核なき世界へ連帯強く/日本、橋渡しの役割果たせ/広島で山口代表
核なき世界へ連帯強く/日本、橋渡しの役割果たせ/広島で山口代表
公明党の山口那津男代表は6日午前、原爆投下から78年を迎えた広島市で記者会見し、今年5月に同市で開催された先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)でG7首脳が被爆の実相を共有したことは大きな意義があったとして、「この機運を生かして核兵器のない世界をめざし、さまざまな人々と連帯の下に推進していきたいと誓うところだ」と語った。山口代表の発言は大要、次の通り。
■禁止条約、オブザーバー参加を
【核兵器のない世界へ】
一、核兵器のない世界へ、日本は核保有国と非保有国の橋渡しをする役割を一層、一歩一歩進めていくべきだ。7月31日から会合が開かれているNPT(核兵器不拡散条約)は、核保有国と非保有国が共に参加する場であり、維持・強化する取り組みが重要だ。
一、昨年の核禁条約第1回締約国会議は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツとノルウェー、つまり、核保有国である米国、英国、フランスの同盟国がオブザーバーとして参加した。日本も橋渡しの立場からすれば、非保有国が大宗を占める締約国との意思疎通の機会を持つ意味で、オブザーバー参加をするべきであると公明党は考えている。今秋の第2回締約国会議からでもオブザーバー参加をめざしてもらいたい。
一、締約国の中には、カザフスタンのようにソ連時代に核実験が行われた場所を含む国がある。その実験場の周辺では、被ばくした人々が今なお苦しんでいる。日本は被ばく者に対する医療や生活支援の面でも、さまざまな経験を役立てることが十分可能だ。締約国グループと接点を探り、日本が可能な支援の手を差し伸べる意味からもオブザーバー参加を行うべきである。
【核抑止論】
一、日本政府は日米同盟の下、いわゆる核抑止論に基づく安全保障観を持っている。核保有国に囲まれており、今の国際社会の安全保障の考え方に基づいている。しかし、核兵器のない世界へ導いていくためには、それが本当に抑止として効果があるのか。また抑止力として効果を持たせるべきなのか。本格的な問い掛けは、常に顧みていくべきではないか。
【次期衆院選】
一、日本は今、物価高や少子高齢化など未曽有の危機に直面している。国際社会の大きな変動のさなか、日本の政治がより強固で安定的な基盤の下、課題を乗り越えなければならない。それを担うために自公の連立政権に代わる選択肢はない。自公が責任感を共有し、議席の最大化をめざして協力し合う準備が大切だ。
【元自民党衆院議員の事務所捜索】
一、東京地検特捜部の強制捜査を秋本真利氏が受けるに至った。国民の信頼を傷つけている点で誠に遺憾なことだ。秋本氏は自身の言い分があれば、捜査の中で明らかにしてもらいたい。捜査の行方をしっかり見守りたい。
■78回目「広島原爆の日」/平和記念式典に約5万人が参列
広島は6日、78回目の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では市主催の平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族、岸田文雄首相ら約5万人が参列。松井一実市長は平和宣言で、5月に同市で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の意義を強調した上で、諸外国の為政者に「各国首脳に続き広島を訪れ、平和への思いを発信して」と訴えた。
式典には、過去最多となる111カ国と欧州連合(EU)代表部が出席。斉藤鉄夫国土交通相(公明党)ら政府関係者のほか、公明党からは山口那津男代表をはじめ、谷合正明参院幹事長、山本博司参院議員、日下正喜、平林晃の両衆院議員、栗原俊二、尾熊良一、石津正啓、岡部千鶴、井上謙一郎、相沢孝の各広島県議、西田浩、碓氷芳雄、石田祥子、川村真治、並川雄一、田中勝、川本和弘、幸城麗子の各広島市議が出席した。
原爆投下時刻の午前8時15分、「平和の鐘」に合わせて1分間の黙とうをささげた。
市長は宣言で、サミットについて「各国首脳には過去の悲しみ、憎しみを乗り越え、全人類の共存と繁栄を願う『ヒロシマの心』が深く刻まれた」と強調。その上で、「核による威嚇を行う為政者がいる現実を踏まえ、世界中の指導者は核抑止論は破綻していることを直視し、厳しい現実から理想へと導く具体的な取り組みを早急に始める必要がある」と訴えた。
岸田首相はあいさつでサミットについて「核軍縮の進展に向けた国際社会の機運をいま一度高めることができた」と評価。「『核兵器のない世界』の実現に向け、引き続き積極的に取り組む」とした。=関連記事3、7面
2023年08月07日 公明新聞 1面