参議院 総務委員会 第3号 平成29年3月9日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、大臣の所信に対する質疑ということで、無料公衆無線LAN、いわゆるWiFi環境の整備促進に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、通信環境の整備、とりわけ無料公衆無線LAN環境の整備は喫緊の課題となっております。平成二十六年度に観光庁が行いました訪日外国人旅行者の国内における受入れ環境整備に関する現状調査結果によりますと、旅行中最も困ったこととして一番目に上がるのがこの無料公衆無線LAN環境、三〇・二%と最も高く、特に公共施設や観光施設におけるWiFi環境の普及や利用手続の簡便性の面での課題が指摘をされております。このように外国人観光客を中心に無料公衆無線LANの充実に対する要望が強く、二〇二〇年の東京オリパラの開催に向けまして、国内外の観光客が手軽に情報を入手できるように、観光拠点等におけるこうした公衆無線LAN環境の充実が求められております。
 この公衆無線LANの整備につきましては官民が連携をしまして有効に機能するモデルでございまして、例えば、交通拠点、ホテル、コンビニ、飲食店、自販機等で民主導の整備と連携しながら、公共的な観光拠点や防災拠点、インセンティブがなかなか働きにくい部分に関しましては官が主導して補完をしていくということで、地域全体の整備を推進することが大変重要でございます。
 そこで、鉄道、バス等の公共交通機関、またホテル、旅館等の宿泊施設などの民間施設に対するWiFi整備支援事業を一層拡充することが重要でございますけれども、まず、民間に関しましてどのような形で働きかけをしているのか、伺いたいと思います。観光庁。
○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、この無料WiFi環境整備、これは訪日外国人旅行者からのニーズが特に高い項目でございます。二〇二〇年に四千万人、訪日外国人旅行者四千万人の達成に向けて喫緊の課題であるというふうに認識してございます。
 このため、観光庁におきましては、総務省と連携いたしまして、地方自治体、通信、交通等を始めとする関係業界の民間事業者で構成する無料公衆無線LAN整備促進協議会、この協議会を平成二十六年八月に立ち上げまして、我が国における無料WiFi整備の促進、周知、広報等に官民一体となって取り組んでおります。
 この中で、観光庁といたしましては、平成二十八年度以降でございますが、訪日外国人旅行者の受入れ環境整備を促進するため、宿泊施設に加えまして外国人観光案内所や鉄道、バス等の公共交通機関における無料WiFi整備に対する支援措置を盛り込んだ補助制度を創設いたしまして、強力に支援しております。
 また、日本政府観光局のホームページにおきまして、民間企業等に御協力いただきまして全国で約十二万件のスポット検索を可能としているほか、無料WiFiスポットにつきまして、現地で一目で御覧いただけるようシンボルマーク入りのステッカーを作成し、民間企業等に御活用いただいております。
 近年、主な空港、新幹線の駅、都市部の鉄道駅などを中心に無料WiFi環境整備進んできておりますが、引き続き、地方部を含めてWiFi整備がしっかり進むよう、官民連携の下、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともその推進をお願いをしたいと思います。
 この公共的な拠点につきましては、総務省では二〇二〇年までに約三万か所のWiFi環境の整備を目指しておりまして、平成二十九年度の予算案に公衆無線LAN環境整備支援事業として三十一・九億円計上するなど、こうした地方公共団体におけるWiFi環境の整備、これを支援をしております。
 この事業には電波の使用料が使われております。この電波利用料、これは電波の適正な確保のために、受益と負担の観点から十二項目の使途の限定というのがあるわけでございますけれども、来年度の予算の中にWiFi環境の整備に初めてこの電波利用料を活用することができたということで、これはWiFi環境の整備に大きく貢献するものと期待をしているものでございます。
 そこで、このWiFi環境の整備に電波の利用料の使途が入った理由について御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(今林顯一君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、総務省といたしましてはこれまでも無料WiFiの環境整備に取り組んできたところでございますけれども、平成二十八年に開催をされました電波政策二〇二〇懇談会、この報告書におきまして、地方公共団体や第三セクターがWiFi環境が未整備の防災拠点などに無線アクセス装置、制御装置、電源設備、伝送路設備などを整備するのに必要な費用の一部補助を実施する等により支援するのが適当であるというふうに提言をされたところでございます。
 これらを踏まえまして、事業採算上その整備が進みにくい防災拠点などにおけます無料WiFi環境の整備につきまして、平成二十九年度の政府の予算案におきまして電波利用料財源で要求しているものでございます。
○山本博司君 この電波利用料を活用して整備を行う地方自治体の支援が広がることを期待しておりますけれども、この支援対象と想定されております防災拠点のうち、避難所また避難場所の数合わせて全国で八万四千か所に上っていくために、更なる整備も必要であると想定されます。
 災害時のみならず平時のニーズも考慮した上でこのWiFiの整備対象とすべき箇所を絞り込む必要があると思いますけれども、三万か所の整備で終わるのではなくて、二〇二〇年以降も継続して推進していただきたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○大臣政務官(金子めぐみ君) 総務省では、日本再興戦略などを踏まえまして、二〇一六年十二月に防災等に資するWiFi環境の整備計画を策定いたしました。まずは、この整備計画に盛り込みました二〇一九年度までの整備目標であります約三万か所につきまして、官民が連携しながらその整備を着実に推進していくことが重要と考えております。
 御指摘のありました二〇二〇年以降につきましては、今申し上げました整備計画の進捗状況や地域のニーズなどを踏まえまして、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非とも継続する形でお願いをしたいと思います。
 このWiFiの設備は、実際の熊本地震の際にも大いに活用されました。平成二十五年度の補正予算の補助金一千万円を活用して、防災拠点四か所、そして避難所に四か所が設置をされました。これが活用された結果、WiFiが災害時の情報収集、また通信の手段として役に立ったと、こういう回答が九割を超えるというアンケート結果も出ている次第でございます。
 こうした防災拠点におけるWiFiの設備、とても重要でございますけれども、災害の際には停電ということも想定されます。いざというときに情報入手の手段が使えないというのでは意味がありませんので、非常用電源の確保、必要でございます。そこで、この公衆無線LAN環境整備支援事業の中に電源の確保も補助対象になっているか、この点簡潔にお願いします。
○政府参考人(今林顯一君) 委員御指摘のとおりでございまして、防災拠点における電源の確保は、災害時に情報収集あるいは通信手段を確保するために必須のものというふうに認識をしております。
 先ほど御指摘のありました事業におきましては、停電などにより災害時に無料WiFiが使えない状況が生じないようにするために、必要に応じて蓄電池や無停電電源装置などの整備も可能となっております。したがいまして、それぞれの市町村において災害時に無料WiFiによる情報収集あるいは通信が可能となりますようにしっかりと電源の確保に努めていただきますよう、本事業を実施するに際してこうしたことも十分説明をしてまいりたいと思います。
○山本博司君 この防災拠点のWiFi環境の整備は、一つ一つの費用というのが高額ではないために、人口や財政規模の大きい自治体というのはこれは比較的容易に設置できるかも分かりませんけれども、例えば過疎地域とか離島など規模の小さい地方自治体というのは設置が困難な場合があると考えられます。この公衆無線LAN環境整備支援事業では、こうした過疎とか離島を抱える自治体の支援、どのように考えているのでしょうか。
○政府参考人(今林顯一君) 当該事業におきましては、離島、過疎地などの条件不利地域におきましては、無料WiFi環境の整備を行う地方公共団体などに対しまして、原則補助対象経費の二分の一を補助することとしております。また、離島、過疎地などのうち財政力指数が〇・四以下の低い市町村につきましては、新たに補助対象経費の三分の二を上乗せ補助する支援策を設けると、こういった措置によりましてその整備を更に加速化させていく所存でございます。
 なお、この事業の補助裏に対しましては、過疎対策事業債あるいは辺地対策事業債、こういった有利な地方債を充てることを可能としておりまして、国庫補助と相まって整備が進むよう支援に努めてまいりたいと存じます。
○山本博司君 私は、公明党の離島振興対策本部の事務局長も務めておりますし、過疎対策の座長もさせていただいておりまして、全国を回らせていただいておりますけれども、大変こうした地域、厳しい実態でございますので、支援をお願いをしたいと思います。
 先日、離島訪問九十五番目になる島でございます新潟県の粟島浦村を訪問いたしました。そこで村長から要望されましたのが、光ファイバーへの敷設への支援でございます。日本海に浮かぶ粟島は、本土から、港から約三十五キロ離れていますので、高速船で五十五分掛かる距離のために、なかなか通常の支援だけでは光ファイバーの敷設が難しいのが実態でございます。無線LANは光ファイバーが前提、敷設がないと無線LANが使えませんので、こうした超高速ブロードバンド基盤の整備、これは大変大事でございます。
 推進状況に関して御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(富永昌彦君) 固定系の超高速ブロードバンドの整備状況でございますけれども、平成二十七年三月末の整備率でございますが、全国的には九九%と推計しております。一方で、過疎地域を含む地方公共団体における整備率で申しますと九六%、それから離島における整備率で申しますと七三%と推計しておりまして、こうした条件不利地域における整備が課題となっております。
 総務省では、情報通信基盤整備推進事業によりまして、地方公共団体が条件不利地域において固定系超高速ブロードバンドを整備する場合に、事業費の一部を補助することでその整備を推進しております。それから、平成二十九年度予算案に盛り込んでおります携帯電話等エリア整備事業におきまして、携帯電話基地局の開設に必要な海底光ファイバーを新たな補助の対象といたしまして整備を推進することといたしております。
 総務省といたしましては、離島ですとか過疎地域等の条件不利地域における固定系超高速ブロードバンドの利用環境の整備、これ非常に重要であると認識しております。引き続き、情報通信格差是正の推進に取り組みます。
 以上でございます。
○山本博司君 是非ともお願いしたいと思います。粟島浦、実際、この敷設に約二十億円掛かると言われておりまして、負担だけでもやはり六億掛かるということでございますので、しっかりとお願いをしたいと思います。
 次に、教育の観点からお聞きします。
 WiFi環境の整備には、地域の防災拠点として各種の学校が含まれることになります。地域の小中学校など、避難所として指定するため、災害などの緊急時には防災拠点として活用されます。この整備されたWiFi環境を活用し、災害のない平時の場合には授業の中でタブレット端末を利用するなど、ICTを活用した教育の充実が可能となりますけれども、この支援事業の補助を受けた施設においても教育での活用は可能なのか、この点、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(今林顯一君) 当該事業は防災の観点から整備を行っていただくものでございますけれども、御指摘のとおり、平時におきましては様々な活用の仕方が考えられるところでございます。総務省としては教育のICT化も推進しておりますので、それらの観点から、多くの学校が避難所指定されておりますので、そういった学校に整備された無料WiFi環境につきましては、教育面でも積極的に活用を図っていただくよう働きかけを進めているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 このWiFi環境の整備、大変教育部門におきましても重要でございます。文科省でまとめた教育のIT化に向けた環境整備四か年計画では、平成二十九年度までに超高速インターネット接続率及び無線LAN設備率を一〇〇%にすると、こういうことでございますけれども、教育のIT化に向けた環境整備、文科省、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐藤安紀君) ICTを活用した授業は、子供たちの学習への興味、関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的な学びを実現し、確かな学力の育成に資するものと認識をしております。
 文部科学省では、平成二十六年に教育のIT化に向けた環境整備四か年計画を策定いたしまして、計画期間である平成二十六年度から二十九年度まで毎年千六百七十八億円の地方財政措置を講じていただいておりますが、一方で、教育の情報化の意義について認識が不十分であったり、ICT機器の整備に関する知見やノウハウが不足している地方公共団体も見受けられ、目標達成には取組の加速化が必要でございます。
 このため、教育長と首長の下で編成される総合教育会議において教育の大綱に整備計画を位置付けるなどした上で、地方財政措置についても積極的に活用してICT環境を推進していただくために各都道府県・指定都市教育委員会向けに通知を発出をいたしましたり、自治体のニーズに応じて学校ICT環境の整備に必要な助言を行うICT活用教育アドバイザーの派遣などの取組を行っているところでございます。
 さらに、文部科学省では、二〇二〇年度から始まります次期学習指導要領の実施に向けまして、無線LAN環境を始めとする教育現場に求められる実用的、効果的なIT環境の整備を促進するために、学校におけるICT環境の整備の在り方に関する有識者会議を設置をし議論しておりまして、今年度末に方向性を取りまとめてまいります。
 引き続き、地方公共団体による学校ICT環境整備の加速化に努めてまいります。
 以上でございます。
○山本博司君 最後に大臣に伺います。
 今お話ありましたように、観光面、それから防災面、教育面含めてこのWiFi環境の整備、大変大事でございますけれども、最後に決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 今日、山本委員から御指摘いただきましたように、防災、観光、教育、様々な面でWiFi環境の整備というのは非常に重要だと思っております。高速、大容量の無線通信が可能ですから、これはもうIoT社会を支える重要な社会インフラだと考えております。
 総務省では、昨年の十二月に整備計画を策定しました。また、現在参議院で御審議を賜っております平成二十九年度政府予算案では、無料WiFi環境整備事業として、二十八年度の三・六億円から大幅に増額をさせまして、三十一・九億円を要求させていただいております。
 現在、WiFi環境の必要性、防災面や地域活性化での有用性、支援方策などについて全国の自治体や地域の関係者の皆様への周知、働きかけを行っておりますので、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。