で撤去した場合の費用につきましては、これまで自己負担でとされておりました部分を全額事後精算に応じる方針を政府は示しておりますけれども、その実施要綱は明らかではなく、市町村の対応がまちまちの実情でもございます。
 こうした要望を踏まえて、包括的な国庫補助制度の整備や制度の周知、対応の徹底を図る必要があると思いますけれども、この点、いかがでしょうか、認識を伺います。
○大臣政務官(武部新君) 環境省では、災害廃棄物の迅速な処理に向けて、関係省庁とも連携して対応しているところでございますが、今、山本委員からお話のございましたとおり、各被災市町村で、土砂、流木は国交省の補助、それから瓦れき、それから土砂に含まれた瓦れきについては環境省の補助ということで、どちらを使ったらいいんだというふうに混乱をされているところもあるかと思いますが、まずは市町村におかれましては処理をしていただきまして、その一括撤去していただいた費用を事後的に、環境省でやるか、国交省でやるか、あるいは合わせてやるかということを仕分けしていただいて精算可能とすることで、これまで以上に迅速に処理が進むものと期待しております。
 また、今、周知徹底が必要だというお話ございましたけれども、災害廃棄物処理の補助制度につきまして、被災市町村を対象とした説明会の開催等をやっております。類似の他省の補助制度も含めて、被災市町村の疑問の解消に努めてまいりたいと思います。
 いずれにしましても、環境省としては、引き続き関係省と連携しながら、現在の補助制度を最大限効果的かつ柔軟に活用して、災害廃棄物の円滑、迅速な処理に向けて努力してまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも市町村に対してきめ細やかな支援をお願いをしたいと思います。
 発災からおよそ一か月が経過をいたしまして、今後の生活再建の柱となるのが住まいの確保でございます。
 現在、避難所で活用されております体育館などの施設では、プライバシーが保たれない、また暑さに対応ができないなどといった声も寄せられておりまして、被災者の負担が大きいと思います。特に、被災者のニーズや高齢被災者が多い点を考慮した住宅の確保が必要となります。被災者の住まいの早期確保のために、応急仮設住宅の建設を始め公営住宅、UR、公務員宿舎や借り上げ民間住宅、空き家等のみなし仮設住宅の必要分を早期に確保することが重要であると思います。安倍総理からは、被災者が応急仮設住宅に入居できる要件、これを緩和をして、自宅半壊も全壊と同様に被災府県の判断で仮設に入居できる方針を明言をされました。
 直面する被災者の住まいの確保というのは、希望に応じて柔軟に対応すべきと考えます。今後どのように進めるつもりなのか、大臣の所見を伺います。
○国務大臣(小此木八郎君) 今回の豪雨災害によりまして避難された方々ができるだけ早く安心して生活できる仮の住まいを確保していくことは、極めて重要であると考えています。
 内閣府においては、発災から間もない七月十七日に、住家被害が全壊の方々に加え、半壊であっても一定条件を満たす場合においては応急仮設住宅の入居を可能とする通知を発出いたしました。現在、住宅の確保に向けてですが、被災府県及び市町村において、被災した方々に対する住宅の意向調査を進めているところであります。被災者の要望を踏まえながら、応急仮設住宅の建設や民間賃貸住宅の借り上げの受付を開始しているところであります。このほか、公営住宅や国家公務員住宅等による住宅を提供して、住宅の確保に努めております。
 内閣府として、こうした災害救助法の仕組みの活用に加え、被災自治体、関係省庁及び関係団体と緊密な連携を図り、必要な支援に改めて努めてまいりたいと思います。
○山本博司君 是非とも住まいの確保をお願いしたいと思います。
 次に、中小企業への支援について経産省にお伺いをしたいと思います。
 肱川の氾濫などで甚大な被害が出ました愛媛県大洲市を訪問した際に、従業員が約七十名のアパレル企業にお伺いさせていただきました。工場の一階も全て水につかっておりまして、一階にある裁断機やCAD等の機材が浸水によって全く使えない、生地も九百本が全く使えないということで、大変大きな被害が出ておりました。これは、それ以外の広島県でも、例えば自動車整備業の経営者であるとか散髪屋さんとか、もう一階にある機械や機材、これが全て壊れておりますから、今後の事業運営に大変心配されている状況が、たくさんいらっしゃいました。
 企業が再開できれば、雇用が守られ、収入が入ることで、今いる場所での継続的な支援も生活も可能となります。企業が事業を再開できるように、相談窓口の設置や支援メニューの周知徹底ときめ細やかな情報提供の強化を図るとともに、災害復旧貸付けの実施やセーフティーネット保証などこの被災中小企業・小規模事業者への支援、これを強くお願いをしたいと思います。
 また、広島県などの自治体からは、事業者が早期に施設復旧、事業再開できるように、熊本地震で適用されましたグループ補助金と同様の制度適用などの必要な支援が今求められております。こうした要望に応えられるように是非とも取組を進めていただきたいと思いますけれども、経産省の見解を伺います。
○大臣政務官(平木大作君) 経済産業省といたしましては、今回の豪雨によりまして被害を受けました中小企業・小規模事業者の皆様に対しまして、様々な面から今政策を進めさせていただいているところでございます。
 幾つか御紹介させていただきますと、まず、商工会、商工会議所や政府系金融機関などに特別相談窓口を設置をいたしまして、個々の事業者の実情に応じた相談対応をさせていただいております。また、当面の運転資金や被災設備の復旧等のため、日本政府金融公庫等による災害復旧貸付けや、信用保証協会による通常とは別枠で借入額の一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号の適用などの資金繰り支援、さらには、既にある借入金の返済条件の緩和等への対応についての政府系金融機関への配慮要請等をさせていただいたところでございます。
 また、今般の豪雨災害が激甚災害に指定されたことに伴いまして、七月三十一日時点で十一府県百六市町村に所在する被災中小企業・小規模事業者に対しまして、信用保証の拡充や災害復旧貸付けの金利の引下げを追加的に実施をさせていただいているところでございます。
 先ほど委員から具体的に被災の現場に入っていただいて中小企業の様子、つぶさに御紹介をいただいたわけでございますが、中小企業庁といたしましても、長官が筆頭に立ちましてこの災害復旧体制取らせていただいております。現在、次長を含め職員が現地に常駐する形で、被災地のこれまで三百社を超える中小企業あるいは小規模事業者の皆様を訪問させていただいて状況をお伺いしているところでございます。引き続き、中小企業・小規模事業者のニーズに応じたきめ細やかな寄り添い型の支援を行ってまいる決意でございます。
 また、委員の方からグループ補助金等についても今御言及をいただきました。この件に関しましては、総理から、七月二十二日の非常災害対策本部におきまして、被災者のなりわいの復興に向けた対策パッケージを早急に取りまとめるように指示があったところでございます。現在、様々、現地の状況等も踏まえまして検討をさせていただいているわけでございますが、被害の実態しっかりと把握をした上で復旧復興に必要な予算を確保し、きめ細やかなニーズに対応する寄り添い型の支援を行っていく決意でございます。
 グループ補助金につきましては、特に設備の復旧支援への地元からの強い要望があるようなことも承っておりますので、速やかにこの設備復旧などに必要な支援措置、実現できるように関係省庁と連携して取り組んでまいります。
○山本博司君 是非とも中小企業・小規模事業者のためにスピード感を持って対応していただきたいと思います。
 次に、農林水産業の営農再開に関してお聞きをいたします。
 先日、現地を訪問しました愛媛県宇和島市の吉田地区のかんきつ農園地では、七百か所以上が崩落をいたしました。資料がございますけれども、その写真を見ていただければお分かりのとおり、物すごい破壊力で土砂が海にまで流れております。
 三枚目の資料の赤で示されておりますのは土砂災害でございまして、もう無数の数でございます。道路は各所で寸断され、いまだアクセスすらできない園地も多く、南予用水からの命の水を園地に運ぶパイプラインやスプリンクラー等も多数損壊をしております。崩落を免れた園地も、農薬散布やかん水など必要な栽培管理が行えず、病害虫の多発や、さらには今後の天候によって樹体の枯れ死が広がることが懸念をされております。
 このため、営農の継続を図るためにも、道路の応急復旧とパイプライン補修による当面の水の確保、農業機械の補修や確保等を進めて、農家が早急に防除やかん水、樹勢回復のための施肥等が再開できるように、国の強力な支援を要望されております。こうした応急的な対応ができれば、九月にはわせミカンを出荷することができるんですけれども、この収穫したミカンを集積をする選果場も大変大きく被害を受けておりまして、国からの支援が強く求められております。
 吉田地区は愛媛のかんきつ生産発祥の地でございまして、二百年以上にわたり、かんきつとともに生きた地域でございます。担い手の高齢化が進む中で、今回の災害で産地、さらには地域の衰退が進むのではないかと大変強く危惧をされております。こうした地域は広島や岡山等もたくさんございます。
 農水省におきましては、様々な被害状況を早急に調査し、早急に全容を把握するとともに、農林水産業用施設の再建、修繕のための被災事業向けの経営体育成支援事業など営農再開の支援策の徹底を図り、必要に応じた万全な支援策を柔軟に講じていただきたいと思いますけれども、農水省、いかがでしょうか。
○副大臣(谷合正明君) 山本博司委員が何度も現場に訪れていただいておりますかんきつ産地でございますけれども、この産地の多くは傾斜地の多い中山間地域また島嶼部にあります。園地の崩落、またスプリンクラー等の農業用施設の破損、モノレールの破損、集出荷施設への浸水や土砂の流入などの甚大な被害が生じております。
 被災地におきましては、極わせの温州ミカンの収穫が九月上旬に始まることから、崩落を免れた園地におきまして適切な管理、収穫作業が、出荷が行えるよう、道路やかん水や防除を行うための農業用施設、そして収穫物を運搬するためのモノレールや被災した集出荷施設の早急な復旧が求められていると認識をしております。
 また、崩落した園地につきましては、農地、農業用施設の災害復旧事業によりまして復旧を行うなど中長期的な対応が必要であります。その際には、労働力不足、また果樹農業の直面する課題も念頭に入れまして、省力的な管理ができる傾斜の緩い園地づくりも重要と考えております。私自身も、昨日、島嶼部の園地で若手農家からそうした要望もいただきました。
 農林水産省としては、こうした産地の直面する状況に対応しまして、生産者の方々が営農意欲を失うことなく希望を持って産地の再生に取り組めるよう、園地や農業用施設等の迅速な復旧、収穫までに道路が復旧しない場合ドローンによる防除、また、結実するまで長期間を要するという果樹の特性を踏まえて、植付け後、早期に収穫が可能となる苗の生産等の新技術の活用など、技術的な知見の提供を含む幅広い支援を、現場の状況をよくお聞きしながら継続的に行ってまいります。園地復活のため全力を挙げてまいります。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 さらに、ため池の対策についてお伺いします。
 豪雨で広島県福山市の農業用ため池、これが決壊したことによりまして土砂崩れが起こりまして、三歳の女の子が犠牲になりました。瀬戸内海の離島、中島訪問の際にも決壊寸前のため池を視察させていただきまして、このため池の多くは百年以上が経過するなど著しく老朽化しております。
 こうした意味では、この被害を未然に防ぐために、農業用ため池の緊急点検、これを実施をし、そして対応を取っていただきたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○副大臣(谷合正明君) 農林水産省では、今、全ての都道府県で、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のある全てのため池を対象に、八月末を目途に緊急点検を進めているところでございます。
 特に被害が甚大な広島県、岡山県、愛媛県等に対しましては、国及びほかの県の技術系職員を一日当たり約二百人派遣し、点検の加速化を行っているところでございます。問題が発見された場合には、必要に応じて水位低下等の適切な応急措置を実施するように指導しております。
 しっかり災害の未然防止の観点から都道府県等と協力して緊急点検の実施を強力に推進してまいりますし、その点検の結果により、応急措置、また恒久的な対策、これらをしっかりと講じてまいります。
○山本博司君 最後に大臣に、今お話を聞いていただいた上で、やはり地方においても財政的な支援、しっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、決意をお願いしたいと思います。
○委員長(河野義博君) 申合せの時間が参りましたので、答弁簡潔にお願いします。
○国務大臣(小此木八郎君) 今回の災害は非常に大きなものということはもう述べてまいりました。先ほども、例えば激甚災害指定を早期に指定したところであるというお話もいたしました。先ほどまた中小企業庁からも話があったと思いますけれども、中小企業の災害関係保証の特例等、合計十一の措置をその中でも適用しているということでもありますし、また七月二十二日に開催されました非常災害対策本部、この会議において、総理から、被災者の生活再建、なりわいの復興に向けた支援パッケージを取りまとめるよう指示がありまして、各省でこの取りまとめにその力を向けているところであります。
 被災者の生活の再建やなりわいの再建に向けて政府としてできることは速やかに実施していくことが重要であり、財源面の手当てが必要なものについては予備費等を活用をして速やかに対応していくこととしています。その上で、補正予算、こういったことについてでありますけれども、一連の被害の全貌や予算の使用状況等を見極めながら、必要に応じて適切に対応をしていくものと考えております。
○山本博司君 以上です。