参議院 財政金融委員会 第4号 令和2年12月1日
○上田清司君 新第三の矢になりますが、この新第三の矢では、安心につながる社会保障ということで、二〇一二年の実績値で介護離職が六万六千百人。二〇二五年を目標にゼロにしたいと。二〇一八年の実績値で九万八千四百人、逆に増えていると。ゼロどころか介護離職が増えていると。その原因、実際、これ実現可能なのかと。
先ほどの答弁もございましたけれども、私は、まさに新三本の矢、向かっている、的に、しかしもう手前の方で落ちかかっている、こういう実態だと。したがって、こういうときにはどうするかといったら、軌道修正する、あるいは、もう全面的に回帰をする、この話はやめたという話にすることが大事だというふうに私は思っております。
この介護離職の問題は、当然、介護職の数が少ないことで、介護に係る施設などの員数を確保できない、あるいは新たにまたつくっていくことの力がないなどありますけれども、私は、この介護のための、あるいはまた何らかの形で、こういう福祉施設というのは非常に公共事業として優れていると思っております。
埼玉県の事例で申し上げて恐縮ですけれども、百ベッド当たり三億の資金を提供します、一ベッド三百万です。百床で三億です。民間は平均して二十七億出します。結局、県は、三億で三十億の公共事業を起こすことができるんです。人をたくさん雇います、継続的に様々な事業が展開されます、そうしたことも含めれば、この介護事業、あるいは福祉関連事業というのは、新たなる公共政策として非常に有効だと思っております。
何よりも、この介護離職ゼロというこの目標値、余りにも、何というんでしょうか、難しい話をやっておられるんじゃないか、それに合わせた計画がないんじゃないかと、ただスローガンだけが先にあって、それを埋めるための施設をどうしていくのか、介護人材をどう養成していくのか、その費用はどうするのかというプロセスが何もないと思っていますが、いかがでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 上田委員にお答え申し上げます。
介護を理由とする離職者数につきましては様々な調査がございまして、一概に増加しているとまでは認識しておりませんけれども、介護の受皿整備、また委員御指摘の介護人材確保対策、仕事と介護の両立支援等の総合的な取組、これが大事でございまして、推進をしております。
受皿整備に関しましては、介護保険事業計画に基づきまして各自治体において計画的に進めておりまして、厚労省としては、この地域医療介護総合確保基金、令和二年度では四百六十七億円の予算計上されておりまして、地域密着型サービス施設の整備費であるとか施設の開設準備経費等を支援するとともに、令和二年度からは介護付きホーム、有料老人ホームやサービス付き高齢住宅でございますけれども、開設準備経費に財政的な支援を拡充しております。
また、委員御指摘の介護人材確保対策につきましては、介護職員の処遇改善、昨年十月からは公費一千億円を投入し、この間、合計で月七万五千円の処遇改善につなげてきた次第でございます。今、令和三年度の介護報酬改定に向けましても、処遇改善の着実な実施に向けた加算の更なる取得促進ということを、方策を検討を進めております。
今後とも、民間サービスも活用した地域のニーズに応じた、委員御指摘の基盤整備、支援するとともに、職員の処遇改善、着実に実施しながら、引き続き希望する方が介護と仕事の両立が図れるように取り組んでまいりたいと思います。