参議院 総務委員会 第16号 令和2年6月2日
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は一般質疑ということで、テレワークの推進とICTインフラの整備の推進に関してお聞きをしたいと思います。
まず、テレワークに関して伺います。
これまで新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組んできた結果、先週の五月二十五日には、緊急事態宣言、全面的に解除されました。その後の新しい生活様式の下におきましても、テレワーク、またローテーション勤務、オンラインでの会議の開催など、働き方の新しいスタイルということで、引き続き蔓延防止対策として推奨されております。
このテレワークの導入につきましては、通勤に伴う負担の軽減であるとか、また育児や介護の両立など、働き方改革にもつながっていくために、このテレワークの流れ、不可避なものでございまして、今後一層の推進が求められているかと思います。これまでの取組状況を検証しながら、今後の改善につながることが重要でございます。
政府の緊急事態宣言に基づくこの外出自粛要請を受けまして、臨時休校や在宅勤務を背景に、家庭の通信需要、一段と高まり、さらに遠隔授業に切り替える大学も多くなって、ネットがつながりにくい状況が懸念をされておりました。今のところ大きな通信障害も発生していないようでございまして、全体の容量にも余裕があるのかもしれませんけれども、今後のテレワークの増加でこうした通信量膨らむことも想定しながら、通信の遅延など生じないような対策を講ずる必要があると思います。
こうした新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの状況についてどのように評価するのか、また、今後ますますテレワークは重要になると思いますけれども、どのような課題があって、どのように対応していくのか、大臣の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 国の行政機関でもテレワークの積極的な導入を図っておりますけれども、地方公共団体を含めた行政全体への一層の普及も課題でございます。
また、都市部と比較して地方部において、また大企業と比較して中小企業において導入が進んでいないという実情もございます。全ての方がアクセスしやすい環境の整備、それからセキュリティーの確保など、今般浮き彫りになりました課題を一つずつ確実に解決をしていくということが重要だと考えております。
総務省では、テレワークマネージャーの大幅な増員による相談体制の拡充、またテレワークのセキュリティー対策の強化、また地方公務員のテレワークの導入経費への特別交付税措置を始めました。こういったことを通じまして、地方や、また地方公共団体や企業によるテレワーク導入の支援を図ってまいります。
非常に多様な人材に活躍をしていただくこと、それぞれのライフステージに応じて多様な働き方をすることの助けにもなりますし、地方創生にとっては大きな鍵になっていくテレワークでございます。感染症発生時、また災害発生時の業務継続にも大きな意義を持つと考えております。
○山本博司君 今大臣からお話があったとおり、一極集中から地方にという大きな流れにもつながってくると思いますし、また、障害者や高齢者、女性といった多様な働き方にもこのテレワーク、大変大事だと思っております。
このテレワークの今後の一層の推進を考える上でとりわけ重要なのが、我が国の雇用の七割を占める中小企業の取組でもございます。もう大企業に比べてなかなか中小企業ではテレワーク進んでおりません。仕事の切り分けの困難性であるとか、労務管理であるとか、またICT環境の整備が不十分、こういったことがありまして、簡単に実施できない事情はあると思いますけれども、進まない状況というのは憂慮すべき実態であり、改善が求められております。
厚労省では、この新型コロナ対策として、新規にテレワークを導入する中小企業を対象にした助成制度を設けているということでございますけれども、こうした関心の高いタイミングに是非ともテレワーク制度が導入できるように、この支援策、しっかり周知徹底に努めていただきながら、環境整備、強力に後押しをしていただきたいと思います。
厚労省の取組状況、伺いたいと思います。
○政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。
テレワークにつきましては、働き方の業務の効率化等に資するものであり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からも政府一丸となってその一層の推進を図っているところでございます。
厚労省といたしましては、適正な労務管理下での良質なテレワークの普及を図るために、テレワークの導入等に要した経費の助成、雇用型テレワークガイドラインの周知啓発、テレワーク相談センターにおける相談支援、テレワーク総合ポータルサイトによる情報提供によりまして様々な支援を行っているところでございます。
また、この新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、新たにテレワークを導入した中小企業事業主への支援のため、本年三月より助成金の特例的なコースを新たに設けました。また、二次補正予算案では助成金による支援を継続するための経費を計上しているところでございます。
こうした助成金の周知等も図りつつ、引き続き、適正な労務管理下での良質なテレワークの普及促進に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
今、こうした中小企業に対して八千件以上の支援が広がっているということも聞いておりますし、これは大変大事でございます。そして、これは厚労省だけでなくて、総務省もしっかり、先ほど大臣からもありましたテレワークマネージャー、相談員増強されたということでございますので、しっかり連携しながら進めていただきたいと思う次第でございます。
そして、今、このテレワークに関しまして、大臣もお話がございました、地方公共団体、まだまだこれが未導入が多いという実態でございます。三%、約五十一団体しか導入されていない。千六百七十団体、いわゆる市区町村におきましては九七%がまだ未導入ということでございます。その大きな原因は何かといいますと、情報セキュリティーの確保に関してが一番多い理由に挙がっておりました。
こうしたテレワークで注意を要するのがセキュリティー対策でございます。在宅勤務や遠隔授業が広まる中で、テレワークの進展の動きに照準を合わせるように、不正サイトに誘導するサイバー攻撃の被害が頻発をしております。急場しのぎで十分に準備が整わないままに導入に踏み切る企業も目立って、こうしたセキュリティー対策の脆弱さをつかれる、こういう事態ともなっております。
今利用者が急増しておりますビデオ会議サービスなどでは、不正侵入や情報流出などのサイバー攻撃、こうした被害も報告をされている次第でございます。利用者の個人情報だけでなくて顧客情報なども盗み取られる可能性もあると言われておりまして、こうしたサイバー攻撃を防ぐためには、通信経路の暗号化であるとか、さらには、ウイルス対策ソフト、これを最新版に更新するなどの事前の準備、これが不可欠でございます。
また、今、緊急事態宣言が解除されまして、順次、テレワークから通常のオフィス勤務、これに戻っているわけでございますけれども、仮に自宅でマルウエア等に感染してしまった端末を企業の中に持ってきて、企業内のネットワークに接続して、その段階でマルウエア感染が拡大してしまうと、こういうこともあるかもしれないわけでございます。
こうした状況を把握するためにも、テレワークで使用するパソコンやソフトの実態調査、これを行うなどサイバー攻撃への対応が急務でございます。国を挙げてこのテレワークのセキュリティーへの対策、強化すべきと考えますけれども、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(竹内芳明君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、テレワークの普及を進めるに当たってはセキュリティーの確保が重要な課題となっております。特に、中小企業においては大企業と比較して導入が進んでいないのが実情でございます。
そのため、総務省では、テレワーク対策の検討の参考となるよう、テレワークセキュリティガイドラインを策定、公表するとともに、企業のテレワーク導入を支援するため、システムやセキュリティーに関する事項をネットや電話により専門家に相談できるテレワークマネージャー事業を実施しております。
さらに、特に中小企業に対する支援の観点から、本年度第一次補正予算により三つの施策を実施いたします。一点目は、テレワークによるセキュリティー対策について、具体的で分かりやすく実践的な内容のチェックリストの策定。二点目は、テレワーク導入におけるセキュリティー対策実施状況等の実態調査。これは約千社の調査を実施する予定でございます。三点目が、テレワーク導入時及び導入後におけるセキュリティー対策の専門的な相談対応でございます。こうした体制、内容両面にわたる支援の充実を速やかに実施することとしております。
総務省としては、テレワークの普及に不可欠なセキュリティー対策を推進するとともに、関係府省と連携をいたしましてテレワークの普及に努めてまいります。
○山本博司君 是非とも、このセキュリティー対策、大変大事でございますし、またテレワークの推進へ官民が連携をしながら対応を取っていくということは大事でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
このセキュリティーへの意識、高める部分というのは大変大事でございますけれども、これとともに、ビッグデータの活用についても大きな課題が私はあると思っております。
今回、スマートフォンなどの利用を通じて収集される行動の履歴、さらには位置情報といった、こうした個人データの活用によりまして、主要駅の人の流れの動向、これを公表するなど、様々な活用方法が示されたわけでございます。こうしたビッグデータの活用といいますのは、命や健康を守るという、こういう公衆衛生上の維持をしていくという意味では大変効果があり、期待をされて、意義のあることだと考えるわけですけれども、一方では、今後、十分な議論がないままにこうした民間データの活用が進むようなことがあれば、懸念の声も出るわけでございます。データの利活用の目的を具体的に特定、明確化して、データの保存期間を厳格に決めるなど、慎重なこうしたルール作りがあれば、より理解が得ることができると考えます。
こうしたビッグデータの活用の成功の鍵、これは国民が信頼できる環境づくりにあると思いますので、この点に関しましても、今後、課題としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
それでは、最後に、大臣に伺いたいと思います。
この新型コロナ感染症の拡大防止に向けた取組におきまして、テレワーク以外にも、遠隔の教育とか、またオンライン診療、こうした通信インフラを活用した取組というのも実施をされているわけでございます。こうした緊急事態宣言が解除された後に第二波、第三波、この到来も想定されている中に、引き続きこうしたオンラインの活用というのは継続していく必要があると思います。
特に、5Gの活用が働き方の改革を更に推し進める原動力になっていくと思います。本年は、5Gの商用サービスについても本格的な展開を迎えて、様々なサービスが準備されております。こうした5Gの活用には、光ファイバーなどのICTのインフラの環境の整備、不可欠でございます。特に、離島や山間部など光ファイバーの整備されていない地域におきましては特段の支援を講ずることが重要でございます。
総務省におきましては、第一次補正予算におきまして三十・三億円、さらに第二次補正予算では五百一・六億円の予算で光ファイバーの整備を強力に支援することになっております。こうした通信インフラの整備、更に加速すべきと考えますけれども、大臣の認識を最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 総務省では、既にお認めいただいた令和二年度第一次補正予算におきまして、学校がある地域を含む光ファイバーの整備予算を措置いたしました。
これから御審議をいただくのですが、令和二年度第二次補正予算案におきましては、その他の地域も含めて地域の光ファイバー整備というものを加速して、当初の全国整備目標を二年前倒しで達成するべく、五百一・六億円を計上しております。
この国会で御審議いただいて予算案をお認めいただいた暁には、この未整備の地域が残る市町村の皆様におかれましては、光ファイバー整備の補助事業に加えて地方創生臨時交付金や補正予算債なども御活用いただいて、御要望いただいた全ての地域で整備を進めていただける環境をしっかりとつくってまいりたいと存じます。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
私も今、公明党の離島や過疎地の対策のPTの座長もしておりますけれども、未整備の世帯、七十万世帯と言われておりますけれども、過疎や離島が中心でもございます。是非とも、この整備を含めて、政府がリードしながらこの光ファイバーの整備を進めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。