参議院 総務委員会 第3号 令和2年3月10日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、大臣の所信に対する質疑ということで、地域の活性化に資する取組について伺いたいと思います。
 その前に、新型コロナウイルスの感染防止対策に関しまして、総務省の対応状況について確認をしたいと思います。
 まず、情報提供体制ということで伺いたいと思います。これまで感染者が確認されていなかった県でも初めて確認する事例が増えておりまして、地方でもこの新型コロナウイルスに対する不安が高まっております。感染予防や治療体制につきまして、適切な情報提供、地方における検査や治療体制の整備の支援、これは大変重要になってまいります。
 二月二十五日の基本方針を受けまして、総務省では、都道府県及び政令市に対しまして、一人ずつ担当者を決めて、一対一の情報提供や、また情報提供ができるシステムをつくったとお聞きをしております。現時点で、こうした地方自治体との情報提供体制、どのように機能しているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(境勉君) お答え申し上げます。
 総務省では、一月三十日以降、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の資料などにつきまして、全国の地方公共団体に対して迅速かつ継続的に情報提供を続けてきております。また、委員御指摘のとおり、先月二十五日に決定されました新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を受けまして、都道府県、政令指定都市の幹部と総務省職員との間の一対一の連絡体制を創設いたしまして、情報連携を密に図っているところでございます。
 さらに、同じく二十五日に全国知事会に設置されました全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部の構成員といたしまして、三名の総務省関係課長が参画をいたしております。また、先週、地方六団体と総務省、厚生労働省、文部科学省、経済産業省との間で、新型コロナウイルス感染症対策の推進につきまして、地方公共団体等との情報共有、連携強化を目的として意見交換を実施いたしまして、地方側から様々な御意見をいただいたところでございます。
 このように、様々な取組を通じまして、政府の具体の施策展開につきまして地方公共団体にタイムリーに情報提供いたしますとともに、地方公共団体の要望を関係府省にフィードバックをしているところでございます。
 今後とも、地方公共団体の意見を丁寧にお伺いして、国と地方が心を一つにしてこの難局を乗り越えていけるよう、総務省としてもしっかり対応してまいります。
○山本博司君 是非とも、この地方自治体との連携強化、お願いをしたいと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた臨時休校に伴いまして、子供の世話で勤務が難しい国家公務員が有給の特別休暇を取得できるようにする通知を人事院が三月一日に各府省に発出をしております。
 これを踏まえて、総務省では、全国の自治体に対しましても、地方公務員でも同様の対応を取るよう求める通知を出したともお聞きをしております。人事院規則では、出勤が著しく困難と認められる場合は特別休暇を取得できると定めておりますけれども、通知は、職員や家族に発熱などの症状が出た場合や小中高校の臨時休校によって自宅で子供の世話が必要になった場合にもこの規定に該当するということで、今回の臨時休校への対応ができるとのことでございます。
 こうした通知の趣旨が広く浸透して、休暇を希望する地方公務員、特別休暇を適切に取得できるような環境にすべきと考えます。安心して子供の世話をするために保護者が休めるように広く周知をすべきと考えますが、見解を伺います。
○政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。
 御質問の特別休暇、いわゆる出勤困難休暇でございますが、新型コロナウイルス感染症対策に伴う小学校などの臨時休業、こういった事情によりまして、お子さんの世話を行う職員がその世話を行う必要がある場合などに取得を認めるものでございます。
 この三月一日に国家公務員についての休暇に関する通知が出されましたことから、地方公共団体におきましても国家公務員と同様に対応するよう、同日付けで、先ほど御紹介ありましたように、通知をいたしまして、休暇の取得について格段の配慮を要請したところでございます。また、その後も改めて休暇の取得について配慮を要請いたしますとともに、今般の休暇の取扱いについて、例えば庁内イントラネットへの掲示、職員宛ての通知やメールによるお知らせなどによりまして、広く職員の間に周知をするよう助言もいたしているところでございます。
 なお、文部科学省、消防庁、警察庁からも、各都道府県教育委員会、消防防災主管部及び警察本部などに対しまして、この休暇の適切な対応について要請をしておるところでございます。
 引き続き、必要な助言をしてまいりたいと考えております。
○山本博司君 国民のこの命と暮らしが守られて感染拡大防止の目的が達成できるように、安心してもらえるような対応策が必要であると思います。
 新型コロナウイルスに感染をした患者が今後増える可能性を想定して、公立病院では重症患者を優先的に受け入れる病床を確保する必要があると思います。
 専用設備のある感染症病棟は全国に約千八百あるとのことでございますけれども、このうち約六割が公立病院が抱えております。今後は重症患者が増えるおそれがあるために、こうした公立病院が感染症病床以外の病床も積極的に確保する必要もあり得ると考えます。
 万全の備えをするためにも、こうした病床数の確保、非常に大事であると思いますけれども、取組状況をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。
 二月二十五日に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が決定されたことを受けまして、同日付けで総務大臣より、公立病院は、お話ございましたように、感染症病床の六割を占め、感染症医療に重要な役割を果たしていることから、病床確保についてその役割を適切に果たしていただきたいこと等を内容といたします新型コロナウイルス感染症に係る入院医療の提供体制の整備に関する書簡を都道府県知事及び公立病院を運営する市町村長宛てに発出したところでございます。
 その後でございますけれども、総務省といたしましては、連日にわたりまして各都道府県と情報交換をいたしまして公立病院の病床確保の取組を確認いたしますとともに、病床確保に係る課題やニーズにつきまして、全国自治体病院協議会でございますとか、あるいは各地方団体などから情報収集を行い、関係省庁にお伝えして、国としての対策に反映されるよう取り組んでいるところでございます。
 今後とも、地方団体や関係省庁と緊密に連携をいたしまして、公立病院の病床確保の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 あらゆる場面に対応できるようにしっかりと情報共有を進めていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症に関する地方財政上の対応は喫緊の課題でございます。既に政府は、令和元年度の予備費による対応を実施しておりますけれども、引き続き地方自治体が必要かつ十分な対応ができるよう財政上の支援を講ずる必要がございます。
 総務省では、感染が確認された患者の入院費や入院患者を受け入れる医療機関で必要となる備品の調達費、それに各地の保健所に設置されている相談センターの運営費につきまして、地方自治体が負担する経費のうち八割を特別交付税で交付すると決めております。
 そこで、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、本日も第二弾の経済対策が出されますけれども、今後も地方自治体の財政運営に支障が出ないように地方財政上の措置をしっかりと講ずるべきと思いますけれども、大臣の認識を伺います。
○国務大臣(高市早苗君) 第二弾の緊急対応策については本日取りまとめられる予定でございますけれども、総務省としては、第一弾と同様に、地方の財政運営に支障が出ることのないように適切に取り組んでまいります。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 テレワークに関して伺います。
 新型コロナウイルスの感染の拡大を防止するためにも、多くの人が集まる場所での感染の危険性を減らすことが重要でございまして、通勤ラッシュや人混みを回避をして在宅での勤務を可能とするテレワーク、その有効な対策の一つでございます。
 総務省の職員に対しましてテレワークや時差出勤を呼びかけたということでございますけれども、これまでの実績はどのようになっているのか。また、地方公共団体や民間事業者も含めて、より積極的にテレワークを活用してもらえるようにすべきと考えますけれども、活用の取組に関しまして、大臣の認識を伺います。
○国務大臣(高市早苗君) 総務省は、ふだんからテレワークを活用する職員が多い役所でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の発生を踏まえまして、二月二十五日付けで職員に対して、通勤混雑時間帯の出勤を回避するためにテレワーク勤務の活用を働きかける通知を出しました。その結果、二月二十八日時点でございますが、約一割の本省職員がテレワーク勤務を行い、時差出勤は四九%が実施したという報告を受けております。
 また、民間企業にとりましても、テレワークは、感染症や災害の発生時などに業務を継続するためにも重要でございますし、また、多様な人材の確保や業務の効率化を通じた生産性の向上といった様々なメリットがございます。その導入を促進するという観点から、利用ツールやセキュリティーを確保した上で、実施環境を整備してまいります。
 総務省では、現在、専門家がテレワーク導入に関して相談を受けるテレワークマネージャー事業を実施しております。今般の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、ネットや電話での御相談について、今年度の実施期間を二月末から三月末まで延長することにいたしました。また、地域におけるテレワーク拠点整備を行う地域IoT実装推進事業も実施しております。さらに、来年度からは、中小企業を支える団体とも連携したテレワークサポート体制の整備を通じて支援を行いたいと思っております。
 このほか、地方公共団体に対しては、地方公務員向けテレワークの導入経費に特別交付税措置を講ずる予定でございます。
○山本博司君 今お話ございましたように、総務省でテレワークマネージャー派遣事業、これを行っていらっしゃるということで、これも派遣事業の申込みが二月二十八日だったと聞いておりますけれども、この新型コロナウイルス対策として、訪問派遣ではなくてウエブやテレビ会議の電話の支援、この期限が延長されて、今月二十四日まで申込みができるということでもございます。こうした大変大事な分野でございますので、引き続き総務省としても取組をしていただきたいと思います。
 それでは次に、ローカル一万プロジェクトに関しましてお伺いをしたいと思います。
 高市総務大臣は、所信の中におきまして、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援するローカル一万プロジェクトを更に推進し、日本列島の隅々まで雇用と所得を拡大できるように取り組みます、こう述べておられます。地域経済の好循環の拡大ということで、これは大変大事な重要な視点と考えますけれども、まず、このローカル一万プロジェクトの意義とこれまでの取組状況に関しまして御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(境勉君) お答え申し上げます。
 ローカル一万プロジェクトでございますが、産学金官の連携によりまして、地域の資源と資金を活用いたしまして、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するものでございます。これによりまして、地域経済の好循環を拡大させて、地域力の強化を図ることを目的といたしております。
 このプロジェクトは平成二十四年度からスタートいたしましたが、平成三十年度末時点で、これまで二百四十二団体、三百七十七件を交付決定いたしておりまして、合計で三百八億円の資金が地域において投資されたところでございます。
○山本博司君 今、ローカル一万プロジェクトに関しましての概要をお聞きしましたけれども、このプロジェクトは地方創生にとっても大変大事な施策の一つであるというふうに思います。令和二年度から始まります第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましてこのローカル一万プロジェクトがどのような位置付けになっているのか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(境勉君) お答え申し上げます。
 第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、基本目標といたしまして四つの目標が定められております。その中で、このローカル一万プロジェクトは、第一の目標であります稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにするという基本目標に位置付けられてございまして、その中の、地域の特性に応じた、生産性が高く、稼ぐ地域の実現策の一つとして位置付けられているところでございます。
 総務省としては、このような位置付けのこのローカル一万プロジェクトを更に推進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 こうした地域の特色を生かした事業によって、地域に雇用と所得をもたらしていくということと同時に、地域課題ということをしっかり解決をするということにも貢献するということが今全国各地に広がっているということを期待をするわけでございます。
 このローカル一万プロジェクトに関しまして、私も現場の声を聞くために、先日、愛媛県の西条市にあります株式会社サンライズ西条加工センターという、これはローカル一万プロジェクトを活用している事例を地元の西条の市議とともに視察をしてきたわけでございます。ここでは、二〇一四年二月に創業して以来、国と自治体の制度を最大限に活用して、この西条で採れるタマネギとかレタス、この野菜をカット野菜にして加工、製造、販売をして六次産業化を進めるということでございました。
 特に、このローカル一万プロジェクトにおける地域経済循環創造事業交付金、これを五千万円を活用して、この初期投資に掛かりますので、その初期投資を抑えて、現在では社員とパートを合わせて約四十五人の、新規雇用も含めて確保することができたということで事業を推進されておられました。将来的には七十名まで拡大しようと意欲的に取り組んでおられまして、地方創生に大きく寄与されているという実感を得たわけでございます。
 このローカル一万プロジェクトにつきましては、産学金官、こうした連携によりまして、地域の資源と資金を活用して、雇用吸収力の大きい地域密着型の企業の立ち上げ、これを支援をするということになっているわけでございます。この西条加工センターでも、地元の金融機関であります伊予銀行と愛媛銀行が出資をしておりました。
 地域の金融機関からこうした融資を受けて事業化に取り組む民間事業者が、事業化段階で必要となる施設整備費であるとか、また機械の装置費、備品費など初期投資費用に関しまして、都道府県、また市町村が助成を行う場合に国が支援をする、この場合は西条市が支援をするわけでございますけれども、そうした場合、無担保、無保証の融資を確保することが前提となるわけでございますけれども、新規の融資を受けるということはなかなかハードルが高いのではないかと思います。
 効果的な事業をつくり上げるためには、こうした地域金融機関との連携、理解、これを求めることが重要であると思いますけれども、総務省としてこの点どのように進めていくのか、お聞きをしたいと思います。
○大臣政務官(斎藤洋明君) お答えを申し上げます。
 地域金融機関との連携、御指摘のとおり非常に重要と認識をしております。ローカル一万プロジェクトの目的であります地域経済の好循環を創出するためには、地域の資金を引き出し、各地域の特色ある資源や人材と結び付けることが不可欠であります。このために、地域金融機関には、創業支援のニーズの掘り起こしを始めといたしまして、目利きやコンサルティング機能の発揮をしていただく観点から、無担保、無保証で自らリスクを負っていただいて融資いただく仕組みを取ってございます。ですので、ただいま御指摘をいただいておりますとおり、地域金融機関との連携が非常に重要になってまいります。
 こうした背景を踏まえまして、金融庁などにも参画していただきながら、地方銀行や信用金庫等の幹部なども参加する会議をブロックごとに開催いたしますとともに、各地域金融機関のトップを直接訪問するなどにより本事業の周知を図っております。
 引き続きまして、金融庁や地域金融機関と連携して創業支援のニーズの掘り起こしに努めまして、本プロジェクトを更に推進すべく取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともこの地域の金融機関との連携、理解ということで、推進をお願いをしたいと思います。
 今日は農水省にもお越しをいただいております。今回視察をいたしましたサンライズ西条加工センターは、生産から加工、製造、そして流通、販売まで一体的に取り組む六次産業化を目指した事業でございました。西条市もこの総合六次産業都市を目指しておりまして、大変力を入れている次第でございます。この地域資源を活用して新たな付加価値を生み出すということで、ほかとの差別化、差異化を目指しているようでございました。
 農水省においてはこの六次産業化についてどのように推進をされているのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(道野英司君) お答えいたします。
 地域における六次産業化の取組は、農林水産物の付加価値向上を図るとともに、農林漁業者の所得の確保をつなげる上で重要と認識しております。
 このため、農林水産省では、新商品開発や販路開拓の取組、加工販売施設の整備、六次産業化に取り組む事業者の経営改善を支援するプランナーの派遣などの支援を行っております。
 御指摘のあったサンライズ西条加工センターのようなカット野菜の一次加工品を製造する取組についても、近年、加工・業務用の需要の高まりに対応したものであり、農林漁業者の所得確保に資するものと期待されることから、積極的に推進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 また、他との差異化を目指すということで、このカット野菜の工場ではHACCP基準を満たした業界最高水準の衛生管理システム、この構築もされておられました。HACCPの対応というのは、衛生管理施設や温度管理を有する装置などの施設整備だけではなくて、その施設を活用する人材の育成、これも大切になるということでございました。
 そこで、このHACCP基準の認定取得、維持に向けた支援について、農水省の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(道野英司君) お答えいたします。
 平成三十年六月に改正食品衛生法が公布されまして、令和三年六月からは原則として全ての食品等事業者を対象にHACCPに沿った衛生管理が本格的に義務付けが行われます。
 農林水産省では、六次産業事業者を含む中小規模の食品事業者がHACCPの義務化に対応できるよう、HACCPに沿った衛生管理の知識を普及する研修、食品産業における業種ごとのHACCP導入のための手引書の作成、また施設整備に対するHACCP支援法による金融措置等の支援を厚生労働省と連携して実施してまいりました。
 令和二年度におきましては、手引書を活用し、現場でHACCPを導入する際の課題解決のための実証支援、また、研修に参加できない事業者のために学習教材を作成、公表し、その活用を促していくこととしており、ローカル一万プロジェクトを活用して施設を整備した事業者の方々にも活用を促してまいりたいと考えております。
○山本博司君 また、この工場では、加工、流通、貯蔵などの各機能の整備を進める中で、愛媛大学との産学連携も行っておりました。愛媛大学で開発した野菜、シイタケの乾燥技術、これをAIによって最適な温度、湿度の管理を行って貯蔵期間を長く保つことができるシステムの構築でございました。
 この産学連携、大変重要であると思いますけれども、こうした新しい技術の研究開発、どのように支援しているのでしょうか。
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
 農林水産業分野におきましても、既存の枠を超えた幅広い連携を進め、異分野の知識や技術を導入することでイノベーションを起こしていくことが重要でございます。
 このため、農林水産省では、平成二十八年から新たな産学連携の仕組みとして知の集積と活用の場を立ち上げ、多様な主体がマッチングする機会を設けているところでございます。現在、三千を超える会員が参画し、約百六十の研究開発プラットフォームが形成され、新たな商品化や事業化を目指した研究開発が行われているところでございます。
 引き続き、こうした仕組みを生かしまして、産学連携研究を支援し、地域の農林水産、食品産業の発展に貢献してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非とも、この産学連携を含めて意欲的な取組に支援をお願いしたいと思います。
 このローカル一万プロジェクトの事業の中で、新規性、モデル性の極めて高い事業につきましては国費十分の十によって支援をすることになっております。この新規性、モデル性の極めて高い事業とは一体どういうものを指すのか。今年度は東京オリンピック・パラリンピックの関連施策や古民家を活用した観光まちづくりが対象となっておりましたけれども、令和二年度ではどのような事業が対象になるのか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(境勉君) お答え申し上げます。
 まず、新規性、モデル性の極めて高い事業ということでございますが、このローカル一万プロジェクトの事業の採択に当たりましては、公共的な地域課題の解決につながることを要件といたしております。その中で、特に新たな取組であり、他の同様の地域課題を抱える自治体への横展開が大いに期待されるという観点で有識者に御審査をいただきまして、新規性、モデル性の極めて高い事業というものを認定いたしております。
 令和二年度の全額国費で支援する重点支援の事業でございますけれども、これ、毎年度、特に国として強力に推進する必要があるものとして分野を限定列挙しているわけでございますが、令和二年度におきましては三つの分野、一つ目は国等が開発、支援して実証段階にある新技術を活用した事業、二つ目に再犯防止等の推進に関連する事業、三つ目が農林水産物、食品の輸出促進に関連する事業でございまして、先ほど申し上げた新規性、モデル性の極めて高い事業を全額国費で重点支援することといたしております。
○山本博司君 今お話ございました国等が開発、支援している実証段階にある新技術を活用した事業、これが重点支援の対象となっているわけですけれども、この新技術というのはどのような技術であるのか、もう一度確認をしたいと思います。
○政府参考人(境勉君) お答え申し上げます。
 新技術自体の定義自体は、要綱上は明確に定めておりませんが、先ほど申し上げましたように、有識者の審査会をやっておりますので、その中で、先ほど申し上げた実証段階にある新技術であるということを認定していただいて、それで判断をするということにさせていただいております。
○山本博司君 少子高齢化、人口減少という社会的な課題があるわけでございまして、新しい技術、活用して様々な課題を推進をするということは大変大事でございますので、しっかりと対応お願いをしたいと思います。
 それでは次に、地域おこし協力隊に関連してお聞きをしたいと思います。
 報償費が支給される最長三年間の活動期間が終了した後に、この地域おこし協力隊がいかに地域生活を維持できるか、これは大きな課題でございます。この委員会等でもこの地域おこし協力隊に関しまして様々な議論があったと思います。この任期終了後、約六割の隊員が同じ地域に定住しているというデータもありますけれども、起業を希望する方が近年多数を占める傾向にあるということでございます。
 そこで、この地域への定住、定着を図るために、この地域おこし協力隊サポートデスクにおいても、今ずっとお話ししてまいりましたローカル一万プロジェクトにつきましても広く周知をして活用を促すということも一つの方法ではないかと思います。地域おこし協力隊の方々、起業といっても、一人でカフェを開きたいという方もいるでしょうけれども、地域の方と連携しながら、組織化をして地域の課題解決に向けた新しい取組もしていきたい、こういう方もたくさんおられると思います。こうした様々なニーズを想定して、この地域おこし協力隊にもこのローカル一万プロジェクトについて周知をすべきと考えますけれども、総務省の見解を伺いたいと思います。
○大臣政務官(斎藤洋明君) お答えいたします。
 地域おこし協力隊員の約六割の方が任期終了後も同じ地域に定住をしておりまして、その進路といたしましても、約四割の方が自ら起業しておられ、また起業希望者数も近年増加をしているところです。こうした起業希望者を支援するため、総務省としては、起業等に要する経費への地方財政措置を講じるなどの支援は行っております。
 また、特に御指摘をいただきましたとおり、ローカル一万プロジェクトも起業希望者への支援の有効なツールであると考えております。隊員向けの起業研修の場においてPR等を行っているところではありますが、ただいま御指摘いただきましたサポートデスク等を通じた周知なども含めまして、引き続き積極的な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 以上のように、総務省が有する様々な政策を連携させながら、任期終了の隊員の方が一人でも多く定住できますように、引き続き地域おこし協力隊員を重層的に支援してまいりたいと考えております。
○山本博司君 これ、地域おこし協力隊、様々な形で定着するためにも、その総務省の施策を総動員していただきたいと思う次第でございます。その意味で、このローカル一万プロジェクトも、実際事例を見ますと、五百万、一千万の、そういう支援でやっている企業もございますので、そういう意味で言ったら、この地域おこし協力隊に関しても周知をお願いをしたいと思います。
 それでは、最後になりますけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。今までずっとこのローカル一万プロジェクトに関しましてお話をしてまいりました。これは私も現場を見てまいりまして、大変この取組というのは非常に地域の活性化に資する大事な役割を持っていると、こう思いますけれども、なかなか活用が進んでいないのではないかというふうに思います。ローカル一万というふうに言っていますから、一万というのは一万事例ということではないということを理解をしておりますけれども、今、先ほどありましたように、実績は三百七十七ということで、私は少ないのではないかと、大変、今以上に活用されてもいいのではないかと思う次第でございます。
 そこで、各地方自治体に対しまして積極的に周知を行って、使いにくいところがあれば見直しを行うべきと、こう考えますけれども、このローカル一万プロジェクトに関する大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 今、山本委員が御指摘くださいましたとおり、平成二十四年度の制度開始以来累計三百七十七件の交付ということでございます。取組実績ですけれども、これ都道府県によって相当濃淡があるということも事実でございます。このプロジェクトが全国に展開されるためには、各地域における創業支援ニーズの掘り起こしがとても重要だと考えております。
 全国会議やブロック会議におきまして、全ての地方自治体に対して制度周知を図っております。あわせて、地域に出向いて、直接、地域金融機関のトップや首長の方々、自治体幹部に対しても働きかけを行っております。また、事業の効果の検証や優良事例集の作成を行っているところでございまして、これらを情報提供することでプロジェクトは更に推進できると考えております。
 加えて、来年度でございますが、地域の強みを生かした先進的な取組について、着眼点を明示した効果的な広報というものを行って、自治体と認識を共有させていただくことで横展開を進めてまいりたいと思っております。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。
 今お話がありましたとおり、やっぱり自治体によっての差があるということで、多いところでは兵庫県が三百七十七のうちの五十七、北海道が二十四、徳島県が十七、熊本が十七と。そういう意味でいったら、非常にこれを、自治体によって効果があるというところはどんどんそれを使って、このローカル一万プロジェクトで進展をしているということがあるわけでございますので、是非総務省の中でこのローカル一万プロジェクトに関しまして地方自治体、また金融機関も含めて推進をしていただきたいことをお願い申し上げまして、ちょっと時間が残りましたけれども、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。